慎二くん転生する 強くてニューゲーム   作:茶ゴス

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襲撃

 あれから数日が経過した。遠坂は学校にいる間こちらを警戒していたが、桜に目が行かない事を考えて放置していた。

 問題としては何処かのサーヴァントが魂喰いをしていると言う事。

 魂喰い…サーヴァントが現界している際に必要な魔力が不足している場合に補う為の裏ワザ。

 

 今の状態ならまだ放置していてもいいけど、度が過ぎるのなら考えなければならない。

 

 ライダーには何があっても桜を守るようには言っているし、何かあれば報告するようにも言っている。

 

 アーチャーはうっかりやの遠坂

 セイバーはお人好しの衛宮

 ランサーは麻婆神父

 ライダーは桜

 

 この4騎は今のところは障害になり得ない陣営だ。

 問題は残りの3騎

 

 バーサーカー

 キャスター

 アサシン

 

 バーサーカーは記憶にある。ギルガメッシュが戦っていた記憶があるのだ。灰色の巨人としか情報がないようなものだけど

 まあ、今回は英雄王の力を借りることは出来ない。だからこそ、あの記憶を頼るのは良したほうが良さそうだろう。

 

 まあ、残った2騎はいまいち情報がない。だけどおそらくはこのどちらかが魂喰いをしているのだろう。

 マスターの力量に差がないのならばキャスターが魂喰いをしているだろうが…

 

 対魔術師との戦闘も想定しておくべきか。

 

 

 もう聖杯戦争では油断はしない。僕の目的のためになんとしても大聖杯にたどり着かないと…

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 "     "

 

 

 僕のサーヴァントは告げた…気をつけろ、敵が来る…と

 

 場所は人通りのない住宅街。しかし、そんな所で戦闘でもしたら一般人への被害は免れない。

 戦闘は避けるべきだな

 

 

 僕はこの前完成した劣化版携帯端末を取り出し魔術を発動させる

 

 

「view_map()」

 

 

 敵を捕捉。サーヴァントの反応はあるが姿は見えない。

 マスターの容姿は子供、参加者の候補の中ではアインツベルンあたりの者か。

 

 

 "     "

 

 

 ああ、名家故に強力なサーヴァントの可能性は高いだろう。初見で挑むには厳しい相手だろうね。少し戦闘してもいいかも知れないけど、深追いは避けるべきだ

 逃げるのには賛成だよ。

 

 

「move_speed()」

 

 

 移動上昇のコードキャストを付与。急いで離脱する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜あ、逃げられちゃったか。まあいいや。こっちはついでだったし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 特に追ってくる様子もなく、普通に帰宅した僕を桜は出迎えてくれた。

 

 最近色々と動いてるから帰宅時間が遅くなる僕が心配だそうだ。まあ、仕方無いこととはいえ少しは気をつけようと思う。

 

 

 そう考え、居間へ向かおうとすると、突然電話が鳴った

 

 

 相手は衛宮。そう言えば随分昔に交換してたっけ?でも変だな、あいつなら携帯でかけてきそうなものを

 

 

「はい、もしもし」

 

『もしもし、慎二?』

 

「遠坂?衛宮の番号だったんだけど」

 

『それも順を追って説明するわ。急ぎの用事とかはある?』

 

「まあ、特に用事らしい用事はないけど、早くしてくれよ?桜が怒ってくるから」

 

『わかったわ。単刀直入に言うけど、衛宮君を救出するのを手伝ってくれないかしら?』

 

「……いったいどういうことだよ」

 

『さっき衛宮君がバーサーカーのマスターに攫われたようなの。こっちはセイバーとアーチャーがいるけどバーサーカー相手には少し厳しいの』

 

 

 まったく、何やってんだろうね。衛宮は

 

 

「セイバーがいて何で攫われたんだ?」

 

『衛宮君、一人で買い物に行ったらしくて。』

 

 

 間抜けじゃないか。本当に大丈夫か?

 

 

「まあ、わかったよ。衛宮が馬鹿だってことはね。で、僕に手伝うメリットはあるの?」

 

『私の宝石を一つあげるわ』

 

 

 なるほどね、確かに悪い取引じゃあないか…でもさ

 

 

「僕、宝石魔術使えないの知ってるだろ?」

 

『そうだけど、他にいいものなんてないのよ。』

 

 

 こんなカードで交渉なんて、片腹痛いったらないよ

 

 

「交渉決裂。衛宮救出は勝手にやってくれ」

 

『そう…残念だけど他をあたるわ』

 

 

 遠坂はそう言って電話を切った。まったく、もっと交渉術を磨いたほうがいいよ

 

 

「……兄さん」

 

 "     "

 

 

 イライラしている僕に気付いたのか、少しオドオドした様子で桜が声をかけてきた。って、僕のせいじゃないよね?文句は言わないでくれよ

 

 

「先輩が、誘拐されたんですか?」

 

 

 ……どうやら聞かれていたらしい。まったく、遠坂ももう少し声を小さく言ってもよかったろうに、桜にまで聞こえるなんてね

 

 

「そうらしいね。まあ、僕には関係ないけど」

 

 

 嘘だ。本当は関係大有りだ。桜を悲しませない為にも衛宮は助けるべきだろう

 でもさ、動く理由が無いんだよね

 

 

「……兄さん」

 

 

 おいおい、そんな目で見てくるなよ。僕が悪者みたいじゃないか。

 

 

「なあ、桜一つ頼まれてくれないか?」

 

「……なんでしょうか」

 

 

 ため息を吐いて頭をかく。あーあ、本当に面倒くさいな

 

 

「晩飯冷蔵庫に入れといて。少し出かけてくるから」

 

「兄さん!」

 

 

 うわぁ、すっごい嬉しそうな顔

 

 

「言っとくけど、衛宮を助けに行くわけじゃないよ?」

 

「はい!♫」

 

 

 何で嬉しそうなんだよ。お前も満足気に頷いてるんじゃない。ほら行くぞ

 

 

「帰りは朝になるかもしれないから、今日は早めに寝るんだぞ?桜。あとライダーも桜を任せた」

 

「わかりました。桜のことは安心して任せて下さい」

 

 

 当然のように現れるライダー。いつも桜の後ろを陣取ってるからわかりやすいな。まあ、他のマスターが居る場合は近くにはいないけど

 

 

「じゃあ、行ってくるよ」

 

 

 本当に面倒くさい。まああれだ

 このまま放っておいたら桜が行っちゃいそうだしな。それだったら本末転倒だし、意味がないしね。まあ、理由はいくらでも並べられるけどさっさと行こうか。

 

 

「view_map()」

 

 

 遠坂たちの向かう方角は……アインツベルンの森?


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