慎二くん転生する 強くてニューゲーム   作:茶ゴス

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慎二くん視点です


才能

「余は奏者が、大好きだーーー!!!」

 

 

 まったく、気楽なもんだよね。こっちは攻撃を避けるのでいっぱいいっぱいなのにさ

 

 

「くっ、ちょこまかと!」

 

 

 まだ少しスタンが効いているのか、狙いが甘いのが幸いだ。身体を捻り剣の形をした魔術を躱す。

 

 さて、ここまで魔力を使ったのは最初の魔術にだけ…令呪のブーストで一時的に使用不可になった回路、23本は正常に動いていることが確認できる。

 

 

 

「そろそろこちらからも行かせてもらうよ。move_speed()」

 

「いま!!」

 

 

 僕の魔術展開とともにこれまで以上の魔術を放ってきた。全く。詠唱や予備動作無しなんて反則だろ。

 まあ、見えているのなら問題はない。剣の間を縫うように動き、相手の懐へ飛び込み、思い切り地面を踏みしめる。

 

 

「なっ!」

 

「はっ!!」

 

 

 肘打ちを鳩尾へ打ち込む。魔術への対応はしてても武術まではしていないだろう。

 子供相手に使用するのは些か気がひけるけど、そうは言っていられない。

 続いて顎へ掌底。間髪入れずに再度地面を踏みしめて腹部へ拳を打ち込んだ。

 

 それにより相手はゴロゴロと転がるように吹き飛ばされた。

 

 流石にあの人外神父のように相手が水平に吹っ飛ぶことはないにしろ、暫くは動けないだろう。

 

 今使用した技というか型は、愉悦部恒例行事の週1度の「体験?実験?マジカル八極拳!」とかいう英雄王が付けたふざけた名前の訓練のせいで身についたものだ。

 因みに桜もそれには参加している。よく組手をしているが、あいつの場合は打撃時に手加減してしまっているため、あまり実戦では役に立たないだろう。それでも普通の大人になら勝てるだろうが

 

 震脚、肘撃、崩拳の順で打ち出された技をまともに食らうと洒落にならないくらいのダメージを負ってしまう。これで時間は稼げるが、バーサーカーの方はまだ時間がかかりそうだ。

 

 その隙に新しく魔術を使用してきてこっちが危なくなることも考えられる。更に布石を打たせてもらうか

 

 

『岸波!今のアクセス権レベルは?』

 

『慎二か。こっちはもう少しかかりそうだ。それとアクセスレベルは4だがそれがどうした?』

 

 

 アクセスレベル4

 

 僕のように魔術(コードキャスト)を使用する程度のアクセス権はレベル1

 これは端末と魔力を持ってさえいれば誰でも可能だ。

 

 次に岸波との通話がレベル2

 これは召喚した際に僕が手に入れたアクセス権だ

 

 サーヴァントの限定召喚がレベル3

 ステータスダウンと宝具の制限。さらに個体は1体というのを考えて付けられたアクセスレベル。

 

 ダンジョンデータへのアクセスがレベル4

 ここまでのアクセス権を有するには僕の魔力が枯渇する程度は必要

 

 AI保管場所へのアクセスがレベル5

 現在はこれは使用できない。もう少し早ければ使用できたかもしれないが現状必要のないアクセス権だ

 

 サーヴァントの座へのアクセスがレベル6

 令呪により使用できるサーヴァントの召喚。基地外みたいな魔力量ならこれを常時使用できるかもしれない。

 

 ムーンセル・オートマトンへのアクセスがレベル7

 僕の場合は令呪を3画使っても届かないアクセス権。万能の聖杯へのアクセスはそれ相応の魔力が必要

 

 

 これが僕達が定めたアクセスレベル。令呪により一瞬だけレベル6が解禁。それからだんだんとレベルを低下させていくのが現状。だが、今一番必要なアクセス権はまだ使用できるようだ。

 

 

『ダンジョンデータへアクセスしてくれ』

 

『……あれを使うんだな?』

 

『ああ、念のためだけどさ』

 

『失敗したら危険になるのはお前だぞ?慎二』

 

『何を言っているのか。僕が失敗するわけがないだろ?』

 

『……そうだな、愚問だったな。昔のお前でも出来たことを今のお前が出来ないわけがないよな』

 

『ああ、幸い相手は暫くは動けないだろうし、今のうちに温存しておいた魔力をフル解放するさ』

 

『一体何をしたんだ?』

 

『八極拳で吹き飛ばした』

 

『……』

 

 

 なんだよ、その無言。

 

 っと、ちゃんとアクセスはしてくれたようだな。目の前に魔法陣が現れる。

 

 

 

 さて、主力魔術回路32本中30本使用、残り2本はmove_speedへの供給に使用

 

 予備回路16本開放。身体への影響は…微弱といったところか。問題はない

 使用本数10本、6本はいつでも魔術を行使できるように開いておく。

 

 

 さて、使用回路40本。ある程度の予測を付けた魔力量は確保した。あとはハッキング速度だけ。

 

 まったく、相手の動きに注意しながらしなきゃいけないのは中々骨だけど既に召喚してしまったんだ。やるしかないな

 並列思考は出来るけど、所詮は適当に身につけた技能にすぎない。

 これならもっと真剣に練習しておくべきだったと思いつつハッキングを開始する。

 

 相手が床に蹲りながら唸っているところを見る限り、まだダメージのせいで動けないようだ。

 

 

【ハッキング進行度18%】

 

 

 さっき岸波が軽く言ったけど前回は補助と時間があったから成功したところもあるってのをあいつは知らないだろう。

 まあ、だからといって今できない筈はないけど。

 

 

【ハッキング進行度43%】

 

 

 大体のペースは1秒で6%の速度、回路が熱くなるのがわかるけどこの速度でのハッキングだ。仕方ない

 

 

【ハッキング進行度89%】

 

 

 さあ、もうひと踏ん張りだ。相手は未だに唸っている。反撃への警戒は杞憂だったか

 

 

【ハッキング完了】

 

 

 やれやれ、頭が痛いね。流石の僕でも疲れたよ

 まあ、これで僕がやられる心配は無くなったと言ってもいい。流石にサーヴァントのいないマスターに負けるほどこいつは甘くないさ。

 

 BBの補助による強化はないけど、数で補えばいいってのは安直だったかもね。

 

 

 さて、最後の仕上げだ

 

 

「合体しろ、シンジタンク」

 

 

 3体のシンジタンクはお互いの部品を強化するように重なり合っていく。体積が増えていくわけでもなくその強度を増していく辺り、こいつが魔力で出来たエネミーだってのを実感する。

 完成するのを見守りつつ相手マスターに目を向ける。多少はダメージが回復したのか、地面に這いつくばりながらシンジタンクを唖然と見ている。まあ無理もないか、唯でさえ不利な状況が更に困難な状況になったのだから。

 

 

「完成、シンジタンクMK2ってね」

 

 

 今、最後の布石が打たれた




どんどんイリヤ組が可哀想になっていくレベル。

敗北を経て学んだ慎二くんに抜け目はない。何かしてきてもゲームチャンプU.M.E.のように「魔術見てから回避余裕でした」と言い出すかもしれない

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