夢で見た僕には妹がいた。名前は間桐桜
あの保健室のAIが僕の妹だなんて変な気もするけど、その妹の環境が問題だ。間桐臓硯、”この僕”の祖父に位置する男によって日々調教される毎日。まったく、どうもスマートじゃないね。信じられないよ。養子の6歳の孫を調教する趣味のあるペドフィリアが祖父なんて信じられないね。
こんな時にあいつがいるのなら、桜を助けるために奮闘するんだろうか……いや、するだろうな。あいつはそういう奴だ。
例え、僕の妹があのAIの桜じゃなかろうとも助けるために命を張るのがあいつだ。そんな事僕には到底真似出来ない。だからといってこのまま見捨てるというのも無いかな。僕に出来なくてあいつが出来るように、あいつが出来なくて僕に出来る事はある。いや、寧ろ多いと言ってもいいね。それに身内の恥を放置するなんて出来ないさ。祖父がペドなんてもってのほかだね。早々になんとかするべきだろう。
それに、あいつは最後まで僕がいてくれた事を記憶していてくれた……なら、今度は僕が、あいつがいないこの世界であいつを知っている僕が、あいつがいた事を記憶してやるよ。
別に、しみったれた友情なんかじゃあない。あいつを生かしたのは紛れも無く僕だ。義理を返すなんていう大層なものでもない。
ただ、僕がそうしたいだけ……ただ一人の友達を覚えていたいだけなんだ。
だから、あいつの代わりでもなんでもいい。あいつが助けようとしていた、”間桐桜”という存在を、僕が助けてやるんだ。
本格的に僕は馬鹿になったようだ。前までの僕なら絶対にたどり着かなかったその答え。今でも反吐が出るような不気味さだけど、そうしたいと思っている自分がいる。何かを残す事しか考えていなかった僕が誰かを残すことを考えている。
本当に滑稽だね。だからこそ、本気になれる。僕らしくない僕が辿り着いた答え。そう簡単に破綻させるわけにはいかない
まず今の僕には頭脳はあっても、力は無い。身体は子供のまま、魔術の使い方もわからない。なら、どうするべきか。答えは決まっている
取り敢えず情報を纏めることから始めよう。何故かは知らないけど、僕自身が経験したことのない記憶が、僕の中には存在している。
この世界の僕の事。あいつの事。インプットされたように存在する記憶を開示していく
1. 祖父は人間ではなく、蟲の集合体である
2. 僕に魔術回路が存在する
3. 僕には月の聖杯戦争での記憶はあるが、あまり役に立つものではないだろう
4. この町には最強のサーヴァントが存在する
僕の記憶にあるサーヴァントの情報で最強に位置するのは、悔しいがあいつが使役していた金色のサーヴァント、ギルガメッシュだろう。
何故かあいつが他のサーヴァントを使役していた記憶もあるが、それはおいておくとしてだ。
この町の教会にそのサーヴァントは間違いなく存在する。
だが、問題があるとして。そのサーヴァントはすごく気まぐれだということか。マスターだったあいつもよく振り回されているとこぼしていたのを記憶している。そんな奴がはたして素直に力を貸してくれるのか……難しいだろうな
だけど、僕は色んな無理ゲーをクリアしてきたんだ。今回だってクリアしてやるさ。
難易度は極悪だけど、その分見返りが大きいなんてまさしくゲームのようだしね。
思いたったのなら行動だ、目指すは冬木市の教会。そこにいる麻婆店員にはあまり見られたくはないが、とりあえずはギルガメッシュに接触するのが一番だろう。