「聖杯に招かれし英霊は今ここに集うがいい!!尚も顔見せを怖じるような臆病者は征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬ者と知れ!!」
相も変わらず豪快な男よ、だが我を前に王を語るとは許しがたい。どれ、一思いにその体躯を屠ってやろう…
「悔いて走ろ!!エルキドゥ!!」
箱型の物を詰める物を飛び越え、世迷い言を抜かした肉達磨へと
「ぬお!?」
チッ、避けたか。運の良いやつよ。しかしまあ、やはり愛車の働きと我のドライビングテクニックは素晴らしい。地面に着地して尚、状態をぶれさせない。やはり我こそが王。何もかもをこなせるというものだ。
「いきなり不意打ちとは卑怯者か」
「何を言う肉達磨。貴様が我の通る道に立っていたのだ。我への侮辱として自害するのが当然だろうに」
愛車から降り、蔵へと仕舞う。
ふむ、何やら注目されているな……む?あの男我より高い所に立っている。万死に値する!!
「死を持って詫びろ、雑種」
「な!?」
「マスター!!」
ふむ。槍を持った…恐らくはランサーのマスターであったか。しかし、既にあのマスターは死んだろう。全方位から宝具を放ったのだ。まず助かるまい
「しかしまあ、よもや我を差し置いて王を語る愚か者が2人も現れるとはな」
「ふむ、いきなり現れ、いきなり一人のマスターを殺害する空気の読めない貴様が言うことか」
「知らんな。王道とは我の歩んだ場所。我こそがその場の流れそのものだ……む」
ランサーが槍を突き刺してきたのを防ぐ。直ぐ様足元から宝具を射出し、相手の足を削った。
成る程、少しばかりあの者に灸をすえねばならんかも知れぬ。あやつと行動していた余り、相手の行動を完封する癖が付いてしまっているではないか……
我は油断はしないが慢心はする。それこそが王なのだ。故にこのような愚行を行ったあの者は再びあった時に文句の一つでも言ってやらねば気がすまぬ。
「貴様、それでも英霊か!!」
「喚くな雑種。我を見下ろすという愚行を我自身が裁いてやったのだ、感謝こそすれ怒りを表すなどありえん」
更に激昂し、ランサーが槍を振るってくる。
つまらぬ。槍を振るい切る前に蔵の武具に貫かれたわ……
「最速のクラスが聞いて呆れる。そこまで近づき、翻弄もせずに攻撃するからそうなるのだ」
血を吐き出すそれに吐き捨てる。
貴様の行いは雑種の中でもくだらぬ物なのだとわかりやすく説明してやっているのだ。感謝しろよ
「貴様、随分とまあ自分勝手な男のようだな」
「何を言う。王たる我が正しいのだ。有象無象に気を配るなど反吐が出る」
「そこまで言うのだ、名乗りをあげたらどうだ?貴様も王たる者ならばまさか己の異名を憚りはすまい」
「我に問いを投げるか……常であればその首、切り落とされる所だ。それに雑種風情に我の答えを理解できるとは思えん……いや、あの者は理解していたな。よし、貴様ら雑種の中でも底辺の奴に理解できるとは思えんな」
「で、貴様は誰だ?」
「我が拝謁の栄に浴して尚この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧生かしておく価値すら無い!」
「無茶苦茶だ!!」
喚くな、ライダーのマスターよ。よもや我の怒りに触れるのが本望とは言わぬだろうて
む?気付かなんだが、あの貧相な胸に金髪碧眼、セイバーか…
「何故でしょう、今無性にこの男を斬りたいと思いました」
「そう言うでない。貴様は我が寵愛を受けるに足る人材だぞ、セイバー」
「怒ったと思えば今度は女子を口説く、よくわからぬ男よのぅ」
「黙れ肉達磨。殺すぞ」
ぬ?地面から黒い靄が…あれは確か…
「バーサーカー!!」
「……あの騎士のように我の前に立ち塞がるか。それと何か?貴様も借金の取り立てでもすると申すか?」
宝具を展開し、射出…はしてはいけないな。確かこやつは我の宝具を勝手に使い出す。その行いは万死に値する……寧ろ我の宝具を誰が貴様なんぞにやるか。仕方あるまい……
「聞け、雑種共。我と相見える迄に雑種共を間引いておけ。我と戦うのは真の英雄のみだ」
「ってことは、あのランサーは真の英雄ってこと…」
「あやつのは唯の粛清だ。戦いなどとは言わんぞ、ライダーのマスターよ」
あれと戦うなど、あの狂犬と戦うのと同義だ。さぞ品のない争いとなるだろうな……
AUO
Eライダースーツ