ある製薬会社が業界からいなくなった前後で、その会社の社長が亡くなった事が報じられる。
そんな中、しがない傭兵であり賞金稼ぎでもある竜胆風月はお得意様の依頼人から、ある研究所を破壊して欲しいと依頼される。
その後に風月が面倒を見る事になったのは、ある少年だった。
「──なんとかなるんじゃないの、なんとかするの!」
※此方は読み切り版です。連載の際には多少変動がある事にご容赦下さい
それが報道されたのは、突然だった。
──
今後の事業は関連企業に接収され、会社としては畳むも同然であるという事。
だが、それ以上に世間を騒がせたのは同時期に発表されたある事だった。
──零生製薬総合社社長、自殺か。
あくまでも推測であり、噂の域を出ない。
他殺にせよ、自殺にせよ、積もる何かがあり、思い詰めていたのではないかというのが世間一般の認識。
「薬の開発としてはトップの企業が畳むとなると、競合が盛んになりそうだなぁ…。っと」
水色の髪に橙色の三白眼の青年はそう言い、読んでいた新聞を手から離す。
吹いた風に吹かれて、新聞は紙面が離れ離れになりながらどこかへと飛んでいった。
「…あ?」
仕事用の携帯に着信が入った事に気づき、慌てて路地裏に移動する。
「はいは〜い。…って、また
『まぁまぁ〜。そう言わないでくれ、
電話越しに聞こえる女性の声に軽く溜め息を吐きつつ、続きを催促する。
「……どっちだ?誰か賞金首捕まえろってか?それとも、傭兵稼業の方か?」
『あー、今回
「んで肝心の依頼内容は?物によっては前回のと同じで
電話口の相手は少し深呼吸してから、その内容を告げた。
『──君には、とある研究所を破壊して貰いたい。勿論、相応の金額は支払おう』
*
──某所
大凡、人の目が入らないような場所にその研究所はあった。
常人ならば、その内部を見た瞬間にこの場所がただの研究所ではない事を理解出来るだろう。
幾つもの部屋に分けられた10以上の培養槽と、その中にある
その研究員の1人──オレンジっぽい茶色のショートボブに桜色の目をした女性は培養槽の中の1人の小学生ほどの見た目をした茶髪の男児と手の中にある、あるアイテムを交互に見た後、小さく呟いた。
「…こんな手段しか取れなくて、ごめんよ」
女性はそう呟くと、男児のいる培養槽の近くにアイテムを置き、研究所の外へと向かう。
男児の目が僅かに開いていた事には気づかずに。
*
「大体、オレがよくいる場所って言ってもな…あの依頼人とは殆ど面識がなかった筈──あ?」
風月が野宿をしている場所に行くと、少し大きな包みがあった。
「んだ、これ?」
包みの近くに行き、紐を解いて包み紙を開ける。
中にあったのは、腰につける黒をベースカラーとした大型のアイテムと、銀色を主軸とし中央部分にパープルのインクのような物が見えるカートリッジ。
よく見るとカートリッジには過去に『学校』で知った覚えがある、恐竜のようにも鳥にも見える動物の刻印が彫られていた。
それを物珍しい目で見ていると包み紙の中に何か入っている事に気づく。
「…手紙?」
どうにか手に取って、さっくりと読んでいく。
『とりあえず、これが読めているって事はワタシが送ったアイテムがそれぞれ届いてるって事だろう。
それはワタシが所属している場所で造られた試作品でね。
試作品である都合上、挿し込むアイテムが一つしか使えないという難点があるんだが、君にはハンデにもならないだろうしね。
それぞれ、プリントドライバーとイデアカートリッジと言うんだが…まあ、君の事だし、旧世界の諺で言うなら、“習うより慣れろ”だ。
細かいシステム的な詳細は会う機会があれば、その時にでも。くれぐれも気をつけてくれよ。
S
追伸 破壊する例の研究所近くの地図と住所をメモ書き程度だが入れておく、役立ててくれ。
あと、もし君が持つそれと似たようなアイテムを持っている子がいたら其方で保護を頼む。ではまた』
一通り目を通した風月は先ほど以上の溜め息を吐くと、大型のアイテム──プリントドライバーと、カートリッジ──イデアカートリッジを見やる。
「…そこまでの相手って事か?」
風月には自分を固定する、或いは繋ぎ止めるような
今でも仕事として請け負っている傭兵稼業や
だが、仕事道具にしている
「だーっ、くそ。面倒くせえ…」
それでも、自分が生きる為。
その日暮らしの身の上である以上、受けると決めた依頼は熟さなければ、明日も命を繋げるかは分からない。
「…しょうがねえ、やっか」
──決行は夜だ。
*
それから、数時間ほど経った頃。
研究所近くにいたリスは何かに気づくと、草むらから森へと帰っていった。
同時に火炎放射器による炎が周囲を囲み、更に油が追加されて炎の勢いが強くなる。
それと同時に研究所の一室で爆発が起こる。
どうやら、燃え広がった場所に可燃性か爆発性の物があったようだ。
突然の攻撃に混乱する研究員達を炎が襲う。
別の職員達が培養槽の中の少年少女達を解放し、逃げるように促す。
その中で、自分を逃がそうとした者達が目の前で焼けた事に動揺し、動けないでいる少年がいた。
桜色の目の女性が気にかけていた茶髪に黒目の少年だった。
「ぇ、ぁ…っ」
近くにいた少女に押され、近くの出口にまで押される。
少年を守ろうとした目の前にいた少女が燃える。
が、少女は無理やり少年にあるアイテムを渡すと辛うじてではあるが、少年に向けて言った。
「──貴方は生きて」
同時にその一室で爆発が起き、少年はアイテムを持ったまま外へと大きく吹き飛ばされた。
*
──同時刻
「
黒いメッシュが前髪に入った灰色の髪を少し結んだ紫色の目の青年は研究所近くを見回す。
一瞬、遠方に倒れている茶髪の方を見たが、興味無さげに別の方角を見る。
其方に見えたのは、先ほど少年を助けようとした少女の焼死体だった。
大凡元の面影はない上、殆どが焼け爛れている。
「…ちょうどいいか」
青年は呟くと焼死体の近くに音もなく降り立つ。
そして、懐からバラのような刻印がされた、中にローズレッドのインクが見える銀色のカートリッジを取り出す。
「──せめてもの慈悲だ。精々役に立て」
《ローズ!》
カートリッジの上部を押し、ローズレッドのカートリッジを焼死体に入れる。
青年が離れてから数刻、そこから少しずつバラの蔓のような物が焼死体を包み込み──
*
「流石にちと派手にやりすぎたか?」
風月は研究所の現時点での惨状を見ながら、そう言った。
研究所の破壊としか言われておらず、方法は指定されなかったのもあってか、かなり自己流でやってしまった。
「……依頼人にどやされねえといいけど」
少し火の手が収まったタイミングで、上手く火を飛び越えて敷地内に侵入する。
保険に例のドライバーとカートリッジも携えつつ。
大凡いい物とは言えない焼けた肉の匂い、ガソリンや油の匂い、複数見え、時には足元に転がる黒く爛れた
何度やっても、これには慣れない。
「…ごめんな」
風月は、それを言うのが手一杯だった。
風月に殺した相手が何をやっていたのかを知る術はない。知ろうとも思えない。
知れば、きっと
それでも、恐らく自分にはない家族や友人がいた事くらいは想像出来る。
実感が無いだけで。
「物色する趣味はねえけど…あぶねっ!」
突然の蔓に動揺しながら回避する。
攻撃が向かってきた方を見ると、図鑑で見た『バラ』によく似た怪物がいた。
体の殆どは粘土か何かで作られているように見える。
「依頼人がこれ送ってきたのって、まさかとは思うが…──!」
怪物と自分の間の距離に倒れている少年がいた。
背丈的には小学生程度か。
よく見ると、自分の持つ例のアイテムと似たようなものが近くに転がっている。
手に持っていたものの、衝撃で近くに転がったのだろう。
怪物をどうにかするより前に、彼を起こして避難するのが先決だと思い、声をかける。
「おい、お前!大丈夫か!?」
軽く揺さぶり、意識を確認する。
呼吸はしている。が、いつ意識が目覚めるか。
まして、自分が此処を襲った存在だと仮に知られれば──
「ぅ、うう…?」
「っ!」
どうやら、そこまで長くは気絶していなかったらしい。
少年はぼんやりしつつ、黒い目を開く。
「え、えと…誰??」
「意識が戻ったみたいで良かっ──じゃねえ、とりあえずお前はどっかに隠れてろ!」
「え、えぇ…??」
少年も困惑している。
が、バラの怪物も近づいている。
そう時間はない。
「いいから!せめてオレの後ろにいろ!」
「わ、分かった。…あっ」
少年は落ちていた例のドライバーとよく似たアイテムと、2つのカートリッジをなんとか拾うと少し離れていく。
「……オレに、こんなの似合わねえよ」
自嘲しながら、例のドライバーを取り出し腰に装着。
一瞬怪物は反応するが、それと同時に自動的に帯が装着される。
《プリントドライバー》
そのままパープルのカートリッジを取り出し、上部のボタンを押す。
《アーケオプテリクス!》
更にそれをドライバー部分にある窪み──カートリッジスロットにボタン側を下にして装填。
右手側にある液晶をタップしてから、右にスワイプする。
液晶にカートリッジと同じ
そして、“その言葉”を叫んだ。
「──変身」
《Once's Tree!》
《Laser Ignite》
音声と共に、白いアンダースーツを装着。
その上にパープルの装甲が
胸元部分に恐竜の口を模したような少し大きな装甲が装着、更に顔部分に鳥とも恐竜とも取れる仮面が付き、複眼が白く光る。
だが、変化はそれだけに留まらなかった。
《Wing:Evolution》
《Tail:Evolution》
《Mouth:Evolution》
《Finger:Evolution》
「はっ、ぐ…っ?!」
同時に風月の体を並大抵ではない痛みが襲う。
背中にはカササギのような幅広で曲線的な翼が肉質を持って現れ、後ろ腰部分には長い尾のようなものが現れる。
爪部分には鉤爪が3本生え、仮面の口部には鋭い歯が生える。
《──ORNIS:Archaeopteryx》
「はっ、上等じゃねえかよ…!」
息を切らしながら、目の前の怪物を見据える。
翼を広げ、怪物が驚いた瞬間に連続して蹴りと打撃の乱舞。
更に鉤爪で大きく斬りつける。
怪物は後退したものの、蔓と花弁で攻撃してくる。
「ちっ、やり辛え…!!」
なまじ手に鉤爪がある以上、
スカイダイビングの経験なんて全くない以上、短期決戦がベストだ。
「…お兄ちゃん!」
「あ?」
見ると、先ほど後ろに引かせた少年がいつの間にか例のドライバーを装着していた。
《プリントドライバー》
「自分も、手伝うよっ!」
「バカ、オレとお前だけでなんとかなるような相手じゃ…」
「──なんとかするの!!」
少年はそのまま
《クックソニア!》
《エオマイア!》
片方はライラック、片方は白銀のインクが見える。
そのまま、同じようにボタン側を下にして装填。
液晶に2つの
液晶にその2つの
《クックソニア×エオマイア》
「変身っ!!」
《X'ross Evolution!》
《Print On》
音声と共に白いアンダースーツを装着。
更にライラックブルーの装甲が
白銀のインクがライラックブルーの装甲の上に重なり、刺々しい物に変化。
更にライラックブルーのネズミのような仮面が装着され、複眼が白銀に光ると朝顔型に変化する。
《──Evolve:CookEomaia》
一瞬前にふらつくが、なんとか体勢を整える。
よく見ると先ほど以上に頭身は高くなっているのだが、風月はそれに気づかなかった。
「お前、オレより変化少なくねえか?」
「そうかな?…ともかく、なんとかしよ!お兄ちゃん!」
「それもそうか」
エボルブとオーニスは再びバラの怪物と向き合い、体勢を整える。
「…?」
エボルブはふとドライバーの液晶にある銃のようなアイコンに気づき、タップする。
《Weapon:Select》
同時に銃剣のようなものが現れ、エボルブの手元に。
「わっ?!」
「っ!来るぞ!」
オーニスの言葉に気づき、咄嗟に回避しながら怪物に向けて弾丸をぶつける。
「いやそんなのも出来んのかよ!?!」
「僕にもさっぱりなんだってば〜!…えっと、こう?」
銃口が仕舞われるような形に操作すると、今度は形状が剣に近いものへと変形する。
《BLADE MODE》
向かってきた蔓をいなしつつ、剣先で蔓を斬っていく。
「っし!だったらオレも…!」
オーニスは高く飛び上がると、上空で様子を見る。
《GUN MODE》
《Cooksonia:DOMINATE》
エボルブの弾丸が少しずつ怪物を後退させていき、花弁を
「お兄ちゃん!!」
「言われなくても!」
そこから急降下し、両手脚の3本の鉤爪で蔓部分を掴みながら一気に上昇。
「らぁっ!」
限界まで滞空したところで、爪を離す。
急激に下へと墜とされた怪物は受け身を取る事も出来ず地面に激突する。
「ま、まだ動く…?」
「流石にこんだけやりゃ大丈夫だろ。…決めるぞ」
「へ?えと?」
「いいから、オレの見て真似しろ」
「わ、分かった…!」
オーニスは液晶に映る爆発エフェクトのようなアイコンをタップ。
そのまま始祖鳥らしきアイコンが画面に現れ、それもタップ。
《ORNIS:Finish Idea》
《COPY:Archaeopteryx》
《Complete?》
それを見て、エボルブも同じように操作する。
《Evolve:Finish Idea》
《COPY:Cooksonia》
《COPY:Eomaia》
《Complete?》
クックソニアの蔓のようなものが怪物を勝手に拘束。
エボルブの全身にライラックと白銀のエネルギーがオーラのように発生、オーニスにも両翼を起点にパープルのエネルギーがオーラのように発生。
白い紙が怪物を取り囲むかのように円形になる。
オーニスの翼と両脚、エボルブの両脚にそれぞれのカラーエネルギーオーラが収束。
《Finish Idea!Evolve/ORNIS》
そのまま怪物に向けて三色のエネルギーキックが突き刺さる。
突き刺さったエネルギーオーラは円形状の白紙にそれぞれの
「っ!!」
「わっ!」
その衝撃で2人とも変身が解除される。
だが、爆発が収まった後に少年だけは何かに気づき、ある物を拾い上げる。
「赤…?」
それはバラの刻印とローズレッドのインクが入ったカートリッジだった。
が、少年はカートリッジを持ったまま倒れ込む。
「うぇ、ぁ…」
「ちょ、おい!?」
「体、あちこち痛い……きゅぅ」
*
──それから少しして
──研究所からそこそこ離れた某所
焚き火を囲みつつ、風月は少年が起きるのを待っていた。
「……はぁ」
端的に言えば、かなり厄介な事になった。
あの少年は自分が件の研究所を襲った存在である事を知らない事。
少年は恐らく自分と似た系統のドライバーを殆ど負荷なく扱えた上に、何かしらの事情があるという事。
…そして、少年は戦闘の前後で自分の事を「お兄ちゃん」と呼んできた事。
「どうしたもんかねえ〜…」
馬鹿正直に色々と言えば、あの歳の子供は途端にパンクしてしまうだろう。
どこかの施設に渡すか?
否だ、そんな事をすれば事情説明待ったなしだ。
気の置けない友人はいないが、同業者には何人か知り合いがいる。其方を頼るか?
否だ、それで色々と詰められる可能性があるのは目に見えている。
ただでさえ腹に色々と抱えている職なのだ、相手に弱味同然の事を教える事になりかねない。
「ん、ぅ…」
「ん、おはようさん。よく寝てたみたいだな」
そんな思考を頭の片隅に置いて、目覚めた少年に声をかける。
「…あっ、えと…さっきのお兄ちゃん」
「やめろ、恥ずかしい。…オレは
「…僕の名前?」
「そうだが…どうかしたのか?」
少年は自分の着ている物や辺りを少し見回すと、胸ポケット近くにあるバッヂプレートを外し、風月に渡す。
「
直ぐに合点が行った。
思えば、戦闘の前後もそれらしい事を口にしていなかった。
研究所にいた以上、ある種の不可抗力なのかもしれないが。
風月の言葉に少年はコクコクと頷く。
「どーすっかな〜でも名前が無いってのも不便だし…。…あっ」
「風月お兄ちゃん、何か思いついたの?」
呼び方に関しては後でツッコもう、そうしよう。
「お前のナンバー、
適当に取り出した紙と鉛筆で多少雑ではあるが、『廻零』と書く。
「風月お兄ちゃん、これなんて読むの?」
「…
「うん!」
どうやら気に入ったらしい。
と同時に廻零のお腹の音が鳴る。
「まあ、あんだけ動いてたし寝てたし…無理ねえわな。…食うか?」
そう言って1本、魚の串焼きを廻零の前に。
「…いいの?」
「とりあえず食っとけ食っとけ。腹が減ってはなんとやらって言うだろ」
「はーい」
風月が差し出した串焼きを廻零はそっと受け取って食べ始める。
目がキラキラと輝いて見えるように思えるのは気のせいではないのだろう。
数刻して、廻零は串焼きを2本ほど食べて満足したようだった。
「…で、お前これからどうすんだよ?」
「?」
「なんかやりたい事とかねえの?」
「ない…かも。風月お兄ちゃんは?」
「……オレもねえよ」
どうやら、廻零はまだ気づいていないようだ。
「まあ、当てがないってのはオレもそうだからな…。どうしたもんか」
「じゃあさじゃあさ!」
「…なんだよ」
廻零は先ほど以上に目を輝かせながら言った。
「風月お兄ちゃんの行くところについて行ってもいい?僕も出来る範囲で頑張って手伝うから。…これもあるし」
そう言って見せたのは2本挿しが出来たプリントドライバーと、3本のカートリッジ。
確かに1人で行動して狙われるような何かがあるよりかは、一緒に行動していた方が色々と身につく事もありそうだ。
今日の出来事を明かすタイミングが尚の事分からなくなるが。
「…好きにしろ」
それを聞いた廻零は年相応にはしゃいでいた。
「というか、お兄ちゃんって…オレ、別にお前と血縁があるわけでもねえし…」
「?だって、風月お兄ちゃんは僕の事助けてくれたし、ご飯もくれたし…それに、名前もくれたでしょ?だから、『お兄ちゃん』」
「……お前がそれでいいなら、そうしろ。つか、そろそろ寝るぞ。オレのルーティン通りなら早く起きないといけねえし」
「ん!分かった!」
「本当に分かってんのか!?」
更にはしゃぎ出す廻零を見つつ、軽く頭を抱える。
今日の夜は随分騒がしく、長いものになりそうだ。
*
──とある廃墟と化した研究所
そこで紺色のショートに薄緑のインナーカラー、水色の目をした女性と黒いメッシュが前髪に入った灰色の髪を少し結んだ紫色の目の青年は話していた。
「おかえり、ナスティ。
「…随分成長していたよ。が、迎えに行くタイミングを逃してしまった」
「なんで?ナスティの能力なら、陽動引っ掛けてその間に攫うとか出来そうなのに」
「──近くに
「…へぇ?」
紺色のショートの女性はそれを聞くと、まるで獲物を定めたかのような目に変わる。
「しかも、いつかに
「…仮面ライダー、か」
「ルイ、そういう君はどうだったんだ」
灰色の髪の青年──ナスティに問われた紺色のショートヘアの女性──ルイは半ば呆れたような顔をしつつ返した。
「大変だったよ?マナフもマティスも、
「下手に動いてはいないな?」
「その後、マティスはカートリッジ入れて
「そうか。……先ほど言った人間に関してなんだが」
「ん?何?」
「…
「ふーん?私達の
「同意見だ」
「あっ、そういえば渡してたカートリッジは?」
「…撃破されてしまった。が、
「そっか。じゃあ、そろそろ動こうか」
ルイはどこか歪な笑みを浮かべると、辛うじて通電しているPCに映るものを見ながら言った。
「──可愛い可愛い
その言葉にナスティは無表情同然ながら、小さく頷いていた。
Print.0 イデアカートリッジ/プリントドライバー
廻零、風月が変身に使用したアイテム。
イデアカートリッジは「それをそれたらしめる物」、つまり『
内部にはその『本質(概念)』や『
物によっては同じ動植物であるにも関わらず、内部のアイデアインクのカラーが異なる(廻零が使用した物のように、多少相性が存在するケースもあるようだ)。
並大抵の存在の場合、内部に封入されている『本質(或いは概念)』に体が耐えきれず、怪物と化す。
が、ドライバーなどの「外部出力装置」があれば、ある程度安定して扱える模様。
プリントドライバーは上記のイデアカートリッジを安全に「出力」する為のアイテム。
カートリッジのボタン上部を下にする形で装填し、ドライバーを操作する事により、安全な形で使用・変身が可能。
液晶部分にあるアイコンを必要に応じて使用する事で、武器展開・必殺技等が可能。
風月が所持しているものは
所持イデアカートリッジ(()内はアイデアインクの色)
廻零…クックソニア(白銀)、エオマイア(ライラックブルー)、
風月…