ー先生sideー
アバンギャルド君を撃破したが、その代償として『エンジニア部』がリタイアしてしまった先生と『ゲーム開発部』は、チヒロのナビゲートで『エリドゥ』の『中央タワー』へと邁進していた。
“えっと、ここを曲がったら・・・・次はどこに向かえば良い?”
《右に曲がって、直進! ソコが『目的地』だよ》
「よーし、行っくよ〜!」
「ここにアリスが・・・・!」
『デデン!』
ミライドンと『ヴェリタス』のポリゴンが入ったドローンが曲がると、『要塞都市エリドゥ』の象徴のような『中央タワー』が目の前に聳え立っていた。
昼間は美しかったが、今の夜の時間帯と状況では、まるで魔王の城のような威圧的に満ちているように、全員が感じた。
“ココが要塞都市『エリドゥ』の『中央タワー・・・・』”
「アリスちゃんが・・・・ここに・・・・」
『デンチュラ!』
『デデデデデンネ!』
「デデンネ・・・・うん、行こう!」
『プラァ!』
「うん!」
『マイ!』
先生の頭の上に乗ったデデンネが、「早くアリスの助けに行こう!」と言いたげに声を上げると、『ゲーム開発部』は中央タワーへと向かった。
「え?」
か、中央タワーのエントランスに向かうと、その前に立っている8つの影があった。
「あっ、ご主人様と皆〜! やほやほ!」
『ハピナス♪』
「皆さん到着されたのですね」
『ゴロニャ』
ソレは、正面で陽動を担当していた『C&C』である。
「先輩!」
“ネル達がここに居ると言う事は・・・・トキは?”
「・・・・ぐっ!!」
「アハハ、ソレがね〜」
「・・・・はぁ」
「残念ながら、逃げられてしまいました」
「後ちょっとでぶちのめせたのによ!」
『エレブル〜♪』
「エレキブル! テメェ、ゼラオラを追い詰めたからって得意がってんじゃねぇ!」
『C&C』が無事であり、合流できた事を嬉しく思うが、トキはどうしたのかと聞くと、ネルが苦虫を噛み潰したような顔となり、アスナはカラカラと笑い、カリンは小さく溜め息を零し、アカネは申し訳無さそうな顔となり、ネルとエレキブルがワチャワチャしている間に、アカネからトキとの戦闘の一部始終を聞く先生は先程の地震がリオによる『エリドゥ』の組み替えである事を知った。
“さっきの地震はソレだったんだね・・・・”
「ええ・・・・そのせいで陽動自体の意味が無くなってしまった訳です」
“地形が変わるなんて、普通は想像できないから仕方無いよ・・・・”
「先生の方も、何か起きていたように見えるが・・・・」
「あ、確かに。一緒にいた『エンジニア部』は?」
「う~ん、何が起きたと言うか・・・・」
「確かに大変だったと言えば大変だったけど、その・・・・」
“強かったね、アバンギャルド君・・・・”
『???』
カリンとアスナが、『エンジニア部』がいない事に首を傾げて問うと、あのアバンギャルド君のシュール過ぎる見た目を思い返して、何とも言えない顔となる『ゲーム開発部』と先生達。その様子に『C&C』は首を傾げるしかなかった。
取り敢えず先生はこの話を切り上げて、チヒロに向けて声を発する。
“チヒロ、このタワーにアリスがいるの?”
《その・・・・会長が言ったんだよね? 『アリスのヘイローを破壊する』って。その為には、『相応の施設』や『強力なポケモン』が必要なんじゃないかな?》
チヒロが改めてリオがアリスの『ヘイロー』を破壊する事を確認すると、その為の『施設』や『ポケモン』の事を話す。
『C&C』は映像通信だが『ヴェリタス』の副部長のチヒロの登場に一瞬面食らうが、今はソレを置いておいた。
〈キヴォトス〉の生徒達や住人にとって、『ヘイロー』とは『生命』と言っても良い。それ故に『ヘイロー』にはとても強固な『守護』が与えられている。しかし、『エデン条約』の時に『ヘイロー破壊爆弾』や『弾道ミサイル』、果ては『強力なポケモンの技や能力』で破壊する事が可能なのだ。
《そして、この『エリドゥ』は全ての電力がこのタワーに集中するような構造になっている。コレ程の規模の施設が、会長の手によって作られた理由・・・・そして、会長の『動悸』・・・・『答え』は明白だろうね》
「本当に・・・・アリスが彼処に・・・・」
「つまり、あのバカデカいタワーを登りゃ良いんだろ?」
“そうだね、後は登るだけ・・・・”
《ただ、残念だけどーーーー》
中央タワーに向かうとする一同だが、チヒロが何か言いかけたその瞬間・・・・。
ーーーーコツン、コツン、コツン、コツン・・・・。
『!!!???』
その足音に、『ゲーム開発部』がビクッと肩を揺らすと、チヒロも目を向けた。
《あの会長が、『門番』を用意しない訳が無いよね》
暗がりの中からその姿を現したのは・・・・。
「ーーーーお待ちしておりました、先輩方、先生」
飛鳥馬トキとゼラオラであった。ヘッドドレスと蝶ネクタイに、『宝石』が取り付けられている。
“やっぱり、トキ達が『門番』なんだね・・・・”
『ピカチュウ・・・・』
「あっ! また会えたね〜! トキちゃんやほ! ゼラオラの回復は終わった?」
『ハピナ』
「あぁん? んだよ、さっきは尻尾巻いて逃げた癖に・・・・」
『エレブル』
先生達はシリアスになるが、アスナは呑気にトキ達に向けてヒラヒラと手を振り、ハピナスが「ちょっと黙ってましょうね」と言わんばかりにアスナの口を塞いで引かせ、ネルは片眉を上げて睨みつけ、コチラも回復を終えたエレキブルが両腕を振って戦いの姿勢を取る。
「一体どのツラ下げてアタシらの前に現れてんだ?」
《ーーーー『作戦』を変更したのは、貴方達だけだと思って?》
「・・・・リオ」
詰め寄ろうとするネル達だが、トキの前に映像通信でリオがその姿を現して、その場で立ち止まる。
《貴女達が来る事を見越して幾つもの計画‹プラン›を準備してきたけどーーーーまさか防衛システムを全て壊して、ここまで到達するなんて・・・・変数として機能し、私の計画‹プラン›を狂わせたのも、全てはーーーー『シャーレの先生』、貴方が関わったからかしら?》
“・・・・・・・・リオ”
リオはここまでの皆の奮戦と、ヒマリの妨害が起こるとは思っておらず、自分の計画を狂わせた『不確定要素‹イレギュラー›』である存在をであるかも知れない先生にその目を向けた。
《ソレならソレで構わないのよ。貴方が規格外の力を見せるのなら、コチラもソレ相応の切り札を出すまで。ーーーートキ。現時刻を持って、『アビ・エシュフ‹Abi-Eshuh›』の使用を許可するわ》
「・・・・リオ様、ソレは」
《ええ、本来は『名もなき神々の王女』との戦闘用だけど・・・・仕方無いわ。ここでこの子達を阻止しなければ、全てが無に帰してしまうのだから》
「・・・・・・・・イエス、マム」
そう言って、リオがトキに向けてそう指示し、『名もなき神々の王女』との戦いに備えた『装備』を使うのに意見しようとしてトキに、リオは先生達を止めるためだと言うと、トキもペコリと承知を示すようにお辞儀した。
「ーーーーパワードスーツシステム『アビ・エシュフ』へ移行します」
“アビーーーーエシュフ?”
『ピカ?』
先生とピカチュウが訝しげな目になるのに構わず、何とトキは軽装にしていたメイド服や装備品を全てーーーー脱ぎ出したのだ(ヘッドドレスとヘッドセットはそのままである)。
その身体にはピッチリと身体に張り付くレオタード姿となり、アカネやアスナやカリンのようなボリュームはないが、無駄な脂肪なんてまるで無い、細くしなやかで美しいスレンダーなプロポーションに目を奪われそうになるが・・・・。
ーーーーキィィィィンン・・・・。
『!?』
何処からともなく風切り音が聞こえてきた。
「この音は・・・・」
「・・・・ッ! 上!」
チヒロの言葉で全員が『中央タワー』の方に目を向けると、タワーから『何か』が飛来してきた。
ーーーードォオオオオオオオオオンン!!
『わ、わぁっ!? 一体何っ!?』
『ーーーー!!』
飛来した『もの』が落下して土煙を上げると、突然の状況に全員が声を張り上げた。
そして土煙が少し晴れると、大きなカプセルのようなものが開き、ソコにある台座のような機械にトキが入り込む。すると、台座の機械にトキの身体が乗り込み、手には操縦桿を握ると、音を立てて起動していく。トキの腕の外側に伸びたもう1対のマニピュレータを備えたアーム、脚部の装甲板からなる機体だ。
ーーーーパワードスーツシステム『アビ・エシュフ』起動
「では、ゼラオラ。行きますよ」
『ゼラオ!』
そして、トキはヘッドドレスに装着された、『キーストーン』を起動させ、ゼラオラの蝶ネクタイに装着された、『メガストーン』を出す。
「任務遂行ーーーーメガシンカ!」
トキが『キーストーン』を起動させると輝き、幾つもの光の線がゼラオラへと向かう。
『ーーーーゼェラァアアアアアアアッッ!!!』
ゼラオラが叫ぶと、『メガストーン』ぎ呼応するかのように光り輝き、光の線が幾つも現れ、トキの『キーストーン』の光の線と繋がり光の球体となって砕けると、ゼラオラはその姿を変えた。
体型と体格は変わっていないが、全身の黄色の体毛が黒に大きく様変わりし、額や胸部や背中や手の甲の突起には、特に電気が集中しているのか青白く発光しており、尻尾の様にたなびく長い毛は二又に分かれていた。表情も猫っぽい顔つきからスマートな印象を抱かせるものに変化しており、まるで『雷獣』を彷彿させるその姿は、『じんらいポケモン・メガゼラオラ』であった。
『ゼェラォオオオオッ!!』
メガゼラオラを傍らに置いて、最後にトキの顔に精密照準用バイザーが装着される。
ーーーー戦闘、開始します。
『!』
すると、バイザーから小さなモノアイが怪しく光り、メガゼラオラの身体も放電する。
“・・・・・・・・来る!”
「ーーーー先手必勝だっ!!!」
先生が呟くと同時に、ネルが『ツイン・ドラゴン』を、エレキブルが両手を合わせて【10まんボルト】を、続いてアスナが『サプライズパーティー』を、プリンとハピナスが同時に【エコーボイス】を、カリンが『ホークアイ』を、レントラーが【チャージビーム】を、ムクホークが【エアカッター】を、アカネが手持ちの爆弾を、アローラゴローニャが【ストーンエッジ】を、回復させたマルマインが【ギガインパクト】を、才羽姉妹が『ユニーク・アイディア』と『フレッシュ・インスピレーション』を、プラスルとマイナンが同時に『エレキボール』を、ユズが『にゃん's ダッシュ』を、デンチュラが【むしのさざめき】を、ポリゴン達が入ったドローン達が一斉斉射をし、トキとメガゼラオラに弾丸と技の雨霰を叩き込んだ。
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
『プラプラ!』
『マイマイ!』
「お姉ちゃん、お約束の台詞を言わないでね・・・・!」
思わず「やったか!?」と台詞を吐きそうになったモモイの口をプラスルとマイナンが塞ぎ、『フレッシュ・インスピレーション』を構えたミドリが釘を刺した。
そして、土煙と爆煙が晴れ始めーーーー。
「・・・・!!」
『ブルッ!?』
ネルとエレキブルは目を見開いた。何故ならソコにはーーーー無傷のトキと、電磁フィールドでバリアを張って攻撃を全て防いだメガゼラオラが悠然と立っていたからだ。
“こんなに攻撃しているのに、傷1つ付かないなんて・・・・”
「メガシンカしたゼラオラは、『でんきタイプ最強』と言われていますけど、トキちゃんの方は・・・・」
《特殊金属で耐久力を増加させている・・・・いや、耐えている訳じゃ、ない・・・・? そもそも、『全ての攻撃を無力化してる』・・・・?》
『(ビリビリビリビリ・・・・!)』
先生とアカネが顔を渋面にし、チヒロが『分析班』らしく『アビ・エシュフ』を纏うトキを訝しげに見つめる。
が、トキは『アビ・エシュフ』の武装を一同に向け、更にメガゼラオラは全身に青白い稲妻を纏い、クラウチングスタートの様な体勢となる・・・・。
「・・・・・・・・」
“! 皆! 避けてぇ!!”
ーーーーダダダダダダダダダダダダ!!!
ーーーードォオオオオオオオオンン!!!
先生が叫ぶのと同時に、アームを包み込むようにマニピュレータが装備した3銃身のガトリングガン『トライ・ポッド』が斉射され、稲妻どころか、レールガンのような超スピードでメガゼラオラが突撃してきた。
『ーーーーーーーー!!!!』
全員の声にならない悲鳴が辺りに響き渡り、閃光と爆煙が起こった。
『ーーーーアギャァ!』
ミライドンに乗った先生とピカチュウ、そして近くにいた『ゲーム開発部』が飛び出し、何とかギリギリ回避する事ができた。
“っ! 皆は!?”
先生が爆煙が晴れた場所を見ると、『ヴェリタス』のポリゴン達が破壊されたドローンから目を回して出てきていた。他の場所ではアカネとアローラゴローニャとマルマイン、アスナとハピナスとプリンが倒れており、先生達が駆け寄ると、エレキブルに抱えられたネルも降りてきて、メガゼラオラが通り過ぎていった場所を追うと、カリンのレントラー(気絶)を片手で持ち上げているメガゼラオラが静かにコチラに目を向けていた。
ーーーーダン・・・・!
カリンの姿が無いと思ったが、銃声がトキの方から聞こえて一同が目を向けると、ムクホークに乗って上昇して死角からトキを狙撃するカリンの姿があった。
「・・・・・・・・」
しかし、ソレすらもトキは最小の動きで難なく回避してみせ、肩部の2門のレーザーキャノンが同時に斉射された。
ーーーーバシュゥウウウウウウウウ!!!
『ーーーーピィッ!!』
「くっ!!」
カリンを乗せたムクホークが回避するが僅かにかすり、バランスを崩して、一同の近くに落下し、カリンも地面に落ちて転がった。
《弾丸は到達前に撃墜され、死角からの攻撃も回避している・・・・。待って、おかしい。このデータ量は・・・・ありえない・・・・!》
何とか回避したドローンが映す戦況を見て、チヒロが全員の攻撃を撃墜したり回避したりしたトキの装備『アビ・エシュフ』のデータを閲覧して解析すると、僅かに焦ったような声を漏らす。
《『要塞都市エリドゥ』全域の電力と演算機能が、全てあの『機体』に集中している・・・・!?》
そして、『結論』に到達した。
《そう・・・・そして、最新鋭の演算機能で強化されたその性能は・・・・“未来を予知し確定する事さえ可能とするわ”》
“未来を・・・・予知・・・・!?”
〈トリニティ〉の百合園セイアの『予知夢』の様な特殊な能力、『未来予知』を最新で高性能の演算機能をトキが装備する『アビ・エシュフ』が行なっている事を述べたチヒロに、ほぼ一同が目を向けた。
「な、何それ! そんなのラスボスが持ってる能力じゃん!?」
『プゥラーッ!!』
「ソレって、ただの『チート』じゃないですか!」
『マイマイマイマイマイマイ!!』
「あ、あうぅ・・・・」
『デンチュ・・・・』
モモイ達が動揺し、プラスルはピンク色の長髪のウィッグを被り大きい身体を仰け反り、マイナンが金髪でコロネのように髪を幾つも結わえたウィッグを被ってプラスルに向かってラッシュを繰り出すが、呆れたデンチュラが2匹を縛り上げた。
《マズい。もう『戦略』とか『戦術』を話すような段階じゃない・・・・》
《唯一の変数である先生ーーーー貴方の指揮能力を奪い、終止符を打たせてもらうわ》
「イエス、マム」
『ゼラ(ビリビリ!)』
渋面を作るチヒロを他所に、リオは映像通信越しで先生を見据えると、トキは『アビ・エシュフ』を操作し、メガゼラオラは全身から青白い稲妻を迸らせ、再びクラウチングスタートするような体勢となる。
《! 先生! 逃げて!》
“くっ・・・・! でも!(どうしよう・・・・ミュウツーを出して、イヤ、ミュウツーを出すにはリンちゃん達の許可が必要だ。ここで生徒達の前で出す訳には・・・・)”
チヒロが逃げるように先生に言うが、先生は懐のマスターボールに手を乗せてミュウツーを出そうとするが、『大人』として、『教師』として、リン‹生徒›との約束を破れず迷っていた。
どうすればこの状況を打開できるか先生が懊悩しているが、トキはゆっくりと先生に歩を進ませる。
「先生・・・・相手、は陸上専用の・・・・」
“!!”
近くで倒れていたアカネが先生がそう告げると、先生は『アビ・エシュフ』の『弱点』を察し、ネルへと声を発する。
“・・・・ネル! 『戦う場所』を変えよう!”
「ハァ!?」
“屋上に向かうよ・・・・!”
「・・・・!!」
先生が近くのビルを指差しての指示に、肩眉を上げて訝しげな表情をしたネルがすぐに察した。
「はぁ・・・・わーったよ! アンタを信じる!ーーーーギャラドス!!」
ーーーーポンッ!
『ーーーーギャシャァァァァァァァァ!!』
ネルがスーパーボールを投げると、赤いギャラドスが飛び出し、宙に浮く。
「んじゃ、舌噛まないよう、歯ァ食いしばりな!」
“うわぁっ!”
『ピカァ!?』
「戻れエレキブル! 行くぞギャラドス!」
『ギャァァァァァァァァ!!』
エレキブルをボールに戻したネルが先生とピカチュウと共に、ギャラドス(色違い)の背中に乗ると、ギャラドス(色違い)は空中を泳ぐように飛び、ビルの屋上へと向かった。
だが、その際、アリスのデデンネが先生から離れた事に、誰も気付かなかった。
ートキsideー
《ここで逃げるだなんて・・・・! トキ、行きなさい!》
「イエス、マム。ゼラオラ」
『ーーーーゼラ!』
突然逃走した『シャーレの先生』と『C&Cリーダー』を追うようにリオが指示を出すと、トキはメガゼラオラを呼び出すと、雷速の速さで戻ってきたメガゼラオラを連れて、ビルの中から屋上へと向かった。
「ターゲットを追撃、屋上に到着しました」
《よりによって建物の屋上だなんてーーーー》
ーーーーそしてビルの屋上に到着すると、一陣の風が屋上で吹き抜ける。
《・・・・狭い所であればトキ達とマトモに戦える、と。そう判断したのですね、先生》
リオがギャラドス(色違い)に守られながら、ミライドンに跨る先生とピカチュウにそう問い掛けた。
が、
“イヤ、『狙い』はソコじゃないーーーーネル!”
《・・・・頭上!?》
「エレキブル! 【サンダーダイブ】!!」
『レキブルゥウウウウッ!!!』
先生が叫ぶと、ネルのの声が頭上から響き、雷電を纏ったボディプレスをメガゼラオラに迫ってきた。
「ハッ!」
「そんな事したって無駄です! 回避も防御もできますからーーーー」
奇襲をされたと思ったトキが声を上げて回避しようとし、メガゼラオラが耐えるように頭の上で腕を交差させる。
「!?」
が、避けようとしたトキの行き先に何とーーーーネルがいた。
「そうだな、その馬鹿でかいオモチャなら、逃げ回れるかも知れねーけどーーーーソレは“地上”の話だろ? じゃあ空中はどうだ?」
「・・・・!?」
「やれ! ギャラドス! 【はかいこうせん】!!」
『ーーーーギャァァァァ!!』
「! ゼラオラ!ーーーー」
『っ!ーーーーゼラァアアアア!!』
ギャラドス(色違い)が【はかいこうせん】を放ち、エレキブルを防御しようと両足で踏ん張り、両腕を上に挙げていたメガゼラオラのガラ空きになった腹部に、オレンジ色の凄まじいエネルギー波が当たったその瞬間・・・・。
ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオンン!!!
凄まじい爆発が屋上で起こり、トキは『アビ・エシュフ』を操作しながらビルから落下していた。
「クッ、建物の外に弾き出された・・・・?」
「ーーーーおいおい、まさか空まで飛べるとか言わねぇよなぁ?」
すると、同じく落下している筈のネルが、窓壁を走りながらトキに向かって声を発しつつ『ツイン・ドラゴン』を構えた。
「おら、来いよ! 落下中でもアタシの攻撃、避けられるかどうか見てやるよ!」
ー『ゲーム開発部』sideー
そして、トキ達がいなくなった隙に『C&C』のメンバーを少し離れた安全な避難させた『ゲーム開発部』は、先生とネルが登ったビルから爆発が起こり、急いで向かった。
「はぁはぁ・・・・! 先生達どこ行っちゃったの!?」
『プラ?』
「先生達が向かった方角的にはこの辺の筈なんだけど・・・・」
『マイ?』
「・・・・!! あ、彼処! モモイ、上・・・・!」
『! チュラ!!』
ユズが震える声と指で指した方向に、才羽姉妹とプラスルとマイナンが上を見上げるとーーーービルの窓壁を破壊しながら走って降るネルと、窓壁を破壊しながら降る『アビ・エシュフ』を装備したトキが、銃撃戦を繰り広げていた。
「ーーーーおりゃああっ!」
ーーーーダン! ダン! ダン! ダン!
「ーーーー被弾・・・・ダメージ、軽微・・・・! 重力加速に対する演算補正開始」
ネルの攻撃を受けていたが、余りダメージは受けておらず、修整をはじめる。
「『エリドゥ』のバックアップがある以上・・・・空中であっても、行動に支障はありません。対応を開始します」
トキがそう言うと『アビ・エシュフ』を操作し、『トライ・ポッド』をネルに向けて放つ。
ーーーーガルルルルルルルルル!!
ガトリングガンがネルの身体に撃ち込まれる。
「いってぇな!! クソ、マジで何なんだよ! 空中でも行動できるなんてそんなんアリか・・・・!? ってかマジでチートじゃねぇのか! テメェ!! ふざけんなよ!?」
「ネル先輩。コレで終わりです。一斉掃射・・・・!」
落下しながら2人は、まるでアクション映画のような動きでビルの窓壁を破壊しながら撃ち合っていたが、トキが両腕のマニピュレータの『トライ・ポッド』をネルに向けた。
「やられてたまるか・・・・!」
が、ネルもただで撃たれる訳にはいかない。遮二無二に撃った弾が『アビ・エシュフ』に当たった。
「(今の・・・・!)」
ソレを地上から見ていたユズは、ゲームで鍛えられた動体視力で何かを捉えた。
『ーーーーギャァァァァ!!』
「お! ギャラドス! 良い時に来たぜ!」
と、その時、屋上からエレキブルを乗せたギャラドス(色違い)がネルの傍まで飛んでくると、ネルは直ぐにギャラドス(色違い)の背に飛び乗り、トキの後ろに回り込ませる。
「ーーーー後ろがガラ空きだぜ・・・・!」
「ーーーー連戦による負傷・・・・ゼロ。対応を開始します。ーーーーゼラオラ」
ーーーーバシュゥウウウウウウウウ!!
トキがそう呟くと、屋上から同じくビルの窓壁を破壊しながら突き進んでくる雷光がやって来たーーーーメガゼラオラだ。
「・・・・・・・・ッ!?!?」
『『!!?』』
「・・・・【プラズマフィスト】」
『ゼラァアアアア!!』
メガゼラオラの参戦に、一瞬目を向けてしまったネル達に、『トライ・ポッド』を放つトキと、メガゼラオラの両手に凄まじい稲妻を迸り、ソレをギャラドス(色違い)に叩き込んだ。
ーーーーガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
ーーーードガァアアアアアアアアアアアンン!!!
ビルの窓壁に、凄まじい爆音と閃光が起こったーーーー。
ー先生sideー
“ーーーー音が鳴ったのは、コッチか・・・・!”
『ピカチュウ!』
『アギャァ!』
屋上が爆発する寸前、ミライドンに乗って屋上から離脱し、別のビルの屋上に避難した先生達は、ビルの反対側から爆音と落雷音を聞いて、嫌な予感がして直ぐにミライドンを走らせて到着すると、黒煙の中から、顔に傷を負い少し血が流れ、メイド服もボロボロになったネルと、身体の至る所に焦げ後を負ったエレキブルとギャラドスを見つけた。
“ネル、大丈夫!?”
「ああ、先生・・・・アイツはどうなった?」
“トキの様子はまだ・・・・と言うか、傷が・・・・!”
「・・・・ああ。こんくらい別に・・・・」
『・・・・ブルゥ・・・・!』
『ギャァァァァ・・・・』
先生か負傷したネル達を心配するが、問題無いと言いたげな態度を取るネルとエレキブルとギャラドス。しかし、3人が身体をヨロヨロと揺らして倒れてしまった。
“ネル!?”
『ピカ!?』
『アギャァ!?』
やはりキヴォトス人で『ヘイロー』の加護があるのに負傷すると言う事はソレ程の凄まじい戦闘をしたせいか、ネル達は倒れてしまった。
そんな負傷をしたと言うのに、ネルは何でもない様な態度を示していたのは、ネルの誇り高い性格と〈ミレニアム〉の『特殊部隊Cleaning&Clearing』のリーダーとしての矜持と責任から成せるのであろう。
「ネル先輩!」
『! プラァ!!』
『ゲーム開発部』の皆も駆け寄って来ると、プラスルが声を張り上げてある方向を指差すとソコからーーーー『アビ・エシュフ』を装備したトキとメガゼラオラが、無傷で現れた。
「あ、あり得ない・・・・ビルから落ちたのに・・・・」
「傷1つ無い・・・・なんて・・・・」
モモイとユズが顔を青ざめさせると、映像通信だがリオが姿を現し、ソコから声を発する。
《そもそも『武装‹コレ›』は、この先訪れる〈キヴォトス〉の『脅威』に備えて『要塞都市』と共に作っもの。そして『要塞都市』の能力を集結させているーーーーつまり。『要塞都市そのもの』と言っても過言ではないわ。そして・・・・貴女達『C&C』が裏切った時に備えて準備していた物でもあった》
何処か寂しげに目を伏せたリオが、倒れたネルに目を向ける。
《ネル、貴女は確かに優秀だけど・・・・貴女と、貴女が率いる『C&C』はーーーー私にとって不安要素でもあったの。だから、いつかこの様な日が来る場合に備えていたのよ》
“コレが『武装』を持つ・・・・力”
《トキ、『シャーレの先生』を回収して》
「・・・・イエス、マム」
『!』
トキが先生に近付こうとすると、ピカチュウが先生の前に立ち、トキとメガゼラオラに立ち向かおうとした。
ーーーービリリリリ・・・・。
が、その時、『アビ・エシュフ』から火花が飛び散った。
「! コレは・・・・機体に、ダメージが・・・・?」
《隙あり・・・・! モモイ! 今だよ!》
「うん・・・・! 分かった!ーーーープラスル! マイナン! 全力全開で【フラッシュ】!!」
『『ーーーー!!』』
トキが僅かに動きを止めた瞬間、映像通信でチヒロが声を張り上げ、モモイがプラスルとマイナンに指示すると、2匹は一斉に閃光を放ち、リオやトキ達の視界を塞ぎ、大急ぎでその場を離脱した。
ートキsideー
閃光が消え、周囲を見回してみるが、既に先生やネル、『ゲーム開発部』はその場から離脱した後であった。
「目標の逃走を確認。追いますか?」
《いえ・・・・ソコまでする必要は無いわ。私達の『目的』は、あくまで刻限までここを防衛する事だから》
「・・・・承知しました」
逃げた先生達を追おうとするトキに、リオは首を横に振って必要ないと言う。『C&C』も『エンジニア部』も離脱し、『ヴェリタス』もそれ程脅威ではない。
《でも、またやって来るでしょうね。そう言う人達だから》
しかし、彼らは再び現れる事を確信しているように言う。
《その時こそーーーーーーーー全てを終わらせましょう》
ー先生sideー
《ーーーー取り敢えず近くの建物に逃げたけど・・・・》
先生達は、アカネにアスナにカリンを避難させていたビルの中に息を潜めて隠れていた。エレキブルとギャラドス(色違い)はネルからボールを失敬して収めている。
“皆大丈夫? 怪我は!?”
先生はそう言うが、ネルを含め、『C&C』は戦闘不能状態。『エンジニア部』は分からないが、何処かで隠れていると思いたい。ほぼ無傷なのは先生達と『ゲーム開発部』だが、〈キヴォトス〉で5本の指に入るネルを倒したトキと『アビ・エシュフ』、そしてメガゼラオラの強さを見てその顔は暗くなっていた。
「・・・・私達は大丈夫だけど」
「ネル先輩が・・・・」
「部長の意識がまだ・・・・戻っておりません」
「負傷が思ったより深刻なようだ」
「最後の撃ち合いで、ゼラオラの攻撃も当たってたみたい・・・・どうしよう、ご主人様・・・・」
ネルの容体を見ていた『C&C』が表情を曇らせる。普段は底抜けに明るいアスナですら。
“ネル・・・・”
《・・・・最悪の状況だね。『アバンギャルド君』との戦いで、『エンジニア部』はリタイア・・・・私達『ヴェリタス』がネットワークに接続した所までは良かったけど・・・・そもそも、遠距離支援には限界がある。先生の手持ちポケモン達だけでトキとメガゼラオラを相手にするのはリスクが高い。『ゲーム開発部』に至っては・・・・正直、戦力外だろうね》
「ううぅ! そ、ソレはそうだけど!」
「否定できません・・・・」
チヒロの客観的かつ俯瞰的な意見に、『ゲーム開発部』は涙目になる。
《実際、戦力と呼べる『C&C』は・・・・》
“・・・・ネル達だけじゃない、アスナ達ももう限界だ”
《・・・・はぁ、あんまりこんな事は言いたくないけど》
そして一拍置いてから、チヒロは苦々しく言う。
《ここまで、なのかも知れない・・・・もう、ここから打てる手なんて・・・・》
「やっぱり、私達・・・・私達だけじゃ、力不足なのかな?」
“モモイ・・・・”
「私達だけじゃ・・・・アリスちゃんを、助けられないの、でしょうか? アリスちゃんも、私達も・・・・誰も、悪い事なんかしてないのに・・・・」
『マイ・・・・!』
モモイまで弱気な言葉を言うと、ミドリは泣きそうな顔になって、マイナンを抱き締めた。
「なのに、どうして・・・・どうしてなの・・・・」
「ミドリ・・・・」
ユズも辛そうな顔になる。
「ここまで・・・・皆が助けてくれた・・・・皆の努力が重なって・・・・やっと、ここまで来られたのに・・・・! このまま諦めるしか、ないの・・・・?」
『プラァ・・・・!』
「・・・・こんな・・・・こんなバッドエンドは・・・・絶対・・・・絶対に・・・・!」
『マイ・・・・!』
悔しそうに涙を流すモモイとプラスル。涙を流すミドリとマイナン。
と、その時・・・・。
「ーーーーんなもん納得できっかよ!!」
「うわああああっ!?」
『プララッ!?』
つい今しがたまで寝ていたネルがバネ人形の様に跳ね起きて声を張り上げた。
「あっ! 部長!」
「気がついたんだな!?」
“ネル、身体は大丈夫?”
「あぁ・・・・?ーーーーととっ!!」
アスナ達が喜び、先生が聞くとネルは再び身体がフラフラとなるが、気合いで踏ん張った。
「部長! 無理しないで下さい! かなり傷が深いんですから!」
「ピーピー騒ぐんじゃねぇ・・・・大丈夫だ。ーーーー『コイツ』のお陰で、命拾いしたぜ」
“『コイツ』・・・・?”
先生が問うとネルは懐からーーーー開かれたハイパーボールを取り出して見せると、ネルのスカジャンの後ろからモゾモゾと、『小さなポケモン』が姿を現した。
《成る程。『その子』のお陰で、致命傷は避けたか。しかし、見た目は全然大丈夫じゃないんだけど・・・・》
「んな事より・・・・何があった? 何で皆『ゴーストタイプ』が好みそうな葬式みてぇなツラしてんだ?」
“ソレが・・・・”
◇
「はぁ・・・・つまり、状況的にもうダメなんじゃないかって?」
先生から話を聞いて、ネルは少しの間だけ黙ると・・・・。
「は? ふざけてる」
と、不敵に笑うのであった。
「え・・・・?」
「おい、チビ共」
『!』
目を点にしたモモイ達に、ネルが鋭い視線を向ける。
「テメェらの想いは、所詮その程度だったのか?」
「しょ、所詮・・・・って・・・・そんな言い方無いじゃん!」
『プラァ!』
「まぁ、確かに腕は動かせそうにもねぇし、足も靭帯が切れてるな、こりゃ・・・・マジで、1歩でも動いたら吐きそうになるけどよ・・・・」
「ソレもう満身創痍って言うんだよ!?」
ネルが自分の身体の状態を冷静に話すと、モモイがツッコミを入れる。
「だがなぁ・・・・たかだかその程度で諦める程・・・・テメェらの決心は脆いのかよ?」
「で、でもネル先輩、もう身体が・・・・! ソレにエレキブル達だって・・・・!」
「は! らしくもなく他人の心配するんじゃねぇ。こんくらい、根性で耐えてやんよ。ーーーーなぁお前らぁ!!」
『ーーーーエレ、キブルゥ!』
『ーーーーギャァァァァ!』
ネルの言葉に応じるように、エレキブルとギャラドス(色違い)も震える身体を押して立ち上がってみせた。
「折角、アリスを救う為にここまで来たんだろ? じゃあ最後まで諦めずに押し通せっての。分かったか?」
「わ、私達だって諦めたくないよ! で、でもあんなチートキャラとチートポケモン相手に・・・・どうやって勝てば良いの・・・・?」
「そうだな・・・・」
「もしかしたら・・・・方法が、あるかも・・・・知れない」
『チュラ?』
『ええっ!?』
目下最大の難敵、トキとメガゼラオラをどう相手にするかネルが悩むと、ユズが声を上げた。その言葉に、デンチュラ以外が一瞬間を置いてから、驚きの声を上げた。
ー???sideー
『・・・・・・・・』
『エリドゥ』の『中央タワー』にコッソリとやって来た『ソレ』は、その小さな体躯を生かしてタワーの小さな通気口に入り込んだ。
『・・・・デデン!』
『ソレ』ーーーーアリスのデデンネは、小さな通気口の中を這うように動き、ただ一匹、アリスの元へと向かった。
『ヴェリタス』とポリゴン
『ヴェリタス』に所属する生徒はポリゴンを手持ちにするのが暗黙のルールとなっており(『エンジニア部』のロトムも同じ)、部員はポリゴンを手元とする。
ハレ&パチリス
ハレが〈ミレニアムサイエンススクール〉の自治区のベンチの木陰にいると、木から落ちてきたパチリスと遭遇。お腹を空かせているようで餌をやったら懐かれ、そのまま手持ちに。コタマのストリンダー(ロー)とは演奏に合わせてダンスをする程に仲が良い。
コタマ&ストリンダー(ロー)
趣味の環境音の収集の為に『自地区』を移動していると、自分好みの演奏をしているストリンダー(ロー)を見つけてポリゴンを使ってバトルしてゲットした。
マキ&ドーブル
自治区や校舎のアチコチで落書きしていたドーブルの芸術性に感動し、すぐに打ち解けあってゲットした。