レイサ*スター放浪記   作:GGenbuu

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【3】

-全体視点-

 

その頃、『アウストラリス』付近の現地にて。

トリニティ自警団の守月スズミと、救護騎士団の蒼森ミネが、『アウストラリス』の様子を伺いつつ、治安維持に努めようと動いていた。

「本来なら、先んじて行動不能にする所なのですが──先生の指示です。今は、被害にあった一般市民がいないかどうかの確認を!」

「ミネ団長、お疲れ様です。トリニティ自警団のスズミですが、付近の安全は確保できました」

「感謝します。これで、一先ずここは大丈夫でしょう。それにしても・・・」

「先生に言われた通り、こちらから攻撃をやめると、向こうも反応がなくなりましたね。無作為に攻撃をしてるわけでは無いのは、確かなようです。やはり、彼女だとしたら──私としては、納得です。

明確な目的の元に破壊行動に動いていて、その大抵はどうやら犯罪組織の巣窟や関連施設のようらしく・・・行動としては正しいのかもしれませんが、正直、私は肯定は出来ません。それが例え──『レイサさん』だとしても」

「同じくです。例え悪を滅ぼすためといえど、その過程で救護すべき人を増やしては、元も子もないでしょう」

「・・・ミネ団長、あなたがいうと説得力に欠けてしまう可能性があるのですが・・・」

「私は、事前に戦闘不能にしたうえで、犯罪者を救護しているので。彼女の場合は、一般人に気を配ってはいますが、それでも攻撃する範囲が桁違いです。一刻も早く、『救護』する必要があります」

「・・・そうですね。私も同じ自警団として──彼女を止めなくては」

救護騎士団の団長のミネと、トリニティ自警団のスズミが、そうして気を持ち直そうとした時。

 

「お、おい!あいつだ!あいつが街を滅茶苦茶に!」

「・・・!?」

「この人たちは・・・!?」

彼女たちの前に、『アウストラリス』に視線を向けたトリニティの住人や生徒たちが、わらわらと集まってきた。

 

「あいつのせいで、うちの店は壊れちまった!どうしてくれるんだ!」

「見なよ、あの禍々しい感じ・・・まるで化け物ね」

「早くどうにかしろ!しないなら・・・俺たちが自分でやる!あの怪物を、この街から追い出すんだ!」

 

彼らの『アウストラリス』への怒りや印象は、事実上そうなってもおかしくはない。寧ろ、この場合は順当な物だろう。彼らにとって大事なものを、脅かそうとしているように見えても、おかしくはないのだから。

しかし、スズミにとっては──それは、とても重く、胸の奥にのしかかってきた。

「レイサさん──人を助ける為に自警団で努力していた彼女に──こんな仕打ちだなんて」

「スズミさん。気を強く保ちなさい。彼らもまた、情報をつかめずに迷った者たちです。一先ずは、この場を仕切らなくては」

「・・・はい」

しかし、押し寄せる群衆の波は、次第に強くなる。二人だけでそれを制御するには、その波は余りに強く、高すぎた。

「くっ・・・越えられる──」

 

その時。

 

「何やってんのよ、アンタたち!!!」

「!?」

すると住人の前に、幾重もの弾丸が、当たらない程度にばら撒かれた。

「相手は得体も知れない存在なのよ!?安易に攻撃して、反撃されたらどうすんの?ここは、その道のプロに任せるのが道理でしょ!」

彼らが銃弾の飛んできた先を見ると──そこにいたのは、伊原木ヨシミ、柚鳥ナツ、栗村アイリ──そして、宇沢レイサ。放課後スイーツ部+αの、計四人だった。

「ところでカズサは!?一番大事なあいつがいなきゃ、あのレイサが正気になる以前に、この状況もいつまでもつか分かんないっていうのに!?」

「そ、それがね、こっちに来る前に電話をしてたよ!話が少し聞こえてたけど、多分先生が相手だったと思う!」

「この作戦には、先生の存在も不可欠。うむ、妥当な判断と見るべきだ」

 

「スズミさん、お待たせしました!トリニティのヒーロー、宇沢レイサ見参です!」

「レイサさん・・・・・・事情は、知っているのですか?」

「ええ、寧ろ私が一番理解してるつもりです!だって──彼女は、私ですから」

それを聞いたスズミは、一瞬きょとんとした顔をした後──フッ、と静かに笑った。

「そうでしたね。ではレイサさん──彼女を、お願いします」

「はい!この宇沢レイサにお任せくださいッ!あ、でもその前に──あとで、杏山カズサが来ると思うので、その時は迷わず通してください!カズサも、あの私を止めるためには必要ですから」

「・・・分かりました。では、ご武運を」

「えぇ!スズミさんもファイトですよ!」

そうして、天真爛漫なスーパースターは、もう一人の自分の元へと、走り出していった。

 

「・・・さて」

「それじゃ、あたしたちも気張っていくかしらね。ミネさん、私たちも手伝いますよ!」

「・・・ありがとうございます。では、この錯乱した者たちの救護を」

「そうですね、まずは彼らを落ち着かせなければ。アイリさん、申し訳ありませんが、助力の程お願いいたします」

「はい!2人がどうにかするまで、ここを持ちこたえさせなきゃ!」

 

「よし。では──レスキュー開始!!!」

「「「了解!!!」」」

「いや何でアンタが仕切ってんのよ!?」

 

 

 

-宇沢レイサ視点-

『アウストラリス』──別世界の、私。

その前に、『この世界の』私自身が、互いを眼前に捉えるようにして立っている。

ドッペルゲンガーなんて話があるが、ここでどちらかが消える──なんて結末は、どちらも望みはしないだろう。

私たちは、互いの幸せを願っている。願っていても──止まれない事情が、両者にある。

だが、そこに哀しさがあるのは──片方のみだった。

 

「・・・あなたなら、知ってるでしょう。私たちは、みんなが思っているほどに、明るくなんてない。皆のスーパースターでありたいと──みんなの星であろうと。そう願う、小さな小さな、一人の人間なんです」

『?・?・?・縺企。倥>縺ァ縺吶?ゅ◎縺薙r縺ゥ縺?※荳九&縺??√b縺?ク?莠コ縺ョ遘√?』

 

「・・・残念ですが、それは出来ませんね。あなたが何を見たのかは、私には分かりませんが──私には、この街を守る、スーパースターになる必要があるんです」

「笏?笏?繧ゅ≧縲∫ァ√↓縺ッ縲√≠縺ィ荳?蝗槭@縺九↑縺?s縺ァ縺吶?ゅ□縺九i笏?笏?縺企。倥>縺ァ縺」

 

「・・・強情ですね。まぁ、あなたは私ですしね」

手に持った武器を、構える。相手もまた、同じ武器を構える。

そして──彼女は結ばずにいるその髪を──私の方は、一つにパチンとまとめる。向こうはどうか知らないけど──この世界の私のとっては、本気モードのためのスイッチの儀式。

あぁ──この感じになるのは、いつぶりだろうか、中学の時、杏山カズサと本気でぶつかって負けた、あの時以来だろうか。なんせ、自分との対決だ──

 

そそらない方が、おかしいだろう?

 

 

「良いでしょう────本気で、かかって来い」

気づけば私と『私』は──挨拶の握手を交わすように、互いの銃の弾丸を撃ち合っていた。

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