レイサ*スター放浪記   作:GGenbuu

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【7】

彼女は──始まりの場所へと至る。

記憶という宇宙の中を、孤独に、独りぼっちに。

やがて──心の公転周期を乗り越え──彼らの元へ。

 

その星の遥か上空、大気圏よりももっと上の、暗い世界で──宇沢レイサは、目を覚ます。

「ここは・・・?

 

──あ──」

 

奇跡とは。

何も、限られた場所だけで起きるものではない。

 

予測のつかない場所で、予測がつかない状態で起こるからこそ──それは、奇跡と呼ばれる。

 

「杏山カズサ────先生───」

彼女が、誰よりも、何よりも。

会いたかった2人が──そこに、いてくれた。

その星という『世界』が──最後に見せてくれた、奇跡だった。

「やっ、宇沢。久しぶり」

「やぁ、レイサ」

 

「・・・う──うぁ──うわあああぁぁぁぁんッ!!!!」

その2人に彼女は──親を見つけた、迷子の子供のように──駆け寄り、抱き着く。

 

「うあぁ・・・ああ・・・カズ、サ・・・せん、せい・・・・・・ごめん・・・ごめん、なさい・・・・・・私、わた、し・・・い、いっぱい、いっぱい間違え、て・・・失敗して・・・」

ボロボロと、零れる涙は、止まるところなど知る由もない。

会いたかった人の胸の中で。腕の中で。

彼女は嗚咽に胸を詰まらせながら、ひたすら泣きじゃくった。

そこにいたのは、スーパースターでも、ヒーローでもない。

──誰かに甘えたくて仕方がなかった、寂しい寂しい、女の子だった。

 

「・・・はは。そういう、本音がやっといえるようになったんだね。

──見てたよ、宇沢。カッコよかったよ、ヒーローみたいで」

「うん、そうだね。──そして、ごめんね、レイサ。私の『お願い』は、いつからか『約束』になって、『呪い』となって──君を、苦しめて、終わりのない旅につかせてしまった。本当に──ごめんね」

「・・・先生は、わ、悪くないんです・・・わ、私がもっと、で、出来てたらって──そう、思ったら──もう、止まらなくて──止まれなくて」

「・・・そうだね。あんたはそういう奴だったしね。でも、良いんだよ。何も悪くないどころか──あんたは確かに、私たちを救ってくれたんだから」

「────ッ!!!!うぁあ、ああ、あああああああああああ・・・・・・」

そうして暫く、少女は、大事な人との抱擁を過ごす。

そう───誰にだって。

 

ヒーローは──いるはずなのだ。

 

 

 

「──それにしても。綺麗だね」

「あぁ、まるで魔法の宙の中にいるみたいだ。今この時にレイサと会えたのは、幸運だったね」

「・・・えぇ。私もそう思います」

そうして、散々泣きじゃくった少女は、晴れやかな顔で宇宙を見る。

さっきまで真っ暗だったその世界に、星々が奇跡の祝福と言わんばかりに、灯りを灯す。

オーロラと天の川が流れ、流星が願いを叶えに出かけ、月はただ静かに見守る。

まさに、独り頑張り続けた彼女への──一つの、ご褒美のような贈り物。

彼女を生んだ星からの、大事な人と共に送るプレゼントだった。

 

「・・・そろそろですね」

「・・・行くのかい?」

「えぇ。私を呼んでくれてる、友達と恩師の声がしますから。あの世界の『人間』として、私は生きないといけません」

「…そっか。まぁ、有り体な言葉だけど──行ってらっしゃい」

「うん。行っておいで、レイサ」

「・・・はい!」

 

「──宇沢」

「・・・なんでしょう?」

「これから、宇沢は宇沢の人生を始めるんだ。だからさ──あんたが幸せになれるなら、私たちのことを引きずらなくたっていい。私たちはそれでもいい。私たちは、あんたが助けようとしてくれたことを、確かに覚えているから。

だから──自分自身の為に生きなよ。私達の──スーパースター」

「そうだね──大丈夫。レイサは、君が思っているよりずっと強い。私がよく知ってる。

たった独りで、いろんな世界を出会いと別れを繰り返しながら、歩いてきたんだ──みんなでだって、きっと行けるよ」

「・・・正直、忘れたくても忘れられないでしょうけど。気持ちだけ、受け取っておきます」

「でも、無理はもうしません。これからは、ちゃんと皆に助けてもらえる、私になります。だから──見ていてください、2人とも」

 

 

「分かったよ、ちゃんと見てるよ。あんたが見えなくなっても──ここから、見てるから」

「それじゃ──バイバイ、宇沢」

「元気でね、レイサ」

 

「・・・はい!宇沢レイサ、行ってきます!」

 

 

 

さぁ、それでは。

醒めない悪夢の、その先の。

数多の奇跡が集う、最終地点。

私たちの、ランデブーポイントにて。

 

 

───彼女たちの『世界』の話を、続けよう。

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