もしも、シャーレに赴任してきたのがゴルゴ13だったら… 作:御厨パステル
皆様、お待たせ致しました。
今回を最後に、この小説の一応の完結とします。
"あまねく奇跡の出発点"編や、"カルバノグの兎"編は…執筆するかどうかは未定です。
何か他のイベントストーリーを見たいと言うのがありましたら是非、ご要望下さいませ。
それではどうぞ。
前回のあらすじ。
セミナーの知らぬところで負債を発行し、今尚何処かに潜伏しているという"白兎"こと、黒崎コユキを探しに『オデュッセイア海洋高等学校』の所有する【ゴールデンフリース号】に来たC&Cとゴルゴ。
大人の財力をふんだんに使い、難なく船内に潜入できた一行は紆余曲折ありながらも、1歩づつ確実にコユキに迫っていた…。
________________________
ゴールデンフリース号 システムルーム……。
カリンの助言をもとに、アカネは監視システムをハッキングして"白兎"の位置を特定しようとしていた。
アカネ「……。」カタカタカタカタカタカタ……。
アカネ「…あら?」カタッ…。
カリン「見つかったの?」
アカネ「見つけたといえば、見つけたのですが…。」
ネル「何だよ?勿体ぶるなよ。」チラッ…。
ネルはモニターに出力されている映像を覗き込む。
アスナ『〜♪』ジャラジャラジャラジャラ…!
そこには、スロットマシンで遊ぶアスナが写っていた。
ネル「何してんだアイツ…。」
「…。」チラッ…。
ゴルゴも、ネルの後ろから画面を覗き込む。
アスナ『〜〜〜!…〜♪』ジャラジャラジャラジャラ…!
何を話しているかは分からないが、ラウンドガールと思われる人と会話しながらスロットマシンで遊んでいた。
「……………………。」
「少し、アスナと話をしてくる。」スッ…。
アカネ「えっ?話……って、もう居ないじゃないですか…。」
カリン「…また猛スピードで行ったんだな。」
ネル「!おい、これ"白兎"じゃねぇか!?」
「「え!?」」
カメラの向きが変わり、部屋の奥まった所のスロットマシンの前にコユキらしき後ろ姿が見えた。
ネル「同じ場所にいんのに、お互いに分かってなかったのかよ!?」
カリン「"白兎"が先生に気付いたら逃げるもしれない…。」
アカネ「私達もすぐに向かいましょう!」
________________________
ゴールデンフリース号 プレイラウンジ…。
「……。」コツコツコツコツ…。
「……。」キョロキョロ…。
プレイラウンジの入り口に立ち、目視でアスナを探すゴルゴ。
ラウンジガイド「プレイラウンジへようこそ!何かお探しでしょうか?」
ラウンジガイドが話しかけてきた。
「…特にはない。」
ラウンジガイド「それにしては、真剣な眼差しで見渡していましたが…?」
「……。」スッ…。
ゴルゴはブラックカードを取り出す。
「…それじゃあ、この場所の説明をしてもらおう。」
ラウンジガイド「そっ…それは…!?」
ラウンジガイド「…お任せください、簡潔丁寧に説明させてきただきます…!」
ラウンジガイド「この『ゴールデンフリース号』はここ、"プレイラウンジ"にあるゲームで手に入った財貨によってサービスの質が変わります。」
ラウンジガイド「お客様はブラックカードをお持ちですので常に最高級のサービスをご提供させていただきますが、他のお客様はそうはいきません。」
ラウンジガイド「ランクはDからSまでございまして、ゲームで手に入れた財貨で変動致します。」
ラウンジガイド「Sランクになると、この船での『超法規的存在』…になります。」
ラウンジガイド「まぁ、Sランクになるお客様はほぼ居ませんね、それほど大きな結果を残さないと…と言う訳です。」
「…大体分かった。」
「感謝する。」コツコツコツコツ…。
ラウンジガイド「ゆっくりとお楽しみ下さいませ。」ペコッ…。
………………………………。
アスナ「すごーい!ボタンを押したらめっちゃ光ってコインが出てくる〜!」ジャラジャラジャラジャラ…。
「…アスナ。」
アスナ「…あ!ご主人様〜!これ楽しいよ〜!」
「…そういうのはあまりやらない方がいいぞ。」
アスナ「どうして?」
「中毒になってしまうかも知れないからな。」
アスナ「…中毒?」
「そうだ。」
「アスナの所に来るまでに他の客を見たが、何かに取り憑かれたように筐体に齧り付く者もいた。」
「…この場ではその程度で済んでいるかも知れないが、それはここがまだクリーンなシステムで経営しているからだ。」
「だが、外ではそうはいかない。」
「もしかしたら、自分の命を対価にするかも知れない。」
「…賭け事はそういうリスクが常に付き纏っている。」
アスナ「…ふ〜ん。」
「まぁ、そうならない様に目を配るのも俺の役目だ。」
アスナ「じゃあクリーンじゃない物を無くせば、安全に遊べるんじゃないの?」
「……………まぁ、その発想は無かったな。」
アスナ「多分、みんな色々あってここに居るんだよ。」
アスナ「私は楽しいから、ここで遊んでいるけど…。」
アスナ「ここでしか楽しめない子もいると思う。」
アスナ「だから、この場所は残した方がいいと思うの。」
「………………。」
「別にそういう場所を根絶やしにしたい訳では無いが…。」
「……お前も気をつけるんだぞ?」
アスナ「うん!ねぇ、先生もちょっとやろうよ〜。」
「俺はそういうのはやらない。」
アスナ「え〜?楽しいよ〜?」
「俺がのめり込んだら、誰がアスナを止めるんだ。」
アスナ「そんなに私の事信用してないの〜?」
「お前が心配だからだ。」
アスナ「…えっ?」
「お前は大切な生徒だからな。」
「何かあってからじゃ遅い。」
アスナ「…何かそうやって面と向かって言われると。」
アスナ「……照れるかも。」
ネル「先生…っ!」タッタッタッタッ…!
ネルがこちらに走ってきた。
「どうした。」
ネル「ここに"白兎"がいるんだよ!」
「…何処だ。」
ネル「監視カメラで見る限りではあっちの方だ。」ピッ…。
「…あれか。」ジッ…
目を凝らすと、遠くの方にコユキの後ろ姿が見えた。
ネル「アカネとカリンも向かってきてる。」
ネル「こっちがバレる前にさっさと捕まえて帰ろうぜ。」
「そうだな。」
アスナ「ん?」
ネル「!」
アスナの座っていたスロットマシンから音楽が流れ出した。
タッタッタッタッ…!
どこからともなく、プレイラウンジガードがやってきた。
プレイラウンジガード「なんとなんと!こちらのアスナ様が、わずか10回でAランクを獲得っ!」
プレイラウンジガード「おめでとうございます!この勢いで一気にSランク、VIPになるのでしょうか!?」
プレイラウンジガードの言葉と共にプレイラウンジの大型液晶にアスナと端の方にネルとゴルゴが映る。
アスナ「……あ。」
ネル「……!」バッ!
ネルがコユキのいた方向に目を向ける。
コユキ「…っ!」タッタッタッタッ……!
ネル「なっ…!?」
バッチリ目があったと共にプレイラウンジから逃走を図った。
ネル「…チッ!完全にバレた!先生、早く追うぞ!」
「待て、このまま追いかけてもまた何処か違う所に逃げてイタチごっこになるだろう。」
「捕まえるなら一気にやった方がいい。」
ネル「どうするってんだよ?」
「この船の客全員を味方につける。」
「アスナ、そのままスロットを回し続けてくれ。」
「Sランクを目指すんだ。」
ネル「どういう事だ…?」
「ラウンジガイドの話を聞く限りでは、Sランクになるとこの船の『超法規的存在』となる。」
「その権限を利用して捕まえる算段だ。」
「アスナ以外の3人にはそれとなくコユキを追ってもらいたい。」
「この船から逃さない様に、かつ何処かに身を潜められない様に。」
「どうにか泳がせておいてくれ。」
ネル「…分かった。他の奴らにも連絡しておく。」
ネル「さっさとSランクになれよ!」タッタッタッタッ…!
「…アスナ、頼めるか。」
アスナ「任せて!じゃんじゃん行くよ〜!」ジャラジャラジャラジャラ…!!!
________________________
ゴールデンフリース号 内部……。
コユキ「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!」タッタッタッタッ…!
コユキ「さっき映ってたのってアスナ先輩達だよね!?」タッタッタッタッ…!
コユキ「どうやってここに入ってきたの!?」タッタッタッタッ…!
コユキ「…絶対先生が何かした気がする…!」*1
コユキ「とにかく逃げなき___。」
ネル「待てやコラァぁぁ!!!!」ダッダッダッダッ……!
コユキ「ひょぇぇぇぇぇぇ!!!!」ドヒューン!
コユキ「はっ……!はっ………!はっ…………!」タタタタタタタッ…!
コユキ「ふ、振り切った…?」タッタッ………。
スピードを緩めて後ろを確認しようとしたその時。
アカネ「…こんにちは。」ニコッ…。
前の曲がり角からアカネがスッ…と出てきた。
コユキ
……………………………………………。
ゴールデンフリース号 プレイラウンジ…。
プレイラウンジガード「な、ななな何という事でしょう……!」
プレイラウンジガード「まさかSランクへ到達した方を見る日が来るとは思いもよりませんでした…っ!!!」
プレイラウンジガード「しかも先ほどAランクに到達されてから5分も立たないうちにSランクへの到達ですっ!!」
プレイラウンジガード「皆様!アスナ様に拍手をお願いします!」
パチパチパチパチパチパチ………!
アスナ「やったよ!先生!」
「…………凄いな。」
アスナ「えっと、この後は…。」
「先ほど伝えた通りだ。」
アスナ「オッケー。」
アスナ「ねぇねぇ、これで1この中で番偉くなったって事でしょ?」
プレイラウンジガード「は、はい!VIP待遇を受けられます!」
アスナ「じゃあちょっとマイク貸してくれない?」
プレイラウンジガード「え?ど、どうぞ…?」スッ…。
アスナ「ありがとね〜。」
アスナ「えっと…ちゅうもーーく!!!」
大きな声とともに大型液晶にアスナの姿が映る。
ガサガサ……バサッ…。
空いた方の手でコユキの顔写真を見せる。
アスナ
「俺が保証する。」スッ…。
続けざまにフレームインしたゴルゴがブラックカードを見せる。
「俺はこいつを持っている、多少の無理は聞くだろう…。」
ゴルゴのブラックカードを見て確信に変わった大勢の客がコユキを探しにプレイラウンジを飛び出していった。
「……よし、俺達も動くぞ。」タッタッタッタッ…。
アスナ「りょーかい!」タッタッタッタッ…!
________________________
ゴールデンフリース号 客室………。
コユキは、C&Cの3人の追跡を逃れる為に客室の浴室に続く脱衣所に身を潜めていた。
コユキ「………。」
コユキ「……………行きましたかね?」
コユキ「(今の口ぶりを聞く限り…絶対私を探し回ってますね。)」
コユキ「(何で全員揃って私を…?)」
コユキ「(Sランクになるとか言ってましたし、先生が何らかのアクションを起こしたんでしょうか…?)」
コユキ「(何とか客室に逃げ込めましたが、すぐに見つかる気がする…。)」
コユキ「(隙を見てこの船から逃げましょう…!)」
コユキ「…!」
部屋の外から誰かの足音が聞こえ、息を潜めるコユキ。
足音は近づいてくる。
コユキ「…………。」
足音は遠ざかっていく。
コユキ「………ホッ…。」
そっと胸を撫で下ろすコユキ。
コユキ「…っ!?」
客室のドアが何者かによって開けられた。
コユキ「……。」サッサッサッサッ……。
浴室に入ってきた時に先手を取れるように、ドアの死角になる場所に移動するコユキ。
足音と同じ間隔で、何かを引きずるような音が聞こえる。
まるで、金属同士が擦れるような。
脱衣所の前で足音が止まった。
コユキ「……。」スチャッ…。
ドアが開けられた瞬間に攻撃出来る様に銃を構えるコユキ。
コユキ「!?」
ドアに何かを叩きつけている。
木製のドアの中心に亀裂が入っていく。
コユキ「…っ!?」
ドアの亀裂から斧の刃先が飛び出した。
斧を振り下ろす間隔が短くなる。
ドアがどんどんひしゃげていく。
コユキ「……っ…っ!!!」ガタガタガタガタ…。
コユキは計り知れないほどの恐怖とプレッシャーに身を震わせていた。
先手を取れるのはコチラのはずなのに、自分が有利な状況にいるはずなのに。
その優位性すら崩れてしまうほどの焦燥感。
斧の刃の部分全部がこちら側に見えるほどの穴が開いた。
コユキ「………!!」ガタガタガタガタ…。
銃を持つ手が震える。
スッ………。
コユキ「ひぃぃぃぃぃぃぃ………………っっ!!!!!」
……………………………………。
ゴールデンフリース号 プレイラウンジ。
「…………。」コツコツコツコツ…。
コユキ「」チーン…。*3
ネル「……お、捕まったみてぇだな。」
カリン「まさか乗客全員を味方につけるなんて…。」
アカネ「まぁ、ある意味スマートかも知れませんよね。」
アスナ「ご主人〜大丈夫〜?」
「あぁ。」
乗客A「な〜んだもう捕まえたのね…。」
乗客B「Sランクになりたかったな〜。」
「…………。」
ネル「どうするよ先生。」
ネル「こんなに注目されちゃあ、スマートには帰れないぜ?」
アカネ「私達の存在もなるべくバレないようにしたいですし…。」
「……。」
「そこのお前、マイクを貸してくれ。」
プレイラウンジガード「は、はい!どうぞ!」サッ…。
「…協力に感謝する。」
「こちらの事情に巻き込む形になってすまなかった。」
「結局、俺がコイツを捕まえる形になってしまったが。」
「……参加した全員に報酬だ。」コツコツコツコツ……。
ゴルゴは、ふと目についたスロットマシンに近づく。
ガシッ……ガシャン…。
レバーを握り、下ろした。
小気味良いリール音が鳴る。
黄金に輝く"7"が3つ並んだ。
すると排出口から湯水のようにコインが湧き出した。
溢れ出るコインを拾い始める乗客。
「……今のうちに帰るぞ。」
カリン「これが、大人の余裕か…。」
ネル「お、おう。」
アスナ「スマートだね、ご主人様〜?」
アカネ「バニースーツのまま帰るわけには行きませんから、あのVIPルームによってから帰りましょう。」
________________________
ミレニアム自治区 ミレニアムタワー 入り口。
ゴルゴからの連絡を受けたユウカはロビーで待っていた。
ユウカ「…………あっ!」
コツコツコツコツ……。
「…待たせたな、ユウカ。」
ユウカ「いえ!全然ですよ!」
ユウカ「…所で何でコユキは気を失ってるんですか…?」
「お灸をすえてやったんだ。」ドサッ…
ロビーの来客用ソファーに簀巻のコユキを置いた。
ユウカ「…あまり詳しくは聞きませんが…やっぱり先生についてってもらって正解だったわね!」
アカネ「はい、スマートに任務を遂行出来ましたよ。」
ネル「まぁ一番派手に動いてたのは先生だったけどな。」
アスナ「ご主人様の着ぐるみ可愛かったね〜!」
ユウカ「え?着ぐるみ?」
「…その話はあまりするな。」
ユウカ「…一つ聞きたいんですが…。」
「何だ。」
ユウカ「その頭に着けているウサ耳と何か関係があるんですか……?」
「……………。」サワサワ……。
自分の頭頂部を確認するゴルゴ。
「……。」スッ…
C&Cの方に顔を向ける。
カリン「す、すまない先生。」
カリン「言ったほうが良いとは思っていたんだが、"そのままにしておこう"って……。」
ネル「ククッ…それも似合ってるぜ…先生?w」
アスナ「可愛く見えるからずっとそれ付けてなよ〜。」
アカネ「私もそう思いますよ?」
「…………。」チラッ…。
ユウカの方に顔を向き直す。
ユウカ「あ…っ。」サッ…。
スマホをこちらに向けていたようだ。
「………………。」
「………どうせなら全員で撮るか。」
アスナ「私、自撮り棒持ってるよ〜。」サッ。
アスナ「ご主人様真ん中ね!」
アスナ「うーん、やっぱりちっちゃいから前の方来て?」
ネル「あァん!?」
アスナ「見切れてる〜もうちょっと内側に寄って〜?」
ユウカ「え、えぇ。」
アスナ「は〜い、カメラこっちだよ〜!」
アスナ「じゃあ撮るよ〜!」
アスナ「はい、チーズ!」パシャッ…!
如何でしたでしょうか。
このイベントストーリーをリクエストしてくださった方…遅くなってすみませんでした…!
まさか自分も年をまたいでこの小説を完結させる事になるとは思いませんでした…。
…まぁこれからまた違うシリーズを再開する予定なんですよね。()
良ければそちらもご覧になってください。
それではまた!