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――このような形で、インタビューを行えることを嬉しく思います。葦毛の豪駿ヒシケイジで凱旋門を制しました。石破 志雄ジョッキーです。おめでとうございます。
「ありがとうございます」
(石破志雄、ファンの数に引きながらも一礼、空港に集まったファンからの歓声)
――春の天皇賞から国内最終戦の宝塚記念、フォワ賞では悔しい二着が続いていました。そんな中での、凱旋門賞一着でしたが、率直な気持ちをお聞かせください。
「嬉しいですね」
(歓声)
「本当に嬉しいです。自分自身が勝ったことよりも、ケイジに勝たせてやれたこと――自分を主戦騎手として据え続けてくれた綾部 雅一郎オーナーにこの勝利を持ち帰れたことが本当に嬉しいです」
(石破 志雄。一礼の後、歓声)
――レースを振り返って頂きたいのですが、ヒシケイジには初めて差しの競馬でした。好位置から中団に流れる動き、これは、初めからそう行くつもりだったのでしょうか。
「そうですね。驚かせてしまった皆様には申し訳ないのですが、ヒシケイジの脚を最大限発揮するには、それ以外考えられませんでした」
(ブーイングにも似た歓声)
――というとフォルスストレートからの仕掛けも、初めから想定のうちということでしょうか。
「はい、フォワ賞の時に、コースの癖は把握することが出来たので、ヒシケイジが出せる全力をとにかくレースにぶつける一心で走りました。結果として早仕掛けになった形になってしまいましたが、最後までケイジの全てを出し切れたと思います」
(歓声)
――このヒシケイジの早仕掛け、ヒシケイジの父であるヒシミラクルの菊花賞のレースのようだと話題になっています。
「そうですね。親子共に凄い馬ですね」
(会場から失笑)
「実際、ケイジは乗っているとサッカーボーイやタマモクロスといった、ケイジに血を継いできた馬達が見せたような走りをレースでするときがあって、乗っている自分としても、背中を押してもらっているという気持ちになります」
(歓声)
――どうですか、石破騎手。ヒシケイジは、前代未聞の凱旋門賞制覇とのことですが――日本初の凱旋門賞馬です。このまま種牡馬入りする可能性なども取り沙汰されていますよね。我々はまだ日本二強対決を見ることが叶うのでしょうか。
「それはもう、ヒシケイジは、まだ走りますよ。綾部オーナーも早山調教師も乗り気ですし……」
(大歓声)
――本当ですか?
「凱旋門賞の勝ちを電話で伝えた時に、綾部オーナーからは今から秋古馬GⅠで乗れるところは乗ってほしいといわれてます」
(オオーという声)
「オルフェーヴルとの対決を陣営で一番望んでいるのは綾部オーナーなので、回復を待って、オルフェーヴルの予定とも、併せていくんじゃないですかね?」
(大歓声)
――最後に、本日は石破騎手とヒシケイジを応援するファンの皆様が成田空港の会場へと集まっています。どうか集まったファンの皆様に是非、一言お願いします。
「凱旋門賞でゴールを跨いで、ガッツポーズをした瞬間、ヒシケイジとメイクデビュー福島に勝ったとき、芙蓉ステークスで競り勝って、朝日フューチュリティステークスで注目してもらえたとき、皐月賞とダービーで苦しかったとき、宝塚記念で勝った時、菊花賞、有馬記念で――悔しい思いをさせてしまったとき――阪神大賞典と、春の天皇賞に勝った時のインタビューで、必ずまたヒシケイジで勝つと誓った時から――宝塚記念、フォワ賞と半年も待たせてしまいましたが――」
(石破 志雄、感極まって鼻水を啜る。会場からも嗚咽が聞こえてくる)
「やっとッ、最高の舞台でファンの皆様の応援に応えることが出来ました――自分もケイジも、会場に来てくれる皆様の姿と応援がなければここまでやってくることは、出来ませんでした。これからも、ヒシケイジに夢を託せてよかったといえるようなレースを続けていきます」
(石破 志雄。深く一礼する)
「本当に、応援ありがとうございました!!」
(一礼の後、歓声と共に拍手が30秒ほど続く)
――日本初の快挙に相応しいすばらしい騎乗でした、おめでとうございました
「ありがとうございました」
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明日も1800投稿予定です。