転生したらガミラスの真田さん枠(なおロマンチスト)兼総統のお気に入りになってた件 作:夜叉烏
8話の伏線回収です。
「よし、テスト完了。今日はここまでだ」
「はぁ~いよっと!ったく、疲れるぜ…」
次元潜航艦『UX-01』は、"ハルハのアトリエ"内部の幹ドックにて係留状態のまま訓練に励んでいた。
「ったくよぉ!艦長、こんな毎日じゃあ退屈過ぎて死んじまいますぜ!」
「そう言うなハイニ。これで給料を貰えるなら、楽な仕事だろう」
人相が悪い彼らはこう見えて、総統直属の特務艦を運用するエリート集団。そこらの将兵よりも高給取り、勝ち組というやつだ。
しかし、『戦争屋』を自負するハイニにとって、実際に宇宙に出ての航海・戦闘訓練なら兎も角、係留状態で機関すら動かさない状態での訓練は、ちょっとした生き地獄に感じていた。
「折角の重武装も足の速さも、ぜんっぜん活かせねぇ!こんな良い艦なんだからよぉ、早いとこ適当な蛮族相手に実弾演習やってみてぇぜ!」
「俺たちは潰しの利く戦力じゃない。立場上、出撃するのはどうしてもという時だけさ」
諦めろ…喚くハイニにその意を込めた言葉を返してやれば、彼はがっくりと肩を落とした。
全長270メートルという、次元潜航艦としては破格の巨体にガミラスでも随一の大型魚雷発射管を前部18門、後部6門装備し、通常艦艇が満足に航行できない深深度亜空間を水中の魚のように動き回れる機動力。
この性能を振るえることを人生一番の生き甲斐として捉えていたハイニは、訓練ばかりで刺激とは無縁の毎日にフラストレーションが溜まっていた。
そのうち、航宙艦隊の司令部へ「出撃させろ」と直談判してしまいそうな勢いである。
「はぁ~ったく、こうなりゃヤケだ!オメェら、娼館にでもいこーぜ!」
「あまり大声でそんなことを言うな、全く…」
吹っ切れたような呼びかけが試作潜行艦とは違う、広くて明るい発令所内に響く。
軍事国家であるガミラスは、街中に軍人向けの慰安施設…特に"そっち系"の施設が並ぶ大人の街が数多く点在している。
別にそういった施設に行ってはならないという規則があるわけではないが、大声で言うような内容でないのは確かだ。
こりゃあ、手元の金を全部賭け事に突っ込んで、オマケで娼婦を抱きに行くパターンだな…以前付き合わされたヨルト・メッツェ一等通信兵曹が呆れ顔を浮かべていた。
「というかお前、また女絡みか」
「とは言いますけどよぉ、艦長!この艦、女いねぇじゃないすか!どうなってんすかホントに!アンタが拾ってきた連中にもいねぇ!」
「俺に聞かれても困る。偶々拾ってやったのが男ってだけだ。元からいた奴も、ディッツ提督が亜空間戦闘に慣れた人員をかき集めた結果だしな」
『UX-01』には現状、女性クルーはいない。これは何かしらの陰謀が働いている…というわけでは勿論なく、航宙艦隊総司令ガル・ディッツ直々による、『UX-01』へ乗艦するに相応しい能力を持った乗員選考の結果だ。
それに、元々亜空間戦闘という未知の部分が多い、極めて危険な分野に真面な人材は来たがらず、時折フラーケンが拾ってくる乗員もあぶれ者の荒くれ男ばかり。
女性クルーという華が1人もいない…女好きなハイニは、そこも不満に感じていた。
「行くのは構わんが、問題を起こすなよ」
「はいはい」
気怠そうに軍服の襟を解いて発令所の出口へ歩いていくハイニ。今回は一人で店に行くようだ。
「艦長、ハルハ中将から入電です。パネルに映します」
「何?今か?」
「ちぇ、タイミング悪ぃ…」
メッツェの報告にフラーケンが怪訝そうに訊き返す。今日のノルマは全て達成して業務終了というタイミングの悪さ故、フラーケンも少しばかり不満そうだ。ハイニも足を止め、襟元を整えながら副長席にとんぼ返りした。
メッツェがコンソールを操作し、天井スクリーンを起動。ハルハの姿が映った。
『やぁ、フラーケン少佐。定時上がりのところごめんね』
「いえ、何か御用でしょうか」
不満を漏らさぬよう振る舞いながら、ガミラス式敬礼を行う。娘と言っていい程歳の離れた将官を相手にするのは、もうすっかり慣れた。実力主義を採用しているガミラス軍に、年下の上官など山ほどいる。
一部、上官の立場に物を言わせて威張り散らすような者もいるが、現上司であるハルハはそんなことはせず、寧ろ彼らを気遣ってくれる。
『10分位時間を貰えるかな?艦に付ける新しい機能について、そっちに行って説明したいんだ。あまり時間は取らせないよ。もし都合が悪かったら、明日でも大丈夫なんだけど…』
「…いえ、その程度で終わるのでしたら問題ありません」
『助かるよ。それじゃあ』
勤務時間が伸びたわけだが、10分位なら…と、フラーケン以下は気にしなかった。
----------------------------------------------------------------------------------------------------
――フラーケンside
程なくして、ハルハ中将が『UX-01』の発令所まで上がってきた。…謎の少女を連れて。
「ごめんね、少佐。急に頼み事しちゃって」
「いや、そのようなことは。それで、御用とは一体?」
ガミラス式敬礼を返しつつ、突然の訪問を詫びてくる中将を見下ろす。相変わらず、女子受けしそうな顔をしている。
…しかし、やはり隣にいる少女が気になる。
(…本当に人間か?)
発令所内をぐるりと見渡したかと思えば、今度は発令所内の乗員をそれぞれじっくりと見つめている。
物心がつき始めたばかりの幼児のようではあるが、大きな瞳に色素の薄い青肌、きめ細やかな長い銀髪、口元も目元も全く動かさない無表情っぷりは、職人が作った人形がそのまま歩いているかのようだ。
ついでに言うと、瞬きを全くしていないように見える。
(…気味が悪ぃな、このガキ)*1
直ぐ後ろに陣取るハイニが極小さい声で呟くのが聞こえた。気持ちは分かるが、ハルハ中将の手前、聞こえたらマズい。幸い、彼女の耳には入っていないようだが。
身長はハルハ中将の顎辺り、歳の頃は中等教育学校の生徒と同じ位だろうか。美少女といって差し支えない容姿だが、「可愛らしい」「美しい」よりも「気味が悪い」が先行している。
「私が開発した
「あぁ、その話ですか…」
それについて、細やかではあるが説明を受けたことがある。
艦の自律型サブコンピュータとして機能し、戦況を極めて正確に分析、乗員に対して算出した解決策を提案する他、操艦や射撃、索敵、ダメコンの補助を行う。また、人間では対応できないタイミングで発生した危機的状況の際、艦の指揮権を掌握して正確に対処すると聴いた。
「"イオナ"、挨拶して。今日からここが君の仕事場だよ」
ポンポンと少女の頭に手を乗せながら中将が告げると、少女は一歩歩み出て俺の目の前に立った。
約30センチの身長差故、彼女が此方を見上げる形だ。
「私は次元潜航艦『UX-01』
「うん。ちゃんと挨拶できたね、偉いよ」
「ネットワーク検索してやり方を覚えただけ。別に特筆できることじゃない」
…幼児を褒めるような感じで少女の頭を撫でるハルハ中将だが、此方はもうそれどころじゃなかった。
--------------------------------------------------
「…ったくよぉ!中将もいきなり過ぎるぜ全く!いきなりこんなのを押し付けてくるなんてよぉ!」
「止めないか、ハイニ」
"イオナ"と名乗るメンタルモデルと、突然の追加乗員(?)に困惑しっぱなしの『UX-01』乗員たちを置いて下艦していったハルハ中将に向けて、ハイニが苦言を呈するが、彼の言葉を窘めた。
「あ…へ、へい…」
失言に気付いたハイニが艦橋の中央に肩越しに視線を向ける。
艦橋の中央…艦長席横の台座の上にぺたりと座っているイオナ*2は、フラーケンとハイニのやり取りをジッと見つめるだけだ。
自分を「こんなの」呼ばわりされたことに、悲しみや怒りは全く感じていない。瞳孔も口元も全く動かないところを見ると、やはり感情を持たないAIなんだなと感じた。
「しかし…」
メンタルモデルの扱いについて、ハルハ中将は「少佐の好きなようにしていい」と言っていたが、そもそも少女の形をしたAIと接したことなど無い為、勝手が全く分からない。
「少佐。もう退勤時刻から23分54秒が経過している。乗員のパフォーマンス維持の為、速やかな帰宅を推奨する」
「あ、あぁ…そうか…」
イオナが機械的にそう言ってきた。
少女が発するには違和感があり過ぎる内容に面食らいながら、それもそうかと思い直す。
「取り敢えずだ…お前たち、自由にしていいぞ」
「へぇ~い…」
ハイニたちが少女…イオナをチラチラと気にしながら、そそくさと発令所を出ていく。
「良かったじゃないか、女が来たぞ副長さんよぉ?」
「俺にガキのケツを追っかける趣味はねぇっ!!」
…そんなやり取りが聞こえた。
「…イオナ、と言ったか。お前、専用の居住区は無いのか?」
「私は『UX-01』のサブコンピュータ。謂わばここが居住区。メンタルモデルに人間の生活環境は必要ない」
それを聞いて一応は納得した。
彼女は、この艦の設備という扱いだ。ならば、この艦自体がイオナの家ということになる。
「退勤時刻より25分21秒超過。残り時間4分39秒で残業時間にカウントされる。申告なしの残業は軍規則に反する行為。少佐も速やかに下艦・帰宅するべき」
「…」
彼女の言う通り、残業の予定もないのに職場に長居するのは軍規違反だ。大問題…というわけではないが、バレたら後々、ディッツ提督から小言を頂きはするだろう。
しかし、俺がここを去ったら、翌日の朝までイオナはこの暗い司令塔で1人過ごすことになる。
「…イオナ。お前はここに1人きりで大丈夫なのか?」
「よく分からない。私が単独で発令所に残ることがそんなに問題?」
「…いや」
一瞬、自分の宿舎に連れ帰ろうかと思ったが、幼気な少女を自室に連れ込む様が目撃されれば、面倒なことになる。
それに、俺の部屋には少女が暮らすのに必要な生活必需品は無い*3。
「…分かった。これからよろしく頼むぞ、イオナ」
「了解、少佐」
「…畏まらなくていい。もっと気楽に呼んでいい」
「それは命令?…分かった。フラーケン」
いや、気楽にとは言ったが呼び捨てか…少女相手に呼び捨てで呼ばれることにやや抵抗を感じたが、俺も含め乗員たちに階級・立場の壁は存在しない。慣れるまでまぁまぁかかるだろうが、問題にはならないだろう。
「…いいだろう。他の奴らもそんな感じで呼べ。…また明日な」
「分かった。また明日」
やや後ろ髪を引かれる思いで、発令所を後にする。
イオナの無機質な視線は、発令所の自動扉が閉じるまで途切れることはなかった。
ハイニ…お前イオナと一緒に居れるとか最高じゃねーか!
イオナには階級よりも本名で乗員を呼ばせたかった。
『UX-01』のメンタルモデル、アウトロー集団ということで陸八魔アルを青肌にした感じのオリキャラ案があったけどやっぱり潜水艦メンタルモデルといったらイオナということで。
アルちゃん案はドメラーズのメンタルモデルにしようかな?それだとドメルの方がメンタルモデルを振り回すことになりそう。
ドメル:「退くな!ドメラーズは1歩も退かん!」
ドメラーズ:「えぇぇぇぇぇっ!?!?ぶつかるっ!!ぶつかるわよぉぉぉっ!?!?」(例の顔)
それとも『宇宙の"狼"』繋がりで砂狼シロコにするか?いや、空崎ヒナちゃんの青肌バージョンにしようかな?
でっかい艦のメンタルモデルはロリ娘にしたい気持ち分かります?
よろしければ感想お願いします。次回は護身装備のテスト回かもです。
アルペジオみたいなメンタルモデルを出演させる?
-
あり
-
なし