青空の消失①
「俺が変身すればどうなるか、かい?」
「ええ、前に聞いてから気になってましてね。過去の調査ファイルやデータ、文書を調べたんですけどね、クウガという存在がクウガでは無くなるとき封印されるべき存在になる。っていう文字が書かれている文字が有ったみたいなの。どう思います五代さん?」
遺跡の施設に士君との特訓とグロンギとの戦闘によって疲れ果てたカオル君をつれて帰ると、輝さん…輝ちゃんが出迎えてくれた、輝「ちゃん」って言わないと怒られるんだよな…
「そんなことが書かれていたのか…今の俺みたいな感じ?クウガになれないクウガ…いや、でも少し違うかな、俺は変身してから少し時間が経つと、意識を持って行かれるというか…いや…持って行かれた先か…」
俺は知っている、黒き闇に包まれし凄まじき戦士を。もしそれが「封印されるべき」存在だとすれば…
「何か心当たり有ります?」
「まぁ…ね。ただまだ確信はない。」
「…?とにかくカオルンは今眠ってるし、この話の件と昨日のもう一つの棺の件、今日の調査はこの二つで行きましょう。」
「了解、そういえばカオル君はどこで寝てるの?」
「あ、他の研究員に医務室に運んでもらいました。この施設にはそういう場所が最近出来て…その…1ヶ月ほど前私達がここでグロンギに襲われた後に。」
「そうか、それで…あっそういえばこの辺りはグロンギの気配が多いんだ、よくよく考えてみるとこれもおかしいんだよな…」
「気配が多い…おかしいって何がです?」
「他の場所でグロンギに会うより、ここで会う数が多い気がする…いや違うな、俺やカオル君が行く場所の近くに誘き出されるように現れる、ついさっきも現れたし。」
士君が言っていた「気配に釣られて」は強ち間違いではない…?
「この栄水遺跡はグロンギやクウガが眠っていた場所だろうから、たぶん何かあるな…と。」
輝ちゃんは俺の話をメモに取っていた。
「あぁ、すみません、気になったらついこの癖が…」
「いやいや、でも何をメモしたの?」
「グロンギの気配が多い、つまり危ないって事じゃないですか!」
「あぁ、うん。」
取り乱したように叫ぶ輝ちゃんに少し俺は驚いた。
「警察に協力要請やっぱりしてもらおうかと…」
あぁ…そうか。
輝ちゃんは怖いんだ、謎の存在が…それが当たり前なんだ。
俺も最初はそうだった、ただ怖かった、ただ一心で戦い抜いてきた、笑顔のために。
「その方が良いかもしれないね。そうだ、俺とカオル君が知ってる刑事さんに頼んでみるよ、その件は俺たちに任せてよ。」
「本当ですか!?良かった…じゃあその件はお任せします、とりあえず作業始めましょうか!」
安堵のため息をつく輝ちゃんは作業に取りかかり始めた。
「とりあえず、遺跡の中に行って棺を確認しないと。」
「了解、じゃあ俺準備してくるからちょっと待ってて!」
数分後、準備が出来た俺は急いで輝ちゃんのもとへ。
「お待たせ、それじゃ行こうか!」
カオル君には置き手紙を一応しておいた。
(お疲れ様、もし目が覚めてこれを読んでいるなら今日は安静にしておくように、とりあえず輝ちゃんと遺跡に昨日の棺の件調べにいくからさ、あっ今日の晩御飯何が良い?俺が作るから、メニュー考えといて下さい。by五代)
と。
施設から遺跡内部の目的地までは徒歩15分程の距離にある、俺はその移動中にちょっと気になっていた(ある事)を輝ちゃんに聞いてみた。
「ねえ、輝ちゃん聞きたいんだけど?」
「はい?何ですか?」
「輝ちゃんさ、カオル君の事、好きだよね?たぶん。」
「ちょえっ!?なっにゃにお!?」
盛大に噛んだところを見ると図星のようだ。
「カオル君の事異性として好きなんじゃないかなーって、昨日からちょっと思っててさ。違う?」
「…うぅっ…むっ、昔ですよ!昔好きになっちゃう様なことがあったんです!認めます!」
顔を真っ赤にしながら俯き歩く輝ちゃんは続ける。
「あの時…10年前カオルンのご両親が死亡認定されたあの時、当時私は高校生で…カオルンや桜子は中学生でしたから、そりゃもう皆泣いてました。カオルン以外は。泣かなかったんですよ、カオルン。その時にカオルンが私に言った一言がね、もう惚れてまうやろーってやつで、なんて言ったと思います?」
「うーん、何だろう。俺そういうの疎いからなぁ…」
と、目線を下に向けたまま輝ちゃんは言う。
「僕はいなくならないから、大丈夫!だから泣かないでよ輝ちゃん、輝ちゃんは笑ってる顔が一番素敵だし可愛いよ、デスヨ?こいつ両親亡くして自分が一番辛いはずなのに、何でそんなことを年上の女に言えるんだ?押し倒して襲うぞ?とか、当時本気で思ってました…」
「最後の方は…穏やかじゃなかったけど…カオル君、モテる男は罪だなー、ははっ。」
つい笑いが出てしまった。
「カオルンには秘密ですからね!もちろん桜子にも!」
つまり「今も好き」なんだなー。
「解ってるさ、まぁ頑張りなよ!」
「解ってますよ!…って、違います違います違いますから!今は昔!違った昔の話ですから今はもうほら桜子にぞっこんでしょ!?カオルンわっ!」
「それは解らないよ、うん。解らない!」
「…マジで…?脈有る…?」
口調が崩壊している輝ちゃんが面白すぎてついついからかいたくなるが、そろそろ目的地に到着だ。
「輝ちゃん、話の途中だけど、着いたよ?」
「えっ、あっはい!私ったらごめんなさい!で、棺だ、棺は…」
俺は棺の方へ歩き出し、2つの棺の間で立ち止まる。
「おそらく、輝ちゃんはこの棺は見えてるはずだ。」
と、輝ちゃんと向き合い俺は自分の左側の方を指さす。
「はい、蓋の開けられた棺ですね。でも…」
俺が右側を指さすと、
「見えません…ホントに有るんですね?そこに?」
やはりか、やはり見えないのか…
「左側の棺は真っ黒だけど、輝ちゃんの見えていない方の棺は白だね、真っ白なんだよ。」
「どういうことなんでしょう…?」
「さぁ…?仮説だけど、俺やカオル君みたいな特殊な存在にしか見ることの出来ないもの…とか?」
「とりあえず、今日はカオルンの代わりに私が調べますから…何か解ればいいんですけど…見えない以上どうしようもないなー…」
「まぁ良いじゃない!俺には見えるんだからそれを旨く伝えられるよう頑張るよ!」
2つの棺には僅かだが古代の文字が刻まれている。
実は、カオル君の両親が棺の文字を調べていない事が昨日判明したため、今日はその作業に取りかかる予定だった。
「えーと、こんな感じかな?」
俺は白い方の棺に刻まれている古代の文字をノートに書き写し、輝ちゃんに見せる。
「ふむふむ。」
輝ちゃんは資料を広げ古代文字の解読を始める。
その間に俺は黒い方の棺の文字を解読する。
━━━━━━━━数時間後。
「五代さん…この棺ってもしかして…」
「どちらもクウガの眠る棺なのか…?」
黒い棺の文字は以下の通り
「究極の闇の凄まじき戦士がここに眠る時、地上に光が持たされる」
白い棺の文字は以下の通り
「究極の光の凄まじき戦士がここに眠る時、地上は闇に包まれる」
俺の知らない文字、「究極の光」とは何か?
「究極の闇」に対する存在なのか?
「いったい…どういうことなんだ…?」
俺はただ呟く事しかできなかった━━━━━━━。