青空の旅立ち①
ディケイド=門矢士、ジョーカー=左翔太郎との共闘を終え、その後何時間だろうかの間五代さんを探して士とバイクで2人でいろいろ回ってみた(士のバイクはマシンディケイダーと言うらしい、何それかっこいい)。しかし、甲斐はなく…再び士と共に署に戻ることにした、というのも杉田さんから急いで戻るよう電話があったからだ。僕が杉田さんに託したあのグロンギ「だったであろう」男性の遺体について聞きたいことがあるとのことらしい。遺体から何やら椿さんが見つけたとか何とか。ついでに戦いで使った杉田さんからの預かり物の銃もグロンギに効果があったと伝えた…銃、返さなきゃ。銃刀法違反とか洒落にならないし。
士と共に署に戻り会議室の扉を開けると輝ちゃんと椿さん、そして杉田さんが待っていた。
「あっ、帰ってきた!カオルン、士君お疲れさまー。怪我はない?はいコーヒー。」
輝ちゃんが僕と士にカップを差し出してくる。
「ありがとう。」
「俺はコーヒーにはうるさいぞ。」
まぁ頂くとしよう、とか呟きながら士はパイプ椅子に腰掛ける。
「一条、早速で悪いんだが…杉田から預かったあの遺体、いろいろ調べてみたんだ…これを見てくれ。」
椿さんが書類を僕に手渡す。
「どうも。これは…えーと…ふむふむ━━━━━━…ん?」
椿さんから手渡された書類には遺体の損傷具合や、出血の量、あとは…ほぼ素人の僕には解らないことがたくさん書いてあった、その中で一つ僕の目を引いたものがあった。というより、一つおかしな事があったのだ。
「気付いたみたいだな。一条、それどう思う?まだ遺体を詳しく検死した訳じゃないから何とも言えないが。」
椿さんが僕に何を求めたかと言えば、
「グロンギ…じゃない?…この男性…ヒトですね、正真正銘の。まさしく人間そのもの?」
「だな。」
椿さんはただ肯定し視線を会議室にいる全員に向ける。
「ただし、脳にある小さな石以外の話だが。」
と杉田さんが続ける。
「脳に石?」
僕が杉田さんに問うと椿さんが何やらレントゲン写真を数枚取り出した。
「このレントゲン写真は遺体の頭部を写したものだ。」
そこに写っていたのは、頭部中央にある2センチ程の大きさの小さな石の固まりのような物。
「これからその石を取り出す手術…いや検死を栄水遺跡の研究施設でやろうと思う、ちなみに遺体はもう施設で保管してもらっている。お前も来るか一条?」
椿さんが問う。
「えーと…」
つまり、今から施設に行って解剖するわけか、しかも脳?No!うん、グロいのNo!。
「疲れたんで今日はちょっと休ませて下さい。No…グロいのイヤだ…」
「ちょっと待った。」
そこに士が割って入る。
「カオル、心の声が表に出てるぞ、脳とNoをかけたのか?まぁそれは良いとして。」
良いのかよ!?
「俺も一緒に呼び戻した理由を聞こうか…杉田刑事殿?」
杉田さんが士の言葉に「ほう」と呟いたかと思うと、
「やはり…勘がいいな君、でわ…この写真の彼を知っていないか?門矢士君?」
そういって杉田さんが士に見せた写真には例の彼が写っていた。
「仮に俺が知っているとすれば?」
士の挑発的な発言にも冷静に杉田さんは答える。
「居場所を教えて欲しい、捕まえなければ。」
━━━━━彼は海東大樹。
「そいつは海東大樹、居場所は解らんが…今頃どこかで盗みでもしてるんじゃないか、お宝お宝とかいいながら。」
と、士が答える。
「海東さん…石版持ってっちゃったんだよね…」
僕も少し聞いていた、海東大樹という人物が例の石版の窃盗容疑で指名手配されているという話。
「だいたいわかった。そいつを見つけたら捕まえてあんた達に差し出す、で…謝礼は?」
士が悪い顔してる。
「300万。懸賞金としては高額だ。」
「よし、400万で手を打とう。」
「なっ!?350万!」
「仕方ない380万だな。」
「くっ…善処する…」
悪い顔してるよ士…
「やめろよ士…杉田さん、今度僕が海東さんに会ったら石版返してもらえないか聞いてみますから、逮捕はしないであげて下さい、海東さんのおかげで杉田さんを助けることも出来たんで。」
杉田さんが「そういえば戦ってくれたんだな…確かに…」と呟いているのが聞こえた。
「なっ、おいカオル、500万だぞ!?それと海東だったら600万を取るべきだろ。」
士が言ってる金額が少しずつ高くなっている気がするのは…気のせいだろうか。
すると、杉田さんが「コホンッ、」と仕切り直し
「とりあえず電話で話したように、神経系は人間とさほど変わらない、麻酔銃みたいな物が案外効果的だと…一条カオル君、それで間違いないね?」
と、僕に聞いてくる。
先ほどの戦いで杉田さんから預かった銃の件は五代さんを探して居るとき、電話で杉田さんと話はしていた。「効果は有る」と。
「はい、間違いないかと。でも何故?麻酔銃が効くかどうかなんてその発想は僕はなかったです。」
僕のその言葉のあとに輝ちゃんがコーヒーを啜りながら話し出す。
「あぁ、それね。私が五代さんから聞いていた話を先日杉田さんと椿さんに話したのよ。ちょっと前からグロンギの出没回数増えたでしょ?だからせめて何か出来ないかと…五代さんから(俺の世界の仲間達は神経を刺激する薬剤を混ぜた弾を仕込んで使っていた)って話を聞いたの思い出して、二人に話したのよ。」
そうか…輝ちゃんも戦ってくれてるんだ。みんな戦ってくれてるんだ。
「ありがとう輝ちゃん、杉田さんも椿さんもありがとうございます。本当に、ありがとうございます。僕は独りじゃないんですね、五代さんが居なくなって正直…辛かったです。僕は…クウガは独りなんだって。でも、今日出会った左さん…士…ここにいるみんなや、他にも…沢山の仲間が僕にはいるんですね、僕は…独りじゃないんだ。」
いつぶりだろうか、自然と笑顔になってしまった僕に釣られ、みんな…士までもが笑顔をほころんでいるようだった。
「では、今日は解散しましょう、再会議は私から連絡します。今日はお疲れさまでした。」
杉田さんのその言葉を最後に情報の交換会は終了、杉田さんはグロンギ対策本部に戻り、椿さんと輝ちゃんは共に栄水遺跡の施設へ。遺体の脳内部に有る石を取り出す手術をするようだ、輝ちゃん…吐かなければいいんだけど。
そして僕と士は、署を離れ夏目博士の入院する病院へと共に向かった。
「見舞いくらいしておく。夏目実加…くそっ、似たような名前の奴の顔を思い出したな…」
士らしいその言葉に優しさを感じる僕はただ、
「ありがとう」とだけ述べ、病院へと案内した。道中士に、先ほど述べていた博士に似た名前の人の話を聞くと、昔(光 夏実)という女性と度をともにしていたらしく…まぁ「彼女」的な何かだろうか。
「お前今俺がイラつく事を考えただろうが、それは違う。俺があいつの面倒を見ていてやっただけだ…気まぐれでな。」
満更でもない癖に、素直じゃないね全く。
そうこうしているうちに小野寺病院に辿り着く。
「小野寺ね…今日は色んな奴の顔を思い出す日だな全く。」
士は何か呟いたが、
「さて、病室はどこなんだカオル?」
もう、歩き出していた士に聞き直すことはしなかった。
病室に着くと入り口の札に夏目実加と書いてあることを確認し、一応ノックをする。
「はい、どうぞー。」
中から桜子の声が聞こえ、扉を開け士と共に入る。
「あっ、カオル!ってあれ?門矢さん?お久しぶりですね。」
士は会釈すると、そばにあった椅子に腰掛け、桜子に話し出す。
「あんたの母さんの様態、どうなんだ?」
桜子はきょとんとした顔で、
「目は覚ましてませんけど…一応命は取り留めました、えっと…ジン・ケイスケっていうお医者さんが頑張ってくれて何とか。」
士は少し戸惑ったようなそんな顔をし、夕暮れに染まる窓の外を眺めながら語り出す。
「そうか…大丈夫なら良かった。ジン・ケイスケ…ね…奴がこの世界に来たとはな…。カオル、今日俺がお前に会いに来た理由はな…」
士が急に僕の方に顔を向け、口を開く。
「ライダー同士の戦いがもう始まってしまった、じきにこの世界にも敵の一部がやってくるかもしれない。」
士の突然の言葉に不意を付かれ言葉を探す僕に追い打ちをかけるように、士は続けた。
「大集合の時だ。お前の力を貸してくれ、風都の探偵のあいつもああは言っていたが協力してくれるだろう。」
「そんな…無理だ。グロンギの出没が増えている中、別の世界で戦えって…それは…僕には…」
その僕の言葉と同時に、桜子が身体をビクつかせた。
「っえ?桜子?」
桜子は固まったまま口をぱくぱくさせている。
「おっ、おえっおかっっ…お母さん!?」
桜子の目線の先を追うと、ベッドで横たわる博士がいて、そしてその博士の目がはっきりと明いていた。
「おはよう、一条く…いや…カオル君、桜子、おや門矢士君ではないかい。」
士も少し驚きながらどうもとか言っている。
「カオル君、君に伝言が有る。」
博士の口調はしっかりしていて、元気そのもので正直驚愕過ぎて付いて行けていない。
「伝言?いや博士寝てたんだから伝言もなにも。」
「まぁ聞きなさいな、彼が言ってたよ。(急にいなくなってごめんねもうすぐ戻るから。)だってさ。」
まさか…まさか…!?
「さっきまでよく解らない場所で五代君と一緒にいてね。私が先に帰ることが出来たからそこでカオル君へ五代君からの伝言を預かったわけさ。というわけで…カオル君、桜子…ただいま!」
「「お帰りなさい!」」
僕と桜子の歓喜の声が個室に響き渡る。
博士の目が覚めた嬉しさで僕は忘れてしまっていた…
自分の旅立ちの日がもうすぐそこまで来ているという事を━━━━━━━━━━━━━━━
※ネタバレ注意
この作品を読んで下さる皆さんに少し今後のネタバレさせて下さい。なんかしたくなったんで。いやな方はスルーでお願いします。
この作品のメインヒロイン、夏目桜子の父親は、
あの「鳴滝」である。
以上。
次回をお楽しみに。