仮面ライダークウガ-青空と笑顔の戦士再び-   作:芹沢春輝

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お久しぶりです、書くペースがかなり落ちました、素人の限界を感じます。



青空の旅立ち③

一条カオルと小田桐輝

 

今日僕が栄水遺跡に来た理由は輝ちゃんにプレゼントを渡す他にもう一つある。輝ちゃんが遺跡の棺の文字の解読にいくつか成功したらしく(未完成ではあるが)、会議で聞こうと思っていたが、グロンギ出没により聞きそびれてしまったため、それを確認しにきたのだ。明日旅に出なければならないかもしれない身としては確認くらいはしておきたい。

「はい、これが解読文。カオルンなら普通に読めるかな?順番がまだバラバラだから今から繋げてみよう。ふふっ、二人っきりでねー。」

すこぶる機嫌の良い輝ちゃんが棺の文字を書き留めた紙を手渡してくれた。

「うん?ありがとう、助かるよ…?」

輝ちゃんに違和感を感じながらも、とりあえず解読文のつなぎ合わせをし始めた。一通り書類に目を通し終えた頃には時刻は20時を回り、職員のほとんどは残っていない状況だった。

沢山の単語や接続語といった文字がバラバラに解読されているため、作業はそれなりに難航した。

「この文字は…忘れる?とか失う…って意味かな。」

輝ちゃんが僕に問う。

「うーん、だとしたらこの文字の前は…っと、ん?これは光…輝き?つまり、輝きを失う…いや違うな…これは…もしかしたら」

僕はある言葉を思い出す。

「笑顔…」

「え?何カオルン?」

輝ちゃんがキョトンとしている。

「これは直訳するとたぶん(輝きを失う)って意味なんだろうけど、僕が思うにおそらくは、(笑顔を失う)て意味になるんだと思う。だとしたら、他の文字と合わせて文章に成り立たせたならば…」

 

〈この地(場所)は笑顔を失った者達の眠る地〉

 

「となるわけだけど。うーん…何か足りないんだよな…」

と、僕はまだ何か引っかかっている。

「何か少し違うような…」

輝ちゃんも何か引っかかっているようだ。

「この文字は私も見える方の文字でね、五代さんはもう一つの方をやってて、それは少し違う感じだったんだけど。」

「あっ、もしかしたら。」

ここで僕は有ることに気付いた。

「輝ちゃん!五代さんが調べていた文字は?」

僕の声に慌てて書類を取り出した輝ちゃん。

「はいはいはい、これ。この文字、五代さんはこれだけ置いて消えたわけだけど…あの話ホントなの?」

〈あの話〉のワードに僕は強く頷いた。

「博士が眠っている間、五代さんに会ったのはたぶん事実だと思う、僕が五代さんがいない間、戦いに追われている日々を違う場所で見守っていたって話を博士は五代さんから聞いたらしいし、それに博士が意識が無い間の出来事を博士が知っている時点で、五代さんがどこからか僕たちを見守ってくれてるっていう証拠だよ、だから事実だと思う。」

「遺跡の中にいるんでしょ?」

そう、博士曰わく五代さんが言っていたらしい。

「うん、だからたぶん…これをこの順番に…出来た!」

話ながら文字を並べ直しを進めていた僕は確信した。

〈この棺は傷を癒やす地への鍵〉

そう、普通のヒトには見えない方の棺に書かれていた文字にはそう記されていた。

つまりは。

「五代さんは、やっぱり遺跡の何処かにいるんだ。きっと傷を癒やしているんだと思う。この文字の通りなら。笑顔を失いかけたから…」

そこで輝ちゃんはうーんと唸り出す。

「うーん…五代さんが無事なら良いんだけど…でもつまりどういう事?」

此処からは僕の憶測を話すことになる。

「つまりね、おそらくここ栄水遺跡はグロンギやクウガになった者達の墓場って意味もあって、産まれてくる場所…違うか、始まりの場所なんじゃないかな。普通のヒトには見える棺と見えない棺を何故作ったか?可能性が高い理由は…おそらくグロンギが復活した際の救済措置の為なんだと思う。」

「つまりカオルン?棺が片方だけ開いちゃったらマズいわけね?」

「そう、覚えてる?光の戦士と闇の戦士の話。ヒトに見える方の棺には闇の戦士が眠っていた。」

輝ちゃんはコクコクと頷いた。

「その闇の戦士が眠りから覚め、グロンギ復活の鍵になる存在だとしたら?」

輝ちゃんが、あっ!と驚いた顔をしている。

「対になる存在!?って意味ね!?」

「そう、単に光と闇としての対の意味だけじゃなく、闇=グロンギ復活の鍵、光=戦いの傷を癒すための場所の鍵、と言うこと。現状、両方の棺が空いているんだから、中和…飽和状態なんだろうね、おそらく現状は。それと…ヒトに見えない棺を開けられるのは普通のヒトではないという条件が必要、それは即ちグロンギになってしまった、あるいは近しい存在になってしまった者…僕や五代さんみたいな?それでも戦いを望まないものが、その棺に希望を求め開く…みたいな救済措置みたいなものとして機能しているんじゃないかと思う。憶測の域は出ないけどね。」

僕の長い説明を輝ちゃんはひたすら聞いてくれていた。

「僕の父さんと母さんが誤って闇の棺を開けて、そして…彼が…ダイが目覚め…」

まで僕が言い掛けたところで輝ちゃんが「でも…」と疑問を投げかける。

「でもさ、仮にカオルンのおじさんとおばさんが闇の戦士を目覚めさせちゃったんだとしてもさ、光の戦士の棺を開けたのは誰?」

その輝ちゃんの問いの正解に、僕はもうほぼたどり着いている…と思う。

「…それは、たぶん…今日僕が戦って倒したグロンギの遺体の脳に有ったっていう霊石の欠片がヒント…それと」

輝ちゃんはポカンとしているが僕は続ける。

「それと、光の戦士の棺は普通のヒトには見えないし触れることも出来ない。この二つの話に繋がりがある、これも仮定の話だけど。もしも脳に有ったっていう霊石がヒトをグロンギに変えてしまう代物だったとして、それが僕の父さんと母さんにも有ったとしたら?それがそれこそが、父さんと母さんが死んだ…居なくなった理由だとしたら!!」

輝ちゃんの表情が一瞬陰りを見せると同時に僕を抱き寄せる、というか思いっきり抱き締められた。

「えっ、輝ちゃん?」

「カオルン…久しぶりに泣き顔見せてくれたね…?」

輝ちゃんがいきなり何を言い出したのかわからない、が次の瞬間にはもうわかった。

ポタリポタリといつの間にか僕は泣いていたのだ。気づかぬ内に涙を流していたのだ。

「おじさんとおばさんの真相にたどり着いたのが悲しかったの?カオルン?」

「父さんと母さんは…グロンギになってしまった、だけどたぶん、理性を何とか保ち闇の戦士に立ち向かった、そして力つきる前に光の戦士の棺を開けた…夢の中で父さんと母さんが言ってたんだ、もう直ぐ真実にたどり着くよって、そしてみんなを守ってやってくれって、そしたらきっとみんなが僕を見守ってくれるからって…」

僕は泣きながら話した、人前でもう泣かないと決めたのに、笑顔で居ようと誓ったのに。

「私がグロンギに襲われたとき、カオルンが助けてくれた。この私の命はあなたに救われたの。だからカオルン、大丈夫だよ。大丈夫。」

輝ちゃんはただ抱きしめてくれた、正直輝ちゃん…胸の感触が…

「カオルンのえっち。」

「正直どうもすいませんでした、僕も男ですから!」

いつの間にか僕は涙も止まり、とりあえずどうもすみませんでした。何回謝るんだろう?

もう遅いのでその日はそのまま施設の宿直室で休むことにした。寝る前に今日までに解ったことや重要事項、仮定ではあるが可能性の高い事柄を手書きで紙に書き留めてみた。自分の心の整理みたいなものかな…

1、五代さんは遺跡の何処かにいるらしい、近々戻るかも(仮定)

2、僕の両親の死の真相はダイが関係(仮定)、詳しくは未だ不明

3、倒すべき存在=闇の戦士=ダイ=五代さんに酷似

4、霊石を身に宿したヒトが霊石又は戦士に近づくと変貌してしまう(仮定)

5、僕の身に宿る霊石は古代の光の戦士の物(光の戦士はダイに負けた…?)、又はその他に存在したもの(仮定)

6、グロンギは基はヒトである可能性が高い

7、栄水遺跡は戦いの始まりの場所、そして終わりの場所である(仮定)

8、古代にもクウガは二人は存在した。

9、輝ちゃんは推定Eカップ、柔らかい(仮定)

10、ディケイド=門矢士は世界を破壊するらしい、鳴滝という男曰く、たぶん気のせい

11、グロンギには麻酔銃が効く、神経は人とほぼ同じ

12、人類社会にグロンギは溶け込んでいる?(仮定)

ここまで書いたところで僕は睡魔に勝てそうになくなり、明日に備えて寝ることにしよう。

もちろん9は消しておかないと。

そして、1~8で浮かび上がってくる謎の解明はもう直ぐ出来そうな気がする。おそらく、すべての真実はやはり、僕の両親が死んだその時に隠されているに違いない、父さんと母さんも夢に出てくるなら全て教えてくれたらいいのに、また夢で会えたらいいな、とか思っている内に何時の間にか僕は深い眠りについていたのだった━━━━━━━━

 

 

 

 

夏目実加

 

不思議な場所に私は来ていた、確か私は…大量出血のショック症状で━━━━━━

そうか、そうかな。たぶん死んでしまったのかもしれない。

その不思議な場所をフラフラ歩いていると、いきなり目の前に不思議な光の線が現れた。

「あー、お迎えって奴かしらねー。あぁ…」

私は何となく呟きながら、娘の桜子や一条カオル君の顔を浮かべて小さくごめんねと続いて呟いた。

その光の線を追ってどれほど歩いたのか解らない、よくよく考えてみれば、これほど歩いたのに全く疲れを感じない。寧ろ身体が癒され続けているような…?そんな気がして、少し違和感も感じ始めていた。

そんな矢先、少し先の方で声が聞こえた気がした。

「今の声は…」

私はその声のする方へひたすら足を進めた。

どれほど歩いたのか、前に進んでいるのか、本当はもう立ち止まっているんじゃ、ここはどこなの、何をしているの、私は誰だっけ…?

その疑心暗鬼の私を、やっと目の前に現れてくれた「彼」が救ってくれた。

「…五代君…?」

彼は前を見据え何か別れを終えたそんな表情で私の声に振り返る。

「えっ、実加さん…?」

彼は呼んでくれた、一条カオル君や桜子の親である私を。そうだ、私は━━━そう、夏目実加━━━━

 

それからどれほど五代君と話しただろうか。

他愛もない話だったが、それが本当に楽しかった。

「…どうしたの、実加さん?俺、何か変でした?」

五代君は首を傾げてキョトンとしている、無理はない、日常の話をしていて急に私が笑ってしまったからだ。

私が可笑しかったのはその話ではなく、その話をしている五代君が何となく…もう、とうの昔に忘れてきた「あいつ」、桜子の父親の喜太郎に少し似ている気がしたからだ。

この話を五代君にすると五代君は笑って、

「世界を旅して回ってるってところも俺と似てますよ、俺は世界を飛び越えちゃいましたけどね、会ってみたいな、旦那さんに。」

そう応えてくれた。

「あいつ」は何処にいるのかは解らない、正直生きてんのか死んでんのかもはっきりしない。どうでも良いと言えばどうでも良い、でもせめて桜子の大切な人である一条カオル君の事を知って貰いたいとは少し思う。

一条カオル君と桜子はいずれ結ばれる、そうあってほしい。

「死んでるんだったらせめて、二人を見守ってよね…」

「えっ、実加さん何か言いました?」

私の小言に五代君が反応したが、

「ううん、独り言。死にたくないなーって。」

嘘ついちゃった、ごめんね五代君。

「大丈夫、ここは傷を癒す場所ですから!実加さんもそのうち出られますよ。俺もね。」

実加さんも、俺も。

なるほど、さっき聞いたフィリップという青年の話か、五代君や一条君と似たような「力」を持つ者。

五代君は少し前までそのフィリップという青年とここで出会い、何やら話をしたようでその後フィリップという青年はこの場所から出て行くことが出来たらしい。

五代君曰くこの場所を出るには、傷を完治しなければ出ることは出来ないようだ。つまり私は傷を負い、意識だけこの場所に来たようだ。でも何故?

五代君は結論をこう語る。

「この場所はクウガやグロンギに近しい存在の者も入れる場所なんですよたぶん、実加さんは遺跡の調査や霊石も手にとって調べたりしてましたし…それにグロンギの遺伝子を実加さんが受け継いでいる可能性もあるんです。」

そこからはとんでもない話の連続になった。

五代君がこの世界に実は10年前に来ていたり、その時古代の戦士と死闘を繰り広げ、この世界の謎を聞かされていたこと、そして…一条君はグロンギの遺伝子を受け継いでいる事、そもそも太古の争いには他の場所からやってきたグロンギが関連していて、そのグロンギは人間社会に溶け込んだ、遺伝子という細胞を通して。それが原因で現代にグロンギが現れ始めた、つまりグロンギは人間なのだ。驚くしかないわ、全く。私も「そうなってしまう」可能性があったのだから。

「実加さんや桜子ちゃんが普通でいられるのは、おそらく耐性があったからだと思うんです、しかも最近になってその耐性は増した。カオル君がクウガだから。」

五代君はそう締めくくった。あぁ、一条君、そうか、やっぱり君が居てくれて本当に良かった。

桜子のそばに君が居てくれたから…一条君…いやカオル君、あなたは幸せになる義務がある、私が早く戻って…また元気付けなきゃね、まだまだ…私の娘を渡すには早いんだから、なんてね、嘘嘘。

あぁ、早く戻りたい、戻って二人の顔を見たい。

二人の幸せな未来を見守ってやるくらいしなさいよ…喜太郎━━━━━━━━

私は久しぶりに「あいつ」の名前を呼んだ。

「あっ、実加さん、また光が射し始めてる!」

五代君が笑顔で言い放つ。

「あり、私が先?じゃあさ、五代君、私行くけどさ、早く戻りなさいよ。みんな待ってる、二人の相棒もね。じゃね、お先に!」

この言葉を言い残し私は光を辿って駆け出した。

目覚めたら、開口一番何を話そうか。

桜子、待ってなさい、今帰るから。

カオル君、待ってなさい、背中叩いてあげるから。

二人とも覚悟なさい、あんた達2人を残してそう簡単に死んでたまるもんですか。

なんでかって?それは私が夏目実加、一条カオルと桜子の「おかあさん」だからよ━━━━━━━

 

 

 

 

 

五代雄介

 

「みんな待ってる、二人の相棒もね。」

実加さんはその言葉を残して先に行った。

二人の相棒、「一条薫」と「一条カオル」。

実加さんはこの二人のことを言ったのだろう。

一条さんとカオル君。この二人は似ている、容姿は似つかないが、人としての信念、考え方、そして悩み事も。違うことがあるとすれば、クウガになれるかなれないかだ。

俺は思う。もし一条さんがクウガになれたなら…もしカオル君がクウガになる道を選ばなかったなら、俺はどうしていたんだろうか、どうなっていたんだろうか。

この世界で俺は存分に戦えない状態に陥りカオル君に何度か戦いを任せた時に思った、「俺が戦えれば、俺がもっと強ければ、辛い思いをさせずにすんだのに。」という、悲壮に満ちた重い荷物のような何か。

この世界に来て、カオル君に出会って傷重ねて気付かされたこの思い。

俺のいた世界の「一条さん」はこの思いを抱えて戦ってきたんだと…気付かされた。非力な正義、無力な闘志、残酷な現実に。

一緒に頑張れた、頑張れてこれたのはきっと俺が気付かなかったからだ、本当の苦しみに、一番そばにいてくれたその人の心の「闇」に。

カオル君が気付かせてくれた、本当の「闇」。

あの黒い闇の力を俺は制御したと「勝手」に思っていた、制御なんかできているわけがなかったんだ、俺がここにいるのが何よりの証拠じゃないか。ジョウから頼まれたダイを倒し封印する、つまり殺すという難題を遂行するには本当の「闇」を知らなければならなかった。だから10年前は完全に封印出来なかった。

「見てて下さい、俺の最後の変身」

一条さんに言ったあの一言は、一条さんをどれほど苦しめたんだろうか…今の俺なら解る、本当の人の心の「闇」に気付いた今の俺なら…ジョウの願いを叶えられる。相棒という宿命に呪われたこの戦いと呪縛を俺とカオル君が終わらせる。

きっとやれる、心の「闇」=戦えない者の思いを知った俺なら━━━━━━

そんな事を考えながらふと、横を見ると再び外の世界の映像が流れていた。

「これは…!?この数はいったい…!?」

その映像の場所はおそらく栄水遺跡に繋がる山道の中腹の公園だろうかと思う。

10…20…30…グロンギだけじゃない…何か白黒の骸骨みたいな怪人もいたような…?

なんだこれは、遂には映像の主観であるカオル君が変身したようだった、遅れて士君=ディケイドも現れた。これは多勢に無勢、分が悪すぎる。いったい何が起こっているんだ…!?

「まさか…士君の言っていたあれか!?」

大きな戦い、それの可能性が高い。

まずい、さすがに二人だけじゃ!!

その時、辺り一面が青空色に染まりだした。

「これは…」

少し先に光の空間が現れ、そしてその場所に身体が今まで感じたことのないくらいの軽さになり落ちているのか、飛んでいるのか解らないが、少しの違和感と共に吸い寄せられていく。

「よし、行ける!」

俺は戦う、誰かの笑顔のために、そして、自分の心の「闇」に立ち向かうために。

「待っててくれ、カオル君!今行くよ、変ッ身ッ!」

その光の中に吸い込まれながら、俺はクウガに変身する、俺は…五代雄介、「仮面ライダークウガ」だ!!

 

 

 

 

夏目桜子

 

母を病室に残し、私は自宅へと帰った。

「ただいまー。」

その私の声に帰してくれる人は、最近は誰もいない。晩御飯はもう、病院で済ましているし、とりあえずテレビをつけてソファーに寝転がり、ぼーっとニュースを流し見る。

世間は専らグロンギや仮面ライダーの話題で持ちきりだった。

「仮面ライダーは人類の敵か味方か、どちらにせよ驚異の能力の持ち主で未確認な生命体で…」

などと、専門家か何か知らない中年男がそう語っているのを私は憤りを感じながら、テレビの映像を見ている。今は何時だったか撮影されたカオル…クウガとグロンギの死闘の映像だ。

あんな風にカオルは戦ってるんだ、独りで。

私は何もしてあげられない、グロンギ出没の頻度が増した今日は会話をするのもままならない。

昔はそばにいるのが当たり前だったのに。

どちらからというわけもなく、気付いたら何時の間にか2人で一緒にいた。春も夏も秋も冬も。そう、それが当たり前だった。

「寂しいな…」

自分の呟いたその一言にはっとさせられる。

母が意識を取り戻したことに気が緩んでいるんだろうか。

私がカオルに恋心を抱いたのは、何時だっただろうか?小学4年生の時に、同級生にいじめられてそれを真っ向から批判し私を守ってくれたとき?それとも中学2年の時、カオルのご両親の葬儀の時に、私に言ってくれた「僕には桜子がいるから」?まさか、高校三年生の時にクラスの連中に色々と冷やかされたときに「好きだから側にいるんだ、文句有るか!?」と野次馬達を一蹴したあのとき?

ふふ、いつだってそう、カオルは私を考えてくれてた、そして私もカオルのことを考えてきた。

子供の頃はこの気持ちがよく解らなかったりした。今ならハッキリと解ってる、私は一条カオルの事を愛してる、好きというキモチだけでは伝えきれない、誰かのために必死になっているカオルの顔が私は大好きで愛おしい。だからせめて、わがままになりたい、カオル…少しで良いから顔を見たい、辛かったら私の前で泣いてほしい、少し大人になったこの心のわがままをどうか聞いてほしい。

一滴の水滴とともに私は独り、テレビをつけたまま、そのまま眠りに落ちてしまった━━━━━学生時代の思い出とともに━━━━━。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?それぞれの人物にスポットを当てたオムニバス形式で書いてみました、次回は遂にライダー大戦に関連するお話です、頑張るぞー!
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