一条カオルと、五代雄介の別々のストーリー…二人のクウガの物語を是非お楽しみ下さい。一条カオルsideにはジン・ケイスケが再登場、仮面ライダーフィフティーンも登場。五代雄介sideは着々と「一条カオルがクウガ」の世界の謎が人類の手により解明されていき、黒幕の魔の手が少しずつ近づいています。でわでわどうぞ。
一条カオルside
海岸沿いを走って30分程過ぎただろうか。
いったん気を落ち着かせるため、何となくだがバイクのエンジンを止めて防波堤へと徒歩で向かう。少し先に灯台も見えるこの場所はなかなかの美しい景色だ。
世界を越えた感覚はあまりぱっとしてはいないが、いざ知らぬ土地で独りになると、少し心細くなる。
「綺麗な景色だなー。カメラ持ってくるんだったなぁ。」
そんな独り言も潮風と波の音がかき消していく。
先程の戦いが嘘のようだ、なんて感傷に浸っていると、何やら悲鳴のような声が…その声がした方を見ると、少し離れた反対側の防波堤を走る一人の女性を発見した。しかもその女性を追っているのはショッカー怪人のようだ。女性が走る先はもう行き止まりの他無い。
「ったくまたか!?休む間もなしかよッッ!!!?あぁもうっ!」
女性とショッカー怪人を追って僕は走り出し、霊石を腹部に発現させる。
「一気に追い付くしかないか…なら!!!これだッッ!!!」
尚も防波堤を走り逃げる女性を視界に捕らえ僕は叫ぶ。
「変身ッッ!!!」
走りながら「緑」のクウガに変身し、翼を広げ海原を飛び出し、ショッカー怪人の群に向け奇襲を仕掛ける。
「超変身ッッ!!!」
空中で「赤」のクウガに変身し、ショッカー怪人の群に前回転しながら急降下する。
「喰らえッッ!!!ハアァッッッ!!!」
「イイーッ!?」
渾身の蹴りを打ち込み、ショッカー怪人の群れを一掃し、残りも僅かになった。
「こういう戦い方も有り…かな。」
「緑」で空高く舞い「赤」で蹴りを打ち込む、これは今後もかなり使えるハズだ。
と、考えたのも束の間、僕の前に取りこぼしたショッカー怪人数体と、その後ろに控える謎の男が現れ臨戦態勢を取った。後ろには女性が息をあげて今にも倒れそうになっている。その女性にそこを動くなと指示し、僕はショッカー怪人数体と謎の男に対峙する。
「お前は…仮面ライダークウガ…だな。」
ショッカー怪人達の前に立った男が僕に問う。
「そうだよ、で…あんたは?」
謎の男は変わった剣を左手に携え、右手に持った骸骨の顔をした何かを握る。
「俺は…仮面ライダーフィフティーン…」
と、同時に骸骨の顔をした何かから電子音が発せられ、腰のベルトに装着された。
「仮面ライダー…だって…!?」
僕は耳を疑った、仮面ライダーは…人類の味方ではないのか!?
「さて、小手調べと行くか、平成ライダー…仮面ライダークウガッッ!!!」
目の前の謎の男は仮面ライダーフィフティーンに変身し、僕に切りかかってきた。
「なっ!?」
とっさの事に焦ったが何とか横に転がり、その一撃を避ける。
「イイーッ!!!」
ショッカー怪人達も攻勢に出始め、やっかいな戦いが再び始まった。
「ショッカー怪人達を先にやるか…超変身ッッ!!!」
僕は「赤」から「青」になり、速さを活かし一体、また一体と確実にショッカー怪人達を仕留めて行く。
「小賢しい事を!!!」
フィフティーンの一振りの剣が僕の肩を少しかすめ、そこから出血したのが解るくらい痛んだ。
肩を押さえながら、立ち上がりフィフティーンの次の一手を避けるべく、後方に飛ぶ。
正直マズい…武器になる物がないからな…どうすれば…
「その程度か?仮面ライダークウガ…とどめを刺させて貰う。」
フィフティーンは剣を振りかざすと、そこから黒い靄のような物が立ち込める。
どうする…あれを避ければ…間違いなく女性が犠牲になる…盾になれば…僕は…
“…必ず帰ってきてよね、カオル!!”
その時、僕の脳裏に桜子の声が響き渡る。
そうだね、桜子…生きて帰らなきゃ!!
「オラァッッ!!!」
フィフティーンが剣を地に突き刺すと、地割れが発生し、そこかは爆発が起こり、その爆発が迫り来ると同時に僕は意を決し振り返る。
「ごめんね!!!ちょっと我慢して!!!」
「えっ?!」
と、後方の女性に走り、そのまま体ごと担いで「赤」から「緑」に変身し、宙を舞う。そのまま少し離れた場所にあったバイクまで一っ飛びして、バイクのエンジンをかけ、女性を乗せて僕はバイクとともに走り出す。
「生きるためには…逃げることも必要って事か…悔しいけど…」
いきなりのことではあるが全速力で走り去る僕たちをフィフティーンとショッカー怪人達は追ってこなかった。
ひたすらにバイクを走らせて20分ほど経っただろうか…もう追っ手はないはずだ、たぶん。
「あのっ!!!」
後ろに乗っていた女性が僕に話しかけてきた。
「何~?」
僕は疲れからか意識が少し朦朧とし始めていた。
「あのっ、肩!!!血が!!!」
あぁ…そういえば…忘れてた。僕怪我してたんだ。
バイクを止めて、降りた瞬間僕はフラついて座り込んでしまう。
「ちょっと出血が多かったせいかな、でもちょっと休んだらこれくらい大丈夫だよ?だって…僕ク…ウガだ…」
そこで僕の意識は遠退いていった━━━━━━━━━━。
遠のく意識の中で僕が見たものと言えば、たぶん…五代さんとあちらの【一条さん】が2人で他愛もない話をしている夢だった━━━━━━━━。
「……ん?あっ。」
目が覚めると、真っ白な天井と、襲われていたあの女性…というより中学生…高校生くらいの女の子の顔が割と近くにあった。桜子に見られたら生きていられるか心配なくらいに。
「ごっ、ごめんなさい!」
女の子はとっさに離れ平謝りすると、横にある椅子にちょこんと座る。
「あー、いや、大丈夫。で…ここはどこ?僕、気を失っちゃったよねたぶん。」
女の子はコクリと頷く。
「ありがとうね、君が一人でここに運んでくれたの?」
「えっと…私じゃないんですけど、乾さんっていう人に運んでいただきました、お兄さんが倒れた場所からここは結構近いんですけど…ここ私の自宅なんで…」
「そっか…乾さん、その乾さんはどこにいるの?せめてお礼を言いたいんだけど…」
「あー、それはちょっと。乾さんはまた来ると思います、気紛れな方なんで。」
「そう…いないのかー、残念。」
窓の外を見ると夕刻のようで海岸沿いに日が沈もうとしていた。
「あの…私マリって言います。お兄さんは?」
「あ、自己紹介まだだったね、ごめん。僕は一条カオル、見られちゃったから隠す必要無いか、僕は仮面ライダー…クウガなんだ。驚いたでしょ?」
マリは少しうーん…と考えるような仕草を見せ、
「そんなには…私の身近にも仮面ライダーはいますから…」
「えっ!?」
僕の声にマリは驚いたようで身体をビクつかせた。
僕の声が外にも漏れたようで、部屋に初老とまではいかないが、渋い白衣の男性が入ってきた。
「目覚めたか、元気そうで何よりだ、良かった。」
その白衣の男性の一言と同時に僕の脳にあるワンシーンがフラッシュバックした。
この人どこかで…
「ん、どうした?」
僕はその白衣の男性の顔をマジマジと見つめ、記憶が少しずつ鮮明になり始める。
「…ケイスケ…ジン…あっ!!!そうだ!!あなたはジン・ケイスケ先生!!?」
そうだ、瀕死の夏目博士を救ってくれたあの医師、間違いない、あの時のジン・ケイスケ先生だ。
「どこかで会ったか…?ん、ん…ああ、君はあの病院で会った?」
「はい!」
「そうか!あの時の…彼女は回復したかい?きっと良くなってるはずだが。」
「はい!あの時は本当に━━━━━━」
そこからはジン・ケイスケ先生といろいろな話をした。それをマリは楽しそうに見ていた。そして日は暮れていくのであった。
しかし僕は重大なことを忘れて見落としてしまったのだ。マリの言った…身近に仮面ライダーがいるという話を、そしてマリが何故、フィフティーンやショッカー怪人に狙われたのかを━━━━━━━━。
五代雄介side
カオル君が旅立った直後だった。カオル君から預かったスマートフォンに着信があったのだ。電話主は杉田さんだった。
「もしもし、えっと、五代です!」
慣れない手つきで何とか電話に出ることが出来た、技術の進歩ってすごい。
「五代君か、一条君は?」
「あ、士君と旅に出まして。俺が携帯預かってるんです、何かありましたか?」
「あぁ…例の件か…。解った、あぁいや、急で悪いんだが、グロンギの件で協力して貰いたいんだが、今から署まで来てもらえるか?」
「解りました!すぐ行きます!」
俺は二つ返事で、杉田さんのいる警察署までバイクを飛ばした、ちなみにこのバイクはトライチェイサーとは似つかない、実加さんの旦那さんが遺していった、ロードバイクだ。快く実加さんが貸してくれた物だった。
「実加さん、俺ちょっと杉田さんの所に行ってきます!バイク借りますね。」
「あぁ、輝ちゃんも呼び出されてたわね、わかった、いってらっしゃい!」
そう実加さんに送り出して貰ったときは、何かちょっと新鮮な気もした。
バイクを走らせること20分、何とか署に辿り着いた俺は(何度か道に迷った)駐輪場にバイクを止め足早に署内に向かう。
「おう、五代。帰ってきたのは本当だったよいだな。」
署に入った矢先、見知った男性が話しかけてきた。
「椿先生!お久しぶりです、五代雄介帰還いたしました!で、椿先生も杉田さんから連絡が?」
「あぁ、何やら見てほしいモノがあるとか。」
「…なるほど。」
「とりあえずあいつは二階の会議室らしい、行くぞ。」
「はい!」
二階に向かう途中壁に微かに穴の空いた跡があったり、剥がれていたりしているのを見て思い出したが、グロンギの襲来を受けてからこの署はそんなに時間は経っていないのだ。
「カオル君、俺がいない間ここでも戦ってたんだよなー。」
俺のつぶやきに椿先生は気付くことなく淡々と足を進める。
二階の会議室に入ると杉田さんを含めた数人の刑事さん達と、輝ちゃんが何やら資料を広げ話し合いをしていた。
「おう、椿と五代君来てくれたか、早速だがこちらへ来てくれ。」
杉田さんと輝ちゃんが手招きで迎えてくれた。
広げられた資料を拝見すると、グロンギに関する資料と古代文明の文字及び歴史の詳細が記されていた、俺がいない間、捜査や研究は著しく進んでいるようで感心してしまう。
「五代さん、この文章読んでもらえます?」
“光と闇の戦士現れるとき世界は災厄に見舞われ、恐怖と悲しみと絶望、そして悪しき欲望がヒトを変貌させる”
“ヒト成らざる者は力を求め、血肉の争いに明け暮れる”
“悪しき心を持たぬ者、それを人々はクウガと呼び、何時しか神と呼ばれるようになる”
“2人の神は天と地、光の雨と闇の焔と対する存在になり果て、血肉の争いは光を持って集束する”
“ヒトは戒めのため、神を祭り後世に希望をそして絶望を残すことに始終する”
“対なる神再び目覚めし時、ヒト成らざるモノ現れ、その力は時を経て受け継がれ、神もまた受け継がれる”
“光の神、己心と五大の力目覚めしとき、聖なる力に目覚めん”
“闇の神、罪念と執念の焔に再思の時、ヒト成らざるモノと共に目覚めん”
つまりこの文章は、ジョウの言っていた過去の話のアレだ。光の神=現代にそれを受け継いだのはカオル君。闇の神=永き眠りから目覚めたダイ。
そして、ヒト成らざるモノ=グロンギ。そのグロンギは力を求めた元はヒトということ。カオル君が感情の変化で身体の色が変わると言っていたが…それについては何も記されていないのか…それでも情報としては充分だ、つまり…カオル君はいずれ…「本当の姿」に覚醒するときが来る。
「すごいよ輝ちゃん、ここまで調べ上げるなんて!」
「頑張りましたよー?もうお肌ガサガサですし…」
輝ちゃんは目を細めながら、今にも泣きそうな顔でそう言った。これはスルーするしかない。
「それでだ五代君、この写真見てもらえるか?」
杉田さんが俺に見せた写真には2体の焼死体だった。それもグロンギの。焼死体…?
「これは…燃えたんですよね?」
「あぁ、それも極度の高熱で発火し、焼死したようだ。グロンギ同士でやり合ったならともかく、こんな事を出来るグロンギが他にいるんだとすれば…正直警察官に対抗できる相手じゃない、悲しい話だが。」
違う…こんなことが出来るのは…
「闇の焔…違いますか五代さん?」
そう、呟いたのは輝ちゃんだった。
「その可能性は高い…たぶん、カオル君に対する存在のもう一人のクウガの仕業だ…」
俺が呟いたクウガと言う言葉に、会議室にいる全員が言葉を失ってしまったのを…俺は見逃すことが出来なかった━━━━━
と、その時。
【小野寺地区にてグロンギ数体が出現、グロンギ対策本部は直ちに出動して下さい。】
署内の緊急アナウンスが流れ会議室は慌ただしくなる。
「五代君!」
「はい!行きます!」
杉田さんの声で我に返り、俺は足早に会議室を出て、小野寺地区に向かう。恐らく小野寺病院の近くだろうか。
パトカーが向かう先を追い、たどり着いたその場所で三体のグロンギが争いあっているのか、取っ組み合いになっていた。
その近くに座り込み泣いている女の子がいることに気付き俺はその子に駆け寄る。
「大丈夫!?怪我してない!?」
「…うん…でも…怖いよぉ…」
その子を抱え、物陰に隠れさせる。
「もう少ししたらお巡りさんが来るから、我慢してここで待ってて!」
「…わかった…おじさんはどこに行くの…?」
「おじさんかー…おじさんはね、今から君の笑顔を取り戻しに行ってくるよ、だからまたね!」
俺は女の子にサムズアップをしながら答えると、そのままグロンギ達に走る。
「一条さん、カオル君、俺はまだまだ頑張りますよ!」
走って向かってくる俺に気付いたグロンギ三体。
走りながら俺は叫ぶ。
「変身ッッ!!」
その俺の姿をあの女の子は見てしまっただろうか…
この姿をどう思ったんだろうか…俺はそんなことを気にしながらも、目の前の敵に立ち向かっていく━━━━━だって俺はクウガだから━━━━━━
サムズアップを女の子に向け颯爽と去っていく中年の五代雄介をイメージとして脳内で描いていただけたなら嬉しい限りです、もちろん空は青く澄んでる感じで(笑)
次回はまた1ヶ月先になるでしょうか…早く書きあがればすぐ更新します、頑張ります!
一条カオルside予告
ジン・ケイスケとマリに介抱され復活したカオルの前に乾巧という男が現れる。カオルが倒れた際にジン・ケイスケの元に運んでくれた張本人だった。その直後マリが再びショッカー怪人及びバダン帝国の襲来を受け、乾巧=ファイズが応戦、ジン・ケイスケ=Xも現れ、怪人たちを一蹴するが━━━━━
五代雄介side予告
三体のグロンギに手を焼く五代雄介=クウガ。
刑事の杉田や、医者の椿のアドバイスを貰いながら応戦し、孤高の戦いを繰り広げる。しかし…五代雄介=クウガに本当の闇が近付き始めていた━━━━━━