仮面ライダークウガ-青空と笑顔の戦士再び-   作:芹沢春輝

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青空の足跡
青空の足跡①


五代雄介side

 

 

ダイは俺に語る、正直ダイの話を鵜呑みにしていいのか自信はない。

ただ、ダイの語る話で辻褄が合う事がたくさんある。

「そろそろ頃合だから単刀直入に言おう、ジョウは記憶を操作、及び消去出来る、光の戦士には総てを〈浄化〉する力があるからだ、それがすべてだ。ジョウがお前に語った話があるだろう、あれが総て嘘だという訳じゃない、真実も話していただろう。しかし10年前の栄水遺跡の中で起こったあれは…」

確証は何もないが、これが真実なら、前にジョウが俺に説明した過去の話…俺とジョウが共闘しダイを封印したあのことも偽りだとしたら。あれが偽りだとしたら…いくつか辻褄があうことがある。

まず一つ目、カオル君の両親の死の真相。

「一条カオルの両親があの遺跡の棺及びアマダムの〈扉〉を開き、お前を導いた、〈扉〉は同時に俺やジョウの封印を解く鍵でもある、俺より先に目覚めたジョウはお前を俺と勘違いした、同時に憎んでいる人間=リントの2人を殺そうとし、お前はジョウと戦った、一条カオルの両親を守るためだ、しかしジョウはあることに気付いたんだ、一条カオルの両親にグロンギの気配があることに、そしてジョウは2人に〈光〉を浴びせ、人である記憶を抹消し、2人はグロンギとして、お前を襲った。なぜか?簡単だ、遺跡の石版に記されていたはずだ、〈光〉と〈闇〉の戦士の殺し合いがあったと、何もクウガだけに〈光〉が〈闇〉あったわけではない、望んでグロンギになった奴らにもその両極があったんだ。つまりお前は〈闇〉の戦士として戦う力を持つもの、〈光〉より生まれたグロンギがお前を襲うのは致し方ない話だ、そしてお前は追い詰められ、瀕死に陥る、そこでようやく俺が目覚め、一条カオルの両親を焼き払い、ジョウを封印するため再び戦った、そして俺はジョウを倒した…しかし目覚めて間もない俺にジョウを殺せるほどの力はなく、再び棺に封印するしかなかった、ジョウを担ぎ棺に入れようとしたその時、ジョウは俺に〈光〉を浴びせようと最後の力を振り絞り足掻いた。その時瀕死だったお前が俺を庇い、その光を浴びた。お前の記憶は書き換えられ、お前は黒のクウガに覚醒し、俺はお前と戦った。何とかお前の動きを封じ、倒すべきかどうか悩んだが、俺の入っていた棺に封印する事にしたのさ、何故か?ここからが重要だ。」

ダイはそっと空を見上げ、続けた。

「ジョウが居なくなっていた、霊石だけを残して。どこに消えたのか…あの時は理解できなくてな、霊石をお前と一緒に棺の中に入れた、そうすれば秩序は保たれるはずだから。そして俺は一条カオルの両親=現代の人間たちにグロンギの遺伝子が引き継がれていることを知ってしまったが故、それから今まで約10年この世界を旅していた。過去に起こったあの悲劇を二度と起こさせないため、グロンギが現れれば俺が倒そうと、一人行動していたのさ。」

ダイは話すことをやめ、俺を睨むように見てきた。

そして同時に俺がこのダイの話を信じても良いかもしれないと思った2つめの理由が沸き起こる。

「俺がふらふらしながらつい最近目覚めグロンギの気配を察知し街を歩き再び遺跡に戻った、あの時ジョウの霊石を俺は棺に置いたままにしてしかも人目に見えるところに置いてしまったから発見された…?」

ダイはそれだけではないと付け足す。

「これは俺の甘さが生んだことだが…あの霊石にジョウが眠っているんだよ。いや…眠ってなんかいねえ…ジョウは己に〈光〉を浴びせ、霊石の中に消えたんだ、再び復活するために。」

「まさか…そんな…」

「間違いないさ、〈光〉の空間でお前はジョウに会っただろう、それ以外の場所でも会っているかもしれないが。」

「あの閉じ込められたら場所が…!?確かにジョウに導かれ入ってしまったけど…まさかジョウはあのまま俺を閉じ込めるつもりだったのか!?」

「だろうな、しかしイレギュラーな存在がお前を救い出した。」

フィリップ君や実加さん…みんながいたからか。

「ジョウの狙いはもう解っただろう。」

「ダイ…君の言うことが本当だとしたら、確かに辻褄があうことがある、だけどそれだけじゃ信じられない、君はカオル君を攻撃したことが有るじゃないか?」

「一条カオルを殺せばジョウの復活は無いと思っていた。最初はな。だがあの時、一条カオルをぶっ飛ばしたときに気付いたんだよ。」

「どういうことだ?」

「一条カオルを殺せば、この世界は闇に包まれる。俺が生きている以上、この世界の秩序は乱れたままなんだよ、それにグロンギが再び現れたんだ、クウガが多いことに越したことはない。」

「だから…カオル君と俺を殺さず、少しずつ俺やカオル君に強くなってもらいグロンギを共に倒す、カオル君が覚醒して、ジョウが復活すれば俺と2人で止めれば…と…そうかあれは…カオル君と出会った頃俺の調子が悪かったのは…クウガとして覚醒していた頃の記憶が曖昧で、体がついてきていなかったってことか!!」

「だろうな、それで変身出来なかった、ってのと。あとはジョウが何かしらの方法でお前に攻撃していたんだろうと思う。何せ〈光〉の霊石そのものになりやがったんだからな。」

「でも…なんで俺を…?」

「一条カオルに早く覚醒してもらうためだろう、強くなってもらい、己の身体として奪うつもりなんだろう、記憶をいくらでも書き換えられるんだ、クウガとして完全に覚醒したときに身体もろともってな。」

「それじゃ余計カオル君を戦わせるわけには…」

「いや、一条カオルに強くなってもらって、ジョウを引きずり出し今度こそしとめるしかない、今はもうあの霊石は〈光〉のクウガになるためのものではない、一条カオルは世界を脅かす脅威を背負っている、一条カオルを殺せばあの霊石は次の誰かに受け継がれる、負の連鎖は終わらない、霊石ごと消すしかないんだ。」

「〈消す〉ってつまり…それはだめだ…ッッそんなことは…」

俺はついにダイの狙いが解ってしまった、そうダイがカオル君を殺さなかったのは。

「それしかないんだ、一条カオルが〈光〉の戦士として覚醒し意識をジョウに乗っ取られる前に〈光〉を自らに、及び俺とジョウにも浴びせ〈消す〉。」

「そんな…カオル君は…自分が消えるために強くなるってのか!?そんなの間違ってる!何か他に方法が…それにグロンギを倒す存在がいなくなってしまう…」

「五代雄介、それはお前が一番知っているだろう、俺は旅をして知ったが…〈仮面ライダー〉がいる。この世界を託せる戦士が他にもいる、俺がお前に致命傷を負わせた理由はそれだ、お前はこの世界の戦士じゃない、俺たちは俺たちの戦いを終わらせるべきだ、お前も早くもとの世界に━━━━━━━━」

 

このあとも少しダイと話をしていた、納得できたことがあるとしたら、何かを思い出そうとする度、自信の記憶に靄のようなものがかかるあれはダイの言う話を照合すると、それに当てはまる…それと気になるのは、ダイがカオル君の両親を殺したと言ったが、何故ダイはあの二人をカオル君の両親だと知っていたのか…だけど、いやだからこそほとんど耳に入ってこなかった、何故ならば、そう。もし仮にダイの話が真実であるならば。カオル君が真実を知らずに今もなお強くなろうとしている、つまりそれは強くなればなるほど、彼は━━━━━━

 

 

その日グロンギ出現の情報はなく、再び病院に戻り椿先生の診断を受け無事が確認され(回復力が向上しているようだ)、俺は実加さんの研究所に戻ることになった。

「あ、五代君おかえりー!」

実加さんが書類を両手に抱えながら出迎えてくれた。

「うわ、何ですその資料の山、手伝いますよ。」

ありがと、と実加さんが俺に渡してくれた資料は少し茶色に汚れている部分があった。

「これって…」

実加さんは、あぁこれねーと笑顔で言うが、これは実加さんの研究所が襲われたとき、実加さんが桜子ちゃんを庇って傷を負った時に流した血のあとだった。

そうか、そうだよ。

カオル君。

ダイが言っていた話が本当だとしたら、だとしてもだ。

君を死なせたくない、死なせるわけにはいかない。何か…何か他に策は…

一条さん、俺どうしたらいいですか。

「中途半端に関わるな。」

実加さんが呟いた一言に、俺は固まった。

「まーた五代君難しい顔してたよ?最近の一条君…カオル君と同じ顔してた。」

「すみません、俺。らしくないかなやっぱり?」

はぁ…とため息をついた俺に笑顔で実加さんは

「私の元旦那様とカオル君の両親がね、夢の中で私に言ってきたんだ、“中途半端に関わるな”ってね。あれってたぶんカオル君と五代君を助けてやってくれって事なんだろうなって今なら思う訳よ。」

「へぇ、そんな夢を?」

「私ってさこんなだからさ、力になれることがあるとしたら何だろうなって、二人のために何ができるんだろう、遺跡を調べて文献を読み解いてそれでって思ってたわけ。」

「実加さんは研究者だから…それのおかげで俺もカオル君も…」

「でもさ、今五代君が難しい顔してた時思ったんだよね、私に出来ることはそれじゃない。私のする事はここで、この場所で“おかえり”って2人を出迎えてあげることなんだって。」

「実加さん…」

「だから五代君、五代君は五代君にしか出来ないこと、するべきことをすればいいんだ。君らしい事があるとしたら、それしかないよ。」

実加さんのその言葉で俺は今、長い〈眠り〉からようやく醒めたのかもしれなかった。

“中途半端に関わるな”一条さんが俺に言ったあの一言はこれほどまで重みのある言葉だと再び知らしめられた。

「実加さん、俺ちゃんと関わりますから。大丈夫、俺もカオル君も大丈夫!」

俺は右手の親指をグッとたてて笑った。

そうか俺らしいってこうだったんだ。

「んじゃあ夕飯!俺作りますねっ!」

「あっ、その事なんだけど。」

「はい?」

「2人で食べに出ようじゃないか、ね?」

「いや、俺が作りますよ?中入りましょうよ。」

実加さんは顔を赤らめ、上目遣いで語る。

「今夜は帰りたくないの。ね、五代君?」

「えっ、いやあのっ、えっ?」

俺が実加さんの言葉に動揺していると研究所の中から桜子ちゃんが出てきた。

「あ、お母さん何してんの?あれ?五代さんおかえりなさい!ちょうど良かった、今夕飯出来たんで、五代さんも食べましょうよ?」

俺の後ろに隠れながら実加さんはぼそぼそと、帰りたくない、食べたくない、死にたくない、とそう呟いていた。

とりあえず、覚悟はしよう。桜子ちゃんの奇跡の料理、神秘的で視覚や聴覚総てを刺激し幻覚、幻聴が起きると言われている。

大丈夫!俺クウガだし!

俺と美加さんは中に入るなりポケットに胃薬を忍ばせて戦いへと赴いていくのだった━━━━━

 

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