仮面ライダークウガ-青空と笑顔の戦士再び-   作:芹沢春輝

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約何年ぶりかの時を経て復活ッッ


青空の足跡③

━鳴滝、葛城喜太郎の真実━

「…驚いたかね、私の正体に。」

鳴滝さんは尚も続ける。

「この姿になったのはいつ以来だろうか…25年ほど前か…」

「25年ほど前…?それってまさか…」

僕は何故だか解った気がした。

「察しがよいな、そうだ。私が実加の前から姿を消して以来だね。」

「遺跡の中で何かあったんじゃないかって僕は思っていました。鳴滝さん真実を教えて下さい!」

僕の問いに姿を元に戻しながら鳴滝さんは頷いた。

「遺跡の研究者だった私はある日いつものように遺跡の中を調査していたのだ。そしてとある棺に触れた。棺は保存状態が悪く国から触れることを禁じられていたのだが…何故か私は触れた、いつの間にか触れてしまっていた。そして、自分の中の黒い何かが私を包み込み、気付いた時にはあの姿になっていた。」

黒い何か、おそらくグロンギの遺伝子が活性化したんだろう。元からグロンギの遺伝子を鳴滝さんが引き継いでいて、それがあの棺の中のダイの力に刺激されたとすれば…グロンギに覚醒した理由としては間違いない。

「私は…私の世界の破壊者なのだよ。君が暮らすクウガの世界の破壊者、ダグバは…私なのだ…」

声をつまらせながら鳴滝さんはそう答える。

「破壊者か、鳴滝。俺とお前の共通点はそういう事か。」

夕焼け空を眺めながら士は呟く。

「門矢士、ディケイド。破壊者である君だからこそ解るだろう?壊したくないのだ、ただ守りたい、それだけなのだよ。」

「ふん、なるほどな。お前が俺を追ってきていた理由がようやくわかった。俺がお前の世界に介入することを阻止するためか。」

「そう、だがしかし君はディケイドは介入してしまった。君の介入が1つの要因として、別の世界のクウガが介入してしまうという、悲劇の始まりを生んだんだ。いや…もとはと言えば、私の研究論文が悲劇の始まりだったのかもしれないな…」

そこで僕はある1つの案件を思い出した。

「もしかして、僕の両親が調べてた遺跡の件が関わってるんじゃ?」

「まさか…君の両親が私の研究を引き継いでいるとは思いもしなかったよ。そう、古代のヒトとグロンギの戦いの歴史の碑文だ。そして、二人のクウガの再誕、ヒトのグロンギ化の謎もその碑文の研究が関わっている。」

やはりか…解ってはいたが僕はクウガに〃ただなった〃のではなかった。〃なるべくして〃なったということだったんだ。

「だいたいわかった。鳴滝、今回の件はお互い協力して立ち向かうってのでどうだ。俺はカオルに借りがある、否応なしに俺はカオルの、鳴滝、お前の世界に介入させてもらう、五代雄介にもなるべく早くもとの世界に帰ってもらわなければいけないんでな。」

「おのれディケイド…と、言いたいところだが。まさか君と手を組む日が来ようとはな。だがしかし…私はあの世界に滞在してはならないのだ、ディケイド君なら解るだろう?」

「ダグバの力に引き寄せられてヒトのグロンギへの覚醒に拍車をかける可能性があるわけか。」

「無論だ、だからディケイド。君に最初で最後の頼みがある。」

「その頼みは、俺が聞くべきではないな、カオル、お前が決めろ。」

「鳴滝さん…まさかその頼みって」

「私を殺してくれ。今でなくて良い、すべてを終えたとき最後に私を君の手で。」

僕は声を荒げて答えた。

「そんなことできませんよ!あなたは桜子の父親で僕の義理の父です!そんなこと…」

「急がなくて良い、君が答えを出したとき、私は再び君のところへ現れる。本当にすまない一条カオル君、私は私にはそれしか━━━━」

それを最後に鳴滝さんは時空の波へ消えていった。

 

「士、僕は鳴滝さんを殺すなんて絶対にしない。もし士が鳴滝さんを倒そうとするなら僕は士を倒す。」

「上等だ、だが、生憎俺も鳴滝を倒すつもりはない。今はな。とりあえず、お前の世界に帰るぞ━━━━━」

その言葉と同時に僕も時空の波へ溶け込み、気付くとそこは見慣れた町並みで、空は夕焼けで赤く染まっていた。が、しかし、逃げ惑う人々の悲鳴が僕を走らせる。

「もう、こんな悲しいことのために、誰かの涙は見たくない!士、僕行ってくる!変身ッッ!」

士を一人残し僕は人々の波を掻き分けその先を目指す。

 

-超変身、夏目桜子、五代雄介-

昨日の夕飯ではポケットに胃薬を忍ばせ´´戦いに´´挑んだ俺と実加さんだったが、ちょっとした奇跡が起こっていた。

桜子ちゃんの料理はなかなかの強敵で俺も苦戦を強いられるはず、だったんだけど。

その桜子ちゃんの料理がとても美味しかったのだ。

実加さんなんか、「あれ?あたしの味覚がおかしいのかね?美味すぎるんだけどなぁ」とか、「実は出前だったり…」とか、小声で呟いたりしていた。

「桜子ちゃん、これ美味しいね!何か隠し味とか?」

特に美味しかったのはカレーだ。カレーなんて誰でも作れて、とか、思うかもしれないけど。このカレーは明らかに俺のおじさんのカレーよりも絶対に美味い。

「んー、実はちょっと前から料理を覚えるために勉強してて。で、カオルが好きなカレーからまず極めたいなって。ほら、カレーって作った次の日からさらに味が深まるって言うじゃないですか?だから…カオルが無事に明日帰ってきたら、カレーを少しでも美味しく食べて貰えるかなって。私に出来るのはこういうことなのかなって思って。」

最近みんなで撮った集合写真のカオル君を見つめながら桜子ちゃんは語った。

「大丈夫。桜子ちゃん、カオル君は明日必ず帰ってくる、このカレーをちゃんと食べてもらわないとね!」

桜子ちゃん笑顔は少し元気がなかったが、大丈夫。カオル君は帰ってくる。大丈夫━━━━

そして明くる日の16時過ぎ、俺は杉田刑事に電話で緊急で呼び出された。場所は市街地、しかも人が溢れ変える日曜日の夕刻前に´´奴ら´´が現れた。

「変身ッッ!」

行ける、とりあえず俺はクウガへの変身は出来た。これでどこまで戦えるのかわからないけど。

´´奴ら´´は計、二体。どちらも鞭のようなものを携え暴れまわっている。

俺は一体に攻撃を仕掛けるが、なかなかの早さでその一撃を交わされる。

「赤では駄目か…ッッ」

今の俺に色を変える力があるのだろうか?いや、悩んでる場合じゃない、やるしかない。

「超変身ッッ!」

俺の体は少しずつ色を変え始め、それは青に変わる。目の前に落ちている破壊された木片を手に取るとそれはロッドへと姿を変えた。

「行けるッッ!」

俺は一撃一撃を確実に決めていき、次の瞬間にはその1体は爆発し、倒すことに成功した、が、まだ1体残っている。その1体が、鞭のようなものを仕掛けてくるが、俺は確実に避け反撃のチャンスを伺うが…

背後に何か気配を感じ、振り返ると10体ほどの´´奴ら´´がこちらに歩み寄ってきていた。

気を取られた俺は鞭の一撃を食らい、倒れこんでしまう。立ち上がり見回すといよいよ囲まれるような形に…

まずい、この数はさすがに…

目の前の1体は鞭を力強く振り上げさらに追い討ちを仕掛けてくる、その瞬間。

「伏せて!五代さん!」

真っ赤な夕日の中から1つの光が帰って来た。

空中で1回転し、鞭の一体に蹴りの一撃を入れ、その一瞬で彼は倒してしまった。

「遅くなりました、五代さん。すみません、大丈夫ですか?」

「大丈夫!だって俺たち、」

「「クウガだからッッ!」」

次の瞬間には俺たちは駆け出し取り囲む´´奴ら´´1体1体を確実にしかもかなりのハイペースで倒していく。

数分後には総てを倒し切り、疲れ果てて、俺もカオル君も変身が解けてへたれこんでしまった。

「いやー、なかなか危なかった。ありがとうカオル君。」

「こちらこそ遅くなってすみません。」

寝転がりながら俺たちは笑いあう。

「五代さん、僕は何があっても戦いますから。僕はもう大丈夫ですから。」

「どうしたんだい急に?」

「いえ、今のはすみません。自分に言い聞かせたつもりだったんです。何があっても、どんな理由があっても、僕は僕の戦いをするって。」

カオル君は━━━━━おそらく何か重大なことを経験したんだろう、そのときの俺はそれくらいにしか思っていなかった。

が、後にそのカオル君の強い思いがこの世界の命運を分けるなんてこの時の俺は思いもしなかった━━━━━━━━




ジオウ出しちゃうんだから

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