仮面ライダークウガ-青空と笑顔の戦士再び-   作:芹沢春輝

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遂に主人公変身。


青空の行方⑦

「五代さん、どうします?」

「俺が後を付けるよ。カオル君は…」

「僕はとりあえず、ちょっと事情を彼女に説明してから合流します…その方が良いかなと。五代さん気をつけて下さい。」

キョトンとした輝ちゃんを横目に見ながら僕は言う。

「ありがとう。わかった、後で合流しよう。」

それだけ言うと五代さんは走ってヒトの姿をしたグロンギであろう男を追いかけた。

「で…どこから説明しようか…。僕の体内に例の霊石が有るんだけど…」

五代さんから聞いた、クウガのこと、グロンギ、過去の戦い、それらを簡潔に輝ちゃんに説明する。

「到底信じられる話ではないけど…つまりあの霊石の力で五代さんとカオルンはクウガと呼ばれる戦士になれる、人類の味方でありグロンギと呼ばれる怪人と戦える同等、叉はそれ以上の力がある…とりあえずそれはわかった…それともう一つ。」

ポケットに手を入れ写真を取り出す。

「これは…?」

「カオルンのお母様から預かっていたんだけど、昔ここで発掘された、石盤の写真だよ。

いつだったか、紛失…だったかに有ったらしいんだけど…

たぶんもしかしたらだけど、現物は夏目さんのとこにあるんじゃないかな。ついさっき博士から電話があってね…いろいろ聞かれたわ。

あっでね、この石盤に書いてある文字ね、うろ覚えなんだけど、世界の終末について書かれてるらしかったんだけど…

つまりね、書いてある事と現状が少し似てると言うか…グロンギだっけ?それが復活して、人がたくさん殺されて、戦士がグロンギを焼き払う…倒すってことかな?

その内容が、今のあなたがいる状況に近い気がするのよ。

新たな守りし者現れんだったかな、五代さんが過去の守りし者でカオルンが新しい守りし者、世界の終末には新たな守りし者が現れるってことだと思うんだ、

つまりカオルンが新たな選ばれし者=クウガになる力を得た=世界の終末…戦いが近いってこと。

その石版の文字をずっとカオルンのご両親は熱心に研究してたみたいよ?知らなかった?」

そんな事が…僕の両親は死ぬまでこんな大切な事を研究していたと思うと少し嬉しかった、僕にやるべき事を残してくれた気がして。

「知らなかった…でも、そうか…だとしたら僕がやるべき事は…」

うん、と輝ちゃんは頷く。

「またあとで、ゆっくり話そうよ。とりあえず行ってくるね。」

笑顔で輝ちゃんの元を離れ五代さんを追いかける、気配を追ってようやく見つけたとき、ちょうど五代さんは変身するところで、少し先にグロンギもいた。

 

 

 

「変身ッッ!!」

 

周りにいた研究者や警察官がざわつきはじめ、僕は人々の避難の手助けに従事する事にした。

「カオル君!」

「五代さん!こっちは僕に任せて!思う存分やって下さい!怪我しないで下さいよ!」

「ありがとう!」

そうだ、僕に今出来ることがあるとしたら、五代さんを手助けし、カバーをする。今は…今出来るのはこれしかない、と思う。

近くで足を引きずる男性が居たので肩を貸す。

「なるべくここを離れて下さい。」

その時警察官が僕に近づいてきた。

「あっ警官さん、この人をお願いします!」

「あぁっっ!!わかった!君は?!」

「僕は彼を…あの赤い方をカバーするんで、見逃してもらえませんか?」

赤い方=つまりクウガ。

「なにっ?!いやしかしっ…っ君、夏目さんとこのヒトだね?」

頷くと

「後から事情は聞かせて貰う、あの赤い方は味方なんだな!?わかった、行きなさい!まずいと思ったら逃げるんだぞ!」

怪我をした男性を預けるとダッシュで五代さんの元に戻る。

予想外だった、五代さんが押されている様子…そして五代さんが何かおかしいのだ、ふらついている?嘘だろ…?

「五代さん!」

叫んだ瞬間五代さんの変身が解ける。

「えっ、そんな…くそっ!」

五代さんに襲いかかるグロンギに飛び蹴りを決め、何とかこちらに気を引く事が出来た、が…

「五代さん!大丈夫で…はないですね…」

「カオル君…逃げろ、俺…ちょっと調子が悪いみたいだ…でも何とかするから君は…」

「逃げませんよ、五代さん。前に人1人守るくらいはしたい。僕は言いましたよね、あなたの笑顔のため戦う、何故か解らないけどそう誰かにお願いされてる気がするんですよ、

だから。今なら解ります、どうすれば良いのか、どうすればクウガになれるのか、

中途半端に関わるんじゃない、ちゃんと五代さんに関わりたい。だから見ててもらえませんか?僕の最初の…」

その言葉と同時に腰の当たりにベルトが出現するのを僕は解っていた。そうか簡単じゃないか。

 

 

「最初の…変身ッッ!!」

 

そうか…変身するために必要なのは、守りたいと言う強い気持ちが必要なんだ。

五代さんと同じ動作でクウガに変身する、僕のクウガとしての初戦は幕を開ける。

「カオル君…すまない…」

五代さんが小さな声でつぶやいたと同時に僕の変化は始まった。

変化していく身体、この感覚は当然ながら経験したことのないものだった。正直とても嫌な感じがした。

「お前もクウガだったのか、面白くなりそう…でもないか?ふん。」

先程まで五代さんと戦っていた怪物、通称「グロンギ」が僕に言う。

「何故、何故戦う必要がある!?」

「ゲーム…いや…さだめといった方が良いか?」

「ゲーム…?そんな事のために…?そのせいで五代さんや輝ちゃんは危険な目にあったのか…そんな事で犠牲者が…血が流れるのか…」

抑えられそうもない「黒い何か」の感情と波動が僕を襲う。

「ダメだカオル君ッッ!!自分を見失うなッッ!!君は一条カオルだろうッッ!?」

弱々しいが力強い意志の五代さんの声が聞こえ、何か危なかった?なんだ今のは…我に返る僕。

「面白くなりそうかと少し期待したが…さぁ始めるか…もう1人のリントノセンシクウガ!!」

次の瞬間、僕はグロンギに殴り飛ばされていた。

「イッテェッ…」

殴られた場所を見るとあることに気付く。

「体の色が五代さんと違う?どういう事なんだ…」

五代さんは赤、僕は白。

「カオル君…君の体はまだ戦うには不完全なんだ!無理をしない方が良い!」

よろめきながら立ち上がる五代さんが言う。

「不完全?そんな…」

「俺も最初はそうだった、とにかく今は出来る範囲で戦うんだ。もう少ししたら俺もまた変身出来るはずだから、頼む!」

「分かりました!」

そうだ、僕は今は五代さんのカバーをする、そう決めたんだ、だから。

僕に出来ることを。

グロンギに向かって走る僕。

「ハァッ!」

右足で跳び蹴りを入れ着地し、左足で再び蹴りを横腹に、その次は右拳でストレートを胸の辺りに、そして右足で回し蹴り。この流れでグロンギに攻撃を開始するが中々致命傷となる威力のある攻撃は与えられない、グロンギの動きが速いのだ。避けられたりガードされたり…散々だ。

「どうした?息が上がっているぞ?」

グロンギが僕に言う。

「さぁてこっちもやらせて貰おうか。」

グロンギの蹴りや拳が休む間を与えず僕を襲う。

「かはっッッ…」

蹴りが腹部に当たり又も吹っ飛ばされる。少し血が飛び散る、口の中が切れたのか…?同時に変身も解かれてしまった。もちろん血は赤い…赤…?

「カオル君ッッ!!」

「五代さん、大丈夫です!!まだいけます!!」

確かに息は上がって来たが同時に「戦い方」も少しずつ得られてきている。学生の頃の武術の経験が生かされたのはこれが二回目か。

「変身が解けたのは危険な証拠だ!下がって!俺が!」

五代さんが言うが、

「解けたんですよ、問題の答えが。」

「えっ?」

「仕切り直しです、次また僕がヤバかったらお願いします。」

口についた血を右拳で拭きながら言う。

「人1人の笑顔を守れないでみんなを守れるもんか…五代さんだけじゃない…僕も五代さんと一緒に皆の笑顔を守ります!!」

グロンギに向かって再び走り出す僕。

「変身ッッ!!」

と同時にグロンギ目掛け飛び上がり、最初と同じ飛び蹴りを放つ。

「同じ技が効くと思うか?」

違う、最初とは違う。グロンギに降下するときに再び僕はこう叫ぶ。

「変身ッッ!!」

「何ッッ?!」

蹴りが命中する直前、僕の体の色が白から赤になった。

「ハァッ!」

ドスっと言う音とともに、グロンギの身体に不思議な紋章のようなものが浮かび上がる。

「僕のこの赤い身体は赤い血の色だ。誰かが血を流し死んでいくなら、その人のために僕が血を流してでもその人を助け出す…」

「くっおもしろい奴だな…ヤられた…お前、中々やるなあ。これは…あいつも楽しくなるだろうな…」

その言葉を最後にグロンギは爆発し蒸発したかのように消えた。

「カオル君!!凄いよ!!大丈夫かい?」

「はい何とか…」

変身を解き五代さんに倒れ込む僕。

「五代さん…」

「どこか痛むかい?」

「腹減りました…」

「俺もぉ…」

五代さんに抱えられ輝ちゃんのもとに戻ることにした。

「無理させちゃったな…」

僕の意識が遠退く中、五代さんが呟いたのを僕は聞き逃さなかった…

無理はお互い様でしょ…

 

 




五代の赤は炎と言う正義の象徴の赤だとしたら、カオルの赤は誰かの血が流れるのを見たくない=血反吐を吐きながら戦う五代を見たくない、と言う拒絶の赤。と言うところかな…
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