世界に突然現れるようになった怪物を討伐するために覚醒し、力を得た美少女戦隊が謎の海外多様性コンサルによって無理やりチームに新メンバーを入れられ・・・?

1 / 1
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません


美少女戦隊キュアレンジャー!が多様性に潰されそうになる話

【美少女戦隊キュアレンジャー】

 

 それは、この世界の正義の味方。

突如世界に現れた怪物に対抗すべく、力に目覚めた少女たちが結成した政府公認組織だ。

 

 そしてアタシ、キュアレンジャーの赤担当ことボーイッシュな美少女、赤城(あかぎ)レンゲはミディアムショートの赤毛をたなびかせ今日も仲間たちと戦場を駆け抜ける。

 

 今日も、これからもアタシ達は世界を救っていくーーーーー

 

ーーーーーハズだった。

 

「ねね、聞いたっスか?赤城センパイ・・・」

 

 神妙な顔で問いかけてきたこの子は、キュアレンジャーの黄色担当こと周黄(すおう)たんぽぽだ。

私より二つ年下の後輩で、お調子者で元気いっぱいな美少女。黄色いポニーテールがトレードマークで、身長は低く幼く見えるが出るとこは出ている体型で特に男性に人気がある。

 

 しかし、今回ばかりはいつもの元気な表情も身を潜め、神妙な顔をしている。

 

「あー・・・アレね?何か海外のコンサルがどーのこーのとか・・・」

「そーそー!それそれ!!それっス!!」

 

 アタシには心当たりがあった。昨今、日本以外の世界では「多様性」や「LGBTQ」、それらの考え方を組織や社会に組み込む「DEI」といった類の言葉や考え方が大流行しており、良くも悪くも嵐を巻き起こしている。

 そして、日本はその波に乗り遅れた為に世界からは遅れていると大バッシングされ、政府は慌てて海外の有名コンサルを雇ったそうなのだ。

 

「ヤバくないスか?あのバイビーメルティですよ?」

「は?なんそれ」

「知らないんスか!?めっちゃSNSでバズってるじゃないっスか!!」

「んー・・・ニュースは朝だけ家族と見てるけどアタシはネットあんまやらんからなー・・・」

「今時の女子高生とは思えないっスよ!いいっスか?今やたら炎上してる会社で・・・」

 

 たんぽぽから説明を受けた。どうにも、今回国が雇った「バイビーメルティ」という会社は中々評判がよろしくないようだ。

 

 多様性うんぬんといった言葉を振りかざし、北欧風が舞台の映像作品に他の人種が出ていないという理由でアジア系っぽい人やアフリカ系っぽい人を無理やりねじ込んで世界観をぶち壊したり、見た目の多様性という理由で、原作ではスレンダーでスタイリッシュなキャラをぽっちゃり系の全く雰囲気の違う人にしたりと好き放題やっているらしい。

 

 そして、そんな事をやっているのにも関わらずコンサル料として数億円を要求してくいるとかなんとか。

 

「ハァ?そんなんやったら売れなくなっちゃうんじゃないの?誰も買わんくなるでしょ」

「なってますね〜・・・実際にバイビーメルティにコンサルを頼んだ会社は、経営難になりかけてます・・・」

「・・・ハァ〜!?なんそれ!?止めるやつ誰もいない訳!?」

「それが問題なんスよね〜・・・」

 

 現在の世界の風潮としては、「多様性」やそれに関連する事柄が絶対的な"正義"だ。

そしてネットで炎上はしているが、世界にとってはその炎上させて叩いているやつらが絶対的な"悪"なのだ。

つまり、映画やゲームが売れないのは世界の風潮を受け入れない我々であり、悪いのは全て民衆という事になっているらしい。

 

「うえ〜・・・なんなん?アタシが知らん間にそんなカオスな事になってるとは・・・』

「テレビでは綺麗な側面しか報道しないっスからね・・・」

 

 たんぽぽのやつ、何も考えてなさそうに見えて意外としっかりしてるんだな〜、と一番何も考えていない赤城レンゲは思ったのであった。

 

 それはさておき・・・

 

「でもさー・・・アタシは多様性うんぬんって表面だけなら悪い事じゃないと思うんだけどなー・・・」

「だってさ、よーするに色んな差別とかを無くそうぜ!って始まった取り組みでしょ?なんでそれが過激になって、思想の押し付け合いっつーか、宗教みたいになってるワケ?」

「その通りっスね・・・実際にLGBTQに該当する人たちは、偉い人たちが強引に今の風潮を推し進めたせいで逆にイメージが悪くなって肩身の狭い思いをしてるみたいっス・・・」

「本末転倒じゃん・・・どーすんのよコレ」

 

「だからヤバいんスよ!!!!」

 

 たんぽぽが声を荒げた。

 

「わ、ビックリした。でもさ、アタシらの活動になんか関係とかってあんの?」

「大アリですよ!!!!」

 

 たんぽぽが言うには、世間の流れをコントロールしているバイビーメルティ社は権力を強め、現在は政府に匹敵する組織になっているらしい。その組織が日本にコンサルを提案して政府がそれを飲んだという事は、ほぼ侵略行為に近いものだそうだ。

 

 アタシたちのヒーロー活動も政府公認の直属組織であるため、メスを入れられるのは確実だろう。メンバーは全員美少女だし、少し露出もある。アタシはこれ可愛くて好きなんだけどな。活動資金の足しになるようにグッズとか売ったりもしているし、某コンサルにとっては格好の的だろう。

 

「どうします?センパイのフィギュアがなんか・・・まったく違う色になったりとか」

「う・・・確かに好きな人はいるかもしれんけど、それはもうアタシなのか・・・?」

「で、売れなくなって人気無くなって・・・わ〜〜〜〜!!!おしまいっスよ!!せっかくキュアレンジャーになれたのに〜〜〜!!!!」

「ち、ちょっと落ち着きなって!まだそうと決まったワケじゃ・・・」

「うわ〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!」

「うお、泣くな泣くな!!」

 

・・・だが、本当にどうなってしまうのだろうか?だって、アタシたちの本来の活動はーーーーー

 

「ーーーーーそこまでよ」

 

 凛とした声が響いた。

 

「ルリ!」

「ルリしぇんぱい・・・」

 

「話は全て聞かせてもらったわ」

 

 このクールな美少女は青羽(あおはね)ルリ。キュアレンジャーの青担当だ。

清楚なロングの綺麗な青い髪にサイドの三つ編みとメガネがチャームポイント。女子高生としては一般的な背丈だが、武道を嗜んでおり姿勢が綺麗だからか小さくは見えない。性格は、ドが付くほど真面目でまさに委員長。融通が効かない時も多いが、頼りになる仲間である。こういったタイプのヤツは一人は必要なのだ。

 

「周黄さん、私も某会社の事は存じているわ。だけど、私たちの本来の姿はチヤホヤされるアイドルだったかしら?」

「ぐすっ・・・それは・・・」

「違うでしょ?私たちはキュアレンジャー。人類に直接危害を及ぼす怪物の方がよっぽど脅威だわ。その他のことを考えるのは、怪人を滅ぼした後よ」

「で、でも・・・もし活動資金がなくなったら・・・」

「あら、忘れたの?最初の頃の私たちに活動資金なんてあったかしら?・・・確かに特注のスーツや、政府のバックアップは無くなるかもしれない。だけど、それは戦いを辞める理由にはならないわ」

「・・・確かにそうっスね。力に目覚めたのは皆を守りたかったからっス」

「そう。だから不安なのは分かるけど、今やるべき事をやりましょう。大丈夫、私たちが一緒にいるわ」

 

 そういってルリは優しい顔でたんぽぽの頭を撫でた。

 

「・・・ルリしぇんぱ〜〜〜〜い!!」

 

 たんぽぽは嬉しそうにルリに抱きついた。

 

「きゃっ・・・!もう、周黄さんったら・・・ふふ」

 

 おお、なんか綺麗に纏まりそうだ。

さすがルリ。アタシに出来ないことを平然とやってのける。

 

「ちょっと!赤城レンゲ。あなたがもっとしっかりしていれば周黄さんは不安にならずに済んだのよ!」

「え!?いやいや、アタシだって初めて知った事ばっかで何がなんだか・・・」

「信じられない!情勢を知るのも力を持つものの責任だわ。いつも言ってるでしょう?あなたはヒーローとしての自覚が足りないと」

「まーた始まったよ・・・へいへい、次から気をつけるよ」

「また適当な返事をして!!ホント何も考えてないんだから!!」

「あーもう分かったから!・・・サーセン」

 

 ルリはアタシには何故か当たりが強く、毎回こんな感じになってしまう。アタシの生き方はルリにとって、大層適当に見えて気に入らないらしい。まあ、ルリの言う事はもっともだからアタシも中々言い返せないが。アタシだって頑張ってるのに・・・ぐすん。たんぽぽには甘いクセに。

 

 まあだからといって険悪という訳ではない。一種のじゃれあいみたいなものだ・・・とアタシは思っている。実際自分にない部分を補ってくれるのはありがたいし、ルリがチームにいなかったら崩壊するだろう。だからこう見えてルリの事は結構好きだ。あちらがどう思ってくれているかは分からないが・・・。

 

 ともかく、これが我ら美少女戦隊(自分で言うのちょっと恥ずかしい)キュアレンジャーだ。

 

「全員集合!」

 

「「「!!」」」

 

 力強い声が響いた。どうやら司令官のご登場らしい。須藤明美(すどうあけみ)。壮年の女性で、私たちキュアレンジャーを管理しているいわば上司だ。まさに男装の麗人という感じで、軍人のような佇まいは只ものではない何かを感じさせる。

 私たちはその声に従い、横一列きれいに整列した。

 

「本日の定期連絡を行う。今のところ怪物の発見報告は上がっていない。だが、警戒を緩める事は無いようにしろ。三人とも、何か体に不調などはあるか」

「元気です!」

「無いっス〜」

「特に問題ございません」

 

 これは毎日行われる定期連絡で、分かりやすく言えば、朝礼のようなものである。須藤司令官は厳しそうに見えるが、私たちの個性を重視してくれる柔軟性を持つ信頼のできる大人だ。私たちが政府の公認組織になって、世間に受け入れてもらえたのも彼女の働きかけによるものが大きい。

 

(良かった〜・・・やっぱいつも通りじゃん!たんぽぽ、心配しすぎだって)

(う、う〜ん・・・流石に一日二日で変わるもんじゃないスかね。すみません、大袈裟に騒いじゃって・・・)

(こら!二人ともまだ定期連絡中よ!)

 

「なんだ、何かあるのか?」

「「「いえ、何も!!!」」」

 

 あー、あとでリンのやつに『またあんたのせいで怒られそうになったでしょ』とか言われるんだろうな〜と思い少し憂鬱になるレンゲだった。さて、いつもは異常が無ければ定期連絡はここで終わるのだがーーーーー

 

「ーーーーー今日は一つ、とても大事な連絡事項がある」

「「「?」」」

 

 須藤司令官が、真剣な表情でそう言った。

 

「皆の知っての通り、かの有名なバイビーメルティ社がわが国のバックアップについた。世界平和を謳う素晴らしい企業で、我が国もきっと良い方向に変わっていくと確信している。そして、早速政府直属の我が組織にも大変ありがたいサポートをいただける事となった」

 

 ん?

 

 あ、あれ、なんか、雲行きが・・・

 

 たんぽぽの方をチラッと確認すると、まるでギギギ・・・と音が出そうな感じでこちらの方を向いた顔色の悪い彼女と目が合った。リンもああは言っていたが、緊張した面持ちだった。

 

「多様性・・・なんと素晴らしい言葉だろう。この歳になって、まだこのような気付きを得る事が出来てとても感謝している。バイビーメルティ社の研修には政府の高官も全員出席していたが、全員口を揃えて素晴らしいと仰っていたぞ。我々もしっかりと見習わなくてはならん」

 

 お〜・・・?

 

 何か、正しい事を言っているような感じだけど、なんだこの違和感は・・・?須藤司令官は怒ると怖いが、しっかりと冷静に状況判断ができる人物だったはずだ。こんな特定の組織を手放しに褒め称えるような人だっただろうか・・・?

 

「そこでだ。会議の結果、昨今の事情も鑑みてキュアレンジャーに一人新メンバーを追加することとなった」

 

「なっ・・・!?」

「・・・!?」

「は・・・!?」

 

 目を見開く。リンが最初に思わずといった感じで声を荒げる。

 

「ち、ちょっと待ってください!新メンバー・・・?そもそも私たち以外に覚醒した者が現れたならたんぽぽが気付くハズです・・・!」

「は、はい。ウチのセンサーには直近に覚醒した人の反応は無いっス・・・」

「ていうかアタシらに相談も無しなんか・・・もう決定事項なの?」

 

 司令官がさも当然と言わんばかりに答える。

 

「落ち着くのだ。そして、これは決定事項だ。今までの固定概念を払拭し、バイビーメルティ社の協力のもと採用基準を大幅に変更した。よって、特別な力の覚醒者でなくても一定の実績と我々の許可があれば”新たな覚醒者”として門戸を開くこととしたのだ。そして、共に前線で戦ってもらう」

 

「なんですって・・・?」

 

 これは、まずいかもしれない。

 

「お言葉ですが司令官・・・!怪物は一般人よりも遥かに強大です!覚醒者以外の人員と戦うのは危険です・・・!」

「なんだ青羽?パワーだけが強さではないだろう。それとも何だ?お前たち覚醒者以外の人間は全員劣っていると言いたいのか?そんなものは多様性では無い!!」

「そ、そう言う事ではありません!強さには役割があります!流石に前線で共に戦うのはお互いにリスクがあります・・・!」

「それは言い訳にすぎない。お前たちが共に戦う努力する気がないからだ。それではこの先の世界の流れには着いていけないぞ」

「だから・・・もうっ!!」

 

 だめだ。全く話が通じない。リンもかなり動揺してるし、たんぽぽなんて顔面蒼白で固まってしまっている。ここは、リーダー(自称)のアタシがしっかりしなくては・・・!

 

「あのさ、ちょっと質問していい・・・?」

「なんだ赤城。まさかお前までつまらない事を言うつもりか?」

「あー・・・そうじゃなくてさ、新メンバーを入れるにしても、その、顔合わせとかある訳でしょ?どこから連れてきたか知らないけどさ、一緒に戦うならせめてどんな人か知っておかないとじゃない?だからさ司令官。アタシらも混乱してるからひとまず解散して、スケジュールの細かい日程とか相談して・・・」

 

「その必要はない!」

「えっ」

 

「なぜなら、その顔合わせを行うのは今からだからだ。もう既にお越しいただいている。彼女は、バイビーメルティ社が推薦する素晴らしい人材だ。くれぐれも失礼する事の無いように歓迎したまえ」

 

 ・・・やべ〜。

 

 ひとまず冷静ではない二人を再起動させて出直そうと思ったのだが、どうやらその作戦は通用しないようだ。

 

 おいおい、話が早すぎないか?この間の更衣室のロッカーの鍵が壊れたヤツだってまだ直してもらえてないのに!ていうかバイビーメルティ社が推薦する人材って誰なんだよ。もう嫌な予感しかしねーよ。

 

 それとアタシらと扱いの差があるな!?なんだそのお偉いさんを接待するような態度は。愚痴も吐きたい気分だが、そんな心の中のツッコミもよそに、無情にも新メンバー紹介が行われようとしている。

 

 

「それでは、呼ばせていただこう。彼女こそ、美少女戦隊キュアレンジャーの新メンバー。そして、ピンク担当・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーー益田山拓男(ますだやまたくお)さんだ」

 

「みんな、初めまして。俺は益田山拓男だ。性別は女性だ。よろしく頼む」

 

 

 

 

 

 バケモンきたバケモン。

 

 

 

 

 

「オッ・・・・・!?」

「・・・・・・!?」

「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 

 

 オッサンやないかい!!!!!!!!

 

 

 

 開口一番にそう叫ばなかった事を褒めていただきたい。

 

 私たちの目の前には、私たちと全く同じ露出が多めのコスチュームで、全身ピンク色。黒髪短髪で、昭和のスポーツ漫画みたいな顔のオッサンがいた。

 

「し、司令官・・・?冗談ですよね?ドッキリなんですよね?アハ、アハハハ!カメラはどこですか〜・・・?」

「ドッキリ、だと・・・?青羽、失礼だぞ!このお方こそ我々に新しい風をもたらしてくれる新メンバーだ!!」

「いやいやいや!だって、どう見ても男性、ですよね・・・!?私たち美少女戦隊・・・」

 

「女性だ!!!!!」

 

 部屋全体がビリビリとなりような大声でオッサンは怒鳴った。親か兄弟でも殺されたかのような剣幕だ。

 

「俺は女性なんだ!!誰がなんと言おうと女性なんだ。心が俺は女性だって言っているんだ!!!」

 

「あばばばばば」ドサッ

 

 あ、たんぽぽが倒れた。ルリも青い顔で涙を浮かべながらボソッと「スミマセン・・・」と呟いた後に真っ白になった。

 

「いい加減にしろ!!益田山さんの性自認は女性なのだ!!貴様たちの差別的な感情には失望したぞ!!」

「いいんです、司令官。俺は、慣れてますから。とにかく俺はこのありのままの姿で女性なんです」

「なんて寛容なお言葉・・・!おい貴様ら!いいか!このお方は女性だ!以降間違える事の無いように!」

 

 なんだこの茶番は。

 

 寛容ならそんなデカい声で怒鳴るなよ。ていうかオッサン、髭生えてるじゃねーか。すね毛とかも剃ってないし、せめてそのコスチュームを着て女性を語るんなら手入れして来いよ。そんでよりにもよってお前がピンクかよ。

 

 いや、性自認が女性とかはいいんだよ?そういう人が本当にいるのはアタシも知ってるしさ。だけど、こいつは性自認を盾にした・・・あー、言い方を選ばないで言うと"変態女装半分露出魔おじさん"にしか見えないんだが・・・。せめて口調だけでもオネエっぽくあってくれよ。頑張って本当に女性を目指してる人に謝れよ。

 

 うーむこれもアタシの偏見なのか・・・?頭が痛くなってきた。

 

「こほん。えーそれでは益田山さんの華々しい功績の数々を紹介する。これは知れば、貴様たちも受け入れることだろう」

 

「まず、世界大会の数々の競技で金メダル。様々な種目を兼任して金メダルを取るのは前代未聞だろう。その他の格闘技や武道の大会でもタイトルを総なめし、ベイビーメルティ社に新たな覚醒者として認められてここにいらっしゃる訳だ」

「ちなみにだけど、男子の部で・・・?」

「もちろん、女子の部だ」

 

 ・・・ッスゥーーーー

 

 思い出した。最近、スポーツ界において様々な競技で賞をかっさらっているスーパーマンのような人がいるとニュースになっていた。しかし、その実態は女を名乗るどう見てもゴリゴリの男が女子の大会に殴り込んで片っ端から大会を荒らすという悪質なものだったのだ。

 

 せっかく頑張ってきた人たちが、こんなヤツに今までの努力を水の泡にするような事をされて流石に可哀想だと騒ぎになっていた。流石にネットに疎いアタシでも知っている。

 

 よりにもよってコイツかよ・・・。

しかし、いくらSNSで嫌われていようが、謎の多様性を推進するこの現代社会において、お偉いさん方にとっては良い広告塔であり実に厄介な存在だ。

 

「世界記録を連発するような彼女の存在は、女性の平均的なデータを押し上げ、医学的にも女性は優れた生物だと証明されるのも遠く無いだろう」

「はあ・・・」

 

 いやいやいや。

 

 医学的て。お前のデータ女性の方に入れるのかよ。

男女関係なく、種族的じゃなくて性自認の方でデータ取り始めたら今までの医療の研究とかがパーになるんじゃないのか?

 

 もうそれ生態系の破壊だろ。ブラックバス放流すんじゃねえよ。

 

 あと、男女でどっちが優れているとか別に無いだろ。みんなそれぞれ得意なことは違う訳で、それを認めるのが多様性じゃないのかよ。本当にたんぽぽの言った通り、これでは余計に差別が酷くなるのもうなずけるな。

 

「・・・フン」

 

 あ、おい益山田。ドヤ顔すんな。恥ずかしくないのかお前。

 

「それでは、彼女には今日から活動に早速参加していただく事とする。赤城、お前が代表して色々ご教授して差し上げるのだ」

「よろしく頼む」

「えっ」

 

 え〜・・・アタシ!?うわあドンドン近付いて来る!!怖えよ!!その風貌で迫られるの!!

 

 たんぽぽもリンも怯えきってるし、クソ、どうすれば・・・!!

 

『ビー!ビー!ビー!ビー!怪物発生!怪物発生!キュアレンジャーは即刻出動すべし!キュアレンジャーは即刻出動すべし!』

 

「「「!!!」」」

 

 その時、タイミング良く警報が鳴り響いた。ちょうど怪物が出現したようだ。

 

「あ!あ〜・・・!か、怪物が出たので出動しなきゃ〜・・・!あはは、諸々はあとでで・・・たんぽぽ!リン!しっかりして!行くよ!」

「ハッ・・・!カイブツ!カイブツを倒さねば・・・!」

「あれ、こ、ここは・・・?と、とにかく出動するっス〜!!」

 

 これはチャンスだ。

 

 とにかくここから離れなくては・・・!私たちは急いで移動ゲートに向かい、益山田から逃げるように戦場へと赴いたのだった。

 

 そして場面は変わり、戦場にて。

 

「キー!」

 

 怪物は様々な種類が存在するが、今回出現した怪物は猿の形をした動物型だ。

小型の動物だから力はそこまで強くないが、目にも留まらない素早さが厄介な怪物だ。

 

 怪物が出て助かった、などと思いたくはないが頭を冷やすのにはうってつけの相手だろう。

 

「たんぽぽ!リン!色々なんかヤバいけど、一旦それは後!仕事の時間だよー!」

「くっ・・・!私とした事が不覚だわ。赤城レンゲ。不本意ながら礼を言わざるおえないようね・・・ッ」

「センパイ、申し訳ないっス・・・!とにかくやるべき事をやるっスよー!!」

 

「よっし!大丈夫そうだね!さあ、いつもの決めポーズ(義務)を決めるよ!!」

 

 

 

「「「「美少女戦隊!キュアレンジャー!参上!!」」」」

 

 

 

 どかーん!!(謎の爆発)

 

 

 

「・・・ん?」

 

 鍵かっこが四つ・・・?今、何か野太い声聞こえなかった?

 

「まずは俺が行く!!」

「えっ」

「あっ」

「ちょっ」

 

 何シレッと混ざってんだよ。異物混入だよ。

 

 ワープホールは閉じてきたハズなのに・・・!流石に政府の権限か・・・!

 

「ち、ちょっと!最初は見学しててくださいっス〜!!」

「そ、そうですよ!危ないですよーー!!」

「おーい!!オッサーン!!行くなー!止まれーー!!」

 

「うるせえ!!俺はオッサンじゃねえ!!これは俺の記念すべき初陣として、全国中継されているんだーーーッ!!」

「それはそれで大丈夫かーーーっ!!」

 

 怪物の処理がアタシたちに一任されているという事は、一般人には厳しいと言うことだ。側から見れば簡単そうに見えるかも知れないが、覚醒者であっても油断すれば大怪我だ。ちょっと運動神経がいいくらいのオッサンが太刀打ち出来るかというと・・・。

 

「ぐわー!!!!」

 

 よっっっっわ。

 

 やはりこうなる。普通に30メートルくらい先のビルまで吹っ飛ばされた。生きてはいるようだが、一撃で気を失いヤ○チャみたいな倒れ方をしている。

 

「あちゃ〜・・・放送事故っスよコレ・・・」

「猿で良かったな〜!熊の怪物とかだったらグチャグチャよあれ」

「二人とも!呑気な事言ってないで倒すわよ!」

 

 その後はあっさり倒して、仕方なく益田山を回収。再び拠点に戻ったのだった。

 

「まあ、何とか落ち着いたっスけど・・・あ〜あ。SNS大炎上っスよやっぱり」

「中継は、彼が倒されて中断したようね。その後なんとか復活して彼が倒したという報道がされたけど、私たちが怪物を倒した動画を誰かがアップロードしてくれたみたいで嘘がバレたみたいね。はあ・・・なぜこのような愚かな事を・・・」

「あと、これは予想できた事っスけど、いきなりあんな新メンバーを発表したもんだから荒れに荒れてるっスね・・・」

「流石のアタシもこれは悪手だって分かるんよ。いつからこんなバカになったん・・・?」

 

「くっ・・・!」

 

 その時、益田山が目を覚ました。いや、頑丈だなお前。結構たたきつけられてたけど普通に起き上がれるのは素直にすごいな。半分インチキとはいえ、伊達にアスリートではあるか。

 

 そしてハッとした顔をして、事の顛末を確認するためにすぐにスマホをいじりだした。いや、マジで元気だなお前。

 

「くっ・・・相打ちか・・・」

「はあ?」

 

 相打ちとか言ったかコイツ。完全に負けてただろ。

 

「俺が倒したと言う事は、相打ちだったという事だ・・・まだ鍛錬が足りないようだな・・・」

 

 メディアの報道の方を信じちゃったよ。どんだけ頭の中お花畑なんだコイツ。そして実力に関して謎に謙虚なのやめろよ。

 

 また反抗するとややこしくなるし、とりあえず今日のところは引き上げるか。

 

「・・・お疲れした〜。あのー、アタシら着替えて帰るんで、まあ、そのー・・・ゆっくり休んでくださ〜い」

「・・・お疲れ様っス〜」

「・・・失礼いたします」

 

「・・・・・」

 

 こうして私たちは、再び逃げるように更衣室に向かったのだった。

 

 更衣室にて。

 

「・・・レンゲセンパイ。やっぱウチ、あの人とやっていける気しないっス・・・」

「あ、ああ・・・」

「見てくださいよ。これ。さっきの一瞬だけで動画は拡散されて、大変なコトになってるっス。ウチらが築いてきた信頼とブランドが台無しっス・・・」

「確かに私たちの本来の仕事は、怪物退治ではあるけれど・・・偏った思想では、ヒーローではなくなってしまうわ。どうすればいいの・・・?」

 

 二人とも、流石に受け入れられないか。まあ、アタシもだけど。

 

「・・・今、珍しくアタシもSNSをチェックしてるけど、これは難しいな・・・」

「皆がそれぞれの考え方を持っていることは、悪いコトじゃ無いと思うんよ。でも、これじゃやっぱり思想の押し付け合いバトルというか・・・。それ人によるよな〜って話題で一生戦いあってさ〜・・・」

「ただのユーザー同士の喧嘩ならまだ良いっスけど、国とかの権力者と一般人がそれをやってるんなら・・・」

「・・・救えないわね」

 

 海外の謎コンサルが入ってきて、一日でこんな事になってしまうなんて。だが、アタシらがここで折れたらそれこそこの世の終わりだ。

 

「・・・アタシが何とかするよ」

「センパイ?」

「・・・赤城レンゲ?」

 

「アタシが司令官に直接掛け合って、チームを分けてもらえないかお願いしてみようと思う。どうせこの調子なら他にも新しいメンバーは追加されるだろうし・・・」

「で、でもチーム分けなんかしたら、ウチらの方が人気なのはおかしいとかまた言われるんじゃ・・・」

「・・・無理でも、やっぱ一回は話し合わなきゃ。確かにアタシらは力が強いし、強引に色々できないこともないけど、それだともっと世界がおかしくなっちゃう。益田山も上に踊らされたアホなだけで、悪いヤツじゃない可能性も1ミクロンくらいはあるかもしれないし・・・」

「1ミクロンって・・・まあ、一理あるわね。でも、話し合いにはきちんと三人で行くのよ。・・・アンタ一人には背負わせないわ」

「そうっスよ!三人でキュアレンジャーっスから!」

「二人とも・・・」

 

 仲間がいる゛よ!!!!

 

「うう・・・アタシは恵まれてるなあ。明日早速相談してみよう・・・」

「そうっスね!とりあえず今日はさっさと着替えて帰るっスよ〜・・・もう何も考えたく無いっス・・・」

「そうね・・・流石に私も今日は鍛錬をお休みしようかしら・・・」

 

 そう言って着替えていると・・・

 

 ガチャッ

 

 更衣室の鍵が開けられる音がした。

 

「「「!?」」」

 

 そこにいたのは、予想通り鼻息を荒くした益田山だった。司令官め。更衣室の合鍵を持たせるとは。さっきまでの青春友情シーンを返せよ。

 

 ていうかちょっと待って欲しい。今、アタシたち下着なんだが!?

 

「「キャー!!!!」」

「オ、オイ!!ここは女子更衣室だぞ!!」

 

「俺は女子だと言っているだろう!!!!」

「無理がある!!身体の構造は全然違うでしょ!!」

「性自認差別だあ!!!!俺は女なんだから、当然ここで着替えるんだ!!!!俺はありのままで女なんだーーーーッ!!!!」

 

 そう言って益田山は服を脱ぎ始めた。パンツ一丁になった彼の身体は、もはや「漢」といった感じだ。そして、パンツ越しに彼の股間が徐々に膨らんできてるような気が・・・。

 

「ヒィ・・・ッ」

「見たくないもんを見たっス・・・」

「コ、コラ!!女ならアタシらの裸で興奮すんなよ!!!!」

 

「そ、それは・・・違う!!俺は、俺は・・・心は女性だけど、女性が好きなレズビアンなんだ!問題はない!!」

「じゃあ結局興奮してんじゃねーか!大問題じゃねーか!」

 

「もういい!!せっかくバカな政府に取り入ってこの立場まで上り詰めたんだ!!世間の風潮的に、お前らは俺と仲良くするしかないんだ!!エロい格好しやがって!!ずっと目をつけてたんだーーーーッ!!」

「・・・ッ!!」

 

 本性を現した。やっぱコイツ悪いヤツだった。ただの変態だった。

 

「もう我慢できない!!こんなものはいらない!!」

 

 そう言うとヤツは、パンツに手をかけながらこちらに近づいて来る。

 

「「イヤーッ!!!!」」

「お、おまっ・・・!それ以上は年齢制限がつくからやめろーーーーッ!!」

 

「なんだそれは!!知らーん!!」

「うわああああ!!くるなああああ!!」

 

 我慢できないのはこっちじゃ!!もう話し合いとか無理!!女を語る謎のオッサンが、性欲をむき出しにして襲いかかって来るのは怖すぎる!!!!

 

 みんな、ごめん!!!!

 

「覚醒者パーンチ!!!!」

「ふごおおっ!?」

 

 アタシの渾身の腹パンが突き刺さり、更衣室の壁をぶち破り益田山を吹っ飛ばした。

 

「センパイ!?」

「レンゲ!!」

「ごめーん!!!!やっちゃったー!!!!」

 

 さっき力より話し合いがあーだこーだとか言ってたのにーー!!

 

「ぐ、ぐおお・・・、この俺が・・・・、こんな小娘に・・・・ッ!!」

 

 相変わらず頑丈だな。だが、覚醒者を舐めすぎだ。本人的には計画的な犯行だったのかも知れないが、アタシたちとの力の差を理解していないアホで良かった。

 

「ふ、ふはははは。ふははははは!!」

 

 パン1のオッサンは血を吐きながら笑った。絵面が世紀末なのは本当に勘弁して欲しい。

「な、なにがおかしいんスか・・・」

「お、お前らも司令官の、あの対応を見ただろう・・・。今の俺は、多様性を代表する、国賓級の存在だぞ・・・!そ、そんな俺をこんなにして・・・タダで済むと思うな、よ・・・!」

「くっ・・・!」

 

「へへへへ・・・お、お前らはもう終わりだ・・・俺が後でたっぷり教育しなおしてやゲボォッ!!」

「黙れッ!!・・・この穢らわしい変態ッ!!!!」

 

 ガスッ!と、リンがオッサンの頭を蹴り飛ばした。流石に今度はちゃんと気絶したようだ。死んでは、ないよな・・・?まあ大丈夫か。

 

「リン・・・」

「私ももう、無理だわ・・・。これで共犯よ。言ったでしょ。アンタ一人には背負わせないって。それに、さっきの一撃・・・なんかスカッとしたわ。怖かったけど、アンタのお陰で吹っ切れた」

「リンセンパイ、レンゲセンパイ、かっこよかったっス!アタシも・・・それっ!」

 

 たんぽぽはそう言うと、覚醒者パワーで光のロープを作り、オッサンをぐるぐる巻きにした。

 

「たんぽぽ・・・けど、アタシのせいでもうキュアレンジャーじゃ無くなっちゃう・・・それどころか、犯罪者扱いだよ・・・」

「なら、早く逃げるっス!!」

「え?」

「もうここに異常を察知した政府軍が駆けつけてるっス。たぶん、捕まったら終わりっス・・・!」

「そ、そんな・・・」

「赤城レンゲ、くよくよしない!!いいのよ。この異常な変わりようは絶対何かおかしい。遅かれ早かれ、こうなっていたと思うわ」

「・・・そ、そうだよな。よし!リン、ありがとう!落ち込むのは終わり!またいちから始めようーーーー」

「センパイ!!もう・・・!!」

 

「いたぞ!!」

「「「!!」」」

 

 クソ、もう来たか。

 

「こうなりゃやけだ。かかってこーい!!」

「・・・私は私の正義を貫くだけ!」

「敵の位置の把握は任せてくださいっス!」

 

 それからアタシたちは激闘の末、なんとか脱出に成功するのであった。

 

 そして脱出後。

 

「ハァ・・・ハァ・・・なんとか逃げ切った・・・」

「ふう・・・まさか発砲までしてくるとは思わなかったわ。昨日までは味方だったハズなのに・・・」

「ま、銃ごときじゃウチらは倒せないっスけどね〜」

 

 政府軍の猛追を覚醒者パワーで凌ぎ切ったアタシたちは、取り敢えずカメラの無い路地裏に潜伏していた。しかし、監視社会の現代だ。見つかるのも時間の問題だろう。

 

「しっかし、案外いけるもんだね。このままどこまで逃げようか?」

「その前にやるべき事があるわ」

「やるべき事っスか・・・?」

 

「ええ。私たちだけならどこまでも逃げ切れると思う。だけど、家族や友人、大切な人を人質にされたらどうする?今の政府なら、絶対に仕掛けて来るわ」

「そっか・・・」

「そんな・・・あんまりっスよ・・・」

 

 失念していた。確かに、正攻法では捕まえられない覚醒者相手には有効な戦術だろう。

 

「どうするんよ・・・」

「大丈夫。私に良い考えがあるの」

「リンセンパイ・・・?」

 

「私の能力は、空間や認識を変化させる能力。決して手は出させないわ。見せてあげる。覚醒者の、底力・・・!」

「リン・・・?なんか、ノリノリですな・・?」

「悪い顔っス!!悪の組織の幹部みたいっス!!」

「いいわね、それ。今日から私たちは悪の組織よ!!」

「ええ・・・」

 

 今までは政府公認の正義のヒーローとしてクソ真面目にやってきたリンだからか、こんな状況になってしまった事を逆に楽しんでいるようだった。いや、むしろこちらの方が彼女の本来の姿なのかもしれない。

 

「最初に言ったでしょ。私たちの目的は怪物を倒す事。よく考えたらこれがあるべき姿なのよ。政府がこちらを悪者扱いするなのなら、なってやろうじゃない」

「こうなったからには、ウチは二人について行くだけっス!収入が減るのは残念っスけど・・・」

「ま、そうだね。ポジティブに考えるしかないか・・・」

 

 その時、たんぽぽのスマホの通知が鳴った。

 

「あ、これ見てくださいっス・・・!」

「ん・・・?」

 

 そこには、政府が公式にアタシ達三人を指名手配にする、というニュースがあった。ご丁寧に懸賞金までついていて某海賊漫画のようだ。

 

「ぷっ・・・ここまで来るとなんかおもろくなってきたな」

「これが一日の出来事ってすごくないっスか?たぶん教科書載るっスよコレ」

「さしずめ、キュアレンジャーの乱かしら?もしかしたら歴史上で悪とされている人物にも私たちのような存在がいるかもしれないわね」

「アハハ!確かに」

 

 冗談を言うくらいには余裕が出てきた。もう大丈夫そうだ。

 

「じゃ、今度こそ。またいちから頑張りますか〜!!」

「「お〜!!」」

 こうして、正義のヒーローから一転、指名手配犯、そして悪の組織(仮)となった私たちの新たなる旅が始まった。

 

ーーーーーそれから数年後。

 

悪の組織【秘密結社・美少女(ビューティフルガールズ)】

 

 アタシたちは政府に悪の組織として認定され、今も指名手配されている。しかし、覚醒者の強大な力の前に捕まる気配はなく、今日も元気に怪物を討伐中。家族や友人は、リンの力によってアタシ達に悪意を持つ人間には認識できなくなり、守られている。

 

 そして政府はアタシたちに対抗すべく、新たなるヒーローチーム(笑)を結成した。あれだけの事をしたのにのうのうと活動を続けている益山田。そして、新たに加入したのはアフリカ系でぽっちゃり系の女性、活動家のキャサリン。そしてゲイを公言していて、いつも違う男を侍らせている問題児のカール。

 

 三人合わせて「多様戦隊バイビーメルティ」らしい。

 

 怪物はこの三人が全て倒している事になっているが、そんな嘘は通用するハズもなく、常に炎上している。メンバーもとても高圧的なヤツらで嫌われており、グッズは全く売れずに株価はどんどん下がり続けている。にもかかわらず別の過激派多様性コンサルを合併して、さらにいけない方向に突き進んでおり国民からは呆れられている。

 

 まだすごく良い人たちだったらよかったのだが、あまりに偏りすぎてるというか・・・お前らの事誰が好きなん?って感じだ。

 ていうか、同じような立場の人たちからしたら風評被害すぎるだろ。こいつらがパブリックイメージだから印象がすこぶる悪くなるのが迷惑すぎる。

 

 そもそも、この世界は元から多様だったんだ。さまざまな人種の人たちがおり、さまざまな考え方があったハズだ。だけど、どちらか一方の考えしか認めないで押し付け合い、思想に従わない者は悪とされた。それによってさらに差別は拡大し、多くの過激派コンサルが生まれて多様性やLGBTQ、DEIなどの言葉はただの金儲けの道具になってしまった。元々は、悪いイメージの言葉ではなかったハズなのに。

 

 アタシたちだって、全てが正しい訳では絶対にない。だけど、抗う。完全に世界が終わらないように。

 

「レンゲセンパイ、新たに怪物が出現っス!近くに女の子がいるっス!」

「分かった。たんぽぽ、サンキュー!座標送って!今向かうよ!」

「私はこちらの対応をするわ。頼んだわよ。レンゲ!」

 

 キュアレンジャーの時とは違い、全員が黒を基調としたコスチュームで戦場を駆ける。大丈夫。この国には、まだアタシたちがいるっ!

 

「だ、誰か・・・ッ!!」

 

 そこには、怪物に襲われそうになっている女の子がいた。

 

 バキッ!!

 

「覚醒者キーック!!よーし!!間に合ったな!!」

「ふぇ・・・!?」

 

 怪物は一撃で倒され、塵となった。女の子は驚いた顔でアタシの方を見た。

 

「大丈夫!?怪我は・・・!?」

「な、ない、と思う・・・あ、ありがとう・・・!!お姉ちゃんは・・・?」

 

「アタシ?アタシは、悪の組織のリーダー。秘密結社・美少女と書いてビューティフルガールズの赤城レンゲだよ!!」

「びゅーてぃふる、がーるず・・・?もしかして、元キュアレンジャーの・・・!?」

「そうだよ!」

 

 そう言うと女の子は、さっきまで怯えていたのが嘘のような満開の笑顔を見せてくれた。

 

「すごいすごい!!私キュアレンジャー大好きだったの!!グッズはお母さんに捨てられちゃったけど・・・。ねえねえ、なんでビューティフルガールズなの??たようせい?の教科書で悪者みたいに書いてあったけど・・・」

「ん?ふっふっふ・・・それはね〜・・・」

 

 確かに怪物を倒す使命もあるが、このチーム名のコンセプトはーーーーー

 

「ーーーーー多様性って言うんなら、アタシたちみたいな美少女チームが居てもいいだろっ!って付けた名前だよ!」

 

 これからも、レンゲたち美少女の戦いは続いて行く。いつか、本当の多様性が訪れるまで。

 

おわり

 

 

 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。