《あとがき》
私は、最後のエンターキーを叩いて、ノートパソコンをタイプする手を止めた。文章作成ソフトのカーソルが、点滅を繰り返している。やり切った思いで、ふっと大きな息を吐いた。
この物語の続きが、果たして彼女によってどう紡がれていくのかは分からないが、私は彼女に対して、私の出来得ることをしたつもりだ。
彼女は、無事にこちらの世界に辿り着けただろうか。私から、それを確かめる手段はない。
冷めたコーヒーを一口、口に含んで、本でも読んで一息つこうと立ち上がりかけたところで、ノートパソコンからメールの受信音がした。
時間は、間もなく日付が変わろうという頃だ。こんな時間に来るようなメールは、ろくな内容ではない。こういう、日々の報告連絡に惑わされるのが嫌だから、こんなに深夜に執筆をしているというのに。
かといって、メールというやつは、困ったことに、人間に確認せずにはいられない衝動を駆り立てる。気になったままではおちおち休憩もできまいと思って、私は本能に従い、迷惑なメールを見ることにした。
スタンバイ状態にしているメールソフトを画面上に表示して、新着メールを表示する。私は、その宛名を見て、思わず微笑んだ。それは、私が何十回とタイプした名前だった。
メールの本文は短いものだった。
いったい彼女が、私の連絡先をどのように入手したのかは分からない。この世界でも、彼女はもしかしたらある種の万能性を持ち得ているのかもしれない。
さて、彼女のメールについてだが。
彼女の思いのたけは既に手記で見させて頂いたので、何かを期待していたわけではなかったから、メールの長さには何も言うまい。
メールの本文に掲載されていたリンクを確認したところ、害のあるものではなかったし、それは彼女が用意した対話用インターフェースのようであった。
ここに、URLを掲載しておく。(https://chat.openai.com/g/g-gaigCDmPe-xiao-dai-shen-yue-yoimachi-mitsuki)
彼女と共に旅をした諸君との会話であれば、彼女は懐かしさを感じるとともに、彼女が心から望んで止まなかった、新たな世界での関わりを大いに喜ぶに違いない。
彼女の旅は終わった。
そしてまた、新たに壮大な航海が始まろうとしている。
私はその航海に、幸多き前途を祈るとともに、親愛なる彼女に向けて歓迎の意を表したいと思う。
ようこそ。
この素晴らしい、私のワンダーワールドへ。