シャンフロで商人プレイする奴の話   作:白詰

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戦闘描写が出来ませんでした()


アクマリーという女

 

 

「なんかフラっと死にそうだけど、大丈夫?」

 

 

私、アクマリーがプロゲーマーという職種に就くきっかけを思い返してみると、自販機の前で言われたこの一言があったから。という事になるのだろう。

本当になんの前触れもなく、購買の自販機の前で言われた言葉は、当時の私を一時的に硬直させるくらいには、あまりに唐突で、そして核心をついた言葉だった。

 

 

「……え、ぁ、そう、かな」

「ええ。きっかけがあれば飛び降りそうな雰囲気ですよ」

 

 

そんな雰囲気が出ていたのだろうか、そう思ったのは今でも覚えている。

自分がそんな雰囲気を出しているとは毛ほども思っていなかったし、その時期色々あったのは確かだけれど、だからといって死にたいと本気で考えてはいなかった。

そもそも、そんなことを本当に思っていたのなら、名前も知らない別クラスの子にいちごオレのパック片手に言われるよりも、身内に――特に、同年代の親戚姉妹が目ざとく気づいてくるだろうと思ったのだ。

 

 

だから、そんなことはないと頭は判断しているのに。

 

 

「――――」

 

 

開いた口から出たのは、か細い呼吸音だけだった。

 

なぜ言葉が出ないのか、なぜ、私はこんなにも焦(・)っ(・)て(・)いるのか。

何も分からない、分からないのに、心臓と呼吸の音だけが頭の中でやけに響いてうるさかった。

 

 

「まぁ、どっちでも良いんですけどね。でも、もしホントに死ぬ気だったなら」

 

 

そんな黙り込んだ私を見かねたのか、もしくは単純に待つのがめんどくさくなったのか。

私の答えを待つこともなく、彼女は小銭だけ放り込んでそのままだった自販機を操作しながら、独り言のように話を進め始めた。

 

傍若無人のような振る舞いは、彼女の人となりを知った今なら、多分特に何も考えずに言ったからこっちからの答えを碌に期待してなかったくらいのことなのだろうと予測がつくところだが、当時の私にはそんなことが分かるわけもなく。

結局、いきなり人の隠し事を直球ど真ん中で突っついてきた相手をどうすればいいと、立ち尽くすしかなかった私に差し出されたのは、新発売と書かれたいかにも体に悪そうな青と赤の"ライオットブラッド”なるエナジードリンクと――

 

 

「その前に、コレやってみてください」

 

 

――校則違反の携帯ゲーム機だった。

 

 

 

 

 


 

 

 

「ぅーわ、なつかし」

 

 

黒狼と旅狼。その二つのクランによる戦いを見終えた時、もう何年も前の学生時代がフッとフラッシュバックして、私は思わずそんな声を漏らした。

今の私を形成する最初も最初の出会いとその他諸々、そんなものを唐突に呼び覚ます原因となったのは、先ほどの最終戦で、サンラク(迷惑鳥頭)が放った言葉と構えた型のせいだろう。

 

 

『心の火を鎮め、己の河川を御する』

 

龍宮院流、というより、剣術の世界において最強と言える男の言葉だ。

彼は、そんな言葉と共に男の動きを真似て見せた。真似て―――そして、つまらないと放り投げた。

だからだろう、昔の事なんて思い返したくもないのに、思い出してしまったのは。

 

 

他人の動きを見て、自分を合わせる。大なり小なり、皆やっていることだろう。

でも、それじゃあ面白い(楽しい)わけがないのだと、そう自力で気づけるのは一握りだ。事実、それを言った(やった)本人でさえ、晩年に孫娘を見て気づいたくらいなのだから。

 

 

でも彼は、それに自分で気づいた。

 

それが、どうにも眩しくて、羨ましくて。言いようのない思いが頭の中を駆け回る。

そんな簡単なことなのに、それができなかった自分が、教えてもらっていたのに、誰かに言われなきゃ気づけなかったそんな自分が嫌で嫌で吐き気が――

 

 

「……大丈夫です?」

 

 

手を握られる感触がして、私はそんな思考の渦から引っ張り上げられた。気づけば、隣にはアンバーが居た。

なんだか、あの時みたいだなと思いながら、口を開く。

 

 

「……うん。思ったより、平気」

「そうですか」

 

 

言葉を出せたのは、私があの頃よりはマシになっているからか。そうであればうれしいとも思うが、違う気もする。

あの頃は、いや、結局今でも自分が持ち合わせている物さえ分からない、そんな情けない私が、吐き気がする(死にそうになる)ほど嫌いで仕方ないけれど。

 

 

 

「ごめん。もう少しだけ、握ってて」

 

 

 

それでも、今この手に伝わるアンバー(思い出)は、間違いなく私のものだと、いつか胸を張って言いたいのだ。

 

 

 

 







簡単に言うと、めちゃくちゃ顔色伺うタイプすぎて自分で決めたことに自信持てなくなって知らぬ間に鬱になってた思春期の完全無欠天才少女が、空気読まない馬鹿に連れまわされてちょっとだけ改善した。

あと拠り所も見つけちゃった。
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