その日、日本という国において平和は消え去った。


その日、世界という集団から日本が消えた。



その日、悪魔は……降り立った。

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その日、日本という国において平和は消え去った。


その日、世界という集団から日本が消えた。



その日、悪魔は……降り立った。


Devil`sCity--- 解放せよ

「はぁ。ねえ、ミー君」

「頼むから人前でそれはやめてくれ。瑞奈」

学校へと向かう電車の中で僕――――綾坂水葉は中学、高校と同じ学校に通っている女友達の中崎瑞奈にそう言うと瑞奈は僕の困った顔を見るのが好きらしく、満足した様子で閉まっている扉にもたれ掛った。

活発……中学のころに初めてであった瑞奈を見てそう思った。

肩と腰の中間ほどの長さの髪の毛を一つのゴムでくくり、後ろへ流している姿を見ながら、

僕は遠くで見ながらそう思った。

そのあとはなんやかんやあって今に至る。

「ねえ、今日学校終わったら渋……じゃなくてD・セントラルに行かない?」

「別にいいけど……何か買い物?」

「まあね~」

瑞奈はそう言い、小さく笑みを浮かべて携帯の画面に視線を落とした。

瑞奈が言い直したのは決して間違ったからじゃない。数年前まで渋谷は存在したんだ。

でも、あの日……あいつらがこの国に……いや、東京という町に降り立ったあの日から今まで呼んでいた名称はすべて一新され、渋谷は中心街と言う事からD・セントラルと呼ばれることとなった。

『次は~D・3東駅~』

「あ、着いたね。降りよっか」

「分かってるよ。いつまでも子ども扱いして」

「ふ~ん」

そう言うと瑞奈は先に電車から降り、僕から少し離れたところで立ち止まると背中を見ているからよくわからないけど大きく呼吸でもしているのか背中を後ろへともっていき始めた。

「中学生にもなってマンガの読みすぎで乗り過ごして半べそかいた奴は誰だー!」

「っっ! な、なに叫んでんの!? す、すみません。ほら行くよ」

「ヒッヒヒヒ!」

いきなり大きな声を出したことで朝の通勤ラッシュ状態でごった返している駅ホームにいる全員が叫んだ瑞奈および僕の方をへんなものでも見るかのような目で見てきたから慌てて彼女の手を取り、

改札口に定期をかざしてダッシュで駅から出た。

ちなみに瑞奈が叫んだのは僕がやったことだ。

「…………瑞奈?」

歩いている最中に瑞奈の声が全く聞こえないので後ろを振り返って彼女を見てみるとジーッとつながれている手を見て、一瞬ニヤっとしたかと思えば今度は頬を赤く染めた。

いろいろと顔が忙しいね。

「あ、ごめん……そろそろ離してくれるといいんだけどな」

「ん? あぁ、ごめん」

「ぁ」

そう言われ、彼女の手を離すと一瞬だけ残念そうな顔をした後にまたすぐにいつもの顔に戻り、

何も言わずに僕の隣を歩き始めた。

D-モンス……そう呼ばれるようになったのはごく最近のことだ。

今から数年ほど前、突如として現れた悪魔のような異形の姿をした怪物たちが東京・渋谷で出現し、

人間の反抗を一切、気にも留めず、大量の人間を殺害した。

その悪魔のような異形の姿をした怪物――――D-モンスと呼ばれる存在の目的・および正体は一切わからず、本当に何の前触れもなく、出現して人間を殺していく。

「水葉。今日さ……その……絶対に来てね」

学校の校門を通り抜け、下駄箱のところまで来たときにそう言われた。

「あ、あぁ、うん。今日、僕6時まで授業あるからそれ以降だけど大丈夫?」

「うん。じゃあ、6時30分に駅の前で集合で良い?」

「オッケー」

「じゃあね、水葉」

そう言い、瑞奈は下駄箱から上履きを取るとそのままダッシュで階段を上っていった。

その後姿を僕は少し見ただけで下駄箱へと視線を移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――それが最後になるとも知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ…………ハァ……瑞奈……瑞奈!」

痛みに悲鳴を上げている体に鞭を打って足を動かし、肩のあたりから流れ出ている血を手で押さえながら僕は待ち合わせ場所であった駅前にいた。

午後6;00.授業終了の合図が鳴り響くと同時に突如として僕の意識が途絶え、痛みに目を覚ましたころにはすでに学校という建物は瓦礫の山と化しており、そこらから火の手が上がっていた。

待ち合わせ場所で待っている手筈の瑞奈が心配になり、どうにかして辿り着いたのは良いけど、

すでに駅は崩壊しており、人は誰もいなかった……いや、人だったものがそこらじゅうにあった。

「瑞奈! 瑞奈!」

彼女の名を叫びながら辺りを見渡すけど彼女の姿が視界に入ることはなく、

視界に入っているのは大量のがれきの山と噴き出すように上がっている炎だけだ。

その時、足に何かがぶつかったような音がして下を向くと一本の注射器が落ちており、

それを拾って中を見てみると中には透明な液体が入っているのが見えた。

――――――ゴボッ!

「なんの……D,D-モンス!」

後ろから沼から泡が出てその泡がはじけたような音が聞こえ、振り返ってみると地面から黒い円のような模様が現れたかと思うとその縁から黒い液体が噴水のように放出され、

数秒間放出され続けると、その液体が形を変えていき、

人の姿に鋭い爪と角を付け加えたような化け物が生み出された。

ヤバい……D-モンスはいくら攻撃しても復活し続ける怪物。

武器も何もない僕が勝てるはずがない!

「あぐぁ!」

その場から逃げようと相手に背を向けた瞬間、脇腹の辺りに激痛が走り、

そのままろくに手を付けずに胸から地面に倒れこむと視界の端で赤い液体が流れているのが見えた。

イダ……ここで死ぬなんて

血が流れ出る個所を抑えながら必死に相手から離れようとするけど痛みのあまりろくに動けないのに加え、恐怖からか足が言う事を聞かないせいで後ろに行けなかった。

ここで……死ぬのかな。

「うわっ!」

D-モンスが僕に飛びかかってきた瞬間、伏せる間もなく背後から銃声音が響き渡って飛びかかってきた奴らが吹き飛ばされて何かの衝撃をもろに受けたせいか形が崩れ、液体となって地面に落ちた。

「大丈夫」

「……みず……な?」

後ろから声をかけられ、振り返ってみるとそこに立っていたのは灰色の作業服を着て、

その手にマシンガンのようなものを持った瑞奈と同じ顔の女の子が立っていた。

瑞奈……じゃない。顔は全く同じなんだけど……ここまで生気がない顔は瑞奈じゃない。

その女の子の顔には生気と呼べるものが見えず、倒れているところを見たら絶対に死んでいるんだと勘違いするほど顔が真っ白だった。

「立って。逃げるよ」

そう言われ、少女に腕をつかまれて立たされた時、触れた手にはぬくもりがあった。

少女に手を引っ張られながら血が流れ出る個所を抑え、ひたすらあいつらから離れるように逃げ、

瓦礫となった建物の中に入って隠れた。

「痛い?」

「痛いよ……君は」

「ミズナ……名前しかわからないの」

その少女――――ミズナはポケットからハンカチを取り出すと血が止めどなく流れ出ている個所に押し付けて少し力を入れて止血治療に入った。

いったい何が起きているんだ……つい、さっきまでいつもの平和な日常だったのに。

「ねえ、いったい何が」

「D-モンスが本格的にこの国を滅ぼしに来たの。ほかにも理由はあるけど」

意味が分からない……だってD-モンスは不定期に現れる怪物でその出てくる瞬間だけ隠れていれば殺されずに生きていけるって政府が言っていたじゃないか。不定期なのを利用して解析するって。

「ね、ねえ。君は何で銃を」

「そう言う組織だから。対D-モンスチーム……Dチーム。ずっと昔からあった。

D-モンスがこの世界に降り立った瞬間から」

「…………え? じゃあ」

そこまで言った瞬間、僕たちが隠れている瓦礫の山で隠れていたはずの日光が僕たちに降り注ぎ始め、何事かと顔を上げようとしたその時、凄まじい爆音が僕たちを襲うと同時に爆風によって、

2人とも吹き飛ばされてしまった。

「ぁあぁぐぁ!」

「っ! 貴方、それ」

何度もバウンドを続けながらようやく止まったと思った瞬間、一瞬胸の辺りに針でちょこっと刺したような鋭い痛みが走ったかと思えば全身を切り刻まれていると錯覚するほどの痛みが僕を襲い、

視界が歪み、平衡感覚が崩れていく。

―――――――――痛い痛い痛い痛い痛い!

僕のすぐそばでミズナが銃を奴らめがけて乱射している音が聞こえるけどそちらの方向を向くことができないほど全身の痛みは強烈で目を動かすことさえもできないほどだ。

「さっ……き……の」

視界に入ってくるようにころころと先程拾った注射器が転がってきた。

それにはすでに入っていた液体はなく、からっぽだった。

「きゃっ!」

一瞬、地面を揺らすほどの衝撃が走ったかと思えば、

僕が倒れている目の前にミズナが転がってきた。

もうその頃には最大時の痛みではなかったけど体を動かせるほど体力は残っておらず、

目だけ動かして周りを見てみると周りを5mは優に超えるほどの背丈の奴らが囲んでいた。

死ぬ……のか…………瑞奈と待ち合わせていたのにな…………ごめん……瑞奈。

結局、またあの時みたいに行けなかった…………ごめん。

流れ出てくる涙を抑えることもできずにただただ近づいてくる奴らの姿を見ていた。

その時、僕の手に温もりを感じ、目を動かして前を見てみると同じように倒れているミズナが僕の手を優しく、そして軽く握っていた。

「生きたい?」

「…………うん。生きたい……よ。生きてまた………瑞奈に会いたい」

「……私を信じてくれる?」

「…………君とであって……まだ、少しし……か経ってないけど……ちょっとだけなら……」

そう言い、僕は目をつむった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『心をシンクロせよ』

―――――――誰の声かもわからない声が耳に入ってきた。

 

 

 

 

『生きたければシンクロせよ』

――――――その声は優しくもあり、強さも感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……僕と」

「……私で」

「「シンクロ」」

彼女の手を強く握りし、そう呟いた瞬間、僕たちの手から眩い輝きが発せられて今にも拳を振り下ろそうとしていた奴らを簡単に吹き飛ばすとその輝きはさらに強くなると同時に地面に僕たちを中心として光輝く円が出現し、そこから優しい風が一瞬、吹いたかと思えば僕たちの体が浮き上がった。

何も考えず……ただ腕で彼女を近くまで抱き寄せ、手をまっすぐ伸ばすと僕の手に収まるように光の輝きが集結していく。

「信じてくれるんだ」

「うん……信じるよ。君を」

そう言い、彼女を片手で強く抱きしめると集まっていた輝きから一本の線が伸びたかと思えば、

次々に形を変えていき、最終的に僕の手に一本の刀身が長い刀が現れた。

その刀身は透き通っていてまるでガラスのように僕たちの姿を映し出した。

「行こう……あんな奴らなんかに」

複数いるうちの一体が僕たちに向かって殴りかかってくる。

僕は持ち手を握りしめ、軽く上へと刀を持ち上げ、そして

「僕たちは負けない!」

全力で振り下ろすと殴りかかってきていた相手を真っ二つに切り裂くだけでなく振り下ろした際に周囲に衝撃が放たれ、地面を抉りながら突き進んでいき、残っていたD-モンスを一撃で粉砕した。

……凄い。こんな力があるなんて。

僕は刀の威力に驚いていると既に用が済んだと判断したのか刀が光の粒子となって僕の手から消えた。

「シンクロの力」

「え?」

「貴方が使ったのは」

ミズナがそこまで言った直後、瓦礫の山が吹き飛ばされたような音が聞こえ、そちらの方を慌ててみてみると僕たちの方へ大型のダンプカーが迫ってきて、僕たちのすぐ近くで停車した。

「大丈夫。私の仲間だから」

少し警戒した僕にミズナのその言葉が響いて力を抜いた。

するとダンプカーの扉が開き、そこから黒い服を着て金髪の男が降りてきた。

「ミズナ……無事だったか……その少年が」

「うん……この子が使っちゃったの……ごめんなさい」

「気にするな。使う相手が変わろうが俺たちの目的は変わらない」

いまいち2人の会話の内容についていけていない僕はオロオロしながらも二人の会話が終わるのを待っている間にさっきの力のことを考えた。

さっきのは何だったんだろう……一瞬だけ凄い力が出た……。

「君の名前は」

「あ、綾坂水葉です」

「俺はカイト。Dチームの地上部隊を率いているリーダーだ。早速で申し訳ないが、

君にはチームに入ってもらいたい……いや、入らなければならない」

カイト――――そう名乗った男の人は淡々とそう言った。

「……一つだけ教えてください……さっきの力は何なんですか」

「簡単に言えば……D-モンスを復活させることなく倒すことができる唯一の力であり、

滅びゆくこの国の最後の希望だ」

「……僕は人を探しているんです。すみませんが」

「……ではその人を我々の探索部隊に捜索を要請しよう。君一人が探すよりも我々の組織で捜索した方が見つかる確率は飛躍的に上がる。もちろん環境は準備しよう。報酬も。何不自由ない……その見返りとして君には我々の組織に来てもらいたい。もしも断るようなことがあれば……」

そのあとのことを男の人は言わなかったけど容易に想像がついた。

……まだ、この人のことは信じることができないけど今、僕ができることはこれくらいしかない。

まだこの力のことだってまったくわからない僕に対してこの人は何か知ってそうだし、

一人で探すよりも大勢で探した方が……。

「よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――ある日、一つの国は終わりへと進み始めた。

 

 

 

 

 

 

―――――――ある日、滅びへと進む国に一つの希望が生まれた。

 




なんとなく書きました。
食べ過ぎてお腹が痛くなるなんて言う初めての体験をしながらね。
それでは。

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