前回までのあらすじ!くだらないことでうじうじ悩んでた俺は、〈かがやくいのち〉の超純真光属性メンタルセラピーを受けて無事に精神状態を回復しました!以上!
それから時は流れ、人類は俺たちに見守られながら順調に繁栄していた。海を渡って他の大陸に生存圏を広げ、二度目の天変地異を俺のアドバイスのみで乗り切り、技術や文明も前世の現代にほとんど追いついた。ところどころファンタジー要素が混じってるから完全に同じってわけじゃないけどね。
そしてその人類から熱心に崇められている死と消滅の神である〈あまねくおわり〉こと俺は、月の裏で自堕落ゴロゴロ生活を満喫していた!
ッハァー!なんだその甘えたジャンプはぁ!?こちとらこのゲームが発売されてから一日二十四時間トレモにこもり続け反射で対空が出せるようになったトレモ勢やぞ!たとえ人間スペックまで性能を落として遊んでいるとはいえ、反復練習とプレイ時間の暴力で大抵の事はどうにかなるんじゃーい!おらおらどうしたぁ!空も飛べない人間がそうやって迂闊にジャンプするから落とされるんですねぇ~。大人しく地面を這いつくばっていればいいのにねぇ~。ハイ俺の勝ち~、なんで負けたか明日まで考えておいて下さ~い。
あー気持ちいい。やっぱ勝てる格ゲーがいっちゃん気持ちいいわ。最高。生きてるって素晴らしい。
え?前回までのあのボロボロメンタルはどうしたって?そういやそんな時期あったねぇ。
結論から言うと、俺の魂は人間の魂の影響を受ける前の純粋なドラゴンの魂に戻すことはできなかったが、魂の摩耗そのものはほとんど回復している。
そもそも〈かがやくいのち〉が言うには、俺の魂の損傷は人類を見守り始めてからわずかに修復され始めていたらしい。やることが何もない虚無な時間がメンタルを削ってた一因だったわけで、人類相手にしてる時は暇とか無かったわけだから考えてみれば当たり前である。
さらには自分で自分の事ダメだって思い込んで勝手にダメージ受けてた状態だったのが〈かがやくいのち〉とのふれあいでかなり改善された。というか〈かがやくいのち〉っていうあったかくてふわふわな生き物と触れ合いながら過ごして回復しないメンタルがあるだろうか?いや、無い。
そんなわけで現在俺は魔法で人間たちの娯楽をちょろまかしながら〈かがやくいのち〉をモフって過ごすという幸せな毎日を過ごしている。どうだ羨ましかろう。
「ねえねえ〈あまねくおわり〉」
「む、どうした〈かがやくいのち〉よ。またなにか分からないところがあったか?」
「この絵本に出てくるこの生き物、人類が行けてないところにいる生き物によく似てるんだ。どうやって知ったのかな?」
「おそらく偶然であろう。今までに生まれた命の数を考えればそういうこともあるだろうさ」
「そっかぁ。不思議だねぇ」
〈かがやくいのち〉は今、人間の絵本を読むのにはまっている。もともと感情について理解するために人間を観察していたが、最近になって本にも興味を持ち始めたらしい。たまにさっきみたいに気になる事や分からないことがあると聞いてくるのだ。
質問の後、〈かがやくいのち〉は絵本を閉じて再びこちらに話しかけてきた。
「ねぇ、〈あまねくおわり〉。君は人間が好きなんだよね?」
「たしかにそうではあるが、突然どうした?そのようなことを聞いてくるとは」
「好きってことは一緒にいたいってことでしょう?僕が君と一緒にいたいみたいに。一緒にいて、触れ合いたいって事なんじゃないかなって思ったんだ。だから、君も人間と触れ合ってみたいんじゃないかなって」
「否定はしないが不可能だろう。私が触れられるのはお前だけだが、それでも私は十分に満足しているし幸せだぞ」
〈かがやくいのち〉の疑問は正直いまさらなものだった。自分でもこの体質というか性質をどうにか出来ないかと試行錯誤しては見たが、俺という存在が死と消滅を司る存在である以上どうしようもないものであるという結論に至ったのだ。
ちなみにだが、〈かがやくいのち〉は俺と違ってこの世界のモノに触れることはできるが、体から発せられる命の力のせいで周囲では風は吹き荒れ水は湧き立ち、大地は隆起し火は燃え盛る。草木は生い茂り、生き物は急速に体が肥大化するので俺とは逆の意味で気軽に触れられない。特に生き物は体が肥大化する際に内臓や骨が押しつぶされるが、供給される命の力で無理やり再生され生かされ続けるという死ぬよりも悲惨な目に合う。あまりにむごい。
「うん、僕も君といると"嬉しい"がいっぱいになるよ。そっか、じゃあ僕が別の体を作って、君が魔法でその体と感覚を繋げば君も人間と触れ合えるかなって思ったんだけど……」
「……その手があったか!早速試してみよう。うまくいけば私もお前も、気兼ねなくこの世界のものに触れられるようになるぞ」
「わあ、ほんとうに?なんだかそれは、とっても楽しそうだね」
まじかよ〈かがやくいのち〉ったらマジ天才じゃね?俺には生き物作れないからその発想は無かった。よっしゃ待ってろ人類ども!神様とご対面の時間じゃーい!
後日、叡智の石板に「ちょっと〈かがやくいのち〉といっしょにそっち行くね」というメッセージが伝えられ人類全体が大騒ぎになるのだが、それはまた別の話。
これにて完結です!
ここまでこの作品を読んでいただきありがとうございました!
感想で二次創作を書きたいという意見がございました。こんな作品でよければいくらでも書いてください。むしろ書いていただけるなんて光栄すぎて恐れ多く感じてしまうくらいです。
以下、あとがきというか作者の自分語りなので読まなくても大丈夫です。
この作品を投稿したのは、小説を書く習慣をつけるためでした。
小説を書きたいと思いつつ設定を練ってばかりで本文を一向に書き始めない自分を、書かざるを得ない状況に追い込むために、酒と深夜テンションで投稿したのが始まりです。
ざっくりした脳内プロットだけ用意して、クオリティーとかは一切気にせず書きたいものを最後まで書き切ろう、というスタンスで書き始めたのですが。実際に文字に起こすのは大変で、書きたいシーンを想うように書けず苦悩するばかりでした。
さらになぜかランキングに乗り創造の五百倍くらいの人に読まれるようになる始末。いまだに何かの間違いではないかと疑っています。
書き始める際に、元読み専としていくつもエタった作品を見てきた経験から、絶対に完結させるという覚悟で書き始めましたが、この作品を最後まで書ききることができたのはそれだけではなく、読んでくださった皆様の評価や感想があったからと思っています。プレッシャーも感じましたが、自分の作品を楽しみにしてくれる人がいるということが、どれほどモチベーションを上げてくれるのか実感しました。
次に何か書くなら一話で終わる短編でしょう。長編を書くなら絶対に書き溜めを用意してからにするとこの作品で学びました。
それではこんな自分語りまで最後まで読んでいただいた皆様へ最大限の感謝を。またいつか!