……全てを肯定してくれる、自由な世界。
勿論、制限や不条理もあるけれど。その全てが、成長の糧となる。
誰でも、存在の証明ができる世界……。
それがGBBBB。
制作したガンプラをスキャンし、スキルやアビリティを付与。
更にジオラマモードでは俺ジオラマも制作できる等、無限に遊べる楽しめるのだ!
無限に広がる
この二つを繋ぐ架け橋として、文字通り人類史上最大の建造物として七年前に完成したのが軌道エレベーターである。
平日の疲れを無重力の
誰もが夢見た未来が現実に──、なるのはまだ暫く後になるだろう。
何故ならば、月面ステーションも宇宙コロニーも、まだまだ建設の途上なのだから……。
この様に、まだまだアニメや映画で描かれた世界が日常的になるには今しばらくの時間がかかる一方。
既に、かつて人々が夢見た世界が日常的となっているものもあった。
それが、仮想世界と呼ばれるコンピューターネットワークサービス。
企業の商品発表会、仮想空間ならではの体験型ショッピング、現実以上の演出が心を打つライブイベント等々。
様々な分野で仮想世界を活用される中、とある分野においても、仮想世界を活用したサービスが開始されていた。
そのサービスの名を、
かつては筺体型サービスとして提供していたガンプラバトルシミュレーターをオンライン化した、その名の通り、ガンダムのプラモデルであるガンプラを用いたサービスである。
同サービスの特徴は何と言っても、最新のスキャン技術を用いて読み込まれたガンプラを仮想世界内で自由に動かす事が出来る事だろう。
自身の手で作ったガンプラを自由自在に操作できる。そんな、誰もが一度は想像したものを現実にする、それがGBBBB。
ガンプラバトルシミュレーターにて培われた、手に汗握る大迫力のバトルは勿論。
ガンプラをアバターとして使用したり、ガンプラに様々なエフェクトや小物などを配置して自分だけの箱庭を作り上げる、ジオラマモードと呼ばれる新たな要素も追加されている等々。
単なるオンライン化ではなく、より幅広いユーザー層へと訴求できるサービスとして昇華した、それがGBBBB。
まだ正式サービス開始前のβテストの段階ではあるが、既に世界中から熱狂的な支持を集める等。既に世界的なエンターテイメントへの成長が期待されていた──。
そしてここにも、そんなGBBBBの世界に足を踏み込まんとする一人の少年の姿があった。
「上手くいくといいなぁ……」
不安げな言葉を呟きつつ、少年は机の上に設置したGBBBB用の端末に目をやる。
スキャナーとしての機能を持つ円形の台座には、既に自身がGBBBB内で使用する機体が佇んでいる。更にその手前には、プレイヤーの個人情報を記録した記憶媒体が設置されている。
「……よし」
程なく、意気込んだ少年はヘッドギアを装着すると、端末の左右に備わった操縦桿型のコントローラーを握る。
そして、接続開始のアナウンスが流れた次の瞬間。
少年の意識は、現実世界からGBBBBへと移り変わるのであった。
眩い光が収まると共に、少年はゆっくりと目を開く。
そこで少年が目にしたのは、まるでSF映画に登場する秘密基地を彷彿とさせる巨大な空間。
そこにはGBBBB内のローカルニュースを表示する大小さまざまなモニター、中央には巨大なガンプラが鎮座しており、その周囲を様々なプレイヤー、もといアバターのガンプラが行き交っている。
この場所こそ、GBBBBの顔と言うべきメインロビーである。
「おぉ、やった! 上手くいってる!!」
そんなメインロビーに降り立った少年は、次いでGBBBBでの自身の分身とも言うべきアバターの姿を確認し、歓喜に沸いた。
何故なら、多少懸念はあったものの無事に機体は読み込まれ、今や少年自身がその機体の姿になっていたからだ。
「折角欲しい漫画やゲームを我慢して手に入れたんだ、これで失敗してたら目も当てられなかったな……」
目論見が成功した少年は、GBBBBの世界を堪能し始めるべく一歩を踏み出そうとした。
だがその矢先、不意に誰かに声をかけられる。
「なぁなぁ、そこの君」
「ん?」
声の方へと視線を向けると、そこには一人、否、一体のガンプラの姿があった。
「あ、気付いてくれた。なぁ君、さっきキョロキョロしとったやろ、もしかして初めての人?」
頭が大きくて手足の短い、所謂二頭身のそのガンプラは、俗に言うSDガンダムのガンプラであった。
「その機体……、まさか、リュー使い!?」
「そうそう、騎士道大原則ひと~つ、騎士は初心者を助けなければならない──って、なんでやねん!!」
「おぉ、これが本場のノリツッコミ」
謎のSDガンダム使いの少年のノリツッコミに感心した所で、少年は彼に用件を尋ねる。
「それで、リトルレイダー型使いの君が俺に何の用?」
「……もうつっこまへんで」
「あ、じゃ真面目に。……えっと、それってSDガンダムだよね?」
「せや、SDコマンド戦記に登場するコマンドガンダムをベースにした俺ガンプラ、その名をタオSDカスタムや!」
「あーコマンドガンダム、スパクロに登場した事のあるアレか」
「そや、自己紹介もまだやったな。ボクの名前はタオ、よろしく」
「俺はバレル、こちらこそよろしく」
こうしてお互いに自己紹介を終えた所で、タオはバレルの使用している機体に関して疑問を投げかける。
「所でその機体、フルアーマー百式改やんね。見た所凄い作り込みやけど、でもフルアーマーはまだガンプラ化してなかった筈。一応百式改はマスターグレードで出とったから……、もしかしてそれを改造して作ったん!?」
「いや、これは自作じゃなくて買ったんだよ」
「買った? それって、製作代行してもらったって事?」
「じゃなくて、これ、METAL ROBOT魂のやつ」
「あぁ、そっか、それやったらその完成度も納得や──、って!! なんやて!?」
METAL ROBOT魂、それはガンプラ製造の技術とロボットを愛する心が融合して生まれた、圧倒的完成度を誇る完成品アクションフィギュアシリーズであるROBOT魂の派生シリーズ。
ダイキャスト素材による耐久性と重量感、ガンプラ以上の可動域、多彩なエフェクトパーツやギミック等々。ガンプラとは異なる魅力があるが。
METAL ROBOT魂を含めたROBOT魂シリーズの最大の魅力は何といっても、マイナーな作品並びに機体を立体化している事だ。
バレルの使用しているフルアーマー百式改の他、ガガやエアリーズ。更にガンダム作品以外であればコードギアスのナイトメアフレームや、ゼーガペインのホロニックローダー等々。
好きな人にはたまらない商品展開となっている。
ただし、その完成度の高さ故に商品単価は高く、商品にもよるが、ガンプラと比較すると三から五倍ほどの差がある。
また生産数もガンプラと比較すると少なく、再販もあまりない為、一度買い逃すと入手が困難という難点もある。
「それガンプラとちゃうやん!!」
そうつまるところ、バレルの使用しているフルアーマー百式改はガンプラではないのだ。
「試したら上手くいった!」
「爽やかに言うてもなぁ……」
「なぁタオ、考えてみてくれ。タオSDカスタムや周りのプレイヤーが使っているガンプラにはプラスチックが使われてる! そして俺の使う機体にもプラスチックが使われている! そこになんの違いもありはしないだろ!!」
「違うんや!!」
謎の理論を展開するバレルを一蹴したタオは、GBBBB内でその機体を使うのはおかしいと説く。
「けどさ、実際にスキャンして使えてるって事は、運営側は問題ないって判断したって事じゃないのか?」
「それは……」
「それにさ、
そう言いながらバレルが指示したのはとあるモニター、そこにはクランと呼ばれるプレイヤーチーム同士の対戦、所謂PvPの様子が映し出されていた。
「いくぞブラザー!」
「応!!」
「とこしえの勝利を!!」
「皇帝陛下の為に!!」
「「皇帝陛下の為に!!」」
青を基調とした装甲を身に纏った三体の巨人は、各所に施された装飾と相まって、まるで中世の騎士を彷彿とさせた。
しかし、巨体の周囲に張り巡らされたシールド、両腕と両肩に装備されたレーザーブラスターやプラズマガンの姿が、単なる機械仕掛けの巨人ではない事を物語っている。
巨人の正体、それは人類帝国が誇りし戦闘マシーン、ウォーロード・タイタン。
「くそ、同じタイタンとは言え、なんて火力とシールドだよ! 流石は機械神ってか」
「あの分厚いシールドは、リージョンのパワーショットを至近距離からぶち当てても簡単には破れそうにないぜ……」
「俺が飛び込んで活路を開く! 二人は援護を!」
「無茶だ! やられるぞ!」
「それでも、誰かがやるしかない! 信じて!!」
片や、そんな三体に挑むのは、ウォーロード・タイタンの三分の一程度の大きさを誇る、武骨な外観の三体のロボット。
40mmトラッカーキャノンを主武装とするトーン級タイタン、ガトリングガンを主武装とするリージョン級タイタン。そして、ヘビーマシンガンとマルチロックミサイルを備えたバンガード級タイタン。
同じタイタンの名を冠した三体だが、相手の前ではその名に反して子供のようにも見える。
だが、各々のタイタンを操るプレイヤー達は決して青き威容を前に怖気づくことなく、サイズ差と地形を生かして戦いを続けていた。
「いやー、海外のプレイヤーの皆さんは、本当に独創的な機体をお使いになりますねぇ……」
そんなPvPの映像に対して死んだ魚のような目で実況を行っているのは、GBBBBのイベント司会やローカルニュースの担当を行うAIキャラクターのレコ。
言葉を選んで必死に実況を続けるが、もし彼女がAIではなく生身の人間ならば、一刻も早く職務を放棄したいところだろう。何故なら、先述した機体は何れも、ガンダムシリーズとは異なる作品に登場するロボット達だからだ。
「な、アレよりはマシだろ?」
「これは、夢、か?」
「ところがぎっちょん! 夢じゃありません! 現実です。これが現実!!」
「一体いつから、GBBBBは国際ロボット博覧会になってもうたんや……」
更に、その後流れた別のPvPでも、古代ムー帝国が作り出した神秘のロボット、
まさに鋼の祭典の様な様相を呈していた。
「ほんま、運営さんの判断基準はよう分からんは……。この間垢BANされたってプレイヤーはガンプラ以外を使ってた訳でもなくすーぱーふみなを使ってただけやのに……」
「越えちまったんだよ、そいつは」
「越えた?」
「昔から言うだろ。垢BANされる奴は……好奇心と踊ってるうちにいけないボーダーラインを越えちまったってな……」
「そんなん聞いた事ないけど……」
「だが、それでも越えようとする者は後を絶たないだろうな。何故なら、人は、過ちを繰り返す──」
謎の言い回しと共に話に一区切りついた所で、バレルは話を戻し始める。
「そう言えばタオ。どうして俺に声をかけたんだ?」
「あ、そやった。危うく本題を忘れるとこやったわ」
仕切り直しとばかりに咳払いをすると、タオは改めて本題を話し始める。
「なぁバレル、もしよかったらボクと一緒にミッションに行かへん? ボク、こう見えてもGBBBBは結構プレイしてるから、色々とアドバイスできるし!」
「ん~、そうだなぁ……。あぁ、いいぞ」
「ほんま! よっしゃ! なら早速、あっちのミッションカウンターでチュートリアル用のミッションを受領しよか! ……と、その前に、フレンド登録済ませとこ」
「了解」
そして、フレンド登録を済ませた二人は、肩を並べてミッションカウンターへと向かい始める。
「所でバレル、さっきから気になっとったんやけど。もしかしてバレルって、あんまりガンダム詳しくないん?」
「実はそうなんだよ……。ガンダムを知ったのも、遊んでたスパロボに登場したのが切っ掛けだし。この機体を選んだもの、スパロボに登場してたからだし」
「因みにバレルは、どの程度ガンダムの事知っとるん?」
「えっと、ガンダムってあれだろ。『マグネット・コーティングパワーオン!! ビームサーベル!! 死ねぇっ!!』ってやつだろ」
「大体あっとるけど、それもう冒険王版やないか! 違う、そうやない!!」
今日会ったばかりとは思えない掛け合いを行いつつ、GBBBBという名の果てしなき上り坂を上り始めた二人。
果たして、二人が上り切った先で目にするのは希望か。絶望か。
それは誰にも分らない。
だが、確かな事はただ一つ。
GBBBBの歴史が、また1ページ……。
という事で、ノリと勢いの名のもとに、またしても無秩序な新作投稿という過ちを繰り返してしまいました。
好評なら、もうちっとだけ続くかも……。