当作は、樽見京一郎先生著作『オルクセン王国史 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~』の二次創作作品です。
WEB版読了の閲覧を推奨します。

また、当作品はフィクションです。実在する人物、国家、組織、作品などは無関係であり、それらを貶める意図は一切ございません。閲覧時はご了承ください。


対エルフィンド戦争終了後のオルクセンが、将来の同盟相手と考えていたかもしれない、道洋の果ての島国、秋津洲。
その秋津洲の海軍を舞台に、今もう一つの物語が動き出そうとしていた。
~これは、後世世界での役目を終え、グスタフ達の住む世界にまで転生を繰り返した漢達の、始まりの物語。

かつて仮想戦記ブームを巻き起こした、伝説の作品と、新世代の仮想戦記たるオルクセン王国史の、クロスオーバーを目指して~

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【オルクセン王国史二次創作】秋津洲海軍転換録-紺碧の芽生え-

「お呼びでしょうか、総長。」

その日、秋津洲首都の海軍軍令部総長室に、1人の若者が呼ばれた。

「来たか少尉。まぁかけてくれ。」

「はっ、失礼します。総長。」

若手の少尉から総長と呼ばれた人物はしかし、男性でもなければ、人間でもなかった。

アルザス・フューリアス。

かつてロザリンド会戦終結直後のエルフィンドから出奔し、道洋のこの島国で、海軍トップの軍令部総長まで上り詰めた、ダークエルフの女性である。

少尉が椅子に座るやいなや、フューリアスは話を切りだした。

「以前君に、この秋津洲が世界に討って出るとき、列強のどの国と組めばいいか、尋ねた事があったな。」

「はい。」

「実はな、その事で一つ、事態が動いた。

 つい先日私宛に、ある人物から連絡があった。」

「連絡?それは…。」

「以前君にも教えた事があるが、私たちエルフ族には、魔術通信という特殊な連絡手段がある。

 その連絡をよこしてきた人物と言うのが、その時にも話題に上げた旧知の友でな。」

「そのご友人からの連絡が、私を呼ばれた理由ですね。」

「あぁ。彼女からの連絡の内容と言うのが…くっくっくっ。」

「総長?」

「あぁすまん。あまりに愉快痛快でな。

 その彼女…ディネルース・アンダリエルが言うには、白エルフたちからの大量虐殺を逃れて、自分たちが亡命した国と、エルフィンドとの戦争が、彼女たちの国の勝利で終結したそうだ。」

「…やはり。外電の通りでしたか。」

「あぁ、そして君の予想した通りだった。

 しかしながら予想外だったのは…エルフィンドとの戦争を終えた彼女達の国は、次の外交の一手として、我が国との同盟を求めているらしい。

そしていま彼女は、かの国の艦隊に便乗し、わが国を目指しているとの事だ。」

「…軍事同盟という事ですか!!かの国とは、すでに貿易の実績はありますが…」

フューリアスの説明に、少尉は驚愕しつつ、思考を巡らせる。

「あぁ、しかも彼女たちの頂く国王は、その同盟が提案されると、即決で決め、ディネルースを交渉役とした艦隊を編成し、こちらに向かわせたそうだ。」

「…国土の規模や経済発展の度合い、軍事力に星欧大陸での存在感からすると…どうしても釣り合いがとれません。

 本当にかの国は、わが国を同盟相手として見ているのでしょうか?」

「君の不安も分かる。道洋屈指の大国であったはずの華国は、いまや星欧の列強が切り取り勝手のごとく、権益を貪りつくす有様だ。

 それより遥かに小さな島国であるわが国が、あっという間に星欧の大国の植民地にされる可能性は確かにある。」

「はい。それでは意味がありません。」

「だが、かの国は海外植民地には興味がないという、かの国の王の言葉だ。彼女づてで聞いている。

 なぜその言葉が信用できるか?それは彼女がすでに、かの国の王の内縁の妻だからさ。」

「…!!驚くべき情報ばかりですな。

 魔種族の国とは言え、種族も違えば身分も違う。それでも結ばれたとなれば…。」

「君の事だ。未だ色濃い我が国の封建制や男尊女卑の風潮に、一石を投じられると言いたいんだろ?」

「はい。まぁ…総長はそれを打破してきたお一人ですが。」

二人は顔を突き合わせ、ニヤリと笑みを浮かべ合った。

「話を戻すが、どう思う?」

フューリアスは彼に意見を求める。

しかしこれはおかしな話だ。目の前にいるのは、フューリアスより遥かに年齢も階級も下の、いち若手少尉である。

「私にそれを言わせますか。すでに総長の顔に書いてあります。」

「分かった。まだこの情報を知っているのは、私と君だけだ。事は慎重に、だが可及的速やかに進めたい。」

「すぐオオタカ中尉に連絡します。陸軍は彼に任せます。」

「わかった。議会の連中は私が面倒を見よう。」

「申し訳ありません。総長には一番骨の折れるところをお願いしてしまい…。」

「かまわんさ、わが秋津洲が世界への橋頭堡を築く第一歩として、これほどおあつらえ向きの機会があるものか。

 しかしそれにしても、くくく…。」

フューリアスの口から、再び笑みが漏れる。

「なにか?」

「よく言う、君が私に懇々と説いた通りではないか。星欧でどの国と結ぶべきか。それはかの国、オルクセンだと。」

そう、フューリアスにオルクセンとの関係性を説いた張本人こそが、目の前にいる少尉だったのである。

「たしかにその通りです。ですが私だけではありません。オオタカ中尉も、そして我が会の同志たちの総意でもあります。」

「そうだったな、たしか…紺碧会といったか。

 私も顔を出してみていいかな?」

「…本来であれば、会のメンバーにはある繋がりが必要なのですが…総長であれば問題ありません。」

「ほお?どういうことかな。」

「総長は、以前私にお話しくださいましたね。エルフ族に伝わるとある伝承を。」

「…?」

「転生者-“ヴィラール”-。」

「おい、まさか!?」

「はい、私たちもなのです。そしておそらく、オルクセンのグスタフ国王も。」

「…驚いたな、私も長く生きてきたが、転生者に会うのは初めてだよ。」

「紺碧会の面々や、オオタカ中尉以外に話すのは、総長が初めてです。」

「ということは、オオタカ中尉も?」

「私もオオタカ中尉も、とある世界の記憶を持って、この秋津洲に辿り着きました。

 一部世界の理や、魔法の存在という大きな違いはありますが。

 ですが、この秋津洲と、この世界を、私たちが元いた世界や時代と同じような、悲劇の道を歩ませたくないという気持ちは変わりません。」

「…ふふふ、わかった。君の言葉を信じよう、タカノ少尉。」

「ありがとうございます、総長。

 …話は変わりますが、あの件はどうなりましたか?」

「…お偉方を惑わすのは骨が折れたぞ。

 ま、オオタカ中尉の協力で、“やんごとなき方”のお力添えをいただけたのはありがたかった。」

「それでは、八八艦隊の陣容変更に手を付けても?」

「あぁ、かまわん。」

「ありがとうございます。これで彼の計画を実行に移せます。」

「マエバラ技術少尉の発案と聞いているが…本当に戦艦ではないのか?」

「はい、大艦巨砲主義はあっという間に廃れます。これからは空母と…潜水艦の時代です。」

八八艦隊-。それは秋津洲海軍が総力を挙げて編制を目指していた、戦艦8隻・巡洋艦8隻からなる、道洋はおろか、世界屈指の大艦隊-となる計画のはずだった。

しかしタカノは、すでに八八艦隊計画に見切りを付け、まったく新たな艦隊の建造計画を進めようとしていた。

「分かった、我が海軍の未来を君たちに託そう。

 して艦隊名は?」

「会の名を取りました。“紺碧艦隊”です。」

「紺碧艦隊、か。猛々しくも、爽やかな、いい名じゃないかー。」

「ありがとうございます。紺碧艦隊揃いし時は、七つの海を存分に暴れ回ってみせます。」

「ふふ、その意気やよし。私も時代遅れと呼ばれぬよう、せいぜい議会を相手に腕を振るわねばな…。」

「ははは、どうか、お手柔らかに。」




やってしまいました。ついにやってしまいましたorz

現在前編を公開している作品もあるというのに、Twitterでの素晴らしい“野生のオルクセン”を拝見し、そのアンサー的二次創作を思いついてしまい、ついつい盛り上がって書いてしまいました。
しかもその舞台とモデルに選んだのは、あの…『紺碧の艦隊』です!
Twitterでの与太話としてポロッとこぼした、オルクセンと紺碧のコラボ。
ご笑覧いただければ幸いです。

前書きにも書かせていただきましたが、いちおうこちらでも。
当作は、樽見京一郎先生著作『オルクセン王国史 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~』の二次創作作品です。
WEB版読了の閲覧を推奨します。

また、当作品はフィクションです。実在する人物、国家、組織、作品などは無関係であり、それらを貶める意図は一切ございません。閲覧時はご了承ください。

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