アンダリエルニシンのサンド 〈オルクセン王国史 二次創作〉 作:M☆E☆T☆A
原作:オルクセン王国史 ~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~
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名前の由来は、その名の通りオットー・フォン・ビスマルク首相にちなむものです。
彼が好み、称賛したからとか、シュレスヴィッヒ・ホルスタイン戦争に臨んだビスマルク首相に提供されたからとか、ドイツ北東部のシュトラールズントにあった魚屋がビスマルク首相に送ったからなど諸説あります。
さて、このドイツ・プロイセンの宰相の名を付けられたニシンの酢漬けですが、オルクセン世界だと、果たして誰の名を?と考えた時、とある暗躍者とその被害者?が浮かんだわけであります。
果たしてそれは…なお話です。
オルクセン王国北中部、ヴラウヴァルト州ファイスピッツェンドルフは、北海沿岸にある、漁業と海上交易で栄えた古い港町である。
星暦八七六年夏、この地で魚商を営んでいたオーク族、ハンス・シュラハットは、エルフィンドから逃れてきたダークエルフ族たちの境遇にいたく同情し、自家製の「ニシンの酢漬け」を一樽、彼女らへと差し入れた。
それはすぐ目の前の海で上がった、新鮮で大振りなニシンの切り身を、地元産の甘口白ビネガー(酢)と塩、少々の食用油にたっぷりのマスタードシード、スライスした玉ねぎ、月桂樹の葉、オールスパイスを加えた、少々スパイシーながら甘酸っぱい味わいのマリネ液に一週間漬け込んだ、ハンスの妻独自のレシピで作られた自慢の逸品であり、当地のマルクトでも人気の商品だった。
その味にいたく感動したダークエルフ達は、「アンファウグリア旅団長ディネルース・アンダリエル」の名で以て、丁寧な礼状を送ったという。
だがこの話はそこで終わらない。
このニシンに魅せられた一人のダークエルフ将校が、アンファウグリア旅団員らが懇意とする酒場「クライスト」の店主を通じて取り寄せの相談をしたところ、情に篤いが、同時に抜け目のない商人でもあったハンス・シュラハットは、特別に格安で提供する代わりに、このニシンに、ダークエルフ族にちなんだ名を付けてほしいと願い出たのだ。
もちろん彼女の側にも異論があろうはずもなく、直ちに動いたその結果が「ダークエルフ族長ディネルース・アンダリエルの名をこのニシンの酢漬けに使う事を認める書面」なのは、「狩人(イェーガー)」の異名を取る、アンファウグリア旅団作戦参謀、ラエルノア・ケレブリン大尉の、何とも摩訶不思議な手腕によるものだった。
以後、このレシピで漬けられたニシンは「アンダリエルのニシン」としてクライストの定番メニューへ、もちろんファイスピッツェンドルフでの名物料理となっていく。
更には、玉ねぎが食べられないコボルト族向けには、玉ねぎに変えてトマトを使ったものも作られた。
また、たっぷりのタマネギを、このニシンの酢漬けと共に、ちょいとだけ表面を硬めに焼き上げた白パンに挟んだ「ロール(サンド)」は「アンダリエルのロール」としても知られるようになる。
なお、後に「ディネルース・アンダリエル」が王妃、やがては女王となるに従い、この「アンダリエルのニシン」のレシピは「王妃のニシン」「女王のニシン」として、オルクセン北海沿岸地域一帯を代表するニシン料理となっていくのは、いつのまにか名付けを許していた当の本人さえも予想だにしていなかったのだが。
ディネルース・アンダリエル「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」
ラエルノア・ケレブリン「ディネ姉さま、このニシンのロール食べさせたら、本当にちょろかったの」