【完結】跡に残るは雪ばかり。   作:朝日橋立

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全く本筋に関係ない + 主人公関連の視点ではありません。
生存報告のためですので、加えて短めです。
また、読み飛ばしでも全く問題はありません。


閑話四 シア・アトウッドというかつての友達について

 のほほんとした昼下がり、欠伸をしながら外を眺める。

 つい先程、片付けが終わり、仕事も一段落をしたためだった。

 

 ふと、一本の老木に目が止まった。

 それを見ていれば、かつての友達を思い出す。

 

 シア・アトウッドという可愛らしい少女。

 栗毛の髪の毛に、少し小さなその姿、どれをとっても可愛らしい少女だった筈だ。

 

 今となっては、少し記憶も薄れている。

 最後にあったのは、何十年も前の話だ。

 彼女は今、一体何をしているのだろうか?

 

 たぶん、幸せそうにしているだろう……。

 彼女は、多少抜けているところもあるが、恐ろしい少女だったのだ。

 

 達観していたわけではない。

 そして、別に天才というわけでもない。

 

 けれど、幼い私は彼女が嫌いだった。

 友達としては好きだったが、人としては嫌いだったと言うのが最適だろうか?

 小狡いというのは違う。

 だが、賢い少女だった。

 

 何かを自己解決して、けれどその労を誇らない。

 しかし、それを人に才能だとは思わせない。

 あくまで時間を掛け、努力だと思わせる。

 

 彼女は酷く賢かった。

 その賢さが、私の目には恐ろしく思えた。

 

 彼女は天才ではなかったと思う。

 けれど、決して凡才でもなかった。

 

 何処までも努力家だった。

 そして、努力を徒労にしない才能があった。

 

「手紙でも書こうかしら?」

 そう思ったが、きっと迷惑だろう。

 過去の、それも忌むべき過去の残滓ほど憎らしいものはない。

 忘れた頃にやってくる過去の呪縛、これは往々にして良いものではないのだ。

 

 

 ……思い出したが、彼女は随分変な子だった。

 ぼーっとするのが好きなのか、それとも何か考え事をしているのか、彼女はよく木陰で座っていた。

 時に勉強をサボって、時に手伝いから逃げて。

 

 ……ふと、当時の彼女が何を見ていたのかが気になった。

 あの木陰の下、そこから眺められる景色。

 それに何か彼女を惹きつけたものがあった。

 もしやそれは何か特別なものではないか……。

 

 くだらない考えだろうと思う。

 けれど、気になってしまえば、それを抑えることは出来なかった。

「少し散歩してくるわ」

 奥に声を掛け、老木の方へと歩いた。

 

「此処よね」

 声を零しながら、彼女が昔座っていた場所を見つめた。

 そこには歪んだ木の根があった。

 

 それに何とはなしに腰を掛ける。

 ヒンヤリとした木に驚きつつも、空を見上げた。

 空には木葉が踊り、太陽によって透かされていた。

 

 ……確かに綺麗だと思った。

 けれども、過度にこれをみたいかと言えば、それは違った。

 飽き飽きとするような情景、いわば退屈だった。

 

 かつての友人の心情を理解したくとも、どうもそれは叶いそうにはなかった。

「はあ」

 小さく溜息をつき、適当に辺りを散策する。

 また何かないものかと思ったのだが、結局何も見つけれず、再び木の根を見つめた。

 

 その時、強い春風が吹いた。

 それに巻き上げられ、木葉が中を舞う。

 一枚の葉は木を掠め、元あったところへと戻ろうとしている。

 

 それを見ていると、私はふと気付いた。

 目前の老木は苔むしている。

 ただし、先程まで私が座っていたところを除いて。

 

 そこはまるで魔法が掛けられたよう、そう、()()されたようだった。




余談ではありますが本話の主人公ちゃんは没のキャラです。
第一話か二話で登場させる予定でしたが、最初の方でなかったことになりました。
訳としては、二章からは登場させることが難しいからです。
でも、もっとも大きな理由は名前を考えるのが面倒だったからです。
一応、名前は考えはしたのですが、気に入らなくて没になりました。
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