【完結】跡に残るは雪ばかり。   作:朝日橋立

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閑話十 個人的な嗜好についての日記。

どうやら私は日記を書くことが結構好きになったようです。

けれども、どうも公的な日記は好きにはなれません。

医務室の日記もよく書いているのですが、これは何とも退屈で、どうも飽き飽きとしています。

 

思うに、私は自由が好きなのかもしれません。

抑圧された中での多少ばかりの自由、これに魅力を感じているのでしょう。

 

さて、それにしてもここは寒くて嫌になってしまいます。

今は耐寒装備と余分な布を沢山身に着けていますが、それでも体の震えが止まりません。

現実に、この文字も震えてしまって面白いです。

 

私自身、石炭事情に詳しくはありませんが、もう少しどうにかならないものでしょうか。

せめて水が凍らない温度にはなってほしいです。

そうすれば、ある程度環境もマシになるでしょう。

 

いや、水が凍らない程度では大してマシにはならないかもしれません。

一番の問題は、お天気です。

 

少し前に聞きましたが、どうやら今は雪が降っているそうです。

その雪が風に巻き上げられ、もう一寸先も見れないらしいのです。

ノクス号は目視では見えず、定期連絡も大変らしいです。

私は殆どこの部屋から出られませんから、中々実感しずらいものがありますが。

 

現状、行方不明者については報告はありませんが、いつ出てもきっとおかしくないでしょう。

しかし、これもあと3ヶ月と少しです。

そうすれば夏が来ます。

 

そうですね。悩ましいものですが、ここを出た後はきっとすぐに祖国に帰れるでしょう。

そうしたら、どうにかして遠くへ行ってみましょう。今度は暖かいところへと行きたいです。南国で美味しい食べ物を、皆さんと食べたいです。

もう寒いところには来たくもありませんし、まずい食べ物ばかりの生活にもどうにも嫌気が差します。

 

しかし、こんな陰鬱なことばかり書くのも楽しくはありません。楽しいことこそ日記に書きましょう。

幾許か前、チャールズ男爵とはよくチェスをしました。

それに、よく他愛もない話をしたものです。

他にも、お茶をよく飲みました。

 

もう一度お茶を飲みたいものです。珈琲も飲みたいです。

レイラさんやソフィアさん、ルナさんにも会いたい。お話がしたいです。

 

私の足跡はここにあるはずなのに、不思議と不安ばかりが湧いて出てきます。

人と人とを繋ぐのはきっと、記録です。それを考えると、これを書いて誰かの為に何かを繋ぐことは出来ると思いたいのです。

 

どうも心が弱くなっているような気がしてなりません。

きっと、私はまた皆で笑えると思います。

私たちは人なのです。ともに生きていく存在なのです。

 

少し眠くなってきましたので、これで日記は終わりです。

たぶんもう書くことはないでしょう。

段々と文章を書く余裕がなくなってきました。

 

これを読んでいるのは未来の私なのか、それとも何時かの子孫なのか、はたまた見ず知らずの人々か。これは全く予測が出来ません。

けれど、この日記は焚火にでも使ってください。きっとここは寒いでしょう。

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