ごく一部の人間しか扱えぬ力、異能。
異能を使って暴れる者達、通称「異人」
そんな奴らから街の平和を守る部活に所属する、見るからにギャルゲの主人公!

…を異常なまでに愛する血縁なしTS転生最強お姉ちゃんのお話。

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連載小説執筆の箸休めです


第1話

<side:遥華(ハルカ)>

 私には世界一可愛い弟がいる。名を紅空 翔真(アカソラ ショウマ)。年齢は16歳。そしてあいつが生まれて今日で5965日。時間にすれば143174時間と32分41秒だ。今考えている間に3秒増えたから正しくは143174時間と32分44秒か。ともかくそれだけの時間、あいつのおかげで私は幸せで居られている。正直結婚したい。直接血の繋がりは無いが、弟だから我慢している。そうでなければ秒で籍を入れていたに違いない。

 

 私がまだ幼かった頃に不慮の事故で母は他界。父の再婚相手との間に産まれたのがショウマだった。大好きだった母の死で塞ぎ込んでいた私を救ってくれたあいつには感謝しかない。初めてその顔を見た瞬間、心臓が爆裂した。いや、爆散した。誇張しているかのようだが、私は誇張していない。いやちょっとだけ誇張した。爆散はしなかったものの、心肺停止でぶっ倒れたのは事実だ。あの時感じた衝撃たるや、人生の中で最も大きかったと言えるだろう。だって本当に心臓が爆発したかと思ったし。

 

 赤ん坊の頃のショウマは異次元の可愛さを誇った。まんまるとした顔は食べてしまいたいほどであり、まだ生え揃わない髪は幼さを強調させていた。柔らかそうな身体はまるで宗教画の天使のよう。小さなおててギュッと指を絡めてきた時は思わず気絶しかけた。あの時の指の感触は一生忘れられない。というか今でもその感触を覚えている。

 

 もちろん成長したショウマも可愛いしかっこいい。父譲りの赤い髪は澄んだ紅葉のように鮮やか。それでいて美しい夕焼けのように、見る者を圧倒し感動させるようなグラデーションを誇っている。好き。紅赤の瞳は綺麗に透き通っていて、まるで宝石だ。値を付けるとしたら余裕で世界を買える楽だろう。まぁショウマの瞳はショウマのものなので、誰にも譲る気は無いが。仮に奪おうとする輩が出たら魂諸共消し飛ばしてやる。

 

 話も逸れてしまったし、ショウマの容姿についての話はここらで一度辞めておこう。このまま想起していては日が暮れてしまう。

 

 今日は月曜日。私はフリーターやら株トレーダーとして職に就いているから学校には行っていないが、ショウマは現在高校に通っている。稼いだ金はそこそこあるので、裕福な家庭が通えるようなランクの高い高校に入学してもらうつもりだったが、ショウマがそれに反対した。と言うのも、そんな学校の場合は寮生活が多いから、私と一緒に暮らせないのが嫌らしい。これを聞いた時の私の気持ちを想像してほしい。キュン死するかと思った。いや一回本当に心臓が止まった。“ショウマを悲しませまいともちこたえた”けど。

 

 将来の為になる高校よりも私との生活を選んだ…?もうこれ結婚だろ結婚だわ。さっさと婚姻届を書いて役所に…ってそういえば今日は役所休みだったか。まぁ、ショウマがそれを望まない事は明らかだから絶対にやらないが。私は好きな相手が幸せなのが1番。偶に居る一方的な愛情押し付けクソ野郎とは違うのだ。だから仮にショウマに彼女が出来たとしても、血涙を流して見送るのだ。

 

「やっべぇ遅刻する…!おはようハルねぇ!」

 

「おはようショウマ。お弁当出来てるぞ?」

 

「いつもありがと…ってやっば時間が!まだパン焼けてねぇのに…!仕方ない!い…行ってきまーふ!」

 

「おいショウマ!口にパンなんて咥えて走ってったらロクなことに…って行っちゃったか…」

 

 全力で駆け出して行ったショウマを見送る。ほぼ生焼けのパンを咥えて走っていくなんてなんてベタな…!でもそういうのってラブコメのヒロインでは?まぁショウマは可愛いから良いか。この世に存在するどんなラブコメのヒロインよりも可愛いと言える。もちろん保証人は私だ。

 

 弁当を作る暇があるんだから朝食くらい作ってやれば?という声が聞こえそうなのでお返事をしておく。確かに私が朝食を用意するのは簡単だ。だが、当のショウマ本人が朝食は自分で作りたいと言っていたのだ。いずれ自立出来るように、らしい。そうは言っても実際は上手くいかずに焦っているショウマは可愛いな…!

 

 遅刻しないように朝起こしてあげようともしたが、朝食と同様の理由で断られた。だが結局上手くいかずにいるショウマは(ry

 

 一時期は自立しようとしているショウマをどうするのか真剣に悩んだが…結局本当にやばい時を除いては見守る事にした。そうでないとショウマがこの先私抜きで生きていけなくなってしまう。それは私としても不本意だ。確かにずっと一緒に居たい気持ちはあるが、だからと言って依存させるのは違うだろう。依存させるのも立派なネグレクト、いわば暴力だ。それに気付いてからは基本、本人の意思を尊重する事にしている。まぁ私が我慢できずに多少過保護になっている所もあるかもしれないが。

 

 学校へと走っていくショウマの足音をbgmに掃除をしていると、何かと衝突したような音が聞こえた。この重さ、この音の反響は…胸だ。サイズはかなり大きい。私ほどでは無いにしろ、ショウマと同世代にしては相当なサイズだろう。更にぶつかった位置から登校ルートを割り出せば、自ずと正体は見えてくる。

 

 そう…犯人は貴様だ!巨乳おっとり系幼馴染女子、蒼山 香子(アオヤマ キョウコ)!こいつは何を隠そう、ショウマの幼馴染だ。大体小学1年生の頃からの付き合いだ。この街に私とショウマが移り住んでからの交流になるが、それでも10年近くにはなる長い付き合いだ。

 

 どうやら向こうもパンを咥えていたようで、お互いのパン同士で間接キスになったようだ。許せん!パン同士とはいえ間接…間接?これ間接か?下手したら直接手で触れてすらいないパンの耳同士…まぁ間接だな!やっぱり許せん‼︎

 

 しかもその前だ。あの音、間違いなくショウマの胸とぶつかっている。とある事情で高校生にしては鍛えられたショウマの胸筋と、あの脂肪の塊がぶつかり合う音はそうそう聞き逃せるものでは無い。狡いぞボディタッチなんて!私だって触れたいわ!ショウマに嫌がられるの怖いから言わないが!

 

 む。ショウマの心拍数が上がっている。これは…ラブコメの予感!と言ってもいつもの事だが。2人の赤面している顔が目に浮かぶ。おいカメラさんもっとショウマの顔を写せ!オイ!良いぞもっとズームして!よし撮れた良い表情だショウマ!脳内メモリーに保存…っと。

 

 さて、先ほど言った「いつものこと」についてだ。端的に言えばショウマはモテる。と言ってもどこぞのイケメンよろしく道行く人々が振り返るとか、そういうタイプではない。

 

 あ?ショウマの顔がどこぞのイケメン以下だってのか?んなわけ無いだろ他の奴らの見る目がねぇだけだぶちのめすぞオイ!

 

 …失敬。

まぁこの世には見る目が無いカスがいっぱい居るせいでショウマはよくあるイケメンのような感じにはならないが、それでもしっかり関わった女子にはモテているのだ。現状で5人ほど。それぞれショウマに対して重い感情を抱いている。なお現時点では誰1人恋愛感情として自覚している者は居ないため、ハーレムと言えるかは微妙である。まぁ女子5人囲んでればハーレムか。ハーレムだな!

 

 その内の1人が先ほどのおっとり巨乳幼馴染こと香子ちゃんだ。ショウマハーレム第一号であり、悔しいが現状最もショウマの嫁に近い女である。当然、ハーレムにおいても正妻ポジと言えるだろう。自分で言うのもなんだが、ショウマ狂いの私が正妻として認めざるを得ないくらい…と言えば、その親密度が分かるだろうか。

 

 もしも世界がショウマを取り巻くハーレムものだったとしても、彼女は間違いなく正妻だろう。正直コイツが羨ましい。

 

 私が余計なことを考えているうちに、二人の足音は遠ざかっていく。このまま一緒に学校に行くようだ。良いなぁ。

 

 

 さてと。私は私でやる事があるからな…そろそろ準備をするとしようか。私の仕事は大まかに3つ。前述したフリーター、株トレーダー。そしてもう一つ。ぶっちゃけ私的には最後の一つが1番重要だ。

 

…さぁ、準備を始めようか。

 

 

=====================================

 

<side:翔真(ショウマ)>

 オレの名前は紅空 翔真。少し変わった生活を送る、普通?の高校生だ。小さい頃に両親が死んで以来、ハルねぇとの2人暮らしをしている。学校生活は特段おかしなことがあるわけでもなく、普通に過ごしているんだが、放課後になるとそれは一変する。

 

 オレの所属する部活、異能研究対策部…通称「異研」。この世に存在すると言われる「異能」の調査というのが表向きの活動内容。裏の異研…いわば本当の異研の活動内容は「異能」を使って暴れる人間の総称…「異人」の鎮圧、それに備えた異能の研鑽だ。

 

 この部活に入ってからは様々な事件に巻き込まれた。そのたびに死力を尽くして戦って、数えきれないほど

の経験と大切な仲間達を得た。

 

「ショウくん…!街の南東で事件発生…一緒に現場に急行してだって…!」

 

「本当かキョウちゃん!急ぐよ!」

 

 幼馴染のキョウちゃん…香子もこの部に所属している。照れ臭いけど、オレの相棒だ。幾度となく戦場を共にしたかけがえのないパートナーで。……ただの友人とは言えない何かを感じている相手だ。

 

 彼女のデバイスから送られてきた情報を確認し、オレも出動の準備を進める。異研のメンバーには腕時計型のデバイスが配布されており、これで出動やら異人の出現情報やらを確認する事が出来る。かなり高性能で使い勝手もバツグンだが、一般で販売されるようなスマートフォンとは訳が違うため、機密性等の観点からも普段使いは出来ないようになっている。

 

 デバイスから投影されて空中に表示されたモニターを見るが、映像では暗くて判別がしにくい。どうやら敵は屋内に潜んでおり、暗視レーダーやサーモグラフィー等でも見つけられないようだが、存在はしているらしい。異能を行使する際に発される特殊な波長が観測されているため、大まかな場所は把握できているようだ。

 

「異研1年、紅空 翔真、現着しました!」

「同じく蒼山 香子、現着しました!」

 

 情報を確認しながら現場に到着、場所は町のはずれの廃工場だ。異能で暴れている割には人気のない場所を選んでいるのが疑問だ。もしかしたら、何か理由があって暴れているのかもしれない。

 

「キョウちゃん、まずはオレが様子見で…」

 

「私が援護する、だね?」

 

 オレの「異能」…を解説する前に、まずは異能についての説明から始めよう。「異能」とは、ごく一部の人間に備わる特殊な力の事だ。炎を出したり、水を出したりする力もあれば、空を飛んだり、遠くの物を動かしたり。人によって力は様々だけど、一つルールが定まっている。それは、「本人が心の底から望んだ力」が発現するという事。

 

 例を挙げるなら、オレの異能は「飛翔(フライハイ)」。自由自在に空を飛べる能力で、頑張れば空気の流れを無視して飛ぶこともできる。発現したのは…両親が事故で死んだ時。偶々その日は3人だけで出かけていたから、ハルねぇは居なかった。今思えば、それで良かったのかもしれない。

 

 山にハイキングへ向かっていた途中、土砂崩れに巻き込まれて死にそうになったオレは咄嗟に飛ぶことを願った。必死に両手でオレを上に押し上げていた両親のおかげで飛ぶことは出来たけど、代わりに2人は…

 

 とにかく、異能とは本人が強く願った事がそのまま力になるもの。願う力が強ければ強いほど、異能は強力なものになる。発現した時の願いも重要だけど、異能を使う時も当然大事になってくるって訳だ。

 

 この「飛翔」も、慣れるまでは苦労したけど、今では簡単に使いこなせる。廃工場へと侵入し、音を立てないように宙へ飛び上がったオレの身体には細かい泡がまとわりついている。これはキョウちゃんの異能、「流水(すぷらっしゅ)」だ。水を操る異能で、今は空気中の水を操って泡を作り出している。オレに攻撃が来た際、咄嗟に防御するための鎧のようなものだ。軽い泡にしてくれているおかげで、飛びやすくてとても助かる。

 

 さて、どうやって異人を見つけるか…そう考えていると、咽び泣く声が聞こえてきた。異人の声だろうか。

 

「うぉおおおん!うぉおおおん‼︎」

 

 異能を解いたのか、声と共に姿が浮かび上がってくる。現れたのは、筋肉でスーツがはち切れそうになっているハゲたおっさんだった。

 

「居るんだろう!誰か!俺の家に!」

 

「…っ⁉︎」

 

 思わずグッと自分の口を押さえる。危なかった。驚きで声が出そうになった。チラリと外を見れば、不安そうな顔をキョウちゃんがこちらに向けている。グッとサムズアップを送り、安心させつつおっさんの動向に意識を向ける。

 

「隠れたってムダだ…ヒック!俺には見えているんだぞぉ!」

 

 …ただの酔っ払いか。本当にオレが見えている訳でもなく、当てずっぽうに喚いているだけ。そのまま胸を撫で下ろそうとして…おっさんと目が合った。マジか。事前情報があるならまだしも、いきなり真上を見上げるか普通は⁉︎

 

「見つけた…見つけたぞぉ!」

 

 こうなっては仕方ない。出来れば奇襲で終わらせたかったけれど、そうもいかないみたいだ。おっさんの筋力相手じゃ正面突破は難しそうだけど、こっちは空を飛べるのに加えてキョウちゃんの鎧がある。そのまま戦闘しても問題ない…そう考えていたのが悪かったのか。

 

「え……きゃあ⁉︎」

 

 唐突にオレを包んでいた泡が消え、それと同時にキョウちゃんの悲鳴が聞こえた。そちらに目を向ければ、身体が半透明の巨漢にキョウちゃんが組み伏せられていた。

 

「キョウちゃん!」

 

「いっ……!うぅ…!」

 

「おっと動くなよ?そこから動いたらこの小娘の命は無いと思え!

 

それにしてもだ…よくやったぞ…ヒック!これで俺の…俺達の家は安泰だぁ…!」

 

 キョウちゃんを押さえつけ、頭に銃を向けている男の姿は、目の前のおっさんにそっくりだ。違う部分と言えば髪の毛だろうか。こちらはフサフサだ。だが重要なのはそんな事じゃない。こいつも透明、目の前のおっさんも透明、つまり…透明になる異能持ちが2人も同時に揃っているという事だ。なぜ2人も居るのに気づけなかったのか、それは簡単だ。異能のレーダーはあくまでも、波長を捉えるもの。ほぼ同じ異能を同時に発動された場合、複数人いる事が分からないのだ。

 

 これは…不味い。ただでさえキョウちゃんが人質に取られている上、同時に逃げられたんじゃ追いきれない。どうにかしないと。頭をフル回転させて攻略法を考えている途中、言われた一言で頭が真っ白になった。

 

「おい小僧に小娘、貴様ら…裏異研だな?」

 

「なっ…なぜ裏異研の存在を知ってる⁉︎」

 

 …あり得ない。相手はただの一般人。それも、特に事件も起こさず異能を使っているだけの相手だったはずだ。それが何故、裏の異研の存在を知ってる⁉︎異研の表向きの建前である「異能」探しなんて、他の学校でいうオカルト部みたいなものだ。だからこそ分かる。こいつは適当に言ってる訳じゃ無い。正真正銘、オレ達を知っている奴らって事になる。

 

「ヒック!にしてもこんな上手くいくとはなぁ…あいつの情報は正しかったって事だぁ!

 

こんなんで異研の期待のルーキー共を2人も消せるなんてよ!」

 

「あぁそうだな…この小娘も情報通り、力押しに弱いようだったしな」

 

「情報…なんのことだ!誰から聞いたんだ!」

 

「簡単だ…ヒック!異研に怨みがあるやつが俺達以外にも居るだけだろう?」

 

 確かにその通りだ。だが…そんな簡単に情報が漏れるだろうか。そういう異能持ちが相手にいるか、それとも内通者か。ともかく今は窮地を脱しなければいけない。解決策は…キョウちゃんだ。キョウちゃんさえ拘束から抜け出せれば、どうにか出来る。仮に透明になって逃げられても、水で直接触れて感知すれば追跡できるだろう。

 

 ならオレの取るべき行動は…これしかないか。

…ごめんハルねぇ、キョウちゃん、皆。

 

「お願いします…人質はオレが変わるので、どうかキョウちゃんを…その子を離してください。」

 

「ショウくん⁉︎何言って…きゃあ‼︎」

 

「ヒック!でかしたぞ!情報には小娘よりも小僧の方が危険度は高いとあった!」

 

「小娘は黙ってろ…それより小僧、大人しく捕まるんだろうな?」

 

「…はい」

 

「ショウくん!相手は異人だよ⁉︎従ったからってその通りになるなんて…!」

 

「でも、これしか方法がないから…『後は任せたよ』、キョウちゃん…!」

 

「…っ!ショウくん!」

 

 仮に人質交換が失敗してオレがどうなっても、一時的にでもキョウちゃんの拘束が緩めば、あとはどうにでもなる。これで万事解決だ。

 

「バカな小僧だな!これで…死ね!」

 

 あぁ、案の定だ。キョウちゃんを拘束していた男がこちらに銃を向けている。今なら拘束も緩むはず。キョウちゃんなら抜け出せる。けど、オレはダメみたいだ。流石に今からじゃ避けられない。やけに弾丸がゆっくりに見える。これが走馬灯か。前にも何度か見た事がある。

 

 そういう時は決まってあの人が来る。流石に来ないだろうと思う時でも、何故かピンチのオレの前に現れる。命を賭けようとした時はいつもこうだ。

 

 …ほら、今回も来た。

迫る弾丸を軽く指で挟んで、グシャリと握りつぶす。

 

 黒い外套に身を包み、白い仮面で目元を隠した謎の女性。やたら強いのになんとも言えない…そんな人。

 

「呼ばれたからには即参上!呼ばれてなくても即参上!悪を許さぬ英雄は…今日も今日とて姉を貫く!

 

弟妹の味方、エクスシスター!ここに見参!

さぁ弟くん、妹ちゃん、後は私に任せたまえ!」

 

 ダサい掛け声にダサい名前、なのにどこか安心してしまう自分がいる。オレが知る限りの最強が、また来てしまったのだった。

 

====================================

<side:エクスシスター>

 

 ふっ…決まった…!決めてしまった…!ショウm…弟くんの命を助けた私が誰かって?お答えしよう!私の名はエクスシスター!姉を貫く英雄さ!

 

 私は!私が弟と認めた男とその恋仲になりうる相手…つまり将来の妹を守るため、ここに来たという訳さ!どこぞの紅空遥ナントカさん?存じませんねぇ!

 

 まぁ私のことなんてどうでもいい!それより…許せないのはこいつらだ!香…妹ちゃんを人質にし、ショウm…弟くんの命を奪おうとしたクズども!殺してしまうのは簡単だろうが…それはしないと決めている。そうなってしまえば、弟くんの家族が前科持ちになってしまうからね!クズの命なんざどうでもいいけど…それは困る訳だ!それに、彼彼女らはまだ若い。人の死に立ち会う機会なんて、無い方がいいに決まってるからね!

 

「ヒック!き…貴様は何者だ!」

 

「私かい?私はエクスシスター、弟妹の味方さ!」

 

「ヒック!ふざけたことをぬかしおって…こいつを撃ち殺せ!」

 

「あぁ!こんなイカれ野郎ぶっ殺してやる!」

 

 あるだけの弾をこちらに向けて発砲する筋肉バカ。なんだろう…意味のないことやめてもらってもいいですか?さっき効かなかったの見えてなかったのかな?当然のように全部摘んで、一纏めに握りつぶしてハイおしまい。

 

 後退りしながら透明になって逃げようとする筋肉バカ。へぇ…そんなこと出来るんだ。まぁ空気の流れ、振動でバレバレなんだけどね。さっき握りつぶした銃弾の塊を振りかぶって…投げる!我ながらナイスなピッチングフォーム。銃弾塊は筋肉バカの頭にクリーンヒットして、そのまま気絶させる事に成功。うーん…威力調整も完璧だね!

 

「ヒック…ヒィ…バケモノ…!」

 

 ずっと酔っ払ってるハゲ…略して酔いハゲ?酔いハゲは動揺しすぎて透明にすらなれないのか、ガタガタ震えて縮こまっちゃった。仕方がないので、一気に近づいて背後から首にチョップ!古いテレビにやるのと違って、少し鋭角に鋭くやるのがコツだね!上手くやれば…こんな感じで気絶させられる。漫画でよくある首トン講座、これにておしまい!

 

「あの…いつも助けてくださってありがとうございます…」

 

 落ち着いたようで香子ちゃんが話しかけてきた。まぁ確かに彼女を助けるのは何度かあったもんね…ショウマは毎回だけど。

 

「そうだろう、そうだろう?だから何度も言うように私のことは親しみを持ってお姉ちゃんと…」

 

「いえそれは結構です」

 

 いや反応速っ⁉︎そんなに嫌か私の妹になるの⁉︎確かにまだ香子ちゃんは妹じゃないけど…悔しいけどショウマの正妻には君しか居ないと思っているのに…!

 

「エクスシスターさん、いつもありがとうございます…」

 

「良いんだよ弟くん、それよりそろそろ私のことをお姉ちゃんと…」

 

「…すみません。やっぱり無理です。オレのお姉ちゃんは…ハルねぇ1人が良いんです!どうしても…どうしてもです!」

 

「…………」

 

「…すみません、エクスシスターさん」

 

 …はっ!

今一瞬意識が飛びかけてた!

なんだって⁉︎「オレのお姉ちゃんはハルねぇ1人が良い…?」だって⁉︎

 

 

 

 ………なんだそれ…最っ高じゃないか!

マジでか!一生に一度言われたいセリフNo.5だぞそれは‼︎おおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!やったあああああああああああ!!!!!!!!!!!

 

あぁいかんいかん、返事しないと…えっと…えっと…

 

「そうかい、けど私は諦めないよ?いつか必ず…言わせてみせる!ではさらば!」

 

 そう言って、廃工場から遠くに去っていく。早く戻らないと洗濯機が!帰りの一言は…なんか変な感じになったけどヨシ!

 

 え?私の異能?簡単だろう?

どんな時でも駆けつけて、どんな敵でもやっつける。弟妹のピンチを決して見逃さず、絶対に間に合って助けてくれる、そんな憧れそのもの。

 

それこそが…「最強無敵のお姉ちゃん(エクスシスター)」だよ?

 


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