祠ネタが流行ってるので、書いてみました。


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祠ネタが流行ってるので、書いてみました。




 

「なにぃ!? 祠を壊したじゃとぉ!?」

 

 とある村の一軒家にて。

 孫が村はずれにある祠を誤って壊してしまったと言って、老人は激しく狼狽えた。

 

 その祠には、土地神が祀られており、壊した者は祟られると言う、古くからの言い伝えがある。

 現にその祠を汚した者が、不幸にあったり行方不明になったと言われているのだ。

 そんな曰く付きの祠を、自分の孫が壊したと言うのだから、動揺しない訳がない。

 

「ご、ごめんなさい……」

「馬鹿者ぉ! ごめんで済むか! このバチ当たりが‼」

 

 項垂れる孫を叱りつけながら、老人は対策を考える。

 

「とにかく、まずはお祓いじゃ! 神主に連絡し、祓わなければ! おい! 今日はもう、家から出るんじゃないぞ‼」

 

 孫を護る為、老人は心を鬼にして言う。

 

「まぁまぁ、じいさん。そないかっかせんでも、子供のやった事やさかい、怒ってへんよ」

 

 そんな老人を、祠が宥めてきた。

 

「誰!?」

 

 突然の出来事に驚く老人。そりゃそうだ。

 なぜなら、壊れたはずの祠が目の前にあり、あまつさえ、喋っているのだから。

 

 ……って言うか、この祠、人間の手足生えてるんだけど!? 気持ち悪ッ‼

 

「な、なんじゃお前わぁぁぁぁぁ!?」

「『なんじゃっ』って見れば分かるやろ?」

 

 祠はビシッと親指をたて、自分を示し、堂々と名乗る。

 

「祠や‼」

「見れば分かるわ‼」

「まぁ、正確には祠に祀られとった、この土地の守り神や。今は人間にも分かりやすい姿しとる」

 

 いや、分かりやすいけども‼

 最早、土地神ではなく物の怪の一種にしか見えない。

 

「まぁ、ともかく、壊された本人が気にしてへん言うとるんやし、この子も反省しとるんやから、そう怒んないでくれや! ボク、ナイスシュートやったで! コントロール身に着けたらプロ入り間違いナシや!」

「うん‼」

「いや、お前、あっさり受け入れ過ぎじゃろ⁉ なにこの物の怪、素直に受け入れてんの!?」

 

 我が孫ながら恐ろしすぎる適応能力である。

 そして、この土地神、心が広すぎる。

 

「じゃ、じゃが、あの辺一帯は祟りの影響を考えて、禁則地にしているんじゃぞ⁉ そこに入ったことは注意せねば……」

「せやかて、この子も最初は公園で遊んでたんよ。けどな、なんか近くのクソジジイが『子供の声がうるさい』とかクレーム入れて、球技全般禁止になったらしくてな。あんまりにも可哀そうやさかい、俺が遊び場として提供したんよ」

「ええ~……」

 

 そんな現代的すぎる理由で、入っちゃったのか……

 って言うか、この土地神、心広すぎる。

 

「まぁ、そのクソジジイは祟っといたし、市の方にも話付けといたから、しばらくしたら、また公園で遊べるようになるで」

「あ、祟りはするんだ」

 

 前言撤回。こいつやっぱり、物の怪だわ。

 

「でも、祠壊しちゃった。ごめんなさい……」

「ちゃんと謝れて偉いなボク。大丈夫や。あの祠な、壊れたら中から小さい祠が出てくるようになってるから。しばらくしたら、元の大きさに戻るさかい」

 

 そして、まさかのマトリョーシカ方式だった。

 そう言えば、特に手入れしてない筈なのに、何度も修復してたのはそう言うシステムだったのか。

 

「まぁ、度胸試しとか抜かして、悪さするような奴にはワイは容赦せんけどな。前も動画配信とか抜かして、壊したアホな連中はワイのオリジナル・フェイバリット“祠リアット”の餌食にした上で、器物損壊罪や礼拝所不敬罪の現行犯で警察に突き出したからな」

「まさかの不幸と行方不明の真相‼ 物理的・社会的に罰してた!?」

「そう言えば、じいさん。あんた昔『度胸試しや~』とか抜かして、祠壊して、お供え物盗み食いして、小便まで引っかけたクソガキに似てるような……」

「おじいちゃん?」

「いやいやいやいや! た、他人の空似じゃよ‼」

 

 指摘されて、消したはずの記憶が溢れ出る。

 

 ――そうだ、昔、こいつの祠に悪さして、取っちめられたんだった。

 

 手足の生えた祠に村中追い回された挙句、ラリアットでむち打ちになり、一週間寝込んだのを今、思い出した。思い出したくなかった。トラウマになった。

 

「まぁ、ともかく、ワイは気にしてへんから、そない怒らんといてや。ほな、ボクも元気でなぁ~」

「うん! じゃあね! ほこちゃん‼」

 

 清々しい空気の中、別れを告げる祠と孫。

 祖父としての株が大暴落しながらも、祟りなどなかったことに、老人は一先ず安堵する。

 

 だが……

 

「祠くん!?」

 

 それは実の息子の手によって打ち砕かれた。

 

「お~……伸太(しんた)くん! 久しぶりやないか! 立派になったな!?」

「え? なにこの空気? 二人して知り合いなの?」

 

 戸惑う老人を他所に、息子は祠に駆け寄り抱きしめた。

 

「祠くん! 会いたかった! 会いたかったよ‼」

「ははは、伸太くん、元気そうでなによりや。静奈ちゃんとはどうなったんや!?」

「うん! 今じゃ僕の奥さんだよ! 静奈ちゃん! 祠くんだよ‼」

「えぇ!? ホコちゃん‼」

「おう! 静奈ちゃん! キレイになったなぁ!?」

「まさか、静奈さんとも知り合い!? どういう関係なの!?」

 

 死に別れた親友との感動の再会を果たしたかのような、展開についていけなくなる老人。

 さらにそこに、息子の友人二人も合流。

 

「祠くん! 嘘だろ!? 天上人・鉄人兵団・時空犯罪者連合との戦いの果てに死んだはずじゃ!?」

「なんて!?」

「おう、膝雄(ひざお)! 会いたかったで‼」

「OH! Unbelievable‼ My Soul Friend‼」

「YO‼ It’s good to see you! Ryan!」

「語学にも堪能!?」

 

 完全に蚊帳の外となった老人を尻目に、息子たちは感動の再会を果たす。

 いや、なんかメッチャ気になるワード飛び出てんだけど、どうなってんの!?

 

「実はあの時、なんとか一命を取り留めておったんだけど、実体化するほどの信仰力がなくなっててなぁ……今の今まで、時間がかかってたんよ」

「そうだったんだ……! 良かった! 本当に良かった‼」

「これからはずっと一緒にいられるで! 伸太くんと話したいことがいっぱいあるんや‼」

「ボクも……僕もだよ! 祠くん‼」

「えぇ……なにこの流れ……」

 

 こうして、かつて少年だった彼は親友との再会を果たした。

 その後、祠との思い出話に花を咲かせる4人と、父親の武勇伝に目を輝かせる孫に挟まれながら、自分だけロクでもない思いでしかない老人は肩身の狭い思いをする羽目になったのだが、それはまた別の話である。

 

 そして……

 

「祠くん! 宇宙人が攻めてきたよ!」

「おい! ほな、爺さん、運転頼むで‼」

「えぇッ!? 運転ってなにを!?」

「はぁ‼」

 

 そう言って、祠くんが自ら祠を破壊した瞬間、祠は第二形態へと進化。

 巨大化して、キャタピラと多種多様な兵器を纏った姿へ変わる。

 

「えぇぇぇぇ!?」

「さぁ! 俺たちの戦いはここからや‼」

 

 齢70を超えて、第一次銀河大戦を終わらせた英雄として名を残す羽目になることも、また別の話である。

 

 






◆登場人物◆
・老人:所謂「その土地の伝承に詳しい老人」だけど、歴史の当事者になるとは思いもよらなかった。昔は村でも有名な悪ガキだったが、祠に追い回された挙句、ラリアットを叩き込まれ、肥溜めにホールインワンしてからは、真っ当に成長した。
 普段は孫に対して厳しいが、自分に甘いので、祠くんに説教される役回り。

 祠くん:この土地を護る守護神。かつて、祠を壊そうとした不良たちから祠を護ろうとした伸太の心意気に惚れ親友となった過去を持つ。その後、様々な冒険を共にした。
 しかし、今までに戦ってきた所謂、劇場版ヴィラン連合との戦いで信仰心を使い果たし、消滅の危機を迎える。その後、自らの存在と引き換えに、敵軍と相打ちを果たし、溶鉱炉に落ちていったが、辛うじて一命を取り留めていた。数十年後、再会を果たす。
 必殺技は祠リアット、決め台詞は「祠しいで!」

 伸太くん:老人の息子。かつてはダメダメだったが、現在は観光産業で村に貢献している有力者の一人。祠くんとの再会から、再び冒険の日々を送ることになる。

 静奈ちゃん:伸太くんの妻。伸太くんの秘書を務めている。スリーサイズは105・62・99
 そろそろ二人目が欲しいそうな……末永く爆発しろ

 膝雄:伸太くんの親友でビジネスパートナー。村の有力者の一人で、有名なインフルエンサーでもある。自身がSNSに投稿した祠くんを主人公にした漫画が、今回の再会に繋がっているが、本人は知らない。

 ライアン:海外からの留学生で、元村のガキ大将。大統領選挙を前に、久々に旧友たちに合いに来た。
 曰く、一人でテロリストを返り討ちにした。
 曰く、グリズリーを無傷で屈服させた。曰く、
 曰く、彼と会談した某国の独裁者がその日の内に改心した。
 ……など、様々な伝説を残している。ラップが得意。

 孫:伸太の息子で老人の孫。そう簡単には壊れない筈の祠くんの祠をサッカーボールで破壊したのが、今回の発端。将来の夢はサッカー選手。

 クソジジイ:実は劇場版ヴィラン連合の残党で、見る影もなく落ちぶれ、今では市に理不尽なクレームをつける毎日。祠くんに見つかったのが運の尽き。
「祠RARARARARARARARARARARARA‼」
「JIJIIIIIIIIIIIIIIIII‼」
と壮絶な殴り合いの末敗北。御用となる。ついでに、祟りでぎっくり腰になった。

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