プレイスピリット〜精霊がいるカードゲーム世界で普通のバトルがしたかった男〜 作:匿名S
「
「誰?」
塾帰り、レイタとユキと別れた俺に黒づくめのお兄さんが話しかけてきた。
「貴様の精霊カードを寄越せ。従えば見逃してやるし、今後一切関わらないことを約束しよう」
「悪いけど交換は受け付けてないぜ!欲しいならパック買いにいきなよ!」
「ん?」
「ん?」
なんか変なこと言ったかな?あ!そっか!
「もしかして……」
「ふっ、気づいたか……そう、これは交換のお願いではなく──」
「カードショップで直接買うタイプ?」
「……コイツ天然か?」
俺はなにが出るかわからないパックのワクワクする感じが好きだけど、カードショップで確実に買いたいって人もいるよな!シンイチお兄さんもよくカードショップで買うって言ってたし!
「タツキよ、こやつはそういう感じのやつじゃないぞ」
「そうなの?」
今話しかけてきたのはリューちゃん、昨日友達になった俺のカードの精霊だ!
「見た目で怪しいと思わんのか……?」
「変わった格好だなあとは思ったけど、それこそ人の自由じゃない?」
「うーん素直で柔軟」
見た目で怪しいって決めつけてたら友達増えないじゃん?
そう思いつつ首を傾げる俺に黒づくめのお兄さんが話しかけてきた。
「あー……うん、そうだ。その精霊カードカッコイイね、ちょっと見せてくれない?」
カードは俺のものだけどリューちゃんは俺のものじゃない、だからリューちゃんに聞いてみた。
「嫌じゃ」
「ごめんお兄さん、リューちゃんが嫌だって」
「えぇ……っと……そうだ、お兄さんとバトルをしよう。お兄さんが勝ったら見せてくれるかな?」
「リューちゃん、どうする?」
「あー……まあ、そうじゃな……タツキはまだ小さいから、ハンデをくれるならいいぞ」
「リューちゃんそんなの必要ないって!やるなら早くしよーぜ!あんまり遅くなると母さんに怒られる!」
「今お前のせいで話進まなくなってるんだがな……」
「ごめん、お兄さんなにか言った?よく聞こえなかった」
「ああいや、なんでもないよ!バトルしようか!」
なんかボソッと言ってたっぽいことは聞こえなかったけど、決まりだな!黒づくめのお兄さんと俺はデッキを取り出し、宣言した。
「「バトル!」」
【
「先攻はもらうぜ!ドロー!手札1枚をマナゾーンに置く!」
お、いい手札だ!早速行けるぜ!
「1コスト!《一番槍》召喚!『突撃』を持ってるから場に出たターンでも攻撃できる!プレイヤーを攻撃してターンエンド!」
これで黒づくめのお兄さんのライフは19!この調子でガンガン行くぜ!
【
「ドロー、マナゾーンに1枚置いてターン終了」
「手札事故?」
「いや普通1コストのカードってそんなたくさん入らないからな?」
「そういうデッキかー」
「はっ、しまった。手札事故装ったほうがよかったか……」
でもこっちは止まらないぜ!
【
「ドロー!マナをひとつ増やして2コスト!《炎纏う戦士》召喚!《一番槍》で攻撃!」
これで残り18点!
【
「ドロー、マナを増やして2コスト《雇われの兵士》召喚、ターンエンド」
【
「ドロー!マナを増やして3コスト《炎の祈祷師》召喚!この
これで俺の場には戦闘力1の《一番槍》・戦闘力3になった《炎纏う戦士》・戦闘力2の《炎の祈祷師》がいる!このまま一気に押し切れそうだ!
「《炎纏う戦士》で直接攻撃!」
「……受けよう」
残り15点!てっきり阻止してくるかと思ったけど、受けてきたな……これじゃあ《一番槍》で攻撃しても阻止されちゃうかー。
「ターンエンド!」
【
「ドロー、マナを増やす。さすがにこれ以上は厳しいか……3コストスペル《毒ガス》を発動。相手の場のアニマ全ての戦闘力を1下げる。戦闘力が0になった《一番槍》は破壊だ」
「マジかよ!」
「《雇われの兵士》で戦闘力が1になった《炎の祈祷師》を攻撃」
一気に2体もアニマが破壊されちまった……!残ってるのは戦闘力が2に戻った《炎纏う戦士》だけ……
【
「ドロー!マナを増やす!」
でもまだまだ行けるぜ!マナは4、手札は3枚、なによりライフは20ある!
「3コスト!《炎の贈り物》発動!場のアニマを1体選択して赤色なら戦闘力をプラス3!」
これで《炎纏う戦士》の戦闘力は5!
「くらえ!」
「ちぃっ……」
「これでもうライフは半分だぜ!ターンエンド!」
ライフをもう半分削ったのに相手は焦った様子がないな。レイタみたいだ!
【
「ドロー、マナを増やす。3コストスペル《落とし穴》を発動、
しまった!そんなカードありかよ!
「いくら強化しようが、効果で破壊すれば無意味。油断したな
「くっ……」
「ここからは俺が攻める番だ。後攻の権利を使い手札を1枚追加でマナゾーンに置く。2コストで《特攻隊長》を召喚。コイツは戦闘力2で『突撃』を持っている。《雇われの兵士》と《特攻隊長》で直接攻撃」
「くそっ……」
こっちのアニマが全部破壊された上に相手の場には2体……しんどくなってきたな!
「これで残り16点か。ターンエンドだ。ターン終了時に後攻の権利でマナゾーンに置いたカードは消失する」
【
・赤城タツキ
ライフ16/手札2/マナ4
場:なし
・黒づくめ
ライフ10/手札1/マナ4
場:《雇われの兵士》(インアクティブ)
《特攻隊長》(インアクティブ)
備考:後攻のマナ追加の権利使用済み
しんどくなってきたとは言ったけど、それは相手も同じはず!このまま畳み掛ける!
【
「ドロー!」
お、いいカードを引いたぜ!
「マナをひとつ増やす!そして1コストスペル《
「チッ…ついに来たか……赤色の固有能力!」
『燃焼』を持つカードは決められた数だけデッキの上からカードを墓地に送ることでその能力を発動させる!
《焼畑》の『燃焼』は3!デッキの上からカードを3枚墓地に置いて……
「『燃焼』3!カードを3枚引く!」
「おいおかしいだろ。1コストで6枚圧縮するな、手札増やすな。なんでこれ消失じゃなくて墓地落としなんだよ」
「お!『燃焼』で《焚き木》が墓地に置かれたな!こいつは『起爆』を持つカードだ!」
「聞けよ」
『起爆』は『燃焼』によって墓地に置かれた時に発動できる効果!《焚き木》の効果は……
「このカードをマナゾーンにアクティブで置く!」
「おいふざけんな」
「あ、しまった!」
「なにが『あ、しまった!』だ、こっちのセリフだろどっちかというと」
「燃焼で強いカードが燃えたー!」
「…………そうか」
しかも引きが偏ってる!くっ、仕方ねえ!
「《一番槍》2体と《炎纏う戦士》1体を召喚!《一番槍》は『突撃』を持っているから直接攻撃!」
「あと8点か……」
「ターンエンド!」
【
「ドロー……お、これはいいな。マナを増やす」
なんかいいカードを引いたっぽいな……緊張してきたぜ!
「5コスト《鼓舞する戦士長》召喚。このアニマが場にいる限り、自分の場の他のアニマの戦闘力は1上がる」
「なんだと!?」
「《雇われの兵士》で《炎纏う戦士》を、《特攻隊長》でプレイヤーを攻撃」
「くっ……!」
ライフは残り13……まだライフの余裕はあるけど、場に余裕がねえ!
「ターンエンドだ」
【
「俺のターン、ドロー!」
俺の手札は今のドローで2枚、マナを増やすのはちょっと怖いな……
「タツキよ」
「リューちゃん?」
「……わしを信じろ」
「ああ!わかった!!」
「わしから言っといてなんだけど0秒で快諾されるとちょっとビビる」
「?」
まあいいや。リューちゃんが信じろって言ったんだ、ここは強気に行くぜ!
「マナを増やす!そして《透明人間》召喚!」
「3コストで戦闘力2?妙だな……」
「《一番槍》でプレイヤーを攻撃!」
「《鼓舞する戦士長》はアクティブだ。インアクティブにしてその攻撃を阻止する」
「だが《一番槍》はもう1体いるぜ!プレイヤーを攻撃!」
「受けるしかない……だがもうできることはないな?俺のターンだ」
【
・赤城タツキ
ライフ13/手札0/マナ7(アクティブのマナ:4)
場:《一番槍》(インアクティブ)
《透明人間》
・黒づくめ
ライフ7/手札0/マナ5
場:《雇われの兵士》(戦闘力+1により3)
《特攻隊長》(戦闘力+1により3)
《鼓舞する戦士長》(戦闘力3)
備考:後攻のマナ追加の権利使用済み
【
「ドロー、お?」
「え?」
「嬉しっ、2枚目の《鼓舞する戦士長》を召喚!」
「え!?」
やべっ!それは聞いてないって!
「これにより《雇われの兵士》と《特攻隊長》は戦闘力が2上がって4、《鼓舞する戦士長》は自分自身は強化しないが元々戦闘力が3だから互いの戦士長の効果だけを受けて戦闘力4だ!」
「マジかよ!?」
「今出した《鼓舞する戦士長》はルールにより攻撃できないが、他の3体は攻撃可能!喰らえ
「ぐああぁぁっ!!!」
【
・赤城タツキ
ライフ1/手札0/マナ7
場:《一番槍》
《透明人間》
・黒づくめ
ライフ7/手札0/マナ5
場:《雇われの兵士》(戦闘力+2により4)(インアクティブ)
《特攻隊長》(戦闘力+2により4)(インアクティブ)
《鼓舞する戦士長》×2(戦闘力+1により4)(1体のみインアクティブ)
備考:後攻のマナ追加の権利使用済み
「お前のライフは1、場には貧弱なアニマのみでさらに手札はなしときた。引きが良くて悪いな、赤城タツキ」
くそっ……本当に引きがいいな黒づくめのお兄さん!次のドローで逆転できなきゃ負ける……!
《焼畑》引いてドローでさらに《焼畑》引いたりとかできないかな?
「無茶言うなよ……」
「引いてみなきゃわかんないだろ?まだ勝負は決まってない!行くぜ!」
【
「ドロー!」
「……《焼畑》は引けたか?」
「……いや」
「そうか……ならもう諦めて──」
「引く必要もなくなったぜ!」
「なに!?」
信じてたぜ!リューちゃん!
「《透明人間》でプレイヤーを攻撃!」
「まだ1体《鼓舞する戦士長》がアクティブだ!阻止!」
残念だがそれはできないぜ!
「《透明人間》は『透過』を持っている!『透過』を持つアニマは相手の攻撃を阻止できない代わりに相手のアニマに阻止されない!」
「なんだと!?くっ……だが俺のライフはあと5も残っている!」
「いや、それで十分だ……!」
「今度はなんだ!?」
黒づくめのお兄さん、精霊カードが見たいって言ってたよな!なら見せてやるぜ!
「7コスト!《ムスペルヘイムの竜》を召喚!!!」
「精霊カード……!」
いつもの肩に乗せられるサイズじゃない、カードイラストの通りのでっかい炎の竜の姿のリューちゃんだ!カッコイイよな!
「《ムスペルヘイムの竜》の『召喚時』効果発動!『燃焼』5で相手に5ダメージを与える!」
「……ハァ?」
「いけ!!リューちゃん!!!」
リューちゃんが息を吸い込むと、勢いよく炎を吐き出す。大迫力でカッケェ!
炎に包まれてライフが0になった黒づくめのお兄さんは倒れた。大丈夫かな?
「気を失っただけじゃ。早く帰るぞタツキ、親御さんが心配するじゃろう」
「そうだった!急ごう!」
この後普通に母さんに怒られた。