プレイスピリット〜精霊がいるカードゲーム世界で普通のバトルがしたかった男〜   作:匿名S

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26話『ゲームメイクは慎重かつ大胆に、柔軟かつ臨機応変に対応しよう』

 

 

先攻(マシロ)1ターン目】

「ドロー!手札を1枚マナゾーンに置いてターンエンドです!」

 

 

後攻(レイタ)1ターン目】

「ドロー!手札を1枚マナゾーンに置いて《異世海老(いせえび)》を召喚!」

 

 《異世海老(いせえび)》が出たか、これでレイタくんは1ターン目から『連鎖』を使っていける。

 

「《異世海老(いせえび)》の『連鎖』3を発動!自身を墓地に置いてデッキから3コストで『連鎖』を持つ《禁眼鯛(きんめだい)》を召喚!」

 

 『連鎖』は自身を墓地に置くことで指定されたコストで『連鎖』を持つアニマをデッキから召喚する青色の固有能力だ。

 《異世海老(いせえび)》の場合は『連鎖』3を持っているから、デッキから3コストで『連鎖』を持っている《禁眼鯛(きんめだい)》を出せる。

 

 ただし、『連鎖』によって召喚されたアニマはそのターンは自身の『連鎖』を使用できない。つまりこのターンは《禁眼鯛(きんめだい)》の『連鎖』は使えないということだ。

 

 こうして1→3→5→7……とコストを払わずに毎ターン大きくなっていくのが『連鎖』の利点だ。

 ちなみに基本的に魚系が奇数コストで人間系が偶数コストの『連鎖』になっている。

 

「ターンエンド!」

 

 

先攻(マシロ)2ターン目】

「ドロー!マナを増やしてスペル《宣教》を発動!」

 

 《宣教》、地味に壊れてる気がするんだよね。2コストで場のアニマ1体を『浄化』するスペルだ。

 

 『浄化』はアニマの効果を無効化して、墓地で発動する効果まで無効にしてくる。解除される条件は一度墓地に置かれた上で『蘇生』とかで墓地を離れるか、あるいは場から手札やデッキに戻ることだ。

 

 破壊も戦闘力の低下もさせないからって2コストで効果無効とかやっちゃうのが白色の嫌なところだよね。まあ油断するとダメージレースで負けるからいいところばかりじゃないけど。

 

「《禁眼鯛(きんめだい)》を『浄化』してターンエンドです!」

 

 これで効果が無効になって『連鎖』は止まった。レイタくんは対応できるかな?

 

 

後攻(レイタ)2ターン目】

「っ……!ドロー!《地獄の門番》を召喚!」

 

 ん?黒のカードだ。

 

「《禁眼鯛(きんめだい)》でプレイヤーを攻撃してターンエンド!」

 

 そういえば俺の試合を見たって言ってたなあ、それを真似してみたのかな。

 

 『連鎖』持ちはコストに対して戦闘力が低い。だから攻撃できない代わりに戦闘力が高くて無限に阻止ができる《地獄の門番》で守りながら『連鎖』を繋げていく感じのデッキを昔使ったことがある。

 

 

先攻(マシロ)3ターン目】

「ドロー!マナを増やして《イカロス》を召喚!」

 

 《イカロス》、コストに赤色のマナも要求する白のカードだ。

 

 なんで入れてるのかというと、マシロちゃんのデッキが赤を混ぜた白のデッキだからなんだけどね。

 冷静に考えてほしいんだけど、《イカロス》がいて《焼畑》と《焚き木》が使えて、多分テュールの霊力のおかげで手札事故があんまり起きないであろうマシロちゃんに赤を使わせない理由なくない?というわけでこうなっている。

 

 はっきり言って、テュールは小学生三人組の精霊さんよりも強い。多分だけど、肩書きを名乗ってないだけで神かそれに近い精霊さんだ。

 本当に神だとしたらこんなに明確に人の味方をして助けてくれるのってかなり珍しいと思うんだけど、まあ人も神も十人十色ってことかな。

 

 ………ちなみにだけど、あれからテュールは適応が進みすぎて一週間に四時間という時間制限はそのままに寒気(かんき)だけじゃなくて雨や強風も弾くようになった。テュールいつもありがとう……そしてなんかごめん、神レベルの精霊さんにそんなことさせて。

 

「ターンエンドです!」

 

 おっと、今は試合に集中しないと。

 

 

後攻(レイタ)3ターン目】

「ドロー!マナを増やして……1コストスペル《海老で鯛を釣る》発動!手札を1枚デッキに戻し、カードを3枚引く!」

 

 まずは手札交換……に見せかけて手札が増えてることで有名な《海老鯛》か。まあ《地獄の門番》で守りながら『連鎖』を進めるつもりだった予定が狂ったから解決策を探しているんだろう。

 

「2コスト《氷の国の住民》を召喚!」

 

 お、繋がった。

 

「《氷の国の住民》の『連鎖』4を発動!自身を墓地に置いて、4コストで『連鎖』を持つ《氷の国の兵士》を召喚!ターンエンド!」

 

 繋がったけど、《氷の国の兵士》の戦闘力は2だ。『連鎖』の関係で最速2ターン目に出てくるから妥当な数値だけど、今戦闘力2なのは厳しい。

 

 

先攻(マシロ)4ターン目】

「ドロー!マナを増やして《イカロス》の効果を発動!『燃焼』3でターン終了時まで『飛翔』を持つ!」

 

 《イカロス》は戦闘力3で『飛翔』を持つことができる。『飛翔』は攻撃を阻止されないだけの効果だけど、上手く使われると強いんだな、これが。

 

「《イカロス》で《氷の国の兵士》を攻撃!」

「くっ…またか……!」

 

 そう、『飛翔』を持ったせいで《地獄の門番》で阻止することができない。これでまた『連鎖』は止められた。

 

「スペル《福音》を発動!カードを2枚引いて、手札を1枚マナゾーンに置きます!」

 

 これまた結構なカードだ。白は他の色と違ってコストを踏み倒すような変な動きをする固有能力がないんだけど、そのぶん普通にカードが強いんだよね。《福音》は手札を減らさずにマナを増やしてくるし、《改宗》とかほんとどうかしてるよ。

 

「……ターンエンドです!」

 

 ん、今なにか出そうか悩んで温存したな。アニマをまとめて出して一網打尽にされるのを()けたのか、それとも今後役に立つ効果を持ってるから残したのか。どちらにしろよく考えて動いてる気がする。

 

 

後攻(レイタ)4ターン目】

「ドロー!マナを増やして《恐怖の幻影》を召喚!」

 

 お、また黒のカード。

 

 《恐怖の幻影》は4コストで戦闘力1しかないアニマだ。だけど場から墓地に置かれた時にアニマを1体『蘇生』できる。

 昔使った時は『蘇生』できるアニマに制限がないのを利用してこれで『連鎖』持ちを出して、5コスト以上のアニマを『蘇生』したなら自分のターン終了時に墓地に戻してしまう制約を『連鎖』で踏み倒してたなあ。

 レイタくんもそれがしたいんだと思うけど、『飛翔』持ちの相手とはやっぱり相性が悪い。

 

「《禁眼鯛(きんめだい)》でプレイヤーを攻撃してターンエンド!」

 

 前のターンに《イカロス》が攻撃してインアクティブになってるからこのターンは《禁眼鯛(きんめだい)》の攻撃が通る。戦闘力は1しかないけど、その1点が勝敗をわけるなんて当たり前だよね。

 

 

先攻(マシロ)5ターン目】

「ドロー!マナを増やして《イカロス》の効果発動!『燃焼』3でターン終了時まで『飛翔』を持つ!《禁眼鯛(きんめだい)》を攻撃!」

「くっ……」

「5コスト《飛翔する天使》を召喚!」

 

 そしてお馴染み《飛翔する天使》の登場だ。

 

 ただ『飛翔』を持ってるだけの戦闘力4のアニマ。でも毎ターンほぼ確実に4ダメージ与えてくるのはライフ20のこのゲーム(プレスピ)においては結構な脅威だ。コストは少し重いけど。

 

「ターンエンドです!」

 

 それにしても、《禁眼鯛(きんめだい)》を攻撃したね。多分《悪夢の続き》であとから場に戻されるのを防ぎつつ自分のライフも守ることにしたんだろう。

 

 ということはここの3点はライフを削るのに使わなくてもいいという判断にいたったわけだけど、果たして吉と出るか凶と出るか。

 

 

先攻(マシロ)5ターン目終了時の状況】

・黒川マシロ

ライフ18/手札3/マナ6

場:《イカロス》(インアクティブ)

《飛翔する天使》

 

・青枝レイタ

ライフ20/手札3/マナ4

場:《地獄の門番》

《恐怖の幻影》

備考:後攻のマナ追加の権利未使用

 

 

後攻(レイタ)5ターン目】

「ドロー!マナを増やす!《恐怖の幻影》で《飛翔する天使》を攻撃!」

 

 自爆特攻ってやつだね。戦闘力で負けてるけどなんらかの目的でわざと攻撃するやつ。まあ当然目的はひとつだ。

 

「《恐怖の幻影》が場から墓地に置かれたなら、自分の墓地のアニマ1体を選択して『蘇生』する!《氷の国の兵士》を『蘇生』!」

 

 これで『連鎖』が再開される。そしてここからは割とご褒美があるゾーンかな?

 

「《氷の国の兵士》の『連鎖』6を発動!自身を墓地に置いてデッキから6コストで『連鎖』を持つ《氷の国の騎士》を召喚!」

 

 最速で3ターン目に出てくるから戦闘力は3と控えめ、だけどここまで繋がればなにかしらの効果は持つものだ。

 

「《氷の国の騎士》の『召喚時』効果発動!相手のアニマ1体を選択して『凍結』させる!《飛翔する天使》を『凍結』!ターンエンド!」

 

 これで《飛翔する天使》はマシロちゃんのターンの終了時まで攻撃と阻止ができない。

 

 それにしても、カードを使わなかったね。おそらくはマシロちゃんの警戒どおり、本当に《悪夢の続き》を持ってて今は《氷の国の騎士》あたりを復活させたいんだろう。

 

 

先攻(マシロ)6ターン目】

「ドロー!マナを増やして《神告(しんこく)の天使》を召喚!」

 

 これもまた面白いカードだ。迂闊(うかつ)に使うとかなりしんどくなるけど、上手く使えば結構強い。

 

「《神告の天使》の『召喚時』効果発動!自身をデッキに戻して、次の自分のターン開始時に白色を持つアニマ1体をデッキから召喚します!」

 

 これで次のターンに状況に応じたアニマを出せることが確定した。まあなにもなければ《飛翔する天使》でも出せばいいし、有利なら割と使い得ではあるカードだ。

 

「《イカロス》の効果で『燃焼』3してターン終了まで『飛翔』を持ちます!《イカロス》でプレイヤーを攻撃!」

 

 《イカロス》の効果はこれで三回目、さすがに9枚も『燃焼』で落とせば結構な確率で《焚き木》が落ちるはずなんだけど、まあこういう時もあるか。そもそも《焼畑》も引けてないみたいだし。

 

 そしてこれで残り17点。さて、次のターンでレイタくんがどうしてくるか……

 

「ターンエンドです!《飛翔する天使》の『凍結』は解除されます!」

 

 

後攻(レイタ)6ターン目】

「ドロー!マナを増やして……」

 

 悩んでるなあ。まあなにで悩んでいるのかは割と察しがつく。

 

「後攻の権利でマナゾーンにカードをもう1枚置く!」

 

 これでマナゾーンのカードは7枚、もうフィニッシャーが出てくるような時間だ。

 

「《氷の国の騎士》で《イカロス》を攻撃!」

 

 なるほど、場をあけるためにあえて攻撃したか。

 

「《飛翔する天使》で阻止します!」

 

 これで戦闘力3の《氷の国の騎士》は戦闘力4の《飛翔する天使》に負けて破壊されたけど、場が空いた。

 なにをしたいのかはわかったけど、『連鎖』を止めてよかったのかな?

 

「7コスト!《乙姫》を召喚!」

 

 案の定のカード。《竜宮城》が場にないから派手な演出なしで普通に《乙姫》が出てきて、ついてくるように《竜宮城の兵士》3体が出てきた。

 

「《乙姫》の『召喚時』効果で《竜宮城の兵士》3体を召喚!」

 

 それにしても、《地獄の門番》がすっごい邪魔そうだなあレイタくん。

 

「……ターンエンド!」

 

 お、《竜宮城の兵士》の『連鎖』を使わなかった。《竜宮城の兵士》の『連鎖』で《砂浜の亀》を出して、相手の攻撃を阻止して破壊された《砂浜の亀》が《浦島太郎》を出す。それが黄金パターン、なんだけど……

 

 ここで《砂浜の亀》を出しても『飛翔』持ちの攻撃は阻止できないから相手ターンに《浦島太郎》を出せない。さらに『浄化』なんてされた日にはただの戦闘力0のアニマに成り下がる。

 それなら戦闘力4の《竜宮城の兵士》のままにして戦力にした方が確実というものだ。

 

 ……いや、そもそもあれか。

 

「後攻の権利でマナゾーンに置いたカードはターン終了時に消失する」

 

 これでマナゾーンのカードが6枚に戻るから《砂浜の亀》の効果で《浦島太郎》を呼べない。あれは『マナゾーンにカードが7枚以上あるなら』という条件で呼んでるからね。6枚以下だとマナが増えるだけだ。

 

 本来なら岡目八目(おかめはちもく)、観戦者の立場だから気づいてもおかしくなかったんだけど、俺もずいぶん錆びてきたものだ。

 

 

後攻(レイタ)6ターン目終了時の状況】

・黒川マシロ

ライフ18/手札2/マナ7

場:《イカロス》

《飛翔する天使》

備考:《神告の天使》の効果で次のターン開始時にデッキから白色を持つアニマを1体召喚する。

 

・青枝レイタ

ライフ17/手札1/マナ6

場:《地獄の門番》

《乙姫》

《竜宮城の兵士》×3

備考:後攻のマナ追加の権利使用済み

 

 

先攻(マシロ)7ターン目】

「ドロー!マナを増やします!そして《神告の天使》の効果でデッキから《飛翔する天使》を召喚!」

 

 これは定番の流れだ。《神告の天使》は5コスト、この効果で5コスト以下のアニマを出したら単純に1ターン出るのが遅れてそのぶん攻撃できる回数が減るわけだけど、白のカードがそれに対する補填を持ってないわけがない。

 

「《神告の天使》の効果で5コスト以下のアニマを召喚したなら、そのアニマに『突撃』を付与します!」

 

 まあ、そういうことだ。

 

「《イカロス》の効果!『燃焼』3で『飛翔』を持って《地獄の門番》を攻撃!」

 

 ……ん?

 

 阻止しかできない《地獄の門番》をわざわざ相打ちで取った。

 

「2体の《飛翔する天使》でプレイヤーを攻撃!『飛翔』を持っているから阻止されません!」

「ぐっ……」

「ターンエンドです!」

 

 ……あぁ、そういうことね。ずいぶん大胆なことするね、マシロちゃん。

 

 

先攻(マシロ)7ターン目終了時の状況】

・黒川マシロ

ライフ18/手札2/マナ8

場:《飛翔する天使》×2(2体ともインアクティブ)

 

・青枝レイタ

ライフ9/手札1/マナ6

場:《乙姫》

《竜宮城の兵士》×3

備考:後攻のマナ追加の権利使用済み

 

 

後攻(レイタ)7ターン目】

「ドロー!マナを増やして……」

 

 案の定だ、強い霊力。

 

 ターン開始時のドローで手札は2枚、マナゾーンに1枚置いて手札1枚と7マナ。そこでこうならないわけがないってことだね。

 

「《ニヴルヘイムの女王・ニクス》を召喚!!」

「名前をもらってからはじめてのお披露目ね、景気よく凍らせてあげる」

 

 そういうことならマシロちゃんの手札2枚もわかる。そしてなんでさっきのターンでカードを出さなかったのかも。

 

「《ニクス》の『召喚時』効果発動!《飛翔する天使》2体を『凍結』させる!そして3体の《竜宮城の兵士》と《乙姫》でプレイヤーを攻撃!」

「……」

 

 このゲーム(プレスピ)のダメージって実際に痛いのかよくわからないんだけど、なんかメンタルの問題なんじゃないかとたまに思う。

 マシロちゃんは13ダメージも受けたのに完全に想定内だからか、声もあげていない。

 

「ターンエンド!」

 

 

後攻(レイタ)7ターン目終了時の状況】

・黒川マシロ

ライフ5/手札2/マナ8

場:《飛翔する天使》×2(2体とも凍結)

 

・青枝レイタ

ライフ9/手札0/マナ7

場:《乙姫》(インアクティブ)

《竜宮城の兵士》×3(3体ともインアクティブ)

《ニヴルヘイムの女王・ニクス》

備考:後攻のマナ追加の権利使用済み

 

 

先攻(マシロ)8ターン目】

「ドロー!《清浄の天使》を召喚!『召喚時』効果で《ニクス》さんを『浄化』します!」

 

 と、なるとやっぱり持ってるみたいだね。

 

「スペル《改宗》を発動!相手の場の『浄化』されたアニマ1体を選択します!そのアニマを自分の場に移動させて、場を離れるまで自分のアニマとして扱います!《ニクス》さんを選択!」

「なっ……!」

 

 いやあ、成長が早いね。この前のバトルでの失敗を踏まえつつ、攻撃できないから絶対アクティブで残る《地獄の門番》をわざわざ処理してこれを誘ってた。

 そしてそこまで計算に入れたと思われるレイタくんのライフ。戦闘力3の《イカロス》で1回、4の《飛翔する天使》で2回攻撃したら11ダメージで残りは9点。そして……

 

「戦闘力9の《ニクス》さんでプレイヤーを攻撃!」

「……これは仕方ないわね。ごめんなさいね、レイタ」

 

 《ニクス》の戦闘力9をあわせてちょうど20点。さらにレイタくんのアニマは全員インアクティブになってて阻止ができない、と。

 

 

 

「完敗です……完全に手のひらの上だった……」

 

 いやあ、ちょっとレイタくんの調整したデッキが『浄化』と『飛翔』に弱いというのもあるから少し同情しちゃうな。まあそれでもやりようはあったんだろうけど。

 そもそも手札と展開的にはマシロちゃんが下振れ気味だったし、順当にいけば《乙姫》と《ニクス》で制圧して勝ってたと思うから、まんまとしてやられたね。

 

 というか、このデッキは俺が昔使ってたものを真似したものみたいだから無性に申し訳なさがある。

 

「戦闘力1の《乙姫》くらいは攻撃させないでアクティブで残してもよかったかもしれませんね。どうせ3体の《竜宮城の兵士》であわせて5回攻撃できれば20点削りきれますし」

 

 そしてマシロちゃんの言うことももっともだ。《乙姫》だけでも残しておけば結末は全然変わっていただろう。

 

「さて……テュール、いけますか?」

「機能追加、準備ともに完了」

 

 あぁ早いね話が。もうちょっとこう……あるでしょう。

 

「負けたこともシンイチさんに教えてもらえないことも悔しいので早くお願いします」

 

 レイタくんも早いね!?いやまあ早く忘れたいことってあるけどさ……怖くないのかな?

 

「テュール、お願いします」

「了解」

 

 そう言うとテュールはレイタくんの頭を両手で掴み、手から放たれた謎の光がおさまるとレイタくんは眠っていた。

 

「本日の記憶を消去しました。しばらくしたら目を覚ますため、本機が秘密裏に彼の自室に送り届け、眠っていたことにします」

 

 テュール……いつも便利に使っちゃって本当にごめんね。ニクス、レイタくんの家まで案内してあげて。

 

「……仕方ないわね」

 

 それにしても、俺がバトルしたわけじゃないのになんかすごく疲れちゃったなあ……

 

 まあそれはそれとして、《焼畑》も《焚き木》も使わずに上手に勝って見せたマシロちゃんはしっかり褒めてあげなきゃ。

 

 手札的にも本来なら《乙姫》を返しきれずに《ニクス》で敗色濃厚だった試合を上手く誘導して勝ったんだ、さすがにここはちゃんと褒めてあげるべきだろう。

 

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