プレイスピリット〜精霊がいるカードゲーム世界で普通のバトルがしたかった男〜 作:匿名S
扉は何の
「よく来たね」
「はじめまして!俺は赤城タツキ!こっちは相棒のリューちゃん!」
「よろしく頼むぞ。早速ですまんがそこの装置を止めてもらえるかのう?」
「それは僕に勝ったらね。大人しく投降するわけにはいかないからさ」
部屋に入るなり挨拶をする男とタツキ、そして紹介されたので乗っておくリューちゃん。挨拶ついでの要求を受け流しながら男はデッキを取り出し、それを見たタツキもデッキを取り出した。
この場で唯一まだ何も喋っていないマリナは本来なら自身とリューちゃんで敵の男を倒してさっさと事を済ませたいと思ってはいたが、予定調和的に場の空気はプレスピによるバトルに傾いている。
そもそもこの人選になった時点で暴力による解決を肯定する人間はシンイチしかいないと理解していたので、この場において自身の役割は案内と奇襲を
「そういえばまだ名乗っていなかったね。僕は────」
◆
マシロちゃんに敵の女の人を任せて地下の隠し通路を進むと、やがて階段にたどり着いたのでおりてみる。
おりた先の空間にあったのは教会にありそうな祭壇と、その背後に飾られた大きな
そして、祭壇の前に立っている、近くにいるだけで気分が悪くなるほどの違和感を感じる人。
その人が俺に『久しぶり』と言ったから、俺は挨拶を返した。
「はじめまして、俺は真常シンイチ。きみは?」
◆
「────黒崎アキラだ。よろしく」
◆
「黒崎アカネ」
「そっか。じゃあバトルしようか」
今度はどの神だろうね?
◆
【
「ドロー!マナゾーンにカードを1枚置いて《一番槍》を召喚!『突撃』を持つ《一番槍》は召喚したターンでも攻撃できる!プレイヤーを攻撃してターンエンド!」
【黒崎アキラのライフ:20→19】
【
「ドロー、マナを増やしてスペル《焼畑》を発動。『燃焼』3でカードを3枚引く。この効果で墓地に置かれた《焚き木》の『起爆』が発動、このカードを墓地からマナゾーンに置く。ターンエンド」
もはや当然のように《焼畑》から《焚き木》を発動させるコンボを1ターン目にやってのけるアキラ。恐らくは霊力を使っているのだろうが、生憎それを客観的に感じ取れる人物はこの場にいないため、誰も指摘をすることはなかった。
そもそもプレイスピリットのルールに『霊力を使ってはならない』という制約はないため、指摘する必要もないことだが。
なんなら、タツキは疑問にも思っていなかった。
タツキにとって《焼畑》を使えば《焚き木》が『起爆』するのは、給食の
おかしな点をあげるなら、タツキは今まで《焼畑》と《焚き木》を1枚しか入れていなかったのにそう思っていることくらいだ。
【
「ドロー!マナを増やして《特攻隊長》を召喚!こいつも『突撃』を持っているから《一番槍》と《特攻隊長》で攻撃!」
【黒崎アキラのライフ:19→16】
「ターンエンド!」
【
「ドロー、マナを増やして《猫又》を召喚」
タツキは首を
「《猫又》の『召喚時』効果発動。自分のデッキの上からカードを2枚墓地に置き、その中に黒色を持つカードがあるならこのカードをマナゾーンにアクティブで置く」
どうやらその効果は成功したようだ。《猫又》はマナゾーンに歩いて行った。
「2枚目の《焼畑》を発動、『燃焼』3でカードを3枚引く。これにより墓地に置かれた《不死鳥の雛》の『起爆』が発動。このアニマを『蘇生』し、1コスト払う」
アキラの場にまさに《不死鳥》を小さく幼くしたようなアニマが現れる。《不死鳥の雛》の『蘇生』のためのコストには黒のマナが要求されるが、それは黒色を持つカードである《猫又》がマナゾーンにアクティブで置かれているためちょうど足りていた。
「ターンエンド」
【
「ドロー!マナを増やして《炎纏う戦士》を召喚!そしてスペル《焼畑》を発動!『燃焼』3でカードを3枚引く!」
シンイチによって3枚投入された《焼畑》。それを引けないタツキではなく、そしてタツキにとって
「墓地に置かれた《焚き木》の『起爆』が発動!このカードをマナゾーンに置く!それと《炎纏う戦士》の効果!1ターンに1度、自分が『燃焼』効果を使用したなら戦闘力をプラス1する!」
当然《焚き木》も3枚投入されている。このカードの『起爆』効果は1試合に1回しか使用できないためタツキはよくわかっていないが、『燃焼』によってこのカードを墓地に置ける確率を上げるために余程のことがなければ3枚入れるのが基本とされている。
そもそも《焚き木》はスペルとして手札から使ってもマナ加速になり、そのためのコストを払うのも惜しいなら普通にマナゾーンに置けばいいため3枚入れない理由はあまりない。
「《一番槍》でプレイヤーを攻撃!」
「《不死鳥の雛》で阻止する」
「なら《特攻隊長》でプレイヤーを攻撃してターンエンド!」
【黒崎アキラのライフ:16→14】
相手の手の内もまだわからないためミスとは断言できないが、《不死鳥の雛》の戦闘力は2で《特攻隊長》と同じだ。そのため《特攻隊長》から攻撃していれば相手の出方を見て《一番槍》は確定で残すことができた。
タツキの立ち回りはそういった手堅さよりも勢いを優先しがちだが、《ムスペルヘイムの竜》という優秀なフィニッシャーがいる以上それでもいいのかもしれない。少なくとも今は。
【
「ドロー、マナを増やして手札から《焚き木》を発動。このカードをマナゾーンにアクティブで置く」
当然、アキラも《焚き木》は3枚入れていた。
「《不死鳥》を召喚して効果発動。このアニマがアクティブなら『燃焼』4で相手のアニマ1体と自身を破壊し、その後自身を『蘇生』する。《炎纏う戦士》を破壊」
「くっ……《炎纏う戦士》が……!」
「ただし、この効果で『蘇生』された《不死鳥》はこのターン同じ効果を使用できない。《不死鳥の雛》で《特攻隊長》を攻撃してターンエンド」
《不死鳥の雛》と《特攻隊長》が相打ちになったことでタツキの場はガラ空き、ライフ6点と引き換えにここからアキラのペースで試合が進むことが予期された。
【
・赤城タツキ
ライフ20/手札5/マナ4
場:なし
・黒崎アキラ
ライフ14/手札7/マナ6
場:《不死鳥》
備考:後攻のマナ追加の権利未使用
【
「ドロー!マナを増やして《イフリート》を召喚!」
突然場に現れた壺。そこから煙と共に不機嫌そうな魔人が現れた。
「《イフリート》の『召喚時』効果発動!相手の場のアニマ1体を破壊する!ただし、相手が手札を1枚墓地に置くならこの効果は無効になる!俺は《不死鳥》を破壊するぜ!」
「それは困るな、代わりに手札を1枚墓地に置こう」
アキラが手札を墓地に置くと、《イフリート》は壺の中に戻ってしまった。すごく不本意そうな顔をしていたため、自分の意思ではないのだろう。ご丁寧に
「ターンエンド!」
《イフリート》の戦闘力は5で《不死鳥》より高い。効果で破壊されることにはなるだろうが、《不死鳥》の効果はアクティブでなければ使用できず、『蘇生』された《不死鳥》は場に出たばかりのため攻撃できない。そのためダメージは受けずに済むという魂胆があるのだろう。
もっとも、ダメージを受けてでも墓地を増やさせない方がいいか、それでもライフを守るべきかは場合によるが、『燃焼』で墓地に置いたカードをほとんど活用しないタツキにそこまで深い見識はない。
【
「ドロー、マナを増やす。《不死鳥》の効果発動。『燃焼』4で《イフリート》を破壊し、自身を『蘇生』」
「何出しても破壊される……!」
「スペル《バックドラフト》を発動。手札を3枚墓地に置き、自分の墓地のカード1枚を手札に戻してそのコストをマイナス3する。この効果で《地獄からの召喚》を手札に戻し、そのまま発動。墓地の《
なんとなく地獄を想起させる炎と闇の中から現れた屈強な鬼。その姿を見てタツキは
「あ!思い出した!この前レイタが大会で戦ってたお姉さんのデッキだ!」
「今気づいたんだね……まあさすがにもうわかると思うけど、僕は──」
「わかるぜ!あのお姉さんのファンだろ!」
「……」
わかっていなかった。
厳密には既視感の正体こそわかったものの、それが意味する情報については全然わかっていなかった。
「アカネは僕の妹なんだ」
「そうだったんだ!妹の大ファンだなんていいお兄ちゃんだな!」
「1回ファンという前提は捨ててもらってもいいかな?というかなんでファンから大ファンに格上げしたの今」
アキラとて自分のやっていることが大きなことであり、悪いことであることは理解している。当然、このバトルが世界の命運を左右しかねないものであることも。
しかしタツキが心底天然なせいで緊張感を感じ取れず、本当に困ったようにツッコミを入れるしかなくなってしまった。
「だって、同じデッキを使うくらい好きなんだろ?そんなの大ファンに決まってるじゃん!」
しかもまだ誤解されていた。
純真無垢な少年らしさに苦笑するアキラだが、状況が状況だ。無理やりにでも緊張感のある流れに戻すべく話をはじめた。もしかすると、ただ話をしたいだけだったのかもしれないが、本心は誰にもわからないだろう。
「
タツキは天然なだけで空気が読めない人間ではない。今はアキラの話を聞く時間だと察し、余計な口を挟まずに聞き役に徹している。
「できないことがあってもすぐできるようになるし、時にはその道の
「それにしても、カードゲームなんて運が大きく絡むことしないでもっと別のことをやっていれば良かったと思うんだけどね。仲間がいても足でまといだろうから、せめて格闘ゲームとか。そうしたら、無駄に負けることも、ライバルができるなんてことも無かったかもしれないのにね……」
話が上手く飲み込めないタツキに代わって、黙ってバトルの
「要領を得ませんね。結局
「それは単純だよ。アカネがその才能を発揮してからずっと、自分が嫌だった。周りが嫌だった。全部が嫌だった。だから壊そうと思ったんだ」
「では何故、さっき黒崎アカネのことを案じていると取れるような発言をしたのですか?」
「アカネが負けたって虚しいだけなんだよ。アカネに劣等感を覚えているのに、そのアカネが負けたら自分がもっと下にいる気がして。だからせめて勝ち続けてほしかったんだけど、そうするには
そこまで言ってアキラは一瞬タツキを見たが、共感を得られそうにないと判断したのかマリナへの回答の続きとして話をした。
「プレスピはデッキ構築の段階で既に有利不利が決まることがある。対策になるカードを採用すればもっとね。そして何より引きに左右されすぎる。アカネの才能を十全に活かすならこんなゲームは論外だろう?」
「否定はしません」
「でもアカネはプレスピに打ち込んだ。天才の感性はよくわからないけど、お互いの引きや相手によって展開が毎回違う点とか、常勝とはいかない点……要するに、思い通りにいかないことがむしろ火をつけたんじゃないかなと思ってるよ」
ここにきてようやく、タツキが動いた。
「よくわかんないけどさ、アキラさんもすごいじゃん!」
「……それこそよくわからないな、この話からどうしたらそうなるのか。まあいい、バトルを続けよう。《酒呑童子》の『召喚時』効果でデッキから《鬼に金棒》を手札に加える。ターンエンド」
【
・赤城タツキ
ライフ20/手札4/マナ5
場:なし
・黒崎アキラ
ライフ14/手札3/マナ7
場:《不死鳥》
《酒呑童子》
備考:後攻のマナ追加の権利未使用
【
「ドロー!マナを増やす!」
シンイチによって新しくなったタツキのデッキ、それはただ必要なカードの枚数を増やしただけではない。
「《炎の巨人の妻・シンモラ》を召喚!」
現れたのは箱を持つ女性。その箱に九つの鍵が取り込まれ、中から燃えさかる杖のような何かが出てきて、剣のように床に突き刺さった。
「《シンモラ》の『召喚時』効果発動!『燃焼』9で自分の手札・デッキ・墓地から《破滅を招く枝・レーヴァテイン》1枚を場に出す!ターンエンド!」
デッキから取り出されたオブジェクト、《レーヴァテイン》。タツキのターンエンドの宣言と共にその炎が荒れ狂い、アキラと《酒呑童子》を飲み込んだ。
「ターン終了時に《レーヴァテイン》の効果!このターン、『燃焼』によって墓地に置かれた自分のカード3枚につき1ダメージを相手に与える!さらに5枚以上墓地に置いていたなら相手の場のアニマ1体を破壊するぜ!」
【黒崎アキラのライフ:14→11】
「《酒呑童子》が相手によって墓地に置かれたなら、相手の場のアニマ1体を破壊する。《シンモラ》を破壊」
「そんな効果もあったのかよ!」
またしても何も知らないタツキだった。
【
「ドロー、マナを増やす。《不死鳥》でプレイヤーを攻撃」
「くっ……」
【赤城タツキのライフ:20→16】
タツキの場は《酒呑童子》の効果によってガラ空きだ。厳密には《レーヴァテイン》があるが、オブジェクトであるこのカードは戦闘力を持たず、攻撃も阻止もできない。
そして、アキラは難しそうな顔で切り札を使う。
「《
「ぐあっ……」
【赤城タツキのライフ:16→11】
「墓地のカードは22枚……あと2枚あれば10ダメージだったんだけど、《酒呑童子》の効果で《シンモラ》を破壊したのは間違いだったかな?」
《シンモラ》を破壊しなければ《不死鳥》の効果の
「ターンエンド」
【
「ドロー!マナを増やす!」
これでマナは7。当然、タツキも切り札を使う時だ。
「《ムスペルヘイムの竜》を召喚!」
「ようやく出番か、待ちくたびれたぞ」
普段は小さくデフォルメされたような姿で過ごし、リューちゃんと呼ばれる精霊、《ムスペルヘイムの竜》が本来の姿で場に出る。赤く雄大な身体に炎を纏い、さらに口から炎を吐き出してアキラを再び炎に
「《ムスペルヘイムの竜》の『召喚時』効果!『燃焼』5で相手に5ダメージ!さらにターン終了時に《レーヴァテイン》の効果!『燃焼』で墓地に置いたカードは5枚だから、1ダメージを与えて《不死鳥》を破壊!ターンエンド!」
【黒崎アキラのライフ:11→5】
戦闘力は《焔摩天》の方が上だが、延々とアニマを破壊され続けたタツキは《ムスペルヘイムの竜》を破壊させまいと《不死鳥》を優先した。
その《焔摩天》も戦闘力は5で、《ムスペルヘイムの竜》の戦闘力6よりも低いのが
【
「ドロー、マナは増やさない…………」
アキラは少し考えると、困った様子を隠すこともなく、苦笑しながらつぶやいた。
「アカネならこんなことにはならなかったんだろうけどね……」
アキラの手札は3枚。温存していた《バックドラフト》と《焼畑》、そして《酒呑童子》の効果で手札に加えた《鬼に金棒》だ。
理想としては《バックドラフト》で《焔摩天》を回収して再び召喚したかったが、他の手札を3枚墓地に置く必要がある《バックドラフト》は現在使用できない。
では《焼畑》で手札を増やせばいいと思っても、アキラのデッキは残り5枚。『燃焼』3と3枚のドローでデッキを6枚減らす《焼畑》を使えばそのまま敗北となる。
そもそも2回目の《焔摩天》の召喚に成功しても現在の墓地は23枚だ。墓地を少し増やしても10ダメージしか出せず、タツキのライフ11点を削りきるには足りない。根本的に1回目の《焔摩天》の召喚で10ダメージを出せなかった時点で想定したゲームプランは崩壊していた。
「入れとくべきだったなあ……《
単体性能こそ低いものの、1ダメージを与えるスペルでありながら『起爆』で墓地から手札に戻る《
しかし、今のアキラのデッキには採用されていない。アカネがこのカードを採用していない時のデッキをコピーしたのが
最終的に、今アキラにできることは1ターン待つことだけだった。
「ターンエンド」
【
・赤城タツキ
ライフ11/手札2/マナ7
場:《破滅を招く枝・レーヴァテイン》
《ムスペルヘイムの竜》
・黒崎アキラ
ライフ5/手札3/マナ8/墓地23/デッキ残り5
場:《十二天神・焔摩天》
備考:後攻のマナ追加の権利未使用
【
「ドロー!マナを増やす!」
それに対して、タツキは困らなかった。
より正確に
理由は単純明快。頼れる相棒がすぐそばにいて、何かしようとしているのをタツキが察したからだ。
「リューちゃん!任せたぜ!」
「任せろ。この勝負、そろそろ決着をつけるとするかのう!」
リューちゃんはそう言うと残りの霊力を解放する。
《ムスペルヘイムの竜》のカードが炎に
「《ムスペルヘイムの竜・リューちゃん》でプレイヤーを攻撃!」
「名前が変わった…いや、名前がついたと言うべきか?ひとまず《焔摩天》で阻止するが……」
アキラは知っている。精霊カードは時に、効果を変えたり増やしたりすることを。《猫又・ルナ》という前例も知っている。
ここから何が起きるのか、それがわからないほど察しも悪くない。むしろ鋭いと言われたことがあるほどだ。自分ではそう思っていないが、
「タツキよ、いくぞ!」
「《リューちゃん》の効果発動!『燃焼』5で自身の戦闘力をマイナス2してアクティブに戻る!プレイヤーを攻撃!」
《ムスペルヘイムの竜》の戦闘力は6。これで戦闘力は4に下がるが、代わりにもう一度攻撃できる。
「これだから精霊カードは……」
【黒崎アキラのライフ:5→1】
「ターンエンド!」
「……もう1度効果を使わなくてよかったのかい?1ターンに1度までだったかな?」
「この効果は何回でも使えるぜ!でもメイカさんが言ってたことを思い出したんだ!」
ビルに突入する前、シンイチはレイタとタツキのデッキを新調した。そしてシンイチがレイタに使い方の説明をしている
『いいかい?『燃焼』を使う時は絶対にデッキの枚数が足りてるか確認してから使うんだよ?特に、勝てそうな時こそ一度止まって考えるんだ。そういう時に油断してミスをすることは多いからね』
『燃焼』はデッキ枚数が足りない時にも使用することができる。ただし、そうした場合、燃やすデッキ枚数の踏み倒しや効果の不発などといった生ぬるい結果にはならない。
デッキ枚数が『燃焼』の数字より少ない時に『燃焼』効果を使用した場合、残りのデッキ全てを墓地へ置き、効果を適用することなく
メイカはこの仕様により、
そしてもうひとつ、立ち止まって気づいたこと。
「ターン終了時に《レーヴァテイン》の効果発動!このターン『燃焼』で墓地に置いたカード3枚につき1ダメージを与える!」
それは、《レーヴァテイン》の存在だった。
「まったく……詰めが甘いのはこっちだったか……」
アキラは
妹がほぼ完璧に扱っているデッキを満足に扱えない自分の無力を。
《レーヴァテイン》の炎が、アキラに終わりを
【黒崎アキラのライフ:1→0】
「……ひとつ、聞いてもいいかな」
「何?」
バトルは終わり、アキラはタツキに問いかける。
「さっき身の上話をした時、『
「だってそうじゃん!その装置作ったのアキラさんでしょ?」
タツキはそう言いながら
既にその装置は敗北を認めたアキラによって停止させられており、後は処分を待つだけとなっている。
「そうだが……」
「良くないことしようとしてたのはわかるけどさ、
タツキは屈託なく笑って続ける。それは、ずっとタツキにとってわからないことでもあった。
「それにさ、アカネさんがすごいからってアキラさんがすごくないってことにはならないと思うぜ!」
『あの人はすごいから、自分はすごくない』という感情、それがタツキにとってわからないことだった。
「アキラさんも天才だよ!プレスピも強かったし、そんな装置も作れるくらいすごいんだから!」
「……ただ間違った努力をしただけだよ。才能なんて僕には──」
アキラの言葉を
「天才だからすごいんじゃない。すごいから天才なんだ!だからアキラさんは天才だよ!」
その言葉を聞いて、アキラは困ったように笑った。
そして、たった一言。
「眩しいなあ……」