プレイスピリット〜精霊がいるカードゲーム世界で普通のバトルがしたかった男〜 作:匿名S
5件目の10点評価も頂けました、本当にありがとうございます。勢いに乗って54話も鋭意制作中です。
「せっかく場に出たんだ、ここからは
「助かる」
どうやらロキは黒崎さんの身体はただの操り人形にして、アニマとして場に出た自分の姿で喋ってくれることにしたらしい。ただの気まぐれなんだろうけれど、本当に助かる。
「《火の神・ロキ》の効果発動!『燃焼』3で《トリックスター・ロキ》に『変身』する!」
『変身』とは?なんてもう言わないよ。だって二回目だもん。どうせ
「『変身』!《トリックスター・ロキ》!!」
ロキがそう宣言すると炎がより強く燃え上がり、霊力が強まる。心なしか姿も少し変わったような気がする。
演出が派手な上に具合が悪くてちょっとよくわからなくなってきた。あんまり気にしていられないから変わった気がするとしておく。
「今墓地に置かれた《グングニルのレプリカ》の『起爆』が発動!このカードを場に置く!」
《火の神・ロキ》の『燃焼』で墓地に落ちたやつね。ひとまず、こういうのがロキのやりたいことだったのは察しがつく。
「《グングニルのレプリカ》の効果発動!『燃焼』3で自分の場のアニマ1体の戦闘力をマイナス3し、相手プレイヤーに3ダメージを与える!」
わざわざ用意したんだ、ただ戦闘力と引き換えにダメージを出すだけじゃないんだろうね。
「《トリックスター・ロキ》の効果!このアニマがカードの効果を受けるなら、他のアニマ1体にその効果を代わりに受けさせる!身代わりに《脱獄ゾンビ》を選択するぜ!」
まあ、そうなるよね。《ロキ》に向いていた槍、グングニルが急に向きを変えて、《脱獄ゾンビ》に向けて飛んでいく。
「自分の場のアニマが効果で選択されたことを条件に『緊急詠唱』《魂の抽出》。《脱獄ゾンビ》を『埋葬』してカードを2枚引く……」
ダメージは受けるけど、これで《脱獄ゾンビ》は逃がせた。
【真常シンイチのライフ:20→17】
「威勢が無くなってきたみたいだが、まだ行くぜ?《ミョルニルのレプリカ》の効果発動!『燃焼』3でランダムな場のアニマ1体を選択して破壊する!」
そう宣言すると、場に置かれていた
「オレが選ばれちまったみたいだな。それじゃあ《トリックスター・ロキ》の効果で《悪魔商人》に代わりに破壊されてもらうぜ」
やっぱりインチキだなあ。そもそもこっちのアニマは2体で、向こうは《ロキ》1体だったんだから先に《ミョルニルのレプリカ》を使っておけばこっちのアニマを破壊できる確率は高かった。
そういう工夫をしないのは文字通りする必要がないからだ。《ロキ》の効果で外しても他のアニマを身代わりにできるのだから。
限度はあるけれど、強ければ自分でどうにでもできるからやる必要がない。だからしない。そういうのが多いから精霊とは仲良くなれそうにない。
「ターン終了時に《ドラウプニルのレプリカ》の効果発動!このターン『燃焼』によって墓地に置かれた自分のカードが9枚以上なら、自分の墓地のカード8枚をデッキに戻す!ターンエンド!」
なるほどね、ここから先は毎ターン『燃焼』9を実質1にできるってわけだ。《トリックスター・ロキ》の
「《脱獄ゾンビ》の効果。場から『埋葬』されたなら、ターン終了時に自身を『蘇生』する」
【
・真常シンイチ
ライフ17/手札4/マナ5
場:《脱獄ゾンビ》
・ロキ
ライフ13/手札8/マナ6
場:《ドラウプニルのレプリカ》
《ミョルニルのレプリカ》
《トリックスター・ロキ》
《グングニルのレプリカ》
備考:後攻のマナ追加の権利未使用
【
「ドロー……」
隠しているのかもしれないけれど、このターンで4枚目の
さっきできなかったこと……攻撃か。ならアニマの戦闘力を上げるか、アクティブ・インアクティブを操作するタイプかもしれない。このカードはマナゾーンに置かずに持っておくか……
「マナを増やす……」
「随分としんどそうじゃねえか。具合でも悪いのか?」
「おかげさまでね……」
修行もしたし、もうだいぶ慣れたかと思ってたんだけどやっぱり神レベルはしんどいね。カードを依代にしてるとはいえ、テュールが普段どれだけ力を抑えてくれてたのか身に染みてわかるよ。言われるまで神だと気づかなかったことも。
一度深呼吸をして、
「《地獄からの召喚》発動。《
せっかく出したけれど、『召喚時』効果は使わない。どうせ《ロキ》への効果は《大嶽丸》に
「ターンエンド」
《グングニルのレプリカ》と《ミョルニルのレプリカ》で毎ターン2体のアニマが破壊される。だから《大嶽丸》の《黒雲トークン》2体を出す効果と《脱獄ゾンビ》でどうにか場にアニマを残して、戦闘力を大幅に上げるタイプのオブジェクトを出されても阻止できる状態にはしておく必要がある。
【
「ドロー!……もうマナを増やす必要もねえな」
「どうせ、レプリカを『起爆』させて場に出すから?」
「察しがいいじゃねえか。《トリックスター・ロキ》の効果発動!」
今度はなに?
「このアニマが攻撃可能な状態なら、『燃焼』3でさらに『変身』する!」
まだ変身を残してたの?勘弁してよ……
「さあ、終わりを始めようぜ?『変身』────」
もっと炎が強くなって、周りが暗く見える。
それが影なのか闇なのか、もはやわからない。
わかるのはただ、なにもかもに対して、漠然と『ああ終わるんだな』と思うほどの赤と黒だ。
そろそろ立っているのもしんどくなってきた。いっそもう終わらせてくれないかな。
「────《終わらせるもの・ロキ》!!!」
始まりの炎は、いま終焉の火として燃え上がった。
「《終わらせるもの・ロキ》の『召喚時』効果発動!自分のマナゾーンのカード6枚を墓地に置く!」
ロキのマナゾーンのカード全て、6枚が燃え尽きて墓地に置かれる。
「それと、さっきの『燃焼』で墓地に置かれた《スキーズブラズニルのレプリカ》の『起爆』が発動!このカードを場に置く!」
折り畳まれていてよくわからなかったなにかが展開されて、巨大な
「《スキーズブラズニルのレプリカ》の効果発動!1ターンに1度、『燃焼』3で相手の場のアニマ全てをインアクティブにする!」
「《大嶽丸》の効果発動……」
いま《大嶽丸》を逃がさずにインアクティブにしたら、相手は《大嶽丸》を無視してそのまま攻撃できる。だからここで使うしかない。
《大嶽丸》をデッキに戻し、《黒雲トークン》を2体召喚する。そしてこのターンの終了時に《大嶽丸》をデッキから召喚できる。黒崎さんの記憶を見たとしたら言わずともわかるだろうから省略する。もうあんまり喋りたくないから。
でもこれは宣言しないと。
「それじゃあ《黒雲トークン》2体と《脱獄ゾンビ》をインアクティブにさせてもらうぜ」
「『緊急詠唱』《天邪鬼の悪戯》……対象は《黒雲トークン》2体と《脱獄ゾンビ》……」
《ロキ》はどうせ擦り付け効果が残ってるだろうから選択しない。場のアニマのアクティブ・インアクティブの状態がカードの効果で変更されたなら『緊急詠唱』できて、選択したアニマのアクティブ・インアクティブを反対にする。
そして選択した数に応じてコストを後払いする。このコストは今回払えないけれど、その代償は『自分のマナゾーンの黒色を持たないカード全ての消失』だから実質ノーコストだ。
それと、《天邪鬼の悪戯》を使ったターン、自分は攻撃できない。まあ相手のターンに使えばこれも関係ない。
「チッ、しょうがねえ……なら《グングニルのレプリカ》の効果を発動!『燃焼』3で自分の場のアニマ1体の戦闘力をマイナス3して相手に3ダメージ!《ロキ》の効果で戦闘力の低下は《脱獄ゾンビ》に代わりに受けさせる!」
【真常シンイチのライフ:17→14】
「《ミョルニルのレプリカ》の効果発動!『燃焼』3で場のアニマ1体をランダムに選択して破壊する!」
これで《脱獄ゾンビ》と《黒雲トークン》1体が破壊された。残るは《黒雲トークン》1体。
「……そろそろ気になってきたが、オマエなんでそんなにしんどそうなんだ?この炎は霊力で出してるから酸欠にはならねえはずだ。熱中症か?」
うるさいなあ、いまできるだけ話したくないんだけど。
「アレルギー」
「…………?」
それだけ返すと、ロキは首を傾げて少し考えたあと、合点がいったとばかりに大笑いした。
「ッハハハハハ!!!!!そういうことか!!!」
俺は目だけで続きを促す。
「この世界の人間の魂じゃないからか?オマエ、
無言で頷く。
より詳しくいうと、転生者である俺の魂は
『元いた世界でありえないもの』を感じ取っているから、霊力だけじゃなくて依代としての適性にも多少の違和感を感じる。以前はマシロちゃんのふたつめの人格も違和感として感じ取っていたと俺は思っていたけれど、もしかしたらあれも状況から勘違いしただけで依代適性かもしれない。
まあとにかく、そういうオカルトじみたものを違和感として
そしてその
昔修行をした時にそこまで大きくない違和感なら耐えられるようになったし、この体質を逆手にとって違和感を感じ取る能力として利用できるようになった。精度に
でもこれはあくまで
「さっき『オマエの孤独こそこの世の誰にも共感できねぇ』と言ったが、本当に傑作だ!精霊がいて当たり前の世界でただ1人霊力アレルギーだなんてそりゃやってらんねえよなぁ!!」
ロキはまだ笑ってた。どんだけうけてるの。
「なら、もう終わらせるか?」
いやいきなり落ち着いた。
急に笑みを引っ込めて、ロキがそう言ってきた。
「オマエ、さぞかしこの世界で生きづらいだろ。なんか必死こいて神を呼んでたやつも全部嫌になったから呼んだみたいだしな。このまま負けてくれるなら、全部燃やして終わらせてやってもいいぜ?この
正直、悪くない提案だと思う。
でも……
「それは、俺が決めるものじゃない」
「ほう?」
カードゲームなんてどうしようもない時は本当にどうしようもない。しょうもないって思うことも少なくはない。
それでも、それでもだ。
「俺は降参も手加減もしない。きみが俺に勝てないなら、世界なんて滅ぼせない。逆に言えば……」
「……なるほどな。オレがマジに世界を滅ぼせるんなら、わざわざオマエに降参させる必要なんてなく倒せるってわけか」
伝わってくれたらしい。
「にゃあ……」
いつの間にかルナが足もとにいた。心配そうな雰囲気と声で俺を見ている。
「…………大丈夫、なんとかするよ」
そう言って撫でてあげると、ルナは不安そうではあったけど納得してくれたのか、
「ならバトルの続きだ。《終わらせるもの・ロキ》は『突撃』を持っていて、その戦闘力は──」
戦闘力は……うわぁ……
「──22だ」
墓地のカードの枚数か……
「
再び、無言で頷く。
「なら戻ってきた《大嶽丸》を阻止できるようにしとかねえとな。それに、もう《大嶽丸》の逃走効果は使えねえ、次のターンでオレの勝ちだ。ターン終了時に《ドラウプニルのレプリカ》の効果で墓地のカード8枚をデッキに戻してターンエンド」
「ターン終了時、デッキから《大嶽丸》を召喚……」
もちろん『召喚時』効果は使わない。
【
・真常シンイチ
ライフ14/手札3/マナ6
場:《大嶽丸》
・ロキ
ライフ13/手札9/マナ0/墓地14
場:《ドラウプニルのレプリカ》
《ミョルニルのレプリカ》
《グングニルのレプリカ》
《終わらせるもの・ロキ》(戦闘力14)
《スキーズブラズニルのレプリカ》
備考:後攻のマナ追加の権利未使用
【
「ドロー、マナを増やす……」
俺がため息をついたのを見て、ロキが語りかける。
「もう諦めろとは言わねえよ。オマエには《蜘蛛の糸》があるだろうし、最後まで足掻いていいんだぜ?」
《ロキ》の攻撃を通すための効果と、デッキ切れ対策も備えた布陣。
これはさすがに……
「……がっかりだよ」
「は?」
こんな詰ませ方はしたくなかったけど、これで終わりだから仕方ない。
やっぱり傲慢な精霊さんは隙がある。ある程度自由に上振れやカードの
そりゃあ『プレイスピリット』がカードゲームになるわけだ。ロキなんて有名な神がこんな体たらくなんだから、この形式で戦えるようにしたほうが人間にとって有利だ。
まあ、これは俺の努力でもあるかもしれないね。
「スペル《白紙の契約書》……お互いに手札を全て墓地に置いて、置いた枚数分のカードを引く……」
「……なっ!?」
俺は2枚墓地に置いて、2枚引く。
ロキは9枚墓地に置いて、9枚引く。
「きみ、デッキ残り、何枚か覚えてる……?」
「…………」
手札9枚、墓地14枚、そして場には5枚のカード。あわせて28枚。つまりデッキは残り12枚。
そしてこれで墓地が23枚になって、デッキは残り3枚。
「《ドラウプニル》の条件は……?」
《ドラウプニルのレプリカ》の発動条件は、ターン終了時に『燃焼』で墓地に置いた自分のカードが9枚以上であること。元手になるデッキ枚数が足りないなら、発動する前にデッキはなくなる。
「『燃焼』を、必要なデッキ枚数が、足りない時に使うと、どうなる……?」
残りのデッキ全てを墓地に置き、効果を適用せずに敗北する。
次のロキのドローで、デッキは2枚。もう『燃焼』3の効果は発動できない。
そして、《終わらせるもの・ロキ》の『召喚時』効果によって、いまのロキのマナは0。
思った通りだったね。『意図的に上振れられるからプレイヤーとして弱くなるんだ。このバトルで俺が勝つとしたら、その時にそれを証明することになるだろうね』って。
「オマエ、オマエっ《白紙の契約書》は使ったことがねえって
え、だって絶対黒崎さんに負けちゃいけない試合とかなかったから、俺が《白紙の契約書》を使わないって勘違いさせといた方がいざという時に役に立つかもしれないじゃん。白紙と言いつつ透明のカードだからどんなデッキでも使えるし。
それに、《白紙の契約書》で『燃焼』対策なんて一度黒崎さんに見せたら二度と通用しないから逆に使わない。少なくとも、本当に勝ちたい時のために俺だけは使わないタイプの人だと誤認させておくことにしたんだ。
「こっちは、いつ
そういえば昔、二本先取の試合をやった時に負け試合なのに最後まで諦めない精神で奇襲用のカードを一試合目に晒した人もいたなあ。
なんで使ったのか聞いたらその試合でできることしか考えてなかったから深く追及せずに流したんだけど、どう考えてもああいうのは次の試合のために隠しておいた方がよかった。
わざわざ相手を倒すターンを1ターン遅らせてまで切り札を隠すようなプレイヤーもいたんだ。情報は隠せるなら隠した方がいい。
「全力で戦いあうライバルじゃなかったのか!?
なんか語弊がある言い方だなあ。
「違和感」
「違和感……?まさか、オマエ……!」
「なるほどな……オマエ、霊力だけじゃなくて、神の依代になりうるヤツもわかるってわけか……」
ロキはうなだれて続けた。察しがいいね。
「とはいえ、それもう人間不信の域だろ……何がオマエをそこまで疑心暗鬼にした……?」
いや、
「《闇の回収業者》……ターンエンド……」
もう具合が悪いままそれなりに時間も過ぎてかなりしんどいから、最低限の言葉で済ませる。
《闇の回収業者》、墓地のカード2枚を手札に戻して手札を1枚墓地に置く。これで《白紙の契約書》で落とした《蜘蛛の糸》と、さっき使った《地獄からの召喚》を回収して、手札から今更引いた《地獄に咲いた蓮》を捨ててターンエンド。
【
「……クソッ!ドロー!マナを増やす!」
これでデッキは残り2枚。マナは1。
今更状況を覆すようなインチキカードは作れないし、既存のカードにもこれを解決できるようなものはない。
「《終わらせるもの・ロキ》でプレイヤーを攻撃!!」
「《大嶽丸》で阻止」
もうやけくそだね。案の定、1コスト……後攻の権利込みなら2コストか、それでデッキを増やすような横暴は今更できなかったらしい。『燃焼』のせいでデッキ枚数を増やすようなカードは調整されてるし、カードの捏造に関してはもうじゅうぶん好き放題やったもんね。
「《大嶽丸》効果で『蘇生』」
場から墓地に置かれたなら、一度だけ自身を『蘇生』できる。とまで喋る元気はないかな……
「…………ターンエンドだ」
まあ、
【
「ドロー、《大嶽丸》でプレイヤーを攻撃」
「ぐっ……」
【ロキのライフ:13→4】
「《地獄からの召喚》」
これを回収したのは念の為だった。あんまり時間を与えても万が一があるかもしれないから、とどめを刺せるように。
2ターン目に《悪魔商人》で墓地に置くこともできたんだけど、こうして《白紙の契約書》で墓地に置けたし、基本に忠実に《大嶽丸》を先に落としといてよかった。
「《十王の五・閻魔王》」
出てきた《閻魔王》が俺を見るなり心配そうな顔をした。相変わらず感情豊かだなこの人。
「『召喚時』効果発動」
相手の場のアニマ1体を『埋葬』し、相手プレイヤーがこのターンか前のターンにアニマを墓地に置いているなら5ダメージを与える。
「《ロキ》の効果で『埋葬』する対象は《閻魔王》にさせてもらうが……」
「5ダメージは、受けてもらうよ……」
『埋葬』の対象をすり替えたところで、この
【ロキのライフ:4→0】
ロキが負けたことで、プレスピのルールによって霊力の大部分を剥奪されたらしい。少しずつ具合の悪さが薄れてきた。
そして、それによってロキは黒崎さんの身体から追い出されたらしい。黒崎さんが倒れたからデッキを拝借して、《火の神・ロキ》のカードを手に取る。
「ったく、してやられたよ……それじゃあオレはこれで帰……なんだ?」
「まあまあ気にしないで」
案の定、ロキは避難先として自分のカードに入ったらしい。ずっと居座られるのも落ち着かないし、帰ってもらうべくカード越しに会話する。
「ちょっと破るだけだから」
「は?いやいや、少し休んだら帰るって」
口ではそう言ってるけれど、プレイヤーと手を組んでもいない精霊なんて放っておいたらなにするかわからない。悪いけど乱暴させてもらうよ。
「ちょっとまだ具合が悪くてね、なに言ってるかわかんないや」
「なんでだよ、おい、ちょ待てよ、このっ……!」
あっっっつ。こいつ炎出しやがったな。けど霊力がほとんど剥奪されたのもあってカードはなんとか破れる硬さだ。このまま両手を焼かれながらでもいい、破ってしまおう。
「なんで止まらねえの!?てかなんか燃やしにくいなオマエ!?」
それテュールも似たようなこと言ってたけど、多分原因はアレルギーと同じだよ。
違和感という言葉でこれまで片付けてきたけど、要は
とはいえそろそろ手が焼け焦げて使いものにならなくなるなあと思ってたら、ようやくカードに切れ込みが入って《火の神・ロキ》のカードを真っ二つにできた。
そのままビリビリに破いて捨てる。ロキはもう喋らなかった。帰ったのか、最後の抵抗に霊力を使いすぎて消滅しちゃったのか。まあどっちでもいいや。火も消えたし。
黒崎さんはまだ気を失ったままだけど、こんな焦げた手で運ぶ余力もないし、ルナに任せるわけにもいかない。とりあえず《猫又・ルナ》のカードを黒崎さんのデッキケースに戻しておく。
さて、マイカさんに連絡して、後のことは任せて帰ろ。疲れたから早く寝たい。