プレイスピリット〜精霊がいるカードゲーム世界で普通のバトルがしたかった男〜 作:匿名S
「落ち着いた?」
「はい……迷惑かけてごめんなさい」
あれから
……いやそんなことある?いくらなんでも
「あの場面に他者の介入は不要と判断、本機が霊力を用いていわゆる人払いを行いました」
「へー、すごいな。そんなことできるんだ」
……ん?
「じゃあそれで俺がマシロちゃんにプレスピ教える時も邪魔が入らないようにできるのでは?」
「本機の霊力の消費と時間経過による回復を計算したところ、一週間あたり四時間が限度と予測されます」
それだけあればなんとかなるか……というかそんなことできるなら最初から言ってよポンコツ機械天使め。
いや、これあれか?やってみたらできたやつか?霊力なんて試合中にカードの効果書き換えたり、必要なタイミングでデッキの一番上に来たりと割となんでもありな力だ。案外思いついてなかっただけなのかもしれない。
「そういうわけでマシロちゃん、一週間に四時間までなら教えられるよ」
「……本当に、いいんですか?」
「まあ、毒を食らわばなんとやらだよね」
さりげなく失礼な言い回しをしたことは多分気づかれてない。はず。
「お願いします。私に、プレスピを教えてください!」
マシロちゃんが覚悟を決めた顔つきで宣言した。話は決まりだ。
「わかった。とりあえず連絡先教えるから、後で予定決めよう」
「今じゃダメなんですか?人払いはテュールがしてくれていますが……」
「いやぁ…まだ仕事中でやることあるから……そろそろ時間がない」
「あっ……」
それに、コンビニでずっと人払いされたらたまったもんじゃない。商売にならないって。
ただでさえ小さな女の子とずっと喋ってなんか買ってあげてるところが監視カメラに見られてるのに……まあこれは後で確認されなきゃ大丈夫だけど。
その
「あ、黒ローブ仮面さん」
「黒ローブ仮面さん!?」
そんなに驚かなくても……覚えてろ〜って言われたから覚えててあげたのに。
「負けたのにまた来たの?雇い主に俺を殺すまで帰ってくるなって言われてる?」
「えっ…ああうん……まあそんなところだ」
「殺し屋って大変だねえ」
「そ、そうだ。今日こそ貴様の命貰い受けるぞ!
はいはいバトルバトル。
黒ローブ仮面さんはしっかり《地獄の門番》の対策カードを増やしてきたようだ。前回は泣いちゃったもんね。
「《炎の贈り物》で《地獄の門番》の戦闘力をマイナス3!戦闘力が0になったから破壊だ!」
「『緊急詠唱』《悪夢の続き》の効果で《地獄の門番》を召喚」
「ふんっ!そいつの能力はわかっている!スペル《威圧》を発動!アクティブのアニマを1体選択してインアクティブにする!」
「おー」
どうやら惰性で挑んでるわけじゃないらしい。
《地獄の門番》は自分から攻撃できない代わりに何度でもブロック……阻止ができると言ったが、実際にはこういう効果だ。
『このアニマは攻撃できない。このアニマがアニマとの戦闘に勝利したなら、自身をアクティブにする。』
アクティブとインアクティブはアンタップ状態とタップ状態のことだ。アクティブなら
そしてインアクティブのカードは基本的に自分のターン開始時に全てアクティブに戻る。これ自体は結構わかりやすいルールなんだが、単語を置き換えるまではやっぱり情報が上手く処理できないものだった。
特に『アクティブ=アンタップ』『インアクティブ=タップ』なのが混乱する。
まあ馴染むまでの辛抱としか言えなかったね。
で、要するに《地獄の門番》が無限阻止をするにはアクティブで置いておく必要があるわけだ。だから《威圧》で戦闘をさせずにインアクティブにしてしまえばそもそも阻止されないということだね。
まあ、運が悪かったね。
「『緊急詠唱』《
「なにぃ!?」
「このスペルはカードの効果によってアニマのアクティブ・インアクティブが変更された時『緊急詠唱』できる。場のアニマを1体以上選択して、アクティブ・インアクティブの状態を逆にする。その後、選択したアニマの数だけコストを払う」
「ウゥ…グスッ……」
「泣いちゃった」
まあ《地獄の門番》がアクティブに戻された上に黒ローブ仮面さんのアニマがインアクティブになって壁にもできなくなったんだから泣いちゃうか……
「くっ、また負けた……」
「もう挑まないでもらえる?一々帰り遅くなって迷惑なんだけど」
「それは申し訳ない。だがこのタイミングでもないと挑戦できないのだ……」
「いやそもそも挑むなと……もういいか」
明日から帰り道変えよ。
とか思ってたら黒ローブ仮面さんが話しかけてきた。
「そうだ、ひとつ忠告だ」
「なに?」
「最近夜道で怪しいやつを見かけることが増えた。仕事の都合で夜道を歩くことになるのは仕方ないが、十分気をつけて帰るんだな」
「……」
「……なんだ?」
「いや……怪しいやつそのものに言われてもなぁって……」
「…………」
「…………」
……帰ろ。