ユウカがメイド服を着るってだけです。いやーユウカは何でも着てくれるから大好き。

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第1話

その一言は、ミレニアム生徒が数人集まる空間に衝撃をもたらした。

「えっと、先生。今何と言いましたか?」

『ユウカ、メイド服を着て欲しい、といったんだ』

 ゲーム開発部のモモイとアリス、セミナーのノア、ユウカ、コユキがシャーレに来ていた。ゲーム開発部の新作がギャルゲーであり、マスターアップまで猶予がない中、テストプレイヤーとしていつもギャルゲーをしまくっていることがつい先日ばれてしまった私に白羽の矢が立った。……仮眠室に隠したえっちな方のゲームはまだ見つかっていないのでセーフ。

 今は、作中の文化祭イベントにおいて。文化祭にて定番中の定番、メイドカフェでメイド服を着させられるヒロインとそれを偶然目にする主人公。そこからライバルキャラとのいざこざがあったりと、王道をなぞりつつもモモイのシナリオ構成力によって独創的に仕上がっているシナリオ。そのシーンについての会話中、私は口を開き、タイトルの通り発言した。ありていに言えば、脈絡はさしてないということである。

「いや、どうしてそうなるんですか。というか着る必要性を感じられないんですが?」

 ユウカがこちらに詰め寄ろうとする。その声を一段明るい声がさえぎる。

「いいじゃんユウカ!着れば!」

「いやいやモモイ!?そんな罰ゲームみたいなことするわけがないでしょう!それにどうやって調達するのよ……」

「……(スッ)」

 無言でメイド服を取り出すモモイ。胸元は鎖骨部周辺が丸見えになっており、フリフリのついたミニスカメイド姿だ。ユウカにとっては間違いなく罰ゲーム。

「ちょっ……!なんで持っているのよ!」

『お、奇遇だなモモイ。私の持っているクラシカルのメイド服も候補に入れていいかい?』

「先生!?」

 私もメイド服をどこからともなく取り出す。こちらはスカートも長く、露出も少ない。落ち着いた印象を十二分に与える作りだ。

「先生はまた浪費して!しかもご自身で使わない物になんて!一体いつになったら......」

「あら、残念です。私もその流れに乗りたかったのですが……」

 後方でノアがおもむろに、どこからともなくまた別のメイド服を取り出す……いや待て。この形、メイド服じゃない?

「ノア……それって……」

「メイド服、バニーバージョンです」

 ノアが明るく言い放つ。モモイはモモイで攻めたメイド服を購入したはずなのに、そのはるか上の羞恥レベルを持つバニー服を取り出され、唖然。

「アリス、知っています!これはユウカのサービスシーンで遊ぶシチュエーションです!」

「アリスちゃん!それ違う!」

 

「れでぃーす・あーんど・じぇんとるめーん!!」

 コユキが似合わないスーツを着、マイク片手に奥の仮眠室を背にかこつける。

「本日はユウカ先輩のバニー……じゃなかった。メイド服のファッションショー、開幕です!」

 コユキが心做しか嬉しそうだ。バニー仲間ができたからか?コユキ、来年はユウカも巻き込んでおくれよ。

「エントリーナンバー1番!」

 仮眠室の扉がコユキによって開かれ、ドアの前でおろおろしていたユウカがスポットライトに照らされる。

「清楚なロングスカートとタイトな上半身のスタイルの作るAラインが、王道のメイド感を出します!この姿のユウカ先輩が淹れる紅茶は絶対においしい!先生持参のクラシカルタイプ!」

 小さなカーペットを3枚つなげた即席のランウェイの上を、ユウカがしぶしぶ歩く。未だこの展開に納得していないのだろうか。

「ユウカちゃーん!かわいいですよー!」

 ノアが最前列で正座しながら手の込んだうちわを振り回している。いつ作ったんだろうか。「ユウカちゃん可愛い」だの、「こっち向いて」だの、私も欲しいそのうちわ。

 露出が少ないからか、多少モジモジするだけのユウカ。しかし、控え室(仮眠室)に帰る時、躊躇が見られた。それもそのはず。次のメイド服は......。

「さあ、次の服はぁ?同人誌の登場率ナンバーワン!オタク君に絡むギャルに着せたりお見舞いに来たきょぬーの美少女に着せるもよし、なんでもござれのオタクの夢、ミニスカメイドー!」

 仮眠室の扉が開かれ、中から出てくるは、ミニスカメイドのユウカだった。鎖骨の辺りや腕、ユウカの持つ豊満な太ももが露出されており、先程とは打って変わっていやらしい雰囲気や可愛さを強調するよ装いだ。

「ほ、本当に、二つともなんでサイズがぴったりなの……」

ユウカが呟く。モモイは黙る。私も黙る。

「アリス知ってます!これ、とってもエッチなやつです!」

「アリスちゃん!?!?」

「よく知っているなアリス!!その通りだ!」

「これは捗るぞぉ!」

「先生!?モモイまで!」

「モモイ、本当にありがとう」

「そんな、先生、頭下げなくていいよ!これからもっと過酷なのあるんだし」

「それもそうだ」

 ユウカがたじろぐ。

「どうしました?ユウカちゃん」

「いや、その、もう、いいんじゃないかなぁって思うんだけど......」

「何がですか?」

「もう、帰っても、いいんじゃないかなあって、思うんだけど!」

「ダメです。メインディッシュを成さずしてこの宴は終わりませんので!」

「そんな!あ、ちょっと、ノア、引っ張らないでえ!」

 ズルズルとノアに引きずられ、仮眠室に吸い込まれていくユウカ。そしてすごい物音がする。

「そ、それでは気を取り直して、ラストを飾るのはァ!」

 後ろの戸が開かれる。そこから出てきたのは、バニーメイド姿のユウカ。

「うおおおおおおおおおおお!!!!」

 私は雄叫びをあげる。

「ありがとうノアァァァ!!」

「どういたしましてです!」

「なんなのよー!!」

 胸元の谷間まで目視でき太ももの全容をも一斉に楽しめる、究極の叡智の服。サイズもぴったりだ。これ以上語る必要もあるまい。なんだかコユキがユウカを面白そうに見ている。来年はユウカも巻き添えか(2回目)。

 ノアがうちわを振りながら、四方八方から写真を撮っている。よく見ればビッ○カメラでいい値段していたカメラだ。ノア、私よりも浪費しているのでは......?いやユウカで遊ぶためなら浪費とは言えない......のか?

「もういいでしょう!早く帰らせてよ!!」

 ユウカが叫ぶ。ノアが少し寂しそうな顔をする。

「......やはり、ユウカちゃんは、このようなことは迷惑でしたよね......。せっかく用意したのですが.....」

「え、いやちがっ、そういうわけじゃ......」

「わかりました。全て処分します。当の本人が迷惑じゃ、何も意味がありません。」

「ちょっ、ノア......」

「喜んでくれると、思ったのですが......」

「いや、違うから!迷惑じゃないから!嬉しいから!」

「本当ですか......?」

「本当本当!!もう、この格好のまま街中歩いちゃうから!」

「良かったです!」

 ケロッと、先程までの物憂げな表情が嘘のように、いや実際に嘘だったのだろう。いつもよりも笑顔になる。

「ではこの格好のままで一緒に帰りましょう!」

「違う!ノア!!」

 ユウカがノアに捕獲され、恋人のごとく腕を組んで一緒に歩き、もとい引きずられながらシャーレを去った。

 

「先生、やっぱりノアってさ」

「いちばん恐ろしいよな」

「アリス知ってます!この次はユウカとノアのピロートークというやつですね!」

「それ本当に違うやつだしやらないから!!!」

「アリスやめなって!どこでそんな知識ゲットしちゃったの!」

「先生の棚にしまってあったゲームです!名前は確か、サノバ......」

「ストップだアリス!」

「あの先生がエロ先生!?」

「違うんだコユキぃ!」

 どこからか盗撮された音声がキヴォトス中を駆け回り、ユウカがメイド服を着たことより、先生がエッチなゲームをやっていたという噂の方が拡散された。本当になんで。




 評価など、してくれますと主が踊り狂います。

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