CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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中学生時代の思い出 CRYCHICな夏のバカンス
1番 みなさんでバカンスを楽しみましょう?


 

 

 

 

 中学3年生の春にCRYCHICを結成し、初ライブで大成功を納めてから1学期が終わるまで時は過ぎ、8月。

 夏休み中だった5人は、合宿をしようという祥子の提案で、祥子の別荘がある島へ船(豊川家保有のもの)で向かった。

 島に到着し、荷物を持って少し歩くと木製の家に辿り着いた。

 

祥子「ここが今日から2泊する別荘になりますわ」

 

そよ「へ~、木造の2階建てだ~! 立派な別荘だねーさきちゃん。もしかして他にも持ってたりして~?」

 

祥子「えぇ。今回のは他と比べて小さい方で申し訳ないのですけど……」

 

そよ「じょ、冗談のつもりだったのに、ホントにいくつも持ってるんだ……」

 

立希「ていうか、このくらいの大きさで十分だから」

 

睦「……祥。燈が……」

 

祥子「睦、燈がどうしまして……って燈!? 顔真っ青ですわよ!?」

 

燈「……きもちわるぅい……」

 

立希「祥子すぐトイレまで案内して! 燈大丈夫!? トイレまでもう少しだけ我慢して!」

 

そよ「ともりちゃん、船酔いしちゃったんだね~」

 

 

 

 燈のリバースが落ち着いた後、5人は別荘のリビングに集合していた。

 

燈「み、みんな。ごめん……」

 

立希「気にしなくて大丈夫だから、燈」

 

そよ「うんうん。船は酔いやすいよねー」

 

祥子「そうなんですの? 飛行機やヘリと比べたら大した揺れでは……」

 

睦「……祥。立希が睨んでる」

 

そよ「さーて! 荷物も置いて一息ついたし、これからどうする~?」

 

立希「バンドの練習しに来たんでしょ。祥子、スタジオはあるんだよね?」

 

祥子「え、えぇ。この日までに使えるよう準備させておきましたが……」

 

立希「なに?」

 

祥子「せ、せっかくみんなで来たんですし……ほ、ほら! 海もすぐ近くにあるんですのよ!? だから……」

 

そよ「そーだよたきちゃん。着いて早々練習なんて、そこまで気を張らなくてもいいんじゃない? ほら、ともりちゃんも回復したばっかりだし~」

 

立希「それは……」

 

そよ「ともりちゃんはどう? 今すぐ練習したい?」

 

燈「わ、私も……できたら、みんなと、遊びたい……」

 

立希「まぁ、燈がそういうなら」

 

祥子「本当ですの!? 実はCRYCHICのみんなとこの島で遊びたかったんですの! 睦も、賛成ですわよね!?」

 

睦「……(コクン)」

 

祥子「決まりですわね! さぁ水着に着替えて海に行きますわよ~!」

 

立希「いや私持ってきてないし」

 

祥子「心配ご無用!」

 

 

 祥子は機敏な動きで隣の部屋にダッシュで消える。

 

 ズララララー! 

 

 戻ってきた祥子は、大量の水着がかかったラックを引っ張ってきた。

 

祥子「この通り! たっくさん水着も準備させておきましたのよ! この日のために!」

 

そよ「うわ~! 水着のお店くらいいっぱいあるねー! まぁ私は自分の持ってきたからだいじょーぶでーす♪」

 

立希「ってあんたも遊ぶつもり満々なのか」

 

祥子「さぁ立希! そこから水着を選んでくださる? 燈と睦は持ってきてますの?」

 

睦「……(フルフル)」

 

燈「わ、私も。というか何選んでいいか分からないし……さ、祥ちゃん、選ぶの手伝って……」

 

祥子「えぇ、えぇ! 友達の水着を選ぶなんて楽しそうですわ! 燈は……これでしょうか? いやこっちとか!?」

 

立希「はぁ!? 燈に合うのは絶対こっち! 燈、着てみて!(ズイッ)」

 

祥子「いえ! こっちだって似合うのではなくて!? こっちも着て頂戴、燈!(ズイッ)」

 

燈「え、ちょ、2人とも、待って……」

 

 

 二人に着せ替え人形にされてる燈

 

 

 

睦「……(ポツーン)」

 

そよ「むつみちゃん。もし選ぶの迷ってたら、この水着どうかな?」

 

睦「……」

 

そよ「きっとむつみちゃんに似合うと思うから、よかったら着てみて?」

 

睦「……(水着を受け取って試着する)」

 

そよ「うん! 思った通り可愛い! 白のワンピース系が似合うと思ってたんだ~。睦ちゃんはどう? 嫌じゃない?」

 

睦「……よく分からない」

 

祥子「あら睦、可愛い水着選びましたのね! 似合ってますわよ? あ、麦わら帽子をつけたらもっといいですわね。確かあったはずなので後で持ってきますわ」

 

そよ「確かに似合いそう!」

 

燈「(ブンブンと首を縦に振る)」

 

立希「まぁ、お嬢様らしくて悪くないんじゃない? 燈も、ちゃんと似合ってるよ」

 

燈「えへへ……。立希ちゃん、選んでくれてありがとう……」

 

祥子「では立希の水着こそ私が選んでさしあげますわ! 立希は……」

 

立希「いや自分で選ぶから」

 

祥子「相変わらず燈以外にはつれない立希ですわ!(プンスコ)」

 

 

睦「……そよ」

 

そよ「うん?」

 

睦「……ありがとう」

 

そよ「ふふっ、どういたしまして♪」

 

 

 全員着替え終わり、別荘を出て海岸に移動した。

 

 

祥子「さぁ、念願だった友達との海ですわ! どれからやります? 水遊び、ビーチバレー、それともスイカ割り!? 迷いますわ~! みんなは何かリクエストは……」

 

そよ「さきちゃん。そのみんなだけど……」

 

立希(自分の分のパラソルとビーチチェアを準備中)

燈(貝殻拾いに夢中)

睦(ポツーン)

 

祥子「(プルプル)……ですわ」

 

そよ「さ、さきちゃん?」

 

祥子「CRYCHIC、集合ですわぁあああああ!」

 

 とりあえず、一番集合する気の無さそうな立希の元に集められた一同。

 

立希「大騒ぎして何? てかあんたって遊ぶときになるといつもとテンション違い過ぎだから」

 

祥子「大騒ぎしますしテンションも上がりますわ! みんなと、初めてバカンスに来たのですよ!? せっかくいい思い出を作ろうと何日も前から張り切ってましたのに……」

 

立希「バカンスって。だかられんしゅ——」

 

そよ「たきちゃん。遊んでるときにそれ言うのは水差し過ぎだよ?」

 

祥子「なのに燈も立希も睦も……。みんなで盛り上がろうという気概はありませんの!?」

 

立希「ない。ダルい。面倒くさい」

 

祥子「たきぃいいい!」

 

 

 

 祥子は用意していた両手持ち水鉄砲を立希の顔面にぶっ放す。

 

 

立希「ぶぱぁっ!? あんたいきなり何ゴポォ!?」

 

 

 続いてそよも立希の顔面に水鉄砲を追い打ちする。

 水鉄砲をクルクル回して悪い笑顔のそよさんだった。

 

 

そよ「フフッ♪ さきちゃん、まずは水遊びみたいだね。 はいともりちゃん、水鉄砲だよ~♪」

 

燈「え? これ、どうすれば……」

 

そよ「ともりちゃんはたきちゃんと同じチームね。私とさきちゃんで、遠慮なく撃ちにいくから~♪」

 

立希「………………(ゴゴゴ……)」

 

祥子「ナイスですわそよ! 睦はこっちチームですわよ? ——まぁ? 立希は気が乗らないのでしたらチェアで寛いでくださいまし? 3人で燈を集中砲火するだけですわぁ! オーッホッホッホ♪」

 

立希「……上等。燈は私が、守るっ!! オラオラオラァ!」

 

祥子「二丁同時に!? やる気になりましたわね!」

 

そよ「むつみちゃんも、はい水鉄砲。好きに撃っていいからねー」

 

睦「(好きに……)コクン」

 

そよ「うんうん、みんなで遊ぶのに遠慮——バァッ!?」

 

立希「相変わらず人のことばっかりで隙だらけ。さっきのお返し! ざまぁ!」

 

そよ「……ふぅ。遠慮は要らないから。こんな風に、ね!」

 

 

 立希の背中に回り込み、祥子と挟み撃ちの陣形で撃ちまくるそよ。

 

 

立希「ちょ!? 容赦なさすぎ! ホントあんた達って普段おしとやかなお嬢様やってるくせに!」

 

そよ「別に私はお金持ちのお嬢様育ちじゃ、ないけど、ねー!」

 

祥子「普段こんな風にはしゃげませんから! 今思いっきりやってるだけですわぁー!」

 

 ババババババババババババ!

 二対一で絶え間なく撃ちあう三人。

 基本大人しい組の燈と睦は混ざれるわけもなく、浜辺で派手に水を掛け合う様子をパラソルの影からボーっと眺めることしかできなかった。

 

燈(えっと、私、どうしよう……誰か、撃つ? でも……)

 

睦(…………)

 

 黙ったまま目が合う内気2人組。

 

睦「…………(スタスタ)」

 

燈(睦ちゃん、急に歩いて行ったと思ったら、浜辺でしゃがんだ? 睦ちゃん、何してるんだろう……)

 

 睦に近づく燈。

 隣にしゃがむと、睦の目線の先にヒトデがあった。

 

燈(ちょっと……可愛い)ヒトデつんつん

 

睦(……好きに撃つ……)ヒトデに水鉄砲チョロチョロ

 

燈「わっ! ……ふふっ」同じように水鉄砲チョロチョロ

 

睦(…………)ヒトデつんつん

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 戦場を海に移して疲れるまで撃ちあった立希、そよ、祥子。

 撃ち合いもやめて、海の浅いとこに座り込む。

 

 

立希「ハァ、ハァ、づ、づかれた……」

 

そよ「水鉄砲でここまで遊ぶなんて、初めて~」

 

祥子「私もですわ……。フフッ、すっごく楽しいんですのね……」

 

立希「ホントよく分かんない、お嬢様って……。って燈は?」

 

祥子「そういえば睦のこともすっかり忘れてましたわ。2人は……」

 

そよ「あ、いたよ? ほら、あそこ」

 

立希、祥子「……あ~」

 

 

 浜辺で燈と睦が隣り合って、ヒトデに水鉄砲をチョロチョロ撃ったりつついたりして遊んでいる。

 

 

祥子「なんだか内向的な2人らしいですわね……」

 

そよ「確かに~。あーゆーとこは気が合いそうだよね」

 

立希「てか私はコイツらに撃たれまくっただけじゃん……」

 

祥子「いいじゃありませんか。燈だけじゃなくて、たまには私達にも構ってくれても。 同じバンドの、仲間なんですから」

 

そよ「私も、たきちゃんと仲良くなりたかったから。楽しかったよ?」

 

立希「……チェアで休む」

 

祥子「あ……もう、最後までつれないままなんですから」

 

そよ「まぁまぁさきちゃん。バカンスは始まったばっかりでしょ?」

 

立希「……——ィカ割り」

 

祥子、そよ「え?」

 

立希「だから、スイカ割り。やるとき呼んで。……あの2人もそれなら、まだ一緒に楽しめやすいでしょ」

 

 立希、チェアに向かう

 

そよ「……一歩は前進、かな」

 

祥子「そよ、いつもありがとう」

 

そよ「さきちゃん、急にどうしたの?」

 

祥子「あなたがバンド全体を見守って、気を遣ってくれて、助かってますわ。このバンドがまとまってるのも、今こうして遊べてるのも、貴女のフォローがあってこそですもの」

 

そよ「私は……CRYCHICが好きだから。みんなと仲良くしていたいだけだよ?」

 

祥子「私もですわ。いいえ、きっとみんなそうですわよね。この先も……みんなといたいですわ」

 

そよ「じゃあ、また来年もここに来よう? 練習も、バカンスも。来年もしよう?」

 

祥子「……えぇ! 夏だけじゃありませんわ! 色んなところに、みんなで行きましょう、そよ!」

 

そよ「うん! 楽しみにしてる♪」

 

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