グループ一のお喋りさんとしてハードル上げられるわ、始まってもないのに巻きを要求されるわで、実に落ち着きのない彼女らしい立ち上がりだった。
〇名前の由来は?
——うるう年の2月29日に生まれたから。ちなみに4年に1回しか来ないの嫌だから、28日ってことにしてるらしい。
燈「うるう年生まれ……珍しい」
睦「……28日ってことにしてる、とは?」
閏「ん? 友達とかにそー言って、祝ってもらってんだー」
祥子「あぁ、そういうことでしたの」
そよ「てっきり書類も弄ってるかと思っちゃった」
閏「そんなわけないじゃん。アイリさんじゃないんだからさー」
立希「まぁそうだわな……え?」
愛莉「私個人情報改竄しないよー?」
嬉歌「しようと思ったら、できます?」
愛莉「うーん、流石に考えたこともなかったなー」
くま「普通、そうですよね」
結「部長は必要だったらやりそうなんですよ」
愛莉「そもそも、そこまで追い込まれる前に何とかするかなー」
言ってることは至極まともなはずなのに。この人が言うと手段を選ばない感が強くて不穏だった。
〇マイブームは?
——スモア……焼いたマシュマロにチョコかけるやつ。あとグリークヨーグルト……普通のヨーグルトから水分抜いたやつ。濃紺でもっちりしていて、ついでにヘルシーで美容にいい——
そよ「へぇー、私もやってみようかなー」
祥子「そよはそういうの好きそうですわよね。私も珍しそうで気になりますが!」
睦「……珍しいというか、名前からして聞いたことない」
立希「もう色々小洒落過ぎててうんざりする」
結「しゃらくさい」
閏「おむすびはそれ言うの2回目だし!」
〇アカペラ部で一番気が合うのは?
——アイリ先輩。話題的に。流行の話するのこの2人だけだから——
閏「流行追うのはJKの義務っしょ!」
祥子「そ、そうでしたの?」
立希「義務か?」
結「そんな義務知らない」
燈「ぎ、義務……」
嬉歌「あの、私も義務怠ってるから、気にしなくていいよ」
くま「私も……」
睦「……私は追えてる」
立希「お前のは世間の流行じゃなくて、ネットの流行でしょ。テレビ嫌いが世間様の流行語んな」
そよ「近衛先輩は最低限抑えてそうですけど」
玲音「私はあんまり興味ないかな。愛莉が追ってるものなら追うけど」
睦「……世間<越えられない壁<古城先輩」
結「それがレイレイ先輩だし」
〇ついやってしまう癖は?
——ボイパ。テレビに流れる曲に合わせちゃったり——
立希「あれか。ドラマーがついリズム刻んだりするようなもん」
そよ「私は流れて来る曲の歌詞やメロディよりベースラインをつい追っちゃうなー」
祥子「私は聞こえてくる音を頭の中で譜に起こしてしまいますわね」
睦「……私は気づいたらギター磨いてる」
燈「私は……いい詞思いついたら、書いてる……」
玲音「流石に楽器バンドは癖にも個性でるね」
〇最近辛かったことは?
——動画配信が伸びないのが悩みの種。練習風景とか、路上ライブとかの方がまだ伸びるらしい——
祥子「動画配信……そういえばそよは動画上げようとは言いませんわよね?」
そよ「メンバー的に、一応ね」
アカペラ部「?」
睦「……そよは動画、あげたい?」
そよ「ううん。動画見るのはいいけど、自分も似たようなことして目立ちたいとか思わないから」
睦「……ならよかった」
立希「色んな意味で同意」
燈「動画になるの、恥ずかしい……」
そよ「って、誰も乗り気じゃないだろうなって分かってたから♪」
祥子「でも、いつかMV撮ってみてもよろしくありません?」
立希「あー……まぁそれは、機会があったらね」
そよ「たぶん色々大変そうだしね」
睦「……MVなら、いい」
燈「初ライブのときみたいな感じかな……頑張るねっ」
閏「うーん、微笑ましいのぅ」
結「少なくともアンタみたいに承認欲塗れで汚れてない」
閏「汚れてないやい! 誠実にバズりたい思ってるわい!」
嬉歌「バズりたいって、誠実なのかな」
くま「少なくとも、宮崎さんらしい」
〇どんな動画を見る?
——ファッションに美容に、動物、企画物もボイパもパルクールも角栓取り除くやつとか埋没した毛抜くやつとか。なんかきったない絨毯綺麗にするやつとか、海外のケンカ動画とか——
祥子「そんなに色んなジャンルがあるんですのね……」
睦「……これは有能。面白そうだし、今度見てみよう」
立希「また睦がアングラなネットにのめり込みそうなネタを……」
そよ「私はその中なら美容系かなー」
燈「動画、見ない……」
祥子「私も、音楽で何か探し物するときくらいですわ」
立希「私は……」
4人「パンダ」
立希「そ、そうだけど……。他におすすめ欄にあがるのだって見るし。パンダだけじゃないから!」
結「パンダってもう日本に来れなくなるんじゃなかったっけ?」
立希「チッッッ! 中国め、パンダは政治の道具じゃねぇっての!!!」
玲音「本気でキレてるね」
愛莉「まぁアレは、その内なぁなぁになりそうな感じするけど」
〇モーニングルーティーンは?
——朝はパン派だから、近所でパン買っていくこと。栄養の偏りを気にして、サプリも取ってる——
睦「……はい、CRYCHIC組。朝はパンか、お米か」
立希「なんでお決まりの流れにしようとしてんの。私は……朝はパン。胃に放り込みやすいから」
睦「……同じく」
そよ「私もパンかな。そっちの方がお手軽だし」
祥子「私はお米! 朝からエネルギー補充しないと、元気に頑張れませんわ!」
燈「私も、お米。ふりかけとか、海苔がおいしい」
玲音「仲良しだね」
まぁなんでもないことからしょっちゅうくだらない雑談に繋げる程度には、仲良いです。
そよ「でも私としては今のより、サプリの話の方が気になるかなー。どんなの飲んでるの?」
閏「あ、そんなにカッチリ考えてるわけじゃないから! テキトーに足りなさそうなやつ気分で飲んでるって感じ」
そよ「……そうなんだー」
睦「……そよの心のドアが静かに閉まった」
立希「私にも聞こえた」
祥子「そっと閉じた音でしたわ」
そよ「そんなことないんだけどなー♪」
燈「今のそよちゃん、ちょっと懐かしい……」
そよ「そういうこと言われても微妙だなー」
閏「まぁそよっちの心の距離は置いといて。私よりくまちゃんの方が考えてるよねーって話」
そよ「毎食栄養考えるのは凄いよねー」
祥子「健康博士ですわね!」
くま「そ、そこまで専門的じゃ、ないから」
〇アカペラで好きなところは?
——マイナーなところ。やってる人いないのもあるからやるだけで珍しがられるし、ボイパは目立つし——
睦「……実に宮崎さんらしい」
立希「これ1つでキャラ言い表してる」
閏「だしょー? ……ちなみに、嫌味じゃないよね?」
どうも私たちから好意的な反応されることに警戒心を覚えてしまうらしい。まぁ快い反応返したこと、確かにあまりなかったもんね。でも今回は心から思ったこと。
そよ「うん、素直にそう思ったよ。これに関しては」
祥子「毒混ざってますわよ、そよ」
閏「んー、まぁいいや。担当ペアには慣れなかったけど、改めてよろしくなー! なんだったらそっちのバンドでボイパやってもいいし!」
燈「ボイパって、ドラムだよね?」
立希「そう。つまり要らない」
閏「拒否られた……」
結「そりゃそうでしょ」
立希「……でも、アレ。機会あったら、やっぱボイパ教えて」
閏「な~んだよタッキー、やっぱやりたかったんじゃ~ん!」
立希「ちょっ、肩組んでこないでって!」
閏「そいつに教わるくらいなら、まだ部長の方がいいと思うけど」
睦「……自分以外にダル絡みされて、取られたと思ってる?」
結「ハ? そんなわけないでしょ」
睦「……私は思ってる。立希にダル絡みしていいのは私かCRYCHICだけ」
結「アンタが嫉妬してんのかい」
閏「ん、むっつんがそこまで言うなら代わってあげよう」
睦「……うむ。では遠慮な……ぐむっ」
宮崎さんと入れ替わるように近寄っていくむつみちゃん。たきちゃんはその顔をムギュッと押しのける。
立希「そんなどうでもいいことより、次のインタビュー見せてくださいよ。近衛先輩の番ですよね?」
玲音「はいはい、今再生するから。ブスっとした睦も構ってあげて」
立希「こいつは構うと調子に乗るのでダメです」
漫画みたいに腕を振り回して空振りさせるむつみちゃんを、涼しい顔で抑えつけるたきちゃん。
そんな雑に扱うくせに、彼女が一番むつみちゃんの誕生日について考えてるのだから。これ以上ないツンデレさんだった。