CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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番外編EX その後のCRYCHICと、その後のあの人

 

 

 アカペラ部を招待した、アカペラを融合させた挑戦的ライブが成功した後日。

 バンド錬が終わったあと、お茶してるとき。さきちゃんがおもむろに、歌い出した。

 

祥子「あなたと過ごした日々を、この胸に焼き付けよう~」

4人「思い出さなくても、大丈夫なように~」

 

 さきちゃんの音に合わせてハモる私たち。ちなみにハモっていたのは4人。残りの1人は、ドラムセットもなしにパーカスしてたから。

 

そよ「たきちゃん、いつの間にボイパ覚えたの?」

立希「やっぱ、基礎的な部分でいいからどうしてもできるようになりたくて、トークでウルルに教えてもらった」

祥子「色んな意味で立希らしくて、なんだか安心しますわね」

燈「うん。立希ちゃんのドラム、凄くて安心して、格好よくて、好き」

立希「好ッ!? い、いやいや燈~、まだ本物のドラムほどじゃないのに、ほめ過ぎだって~♪」

祥子「見たことないくらい顔デレデレしてますわ」

そよ「思わず写真撮っちゃった~♪」

立希「すぐ消せそよっ!」

睦「……その写真は後でグループトークに貼って貰うとして。宮崎さんのこと、下の名前で呼ぶほど仲良くなったんだ」

立希「まぁ、ボイパ教えてくれた仲だし。アイツがうんざりする気持ちも分かったけど」

睦「……ふ~~~~ん」

燈「あ、近衛先輩に怒った古城先輩?」

祥子「ほら立希、私の可愛い幼馴染が拗ねてますわよー?」

そよ「可愛い相方に嫌われちゃうよー?」

立希「修羅場でもないし相方でもないし、なんでボイパ教わったぐらいで拗ねられなきゃいけないんだよ」

睦「……あのまま本当にキスしてれば……」

立希「洒落にならん冗談ほざくな!」

 

 これは、むつみちゃんの誕生日にあった観覧車での一幕のお話なのだけど。まぁ結局は冗談なので、和やかに笑ってられる。

 

祥子「しかし、立希がボイパできるようになったら、いよいよ楽器なくてもライブできるようになりますわね」

そよ「それに機材トラブルで演奏できなくなっても、間持たせられちゃうねー。私もベース練習しとこうかな」

立希「そう考えると格好いいな。前みたいにライブに活かすのもアリだし」

燈「私も、コーラス覚えたいな」

睦「……燈の声質的に、やっぱり1stだね。習ったこと、教えるよ」

燈「ありがとう、睦ちゃん」

 

 ふんわり笑い合う2人を、私たちも顔を綻ばせて見守る。しばらく、誰も会話を続けようとしなかった。会話すら蛇足な雰囲気になったとき、私たちは同じ気持ちで繋がってると確かめる術を、身に着けてしまったから。

 

燈「いつか他の誰かを、好きになったとしても―」

5人「あなたは、ずっと~……」

 

 特別で、大切な。かけがえのない青春の日々を、これからも私たちは続けていく。

 そのうち冬が溶けて3度目の春を迎える。それからも夏が輝き秋に移ろって、またこの季節が巡ってくる。

 1年後はどうなってるだろうな。私たちのミルフィーユは、どれだけ味わい深く、噛み応えが増してることだろうか。

 そんな未来を夢見て、その時は『こんなことがあったね』とたくさんの思い出話を語り合えるように。

 私たちだけが紡げる小さな煌めきを重ねて、毎日に繋いでいこう。それが星のように永遠と残るくらい、確かな輝きにまで大きくなりますように。

 

 

 

 

 

「雲間を縫って、きらり、きらり~」

「頬を~濡らしては、溢れ~」

 

 手鞠沢高校の階段に、春日影の光が混ざり合って反響する。

 サキコちゃんたちのライブで1回聴いたきりなのに。当たり前のように合わせてくれるレイレイ。私たちはやっぱり、ニヤリと笑みを交わし合う。

 あの日約束してくれた通り、隣にいてくれるレイレイがしみじみと微笑む。

 

「燈の歌詞、祥子の作曲。CRYCHICの曲は、愛莉のと似てる雰囲気あるよね」

「サキコちゃんも私と同じで小さい頃からピアノやってるから、クラシック系で育ったっていう共通点はあるかもね。高松さんは……分かんないなー」

「素敵な歌詞だから、何でもいいけどね」

「ねー」

 

 ふふっと笑い合いながら踊り場を回って、上階を目指す私たち。CRYCHICは、いいライブしてくれた。春日影も、STARLIGHTも。ちゃんと自分たちの演奏に落とし込んだ上でアカペラも披露してくれた。私たちとの思い出を大切に込めようとしてくれたのが、素直に伝わってくる。

 だからあの日、私はサキコちゃんに満面の笑みを返せたんだ。

 

 でも。私たちの曲だって、やっぱり負けてないって、誇れる。

 だって、あのサキコちゃんが感銘を受けたんだから。少しは胸張っても、いいのかな。私も。

 心に宿っていた陽だまりが、形を変える。それは、100年先まできっとみんなと通じ合ってる、私たちだけが綴る光の軌跡。

 それが、私の前に続いてる。ありふれたガラクタが散らばりながら、私たちの人生のずっと先まで。

 いつか、みんなで振り返るのが、楽しみだな。

 気づいたら、口が想いを歌っていた。

 

「夢がついにスタートする。その記憶まだ持っているかな~」「持っているかな~」

 

「——思い出話をしよう——!」

 

 レイレイと一緒に楽しくハモりながら、私たちは階段を駆け上がっていく。

 心が跳ねるままに。タラタタタタッター。

 

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