○CRYCHIC VS お化け屋敷
睦「……よし。この勢いでお化け屋敷、行こう」
燈、立希「えっ」
祥子「お化け屋敷……ホラー系なのは名前で分かりますが、どんな感じなのでしょう……」
そよ「怖くて仕方ないよーって人は外で待っててもいーよー、たきちゃん?」
立希「私がビビッてるって言いたいの? んなわけないでしょ。行こう燈、いざとなったら私が守るから(キリッ)」
燈「う、うん。1人で待つぐらいなら、みんなについてくけど……」
↓
ヒュ~、ドロロロロ……
不気味な効果音が暗室に響く中、5人は1本道を慎重に進んでいる。
すると。
バンッ
左右の壁が裏返って骨格標本が飛び出してきた。
驚き過ぎて身を寄せ合う燈と立希と祥子。
燈「ヒィ!!」ダキッ
立希「うぉお!?」ダキッ
祥子「なっ、ななな何なんですの!?」ダキッ
睦「……骨人形とは、ベタそうなネタを……」とりあえずダキッ
そよ「む、むつみちゃん。来たことないのによくそんな冷静だね……。私は見た目より予兆が無かったことに驚いたよ……」寂しいのでダキッ
↓
更に暗がりの中を進んでいくと、うめくような声がどこからか響いてきた。
『ウォァア……』
燈「こ、今度は声がぁ……!」
立希「は、反響して音源が掴めない! どこに注意すれば……」
睦「……下」
4人「へっ?」
『ウォアアア!!』ヨジヨジ
祥子「し、白い服の女性が、床を這うように迫ってきますわー!」ダダダッ……
立希「ちょっ置いてくな!」ダダダッ……
燈「こ、怖い! 近づかないで!」ダダダッ……
睦「……これは恐ろしい。何と言うか、生理的に受け付けない……」
そよ「地べた這いずり回る人なんて慣れしたむことないからね〜」
白い女(いや呑気に話してないであなた達も逃げなさいよ……)
↓
さらに進むと、スピーカーのようなものが置いてあり、そこから声が聞こえてきた。
『この先の出口に向かいたければ、そこのトイレに入って便器の蓋を開けろぉ………』
立希「な、何これ……?」
そよ「クラスの子たちから聞いたことあるけど、指示してくるタイプの仕掛けもあるらしいね」
祥子「まさにこのように、ですか……。確かに、トイレの便器は閉まってるようですわね」
燈「そ、それじゃ開ける役目は、今日の主役な睦ちゃんに、譲ってあげないとねっ!」
3人「異議無し!」
睦「……まぁいいけど(これってどっちかというと罰ゲームな役回りじゃ……)」
睦が便器の蓋を開けようと恐る恐る手を伸ばし、4人は固唾を飲んで見守る。
蓋を掴んだ睦が一思いにバッと開くと。
開放された便器から生首が飛び出しながら奇声をあげた!
『ヴォオオオアェアア!!』
祥子、燈、立希「ギャァアアア!」
睦、そよ(うぇ……気持ち悪い……)
『ククク、これにて出口への道は開かれた。楽しんで頂けたかな?』
5人(しゅ、趣味が悪い……)
↓
祥子「見てくださいまし! 大きなディスプレイに出口と書いてあります!」
燈「ホントだ! 出口から漏れてる光は屋外からのかな? これで終わったんだって、安心するね」
立希「全くだよ。最後にとんでもないモン見せられたし」
睦「……思ったよりドキドキして、なかなか楽しめた」
そよ「そ、そっか。最後なんかホラーの方向性が下品だったけど…むつみちゃんが楽しめたなら良かったかな♪」
出口の案内に、外界から漏れてくる明るい光。
みんなはもちろん、終始落ち着いていた睦や楽しそうに話すそよでさえ終わった気分だった。
だから、巨大ディスプレイを突き破って現れたゾンビに全員悲鳴をあげた。
『ヴォオオオリヨウアリガトオオオゴサイマシタァアアア!』
5人「キャアァァ〜〜〜!」
大慌てで出口に駆け出すCRYCHICを、ゾンビは両手を振って見送った。
○バトル&デートのゴーカート
睦「……遊園地ラストは、ゴーカートで爽快に締めるべし」
祥子「なんと、勝負できるみたいですわね。立希、やりませんか?」
立希「断る。……って言いたいところだけど、どうせムカツく煽りを用意してるだろうから乗ってやる」
睦「……じゃせっかくだから私も」
祥子「決まりですわね!」
そよ「ともりちゃん。助手席のあるゴーカートもあるけど、私の隣でのんびりしとく?」
燈「うん! 2人で楽しもうね、そよちゃん」
↓
ブォォオオン!!
立希「音楽以外じゃ負けん! さきこぉおおおお!」
祥子「私だって負けません! たぁきぃいいいい!」
ガン! ガンガン、ガガン!
『お客様! カートをぶつけ合うのはやめてください! 安全運転でお願いします!』
睦「……お先」スィー
立希「あっ、待て睦!」
祥子「お馬鹿さんに付き合ってたら睦に抜かされましたわ!」
立希「誰が馬鹿だこのアホお嬢!」ガンガン
祥子「ほらこうやって猪のように突進してくるじゃありませんか! この、このっ!」ガンガン
『言われた傍からぶつかり合うお前ら2人とも馬鹿だよ! 出禁にするぞ!』
というやりとりを後方から眺めていたドライバーは、重くため息を吐いた。
そよ「あの2人の勝負は、今後も目を光らせておかないと……」
燈「そよちゃんも、勝負したかった?」
そよ「まさか。あんなお馬鹿さんたちに混ざるくらいならともりちゃんとドライブデートしてたいよ」
燈「そっか。私もそよちゃんの横でのんびりできて楽しい。乗り心地の良い上手な運転、ありがとう」
そよ「どういたしまして。……でも、最後の直線だけちょっとスピーディに行こっか!」ブオン!
燈「わっ! そよちゃん速ーい!」ニコニコ笑顔でそよに身を寄せる
そよ「アハハッ♪ 楽しいね、ともりちゃん!」ニコニコでくっつき合う
軽食での内緒話①
立希「アホ祥子のせいでスタッフに怒られたんだけど!」
祥子「お馬鹿立希がぶつかってきたからでしょう!」
立希「いいやお前からだった!」
祥子「絶対そっちからですわ!」
そよ「そこのおこちゃま2人組、喧嘩両成敗だよ。高校生にもなって恥ずかしくないの? 反省しなさい」
2人「ぐぬぬ……」
そよ「罰として出店で軽食買ってきて。5人分ね」
2人「はいはい」
そよ「はい、は1回」
2人「はーい。ったく……ブチブチ」スタスタ……
燈「それじゃあ、私は飲み物持つ係するから。2人は座って待ってて」
睦「……5人でついていくよりは場所取りした方が良さそう」
そよ「それもそうだね。ともりちゃんありがとう、この辺で待ってるね」
燈「うん、行ってきます」
燈は祥子と立希に追いつき、一緒に軽食用の屋台を巡る。
注文した後の待ち時間に、祥子は立希に思っていたことをぶっちゃけた。
祥子「それにしても、睦の誕生日祝いだけ張り切り過ぎでは?」
立希「ホントだよな。睦は高校生にもなって子どもなんだから。しょーがないやつ……」
祥子「いえ、私が言ってるのは立希のことですけど」
燈「バンド練習の時間削ってでも1日遊ぼうって提案したの、立希ちゃんだったよね?」
立希「ぐっ……しょうがないでしょ。あいつ年明ける前から誕生日誕生日ってうっさかったし。微妙だったら根に持ちそうでしょ?」
燈「そうかな? 冗談で言ってるように、聞こえたけど……」
祥子「……立希は違ったんですのね」
立希「……なんというか……。ほら、今でこそあんなはっちゃけてるけど、出会った頃なんて滅多に笑わなかったし冗談だって全然言わなかったでしょ?」
燈「それは、そうだね……」
祥子「幼い頃から一緒でしたから、それが睦なんだと思ってましたが。私ですら今のようなお茶目さがあるとは、CRYCHICを結成するまで知らなかったですわ」
立希「私も表情柔らかい方じゃないからさ。睦にはシンパシー感じてるんだ。で、そんなあいつが楽しそうにはしゃいでるの見ると、救われた気になるんだよ」
燈「私も、分かる。睦ちゃんはあんまり表情変わらないから。笑ってくれると心が温かくなって、こっちも自然と笑顔になるから、好き」
祥子「それで、睦の楽しい時間が少しでも増えるように、と考えたんですのね」
立希「せめて睦の誕生日くらいは、
燈「それはたぶん無理だよ。睦ちゃん、立希ちゃんと一緒にいるときがいつも一番楽しそうだから。大人しくなんてきっとならない」
祥子「そうですわね。また明日立希と会えば、きっといつものようにボケ倒しますわ」
立希「はぁ。たまにはお前らで相手してやってくれよ……」
立希がそうボヤいたとき、丁度注文した品が出来上がったので受け取って3人は睦とそよのところへ戻り始めた。
祥子(……幼い頃から一緒だった私は、睦が誕生日祝いにどうしても期待してしまう理由を分かって然るべきですが。事情を知らないはずなのにここまで考えてくれる人が、睦にできたんですのね。幼馴染として寂しいような気持ちもありますが。それ以上に、やっぱり貴女達をCRYCHICに誘ってよかったですわ。立希……本当にありがとう)