軽食を食べ終わったCRYCHIC5人は、遊園地エリアから植物園エリアに移動する。
まず屋外の花を見て回ったが、1月という時期もあってほとんど枯れているので、温室をじっくり散策することにした。
これは、その中の5つのコーナーで繰り広げた会話である。
○ミラクルフルーツ、奇跡の魔法?
祥子「ミラクルフルーツ! なんだか凄そうな名前の果物ですわ!」
睦「……果実自体は甘くないけど、その後に食べたものを甘く感じさせるらしい。梅干しとかすっぱいものでも」
立希「そういう意味での奇跡か」
燈「確かに魔法みたいかも」
そよ「あっ、ダイエットサプリメントとかに使われるって書いてあるね。女性に味方な魔法なんだ♪」
睦「……太りづらい私からしたら、ありがたみの薄い奇跡」
祥子「世の女性大半を敵に回す発言ですわよ、睦」
○サボテン、可愛い睦ちゃんにもトゲがある
祥子「あら、サボテンですわ」
そよ「これって観葉植物としても人気なんだよね?」
立希「そんな話も聞くけど、こんな変なの飾るなんて私には全然理解できない。あ、睦とか好きそう」
睦「……よく分かったね」
燈「どういうところが好きなの? トゲトゲしてて、触ったら痛そうなのに……」
睦「……ほら見て、サボテンって花を咲かせるとこんなに綺麗なんだよ?」
立希「ホントだ。結構情熱的な赤色で惹きつけられるな」
睦「……つまりね。見た目はツンツンしてるくせに、内側にこんな魅力を秘めてるところが好きなの。……まるで誰かさんにそっくりだから」
立希「うぐっ!?」
そよ「え~~~? 誰かさんって誰のことだろ~~~? 分かるぅ~さきちゃ~ん?」立希の隣に回る
祥子「分っかりませんわね~~~。誰のことか心当たりはございませんか~~~立希~~~?」そよと共に立希をムギュっと挟む
立希「あ~はいはい! 藪蛇だったのは認めるから、わざとらしくサンドウィッチするな!」
睦(本当は興味なかったけど、そう思うとサボテンも可愛いかも。いつか育ててみようかな)
○スターフルーツ、いつかみんなで食べましょう?
立希「スターフルーツって何?」
睦「……詳しくは知らないけど、名前の通り星形の断面をした黄色い果物だって。甘さもあるけど、酸っぱさの方が強いらしい」
燈「星形……ちょっと興味、湧いてきた」
祥子「そもそも日本に売ってるんでしょうか?」
睦「……熱帯気候で育つ果樹だって。栽培して売られてるとしたら、沖縄辺り」
そよ「それじゃ、いつか沖縄旅行行った時の楽しみにしとこうか、ともりちゃん」
燈「うん! みんなで沖縄旅行、楽しみ……」
立希「さりげなくイベント事増やしてるし」
祥子「いいじゃありませんか。またみんなで遊びに行きましょう?」
睦「……うん。こうやって遊びに行く毎に楽しみが増えるのって、いいね」
○ミッキーマウスノキ
そよ「見て! ミッキーマウスの木、だって!」
立希「なにそのふざけたジョーク……ってうわ、本当にネームプレートにはっきり書かれてたわ」
祥子「正式名称、なのでしょうか?」
睦「……学名は別にあるみたいだけど、花の形と黒い実でミッキーの顔に見える、のが由来らしいね」
燈「……似てる、かな?」
4人「いや、全然?」
燈「だよね……」
立希「似て無さ過ぎてよく訴えられないなってレベルだよ」
○果物だけに誰にでも甘くなるわけじゃない
祥子「パイナップルに、バナナに、ヤシノミに、シークワーサー。この温室には果物が多いですわね」
燈「睦ちゃんは、園芸部で果物は育てないの?」
睦「……野菜ばっかり。そっちの方が、部活として育てやすいから」
立希「まぁ部として築いてきたやり方があるわな」
そよ「特に伝統を重んじる月ノ森だからね」
燈「そっか。睦ちゃんがたまにおすそわけしてくれる野菜、おいしいから。果物もあるのかなって、ちょっと期待しちゃった」
睦「……純粋に期待してくれる燈にそう言われたら、先輩に掛け合ってみないこともない。リクエストがあれば聞いとく」
立希「じゃ私、杏仁豆腐用にさくらんぼ」
そよ「私はとりあえず紅茶用にレモン辺りかな~」
祥子「なら私はスターフルーツで!」
睦「……乗っかり勢が厚かましい。それに祥のは沖縄で育つやつって言ったでしょ」
軽食の内緒話②
遊園地よりはあっさり周り終わった植物園エリアを後にして、最後の動物園エリアへ向かう途中。
途中の屋台コーナーで再び休憩することにしたCRYCHIC。
今度はそよと睦でテキトーな軽食の買い出しに向かう。
その最中、そよは睦に今回の誕生日計画について話をしたのだった。
睦「……立希が、1日遊ぼうって提案した? バンド練習削ってまで? あの生真面目でいつも練習優先な立希が?」
隙あらばCRYCHICで遊びに行こうとする祥子を、立希はしょっちゅう抑えつけ練習の時間に当てさせる役割をしていた。
義務感というよりは、立希の性格上好きでそうしているはず。
もちろん遊びに行く流れのときは空気を読んで合わせる彼女だったが。
立希から練習を無しにして遊ぼうと提案されたことは一度もない。
その初めてを自分の誕生日でしてくることに、睦は驚いた。
そよ「ふふふっ、びっくりだよね? でも本当の話なの」
睦「……そっか。ふふっ」
そよ「嬉しそうだね~むつみちゃん」
睦「……うん。私のこと、そこまで大事にしてくれるのが、嬉しい。でも、ちょっとみんなには申し訳ない」
そよ「えっ、どうして?」
睦「……だって、誕生日のお祝いで1日遊ぶなんて私のときだけだったし……」
そよ「今のところはね。ちょうど1か月後は、私たちCRYCHICにとって一番重要な人の誕生日だから、どうせ今日みたいになるよ」
睦「……それもそうだね」
そよ「むつみちゃんは今日のうちにいっぱい楽しんでおいた方がいいよ~? なんといっても、来月はあの苦行をするかもしれないんだから~」
睦「…………」どんより
そよ「って、流石に今日言うのは空気読めなさ過ぎだったね、ごめん。つい話の流れで……」
睦「……いい。来月はやっぱり覚悟しとかなきゃいけないのも、だからこそ今日はめいいっぱい楽しむべきってことも分かったから」
そよ「うん! ねぇねぇ、次の動物園何から見る?」
睦「……迷いますな~。……ふふっ」
そよ「ふふふっ、楽しそうな悩みで何より♪」