CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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※前書き※

・この世界線では祥子の母は存命しています。
密かにこのライブを現地で見守っているくらいに元気です。
・バースデーイベントもそうでしたが、燈らしい詩を書けてないのはご容赦ください。


お祝い本番 バースデーライブ

 

 

 ※ ※ ※

 

 私は大好きなCRYCHICではいつも明るく元気で、豊川家の娘という立場も忘れ好き放題振る舞っていた。

 そんな側面しか見せてなかったから、睦以外が私のお母様について知らなかった頃、言われたことがあった。

 

『祥子は昔っからどんなときも祥子のまんまで、悩んだ経験とかなさそう』

 

 立希の発言に、そよも燈も同意していたけど。

 私にだって、CRYCHICに出会う前は孤独に苦しんだ経験もあったのだ。

 

 

 

 それはまだお母様が衰弱する一方で、歩くどころか話すらままならなかった頃のこと。

 医者からは回復が望み薄な容態を告げられ、床に臥せるお母様からも

 

『自分がいなくなっても、豊川の娘として強く生きなさい』

 

 と、まるで遺言のように言いつけられていた。

 あの頃の私は、ひたひたと迫ってくる大好きなお母様との死別に怯え震えることしかできなくて。

 でも豊川グループの令嬢としての立場が誰かに、幼馴染にすらその弱さを見せることを許さなかったから。

 受け入れ難い散華に精神をすり減らしながら、それでも表向きは吐き気を堪えて必死に取り繕い。

 どうにもならない自然の摂理に成す術なく凍てつく心は、虚しくも救いを求めていた。

 せめて、お母様の言いつけを守れるだけの強さを得たいと願っていた。

 

 その願いは月ノ森音楽祭を機に叶えられていく。

 バンドに憧れた私はCRYCHICを結成して、みんなで練習したり、カラオケしたり、ライブしたり。

 楽しいときも嬉しいときも分かち合える仲間に出会って、私は以前以上に明るく、前向きになれた。

 凍えるような孤独は、みんなとの時間によっていつの間にか溶けて、水たまりには久々に感じる太陽の輝きが照り返していた。

 胸の奥に陽だまりを宿した私は、かろうじて目を開けているだけの母に満面の笑みで

 

『私は大丈夫だから、元気でやっていけるから。だからお母様も諦めないで』

 

 と、涙を流しながらも強がれるくらいには、CRYCHICと出会った春に救われたのだ。

 まさかそこからお母様まで救われる奇跡が起こるとは思わなかったけれど。

 

 あれからみんなのことを広く深く知って。

 それぞれが孤独を抱えていたことを知った。

 みんなも私と同じように、悴むような冷たい春に苦しんで。

 だからこそ陽だまりのような春に巡って救われたことを、いつの日か共有したのだった。

 

 ※ ※ ※

 

 

燈「初めまして、CRYCHICです」

 

 雲ひとつなく晴れ上がったのどかな昼過ぎ。高尾山の頂で燈が始めたMCを、私は新鮮にも客席側最前列真正面で聞いている。

 標高600mの砂利広場で、私へのサプライズライブが行われようとしているのだ。

 いくら誕生日祝いとはいえ、登山したその場でライブをプレゼントされるとは夢にも思わなかった私は、最初こそ面食らったけど今では受け入れて楽しみになっていた。

 ライブの許可を取ったり、人を頼って機材を山頂まで運ぶ段取りを整えたり、リハーサルまでするなんて、どれだけ大変な準備だっただろう。

 しかも、新曲まで作ってくれたらしい。私のために作った曲だと思うと、自然と心が盛り上がる。

 このワクワクと湧く熱気は、冬も終わりかけなのに容赦のない冷風が吹いても鎮静されなかった。

 そんな私を祝うライブの幕開けとして、燈は無難にMCを進めていく。

 

燈「メンバー紹介します。ベース、そよちゃん」

 

そよ「さきちゃん。みんなでさきちゃんのために作った音の世界、是非楽しんでね♪」

 

燈「ギター。睦ちゃん」

 

睦「……祥。祥がCRYCHICのギターに私を選んだこと。他のどのギタリストよりも正解だったって、証明してみせる」

 

燈「ドラム、作曲担当。立希ちゃん」

 

立希「祥子。これは私達による、お前のための、CRYCHICの曲だから。()()()()()()()

 

 パフォーマンスも絡めながら私に1人ずつコメントを贈ってくれた。

 立希の最後のセリフに何か意味深なものを感じたけど、気にし過ぎだろうか。

 

そよ「最後に、ボーカルと作詞担当、ともりちゃんです。 みなさん、よろしくお願いします♪」

 

 私だけでなく他の登山客も集まっていて、4人にいくつもの拍手を送られる。

 最後に燈からコメントをもらっていよいよ始まるのかと思ったけど、彼女はまるで成功しなければ全てが無に帰す試練に臨むような顔で宣言する。

 

燈「——それでは、聞いてください。私たちの大切な人に贈る、バースデーソングです」

 

(あ、あら? 緊張でコメントを飛ばしてしまったんでしょうか? まぁ私が指摘するのも野暮ですし……少し残念ですけど、スルーしましょう……)

 

 つい苦笑いで他の3人に共感を求めるけど、私の視線に気付かず、こっちも似たような顔でアイコンタクトし合っていた。

 何をそんなに意気込んでるんだろう。

 今までのライブでもそんなに力んでいる表情は見せなかったのに。

 

(まぁそれだけ私のバースデーソングに力を入れてくれたということでしょう! せっかく外からみんなのライブを聞ける貴重な機会ですし……。……えぇ、楽しまないと損ですわ!)

 

 ほんの少しだけ過った寂しさを胸の奥にしまいながら、気を取り直して耳を澄ませる。

 帯電された空気がシンとした静寂を強調して、演奏の始まりを予感させる。ドキドキしてきた。

 どんな曲なんだろう。作曲はロック調が好きな立希だから、きっとそっち方面だろうな、と思っていたけれど。

 そんな私は最初の2小節でいきなり、まんまと仕掛けにはまるのだった。

 

 カウントをとったのは立希ではなくそよだった。ベースのボディがゆっくり4回叩かれる。

 暗く重く、沈み込むような3重の低音に、昼夜逆転したかのような錯覚を覚える。

 朧げな月明かりを頼りに、静謐に満ちた闇を進むそよの旋律。

 珍しく主旋律を担っているベースの、負感情を飲み込んだ淡い微笑みが切なくて胸に焼き付く。

 私はこの薄明りを、幼い頃から指にも耳にも馴染むくらい良く良く知っていた。

 

(これは……月光ソナタ!? 立希がまさかクラシックを使うなんて……!)

 

 ベートーヴェンがピアノソナタ第14番嬰ハ短調、月光。

 通称月光ソナタとして知られ、ベートーヴェンのピアノソナタでも代表格のナンバー。

 ベートーヴェン好きな私が特に気に入ってるピアノ曲を、まさかバンドアレンジしてくるとは思わなかった。どうやら普段素直じゃない立希も、この時ばかりは本気で私のために考えてくれたらしい。

 ある詩人は月光ソナタをこう表現した。スイスにあるルツェルン湖で月光の波に揺らぐ小舟のよう、と。

 その小舟を揺らす静かな波紋のような旋律が今、そよのアルペジオによって広がっている。裏を支える睦のピッキングと立希のバスドラムはその水面を刻む(かい)のひとさし。先の見えない暗闇に、やがて燈の声が射し込む。

 けれどそれは、(うた)ではなく、(うた)だった。

 

——薄闇の夜が明けない 冷たい春の頃

  

  僕らの運命は、君に手繰り寄せられた

 

  どれほどの歓喜だったか 今こそ報いるよ——

 

(しかもポエトリーリーティング!? 今までそんな芸当一度もしたことなかったのに……)

 

 訥々(とつとつ)と唱えられる詩が、波紋の数を増やしていく。

 ポエトリーリーティング。演奏に合わせて、しかし歌うのではなく朗読するパフォーマンスなんて。

 実際に生で聴くのは初めてだったし、それも燈によって体験させられるという2重の驚きと、燈らしさへの納得と、できること全部込めようという気概に。

 私の中ではそれぞれが大騒ぎだった。なるほど、これが演奏前なかったコメント代わりなのかもしれない。

 詩が広がる湖では遥か高みから響くギターの明かりを頼りに、暗闇をかき分けるようにベースが漕ぎ進む。

 ドラムの優しいさざめきのドラムロールによって、燈の詩句は星のように瞬く。

 月光らしさをこれでもかとCRYCHICらしく演出していて、私はセンチメンタルに浸りながらこれからの展開に胸を膨らませた。

 しかし、その高まりは最後の詩でピタッと硬直する。

 

——この世界を賭けて 洗練してきた想いに懸けて——

 

 感情を抑えた声でどこか不穏に締められ、湖を渡る小舟は岸辺にせり上がる。

 ドラムがふと途絶え、ギターとベースの伸ばされた響きと共に月光は虚空に吸い込まれた。

 燈の重々しいフレーズに引っかかる私だったけど、すぐに次の驚きに捕らわれることになる。

 

 薄く伸ばした後細かく散らすような、今度はギターの旋律。またもこれだけで何の曲か分かった。

 こっちは伴奏として幼少から親しんできた、月光と同じくらいの有名なソナタ。 

 選曲がまさかの方向性で続き、またも驚いてしまう。

 

(今度はスプリングソナタ!? クラシックをロックアレンジして組曲にしたんですの!?)

 

 同じくベートーヴェン、しかし今度はヴァイオリンソナタ第5番、春。

 そのヴァイオリンをエレキギターで再現しようと体を沈ませているのが、幼い頃から自慢のギタリストだった睦。

 足元にセットしていたボリュームペダルを踏み込むことにより、弓を弾くように奏でられる伸びやかな楽音。

 アタック音の消失を筆頭に、音の増減を完璧にコントロールして極限までヴァイオリンに肉薄する睦は、本当にプロ並みのギターテクニックを有しているのだと実感させられる。

 そんな幼馴染により、ロックなスプリングは通常よりもゆっくり目に、そして原曲のヘ長調から変ヘ長調に半音低くすることで、昏く憂いを帯びた進行をしている。

 名前の通り、本来暖かで華やかな風景を描く春は。

 夜明け前の、色も温もりもない物悲しい季節となって私を包む。

 

——月明かり飲み込む 青黒い闇に

  

  心冷たく侵される 世間は温かいらしいのに

 

  取り残されて映すのは 凍えた春の土ばかり——

 

 今度こそ歌われ始めた、およそ36℃の詞句は零れる合間に氷り、肌に突き刺さって砕け散る。

 そのしんとした痛みが、孤独の辛さを思い出させた。

 誰にも頼れず失う恐怖に打ちのめされそうになった、CRYCHICに出会う前の私。

 光も熱も感じられなかったあの頃の苦しみに、そよと睦の愛器が哀切なすすり泣きのような調べで、そっと寄り添ってくれてるみたいだった。

 生真面目にリズムキープされるハイハットの8ビートがメロディの表面をシクシク羽毛立たせながら、2巡目から変化が起き始める。

 

——彷徨いながら 流さながら 

 

  繰り返される 散華の季節に——

 

 短調に支配されていた虚ろな歩みが、徐々に温かみを覚えてきた。

 まるで急速に流れ始めた雲の切れ目から陽光が漏れてきたように、明るい兆候を見せ始める。

 

——虚しく抗い 手を伸ばす僕は

 

  差し込んだ光に 連れ去られたんだ——

 

 明らかに1巡目の冷たい春とは曲調も速さも変わり、待ち望んだ春が到来してくれた。

 安堵と共に、ここへ導いてくれたそよに思わず称賛の笑みを向ける。向こうも気づいてにこりと返してくれた。

 徐々にテンポを速め、曲調も変わっていく繊細な演奏が成り立っているのは、ベースの功績が大きいのだろう。

 ほんの1ミリでもベースラインを踏み間違えるだけで、そのハーモニーは砕け散り、四季すら曖昧になったから。

 思えば、いつもすぐ傍にいてくれた睦を除けば、最初にCRYCHICへ誘ったのは彼女だった。

 そのきっかけになったライブでも響いていたヴァイオリンの優雅な音色により、思い出の回想は続く。

 逢えてよかった、と私は、不意に湧き上がってきた感慨に喉をふさがれる。

 幼馴染の睦がいて、そよに声をかけ、燈と偶然出会い、立希を紹介してもらった。

 この4人でなければ絶対ダメだった。

 このクインテット以外なんて、今更もう思い描けなかった。

 

(そう、この5人で……)

 

 私好みの曲を、『CRYCHIC』らしくアレンジして、『CRYCHIC』に浸っていることに。

 何かが違和感を訴えていて気持ち悪い。

 前提として認識していた不協和音が自然に溶け込んでしまって、見失ってしまったように正体を掴めない。

 でもそれを放置するのは胸がザワついて落ち着かないのに、それでも頭に流れる思い出は次のシーンに移った。

 羽沢珈琲店で初めて共に音楽を奏でる5人が揃ったときのこと。

 CRYCHICの始まりにみんなで共同したものを、睦が高速ピッキングでノックする。

 

(最初の詩でまさかとは思いましたが。今度は……いえ、今度もベートーヴェン。そしてこの特徴的な最初の4音は、やはり交響曲の運命!)

 

 ソナタじゃないけれど、これも誰もが聞き覚えのある出だしの4音をフレーズにして、オクターブの階段を4度駆け上がった。

 交響曲第5番、運命。奏鳴曲(ソナタ)と違い多くの楽器を使い、指揮者が必要なほどの大人数で奏でる楽曲を、たった4人でどう表現するつもりだろうか。

 

——運ばれた命(4つ) 戸惑い 見知って 

 

  絡み合い 色づいた心(4人)——

 

 さっきまでのヘ長調()と近い曲調、これは第一楽章の中でも第一主題を飛ばして変ホ長調の第2主題。

 現代曲で言うBメロに当たるので、ここまでの流れにも合っていた。

 高音域から流れるギターの穏やかな涼風が戸惑いの詞を淡々と包む。

 ハイハットシンバルのしずくが、訪れた春により芽生えた小さないのちのさざめきを浮かび上がらせる。声風と生命をベースのビートが繋ぎ合わせ、伊吹と化した。

 次第に旋風のようなうねりに巻き込まれながら、4人の音は次第に力強さを増していく。

 私はその高まりに、理性的に感動を理解しつつも感情面では浮かび上がる泡のように違和感を覚え始めていた。

 

——いつの間に 救われていたと

 

  いつの日か 気づいた僕らは——

 

 4人は完全に馴染み切ったように、うねりの中で蓄積したエネルギーを開放して、一気に強風と吹き荒ぶ。

 睦の左手が高音階に滑り上り、斬りつけるようなストロークにティンパニーの連打よろしく立希がキックとスネアで壮大なビートを響かせる。

 シンフォニー的に重厚かつ高らかな響きの装いに、しかし私は心地よく浸るどころか湧き上がる違和感に苦しむばかりだった。

 春の芽生きに覚えた不快感だけでなく、交響曲になって気になりだした原曲との齟齬も。

 それでもあえてこの選曲にしたことまで。

 全部が繋がっている、気がするのに結びつきそうで繋がらない。

 妙に気を引くシャボン玉が風に煽られて浮かび上がり、目の前でフラフラと揺れ、神経をジリジリ撫でてくるようだった。

 そんな私を乗せた運命の風は加速していき、やがて叩きつけられるようなバスドラムの4つ打ちとギザギザのコードストロークがシンクロする。

 そうして次なるクラシックの扉は開け放たれ、高らかに歌い出す。

 

——ねぇ どれだけの奇跡か 分かるだろうか

 

  世界を4人救った君に 今こそ伝えるよ——

 

(予想通り、これもベートーヴェンの、歓喜の歌、ですか……)

 

 ベートーヴェン、またも交響曲の第9番、第4楽章ニ長調。

 第9として親しまれ、この曲で誰もが真っ先に思い浮かべるだろうメロディは歓喜の歌と呼ばれているもの。まさにサビにふさわしい使いどころではあった。

 弾けるようなステップのギターに振り回されながらも、その端を捉えて沈むような深さのあるベースラインが、ドラムのキックを痛烈に際立たせ、ボーカルの歌声に世界を沸き立たせるほどの力強さを与える。

 それこそ誕生日祝いにふさわいしい歓喜の叫びにソプラノコーラスが添えられる。

 いや、思い出の流れで考えるなら、大成功だった初ライブに歓喜しているのかもしれないけれど。

 そんなことより、だった。

 次々に移り流れる歪んだクラシックに腰まで浸りながら、未だに胸から上にかけて訴えてくる空白がいい加減もどかしい。

 この組曲には致命的に何かが足りなかった。

 祝われる立場なのを承知の上で、燻る淀みを視線に込めて立希に投げかける。

 ドラムセットの茂みの中で立希と目が合う。不躾な睨みは、彼女の揺るぎない眼差しにあっけなく貫かれた。

 あの顔は私が喜んでるか確認するものじゃない。切実で、焦りすら感じさせる目は、まるで早く気づけ、と訴えてるかのよう。

 やはりこの違和感はわざとだった。

 長い付き合いでクラシック畑の私と知ってるのに、編曲して練習して、ストイックに向き合い続けただろう立希が見過ごすはずない。

 演奏に深く意識を潜らせ、肥大化していく違和感の正体を探るがどうしても掴めない。

 踊るように駆け回る睦のおにぎりが苛立たしいほどに元気なメロディを奏で、そよがパッセージで勢いづかせることによって更に置いてけぼりにされる。

 一体なんだというんだろう。立希の問いかけについていけず、仲間として、友人としてたまらなく歯がゆい。

 

『私達による、お前のための、CRYCHICの曲だから』

 

 立希の言葉を思い出したのが決定打になって、腹に溜めていたモヤモヤがついに逆立った。 

 

——運命を切り開いた その輝きと共に——

 

 透明感のある綺麗な歌声に浸れる気分じゃなかった。

 個々のポテンシャルで聞こえ良く曲にしているとはいえ、3ピース&ボーカルで交響曲のオーケストレーションを再現しようなんて、本来無謀極まりないのに。

 その限界を隠そうとも超えようともしなかった。ただ4人らしい演奏を最大限共鳴させてるだけ。もっと原曲らしさを引き出す工夫があったはずだった。最低でもあと1ライン、何か別の音源が必要なのに。

 なのに、その中途半端なままぶつけてきてる。まるでこれがCRYCHICだとでも主張するように。

 

(こんなあからさまに違和感を残すような曲でよく言い切れましたわね……こんなのが、CRYCHICの音楽なんて認められると思ってたんですの?)

 

 一度不遜なことを思い始めると、募り溜まった不満が噴出するのを止められなかった。

 もうこの際はっきりしてしまおう。

 4人で穴開けなライブをしていることが、不愉快極まりなかった。

 私にとって何より大切で大好きなCRYCHICの音楽だからこそ、受け入れられない。

 CRYCHICはこんなものじゃないから。

 

イントロ(月光)も、Aメロ()Bメロ(運命)も、今の歓喜だって。私なら……私さえいれば……)

 

 思考に流されて宙に浮かせた指先が、頭より一瞬早く辿り着いていた。

 

「……!」

 

 空の鍵盤を叩く感触が、全ての違和感を回収する電流となって、脳天まで奔り総毛立つ。

 こんなすぐ足元に転がっていた、言葉にするまでもない大前提に、今さら何を驚いてるんだろう。

 それともここまでかけて、音楽で殴るように教えてくれた4人に一周回って呆れるべきか。

 音数が足りないなんて当たり前だった。

 それを隠そうともしなかったのは、その当たり前がどれほど決定的な欠けかありありと伝えたかったから。

 4人の演奏に感じていた違和感は……寂しさは、間違ってなかった。

 CRYCHIC(私達)にとって、ただ1つとてその穴は埋めようがないものだから。

 胃の中で粘っこく蠢いていた憤りが、全く別の、筆舌に尽く難い感情に昇華する。

 

「足りなかったのは……キーボード()……」

 

 思わず漏れた声に立希を始め、4人の口角が上がった気がした。

 どうやら何かの期限には間に合ったらしいけど、まさかまだ仕掛けが残ってるんだろうか。

 でも私は最初と同じように純粋にわくわくできなかった。

 なぜなら——

 

——陽の当たらない世界が どれほど虚しいか——

 

 燈の歌い終わりと同時に、壊れゆくような曲調に変わったのだ。

 ギターの音色が歪みながら奈落へと墜落していく。その裏で終末の予兆を感じさせるスネアドラムの崩壊音。

 時計の音が早回しされたような、焦燥感を駆り立てるベースのビートが山頂の空気を緊張させる。

 重奏から伝わる破滅的な流れが、私がそこにいないことと無関係と思えず、身を固くしてしまう。

 そして、燈のファルセットまでもが悲愴に割れ響いた。

 

——例えば世界が闇に閉ざされてしまったら?——

 

 その1フレーズを最後に、小動物の断末魔のような吠え声が逃げ去り、その残響を叩き潰すけたたましいドラミングが、私の胸を切り刻む。

 その痛ましさに嫌な予感が凝り固まったものを嚥下してしまい、胸からお腹まで広がっていく。

 

(ど、どうして急に、こんな不吉な流れに……。さっきまで歓喜を歌ってたでしょう? 燈がマイクを下したのだって、ただの間奏だから、ですわよね……?)

 

 予感が外れていて欲しいと願う私に見切りをつけるように、諦めるように。

 立希がドラミングを1打ずつ弱め、消えていく。

 

(パートが、1つずつ消えて……どうしてですの!? 立希ッ!)

 

 バンドの崩壊を連想しそうで死んでも許容できない私は、作曲者への怒りと引き止めで声をぶつけたいのに。

 喉は干上がったように渇き、舌が張り付いたまま動かない。

 その間にも睦の旋律が迷い始め、私の骨が硬直する。

 繋ぎとめるようにそよがその足跡を追うが、やがてギターはためらうように、後ろ髪引かれるような未練がましさでフェードアウトしていく。血管まで凍りついた。

 

(なんでみんないなくなって……。私がいないから? 私の大切な居場所が、帰る場所が……こんな終わり方なんて、想像もしたくありませんのに!)

 

 さっきまであったはずの世界が、壊れていく。

 私を期待させて、それに応え、しかし疑念を植え付け、それすら意味があって、せっかく大事なことに辿り着いたのに。

 私を満たそうとしていた音楽が、こんな絶望的な形で奪われそうなことに、心が折れそうになる。

 晴れ渡っていた青は黒ずんだ雲に覆われ、世界から精気を奪い、色が消失していた。

 もしも世界が闇に閉ざされたとしたら、本当にこんな虚しい地獄になるんだろうか。

 1人で終焉に抗ってくれてるそよのベース音すら、耳鳴りと心音で搔き消されそう。

 孤独の中でそれでも諦めずにCRYCHICを保とうと足掻くそよの息遣いを見失うぐらいなら、心臓だって止めてしまいたいくらいなのに。

 行き過ぎた思考が脅迫概念を招いたのか、勝手に反吐そのものな映像が過る。

 

 大好きでかけがえのなかったCRYCHICを亡くして。

 その幸せを思い出してはもう2度と取り戻せないことに耐えられなくて。

 記憶を殺し、心を殺し、人と関わることを恐れ、ひたすら分厚い殻に自分を閉じ込めて、ただ死んでないだけ。

 その牢獄の中で止まない豪雨に叩き潰され、それでも独り無意味に耐え忍ぶだけの生き地獄なんて。

 耐えられるわけがない。何よりも宝物のようにかけがえのないみんなを失う日々なんて。

 ついにベースの音が伸ばされたまま次に繋がらなくなって。

 遠のいていく幽かな低音に、魂が絶叫する。

 

(お願いだから……1人にしないで。私を、離さないで!!)

 

 無我夢中で手を伸ばしていた。

 凍り付いた世界で何の意味があるか分からないまま。

 その先で、4つの音が同時に掴んできた。

 

——君と同じさ 僕たちだって砕けてしまうよ

 

  それだけの世界を 君が創ってくれたんだ——

 

 繋がった手を通して、心臓の奥深くに4人の音が流れ込んでくる。

 私と共に世界が息を吹き返し始めた。

 凍った世界をドラム(立希)の熱気が溶かしていく。

 死にかけていた大地はベース(そよ)によって脈動を始めて。

 そうして蘇った季節はギター()によって色を取り戻し。

 ボーカルが私に光を燈す。

 私がちゃんと生きていることを、4人が証明してくれていた。

 バラバラになりそうだった心身はもう、みんなに縋らないと、今度こそ砕けてしまいそうだった。

 だから高まっていく叫びを、剥き出しの心で受けるしかなくて。

 一番のテーマを、まともに浴びることになった。

 燈が握ったマイクを再び下ろすと同時に、そよが私に向かって息を吸う。

 

——美しいくらい気高い君が——

 

 いつも柔和な微笑みでCRYCHICを見守ってくれたそよが微笑む。

 

——眩しいくらい輝く君が——

 

 生真面目に、けれど不器用な優しさでバンドを引っ張り支えてくれた立希が、どこか羨むような笑みを浮かべる。

 

——いつだって優しく引っ張る君が——

 

 ずっと側で聴かせてくれた努力と才能の結晶を、今は確かな意思で振るい、バンドの花形を勤めてくれた睦が、ささやかな笑顔をくれる。

 

——陽だまりのように温かい君が——

 

 出会ったあの日から特別な存在として、バンドで心震わす叫び声を綴ってくれた燈が。

 みんなと一緒に一際大きく吸い込んで、前かがみに絶叫する。

 

——大好きなんだ——

 

 ユニゾンした4声が耳や脳を飛ばして直接胸の中心に刺さり、切り口から想いが染み広がる。

 それは器に収まりきらず溢れ出し、喉を震わせて目鼻をじんわり突き破って。

 私の中に留まらず、完全に調和された叫びは天高く突き抜けていった。

 この世界を妨げる最後の障害として残っていた黒雲を穿ち、開けられた風穴に睦のグリッサンドと立希のドラムロールが凝縮され——

 クラッシュシンバルの爆発が、雲を晴れ渡す。

 

——いつかは離さないでと願った(どうか)——

 

 燈が他のパートサウンドに彩られながら半音転調して歌う。

 清爽感たっぷりなクリーントーンのカッティングがベースラインにぴったり寄り添って走り出す。

 余りに鮮明に音を感じるものだから、まるでいつものようにみんなの輪に混じってるみたいだった。

 視界がボヤけてみんなを良く見えてないのにどうしてそこまで引き込まれてるんだと思ったら、私をズキズキとノックする心拍とスネアのアレグレット(やや快速)な4つ打ちがピッタリ一致していることに気付く。

 いっそ目を閉じて、音に身を委ねる。私とぴったり隣合わせだった立希が、すぐにみんなの居場所へ連れてってくれた。

 そこが余りに自然過ぎて、瞼に映る光景を疑えない。

 山頂の砂利広場にいたはずなのに、私達5人はハクウンボクが舞い散る春の草原にいた。

 

——今なら歌えるよ 離さない!(離さない)——

 

 燈のシャウトと3人のコーラスが飛翔し、澄み渡る空へと向けさせる。

 沁みるような青に、じんじんと主張していた眼球が更に熱を帯びる。

 知らなかった。こんなに世界が輝いていたなんて。

 分かってなかった。私が一番CRYCHICのことが大好きだと自負していたけど。

 それと同じくらいの想い4人分が、どれだけ眩しくて優しくて、綺麗で温かいものか。

 ここまでの仕掛けは、それを一言に凝縮するためだったんだ。

 全ては洗練させた想いを、私に届けるため。

 

——日差しを閉ざす雨雲だって

 

  僕らが払ってみせるから——

 

 頬を伝う熱が風にさらされて冷たい。熱いのか寒いのか分からない不確かな意識の中で、穏やかな温かさが私を確かに満たしていた。

 睦が燈と背中合わせになりながらトレモロを疾走させ、その勢いに乗った歌が光の風となって駆ける。

 そよが立希のシンコペーションの上にぴったり重ねて下降音型を刻み入れ、光風の輪郭を形成する。

 目も開けてられないほど激しい光と音の雨の中で、溺れかけそうだった。

 

——きらりきらり光溜まる道を

 

  どこまでも歩み続けよう——

 

 燈の歌声はプリズムとなり、すべての音を吸い取って見たこともない色彩の光に分解し、飛び散っていく。散ったプリズムの断片が昔の記憶を鏡のように映し出す。

 春日影を初めて歌った頃は、ただみんなに離れて欲しくなかった。

 でも、確かに今なら。何があっても離さないといえるだけの絆を信じ合える。

 1人が迷っても4人で絶対守れるだけの確証が、この曲にはある。

 みんなが私と同じくらいCRYCHICが大好きだから。

 だから、確かに。

 もし私がどうにもならないことに押しつぶされそうになって、みんなを巻き込まないように逃げることしかできなくても。

 4人は必ず救ってくれるのだろう。

 自惚れじゃない、自惚れることなんてできない。

 ここまで鮮烈に伝えてくれた4人の想いを、1μだって疑えなかった。

 感情的に乱れ叫ぶボーカルに引っ張られ、激しく高まった合奏が同時休符(ブレイク)で飛び去る。

 

——君が生まれてきてくれた——

 

 それまでとは打って静まりかえった中、ギターのとろけるようなトーンがささやかれる。

 凪の中を余韻だけでゆっくり進む。

 私を散々搔き乱した世界が、名残り惜しくもゆっくり白んで薄れゆく。

 

——(さち)を抱きしめながら——

 

 長く長く引き伸ばしたエンディングの和音を、睦の振り切ったピックが断ち切る。

 その残響の中、最後に再び立希のセリフを思い出していた。

 今なら分かる。これは確かに、4人による、私のための、CRYCHICの曲だって。

 だってこれは、私に届いて初めて成り立つものだから。

 

 4人と共に私が生きてる、この世界の理。

 私と一緒にずっとCRYCHICを守るという、4人の誓い。

 

 そんな、元から当たり前のように思っていたことを。

 4人とも何より一番大切に想ってくれてることが、言葉にならないほど胸を満たして。

 豊川祥子として生まれてきた幸せに、16年で一番感謝した。

 

 訪れた静寂の中で、最後に燈が曲名を告げる。

 

燈「——陽架理(ひかり)

 

 陽だまりが架かる理を。

 春じゃなくったって、ずっと守るよ。

 だからこれからも、君らしく光り輝いていてね。

 いつまでも、いつだって私たちが、一緒にいるから」

 

祥子「——」

 

 それはまさに今、私が考えていたことだった。

 みんなの曲から、光の演奏から受け取っていた想いは、本当に間違ってなかった。

 そう思った瞬間、天気雨のような音が客席側で巻き起こり、ようやく意識が目の前の現実に戻る。

 拍手に混じった涙ぐむ声や鼻をすする音で、今さら気づかされる。いつからか涙をボロボロ流していたことに。

 それを自覚すると喉から込み上がるものが堪えきれなくて、唇がわななく。

 視界が水泡に包まれてるようにボヤけて、みんなが見えない。今はただただみんなが恋しいのに。

 その衝動のままに真っすぐ駆け出して、センターにいた誰かに受け止められる。

 

燈「祥ちゃん。私、必死に歌ったよ。今までで一番なくらい、誰に何言われても構わないくらい。ただみんなとの想いを、祥ちゃんに伝えるために」

 

 耳元で穏やかに語り掛けてくる燈に、伝えたい想いが喉で渋滞して声にならない私は必死に頷く。

 初ライブで燈の歌い方を揶揄したコメントは、しばらく燈にトラウマを植え付けてくれて、立希と一緒に本気で憤慨したものだったけど。

 そんな燈は今じゃ、イントロからアウトロまで全身全霊で想いを込め、全力全開で叫ぶ立派なボーカリストになっていた。

 そうでなければ、今私はこうなってない。こんなに心をかき乱されてない。

 燈にしがみついてその肩を濡らす私に、別の声がそっと寄り添ってきた。

 

立希「今回の曲作りで思い知ったけどさ。CRYCHICって凄くバランスのいいバンドで、それぞれにそれぞれの極まった役割があってさ。1人欠けたらそこ埋めるなんて無理だったんだ。でもさ、それって見方変えたらこれ以上ないほど満たされてるって思わない?」

 

 慰めるように頭を撫でてくれる立希に、またも言葉なく頭を何度も振る。

 何が言いたいかなんて言葉にするまでもない。

 

 誰かがいないと、そこに空いている穴がはっきり分かる。

 

 私達は、そういうバンドになっていたんだ。

 今度は幼少時から聞きなれた幼馴染が静かに隣り合って、私の背中に手を添えてくれる。

 

睦「……シンセサイザーの打ち込みとか使って、もっと聞こえの良い音楽にすることだって思いついてたよ? でも全会一致でなしになった。理由は、もちろん分かるよね」

 

 三度頭を縦に振る。

 

 洗練された心の叫びを共に奏でることで、喜びも悲しみも分かち合う。

 それがCRYCHICの音楽だから。

 

 機械如きに私達の叫びを代替えすることなんてできやしない。

 最後に睦の反対側から、睦と同じように触れてくれるそよが、もっとも大事だったことを言葉でも伝えてくれた。

 

そよ「さきちゃん。私たちにとってどれくらいCRYCHICが大切で、大好きで。その世界を作ってくれたさきちゃんにどれだけ感謝してるか。受け取ってくれたかな? 仕掛けがいっぱいだったから、ちゃんと全部伝わるか実はちょっと不安だったけど——きゃっ!」

 

 自信なさげなことを言うそよを遮って、みんなごと抱きしめる。

 胸が張り裂けるほど伝わったに決まってる。

 今音楽を持ち合わせてない私じゃ到底表現できないほどの想いをぶつけられて、どれだけ言葉にならないか。

 言いたいこと、返したいこと、語りたいこと、伝えたいことがもうぐちゃぐちゃ。

 だから、みんなを抱きしめる腕にあらん限り込めることしか、できなかった。

 

立希「……何も言えないくらい泣いてるってことは、たぶん伝わってるでしょ」

 

睦「……まさに、感極まってる」

 

そよ「それなら大成功かな? 安心して大事な締めに移れるね。——ご静聴してくださったみなさん、ありがとうございました! 最後に今日の主役へもう一言だけ贈りますので、よろしければみなさんからも温かい拍手を頂けると嬉しいです♪」

 

 そよの大きな声に、べそべそ泣きじゃくったまま涙を拭う。

 この永遠に最高の思い出として記憶に残るライブの締めとして、ちゃんと応えたかったから。

 視界が晴れる。私にそれぞれらしい素敵な笑顔を向けてくれる4人が、やっと見えた。

 

燈「祥ちゃん、誕生日おめでとう。そして——」

 

 燈がまず前置きのように定形文を述べる。

 分かる。何を言ってくれるつもりなのか。だから、聞く前からどうしても涙が滲んでくる。

 それでも目に映る4人の、眩しい笑顔を目に焼き付けた。

 

4人「生まれてきてくれて、ありがとう!」

 

祥子「……こちらこそ……みんな、大大大大っ大っ好きですわっ!!!!」

 

 もう一度湧き上がった祝福の拍手を浴びながら、私は笑顔で4人に抱きついた。

 今世界で一番祥な子は私だって、心の中で叫びながら。

 温かい陽だまりの中で、みんなと築いてきた幸せを噛みしめ合った。




 密かに見守っていたエキストラ達の会話

定治「……ぐっ……うぅ……祥子……よがっだなぁ……!」男泣き
清告「お義父さん……泣き過ぎですよ……ぐすっ……」
定治「お前こそみっともなく泣いてるじゃないか! 祥子の父親として恥ずかしくないのか、取り上げるぞ!」
清告「こんな最高に祥な娘を? ぶん殴って妻共々家出しますよ?」
定治「上等だこの未熟ナヨナヨ野郎め!」
瑞穂「もう……せっかく素敵な音楽なのに、台無しですよ、2人とも?」
2人「ご、ごめんなさい……」
瑞穂「……でも、本当に良かった……。生きてるって、生まれてくるって……こんなに素敵なことだったのね。……死ななくて、本当によかった……」
清告「あぁ、あぁ……。どれだけこの世界が幸福なことか、確かに言葉じゃ語りつくせないよ……」瑞穂の肩を抱く。
定治「まさかこの年になって、これほどの感動を10代の少女たちに与えられるとはな。本当に、自慢の孫娘とその親友達だよ……」



使用人A「グスッ……お嬢様……なんて素敵なご友人を……本当にお名前通りに育ったんですね……使用人として、これ以上の祥はありません……!」
使用人B「……確認。ライブの録画は問題ない?」
A「当たり前でしょ! できてなかったらこの命を持って責任を取るわ! そっちこそ号泣してるけど録音ちゃんとできてたの!?」
B「……当然。貴女みたいな半端ものと私は違う。お嬢様関連で私に失敗はない。半人前の貴女と違って」
A「2回言うな! いっつもいっつも上から言ってきて、今日こそ決着つけてやる!」
B「上等。今日の決闘は、このライブの録画と録音を聞きながらお嬢様とCRYCHICへの理解度勝負」
A「ふん、負けるわけなくて草」
B「嘲笑。吠え面かかせてあげる」
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