CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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中学生時代の思い出③ 新しい冬の来光、天空の鳥居より
1番 この1年、みんなと私を振り返って


 

 

 12月26日

 

 中学校も冬休みに入ってる時期、CRYCHICはいつものようにライブハウス『サークル』でバンド練習に励んでいた。

 その練習終わりに、サークルのロビーでお茶しながらおしゃべりしている。

 いつもは外のテラスでしていたが、12月末となると流石に寒くてのんびりお茶どころではなかった。

 今日は今年最後のバンド練だったので、自然と年を締め括るような話題になっていく。

 

そよ「今年もあと一週間で終わりなんだね~」

 

燈「うん。なんだかこの1年は、あっという間だったな」

 

立希「分かる。気がついたら年末になってる感じ」

 

睦「……同じく」

 

祥子「そうですわね。バンドを結成して色々やってきたからでしょうか」

 

そよ「結成したのが今年の春だったよね? なんだか懐かしいな~♪」

 

立希「まぁ懐かしいっちゃ懐かしいな。あの時のそよは今よりいい子ぶってたし」

 

そよ「いい子ぶるって言わないで。まぁ、昔のことだからいいけど」

 

睦「……そう言う立希はツンツントゲトゲしてて感じ悪かった」

 

立希「睦なんて今と比べものにならないくらいしゃべんないし無感情だったじゃん」

 

祥子「昔の事とはいえ、人の幼馴染をロボットみたいに言わないでくださる?」

 

燈「……」

 

そよ「どうしたの、ともりちゃん?」

 

燈「う、ううん。みんな変わったのに、私だけ何も変わってない、って思って……」

 

立希「祥子だって変わってない」

 

そよ「さきちゃんもだね~」

 

睦「……祥が一番変わってない」

 

祥子「何故か非難されてる気がしますわ!」

 

燈「祥ちゃんは、このままでいいと思うんだけど……私がこのままは、何か違うなって」

 

祥子「燈だってそのままでいいと思うけど。無理して変わる必要ある?」

 

そよ「たきちゃん、どう思うかはともりちゃんの自由なんだから、邪魔しちゃダメだよ」

 

睦「……あんまり束縛するようなこと言われると、嫌われる」

 

立希「い、いや私そんな毒彼みたいなつもりじゃ……ただ今のままでも十分凄いから悩まなくていいってことをさ……」

 

燈「ありがと立希ちゃん。でも、何となくみんなを見てると、このままじゃ嫌かなって思っただけだから。悩みってほどでも……」

 

祥子「ふっふっふ……こういうときは、前にやったアレに限りますわね!」

 

そよ「さ、祥ちゃん? まさか前のアレって……」

 

立希「もしかして……秋のときの……」

 

睦「(嫌な予感に頭を高速回転させる)……燈。もうすぐ元旦だし、お参りで神様にお願いしたら良いよ」

 

立希「(睦と同様)縁起良さそうだし、それが良いな。はい、この話はおしまい——」

 

祥子「ふっふっふっふっふ……」

 

立希(な、何で不敵に笑ってんの……?)

 

睦(……お参りならあのめんどくさい苦行を避けられると思ったのに。何企んでるの?)

 

祥子「お参り。いいですわね、みんなで行きましょう?」

 

そよ「そ、それは大賛成だけど……さきちゃん、なんか不気味だよ?」

 

立希「祥子。一応言っておくけどお参りは身近な神社に行くんだからな?」

 

睦「……地元に宿る神が一番ご利益ある。異論は認めない」

 

祥子「甘い、甘甘ですわ! 大晦日に出発して、香川でお参りしますわよ!」

 

4人「香川!?」

 

祥子「みんなは高屋神社をご存じで?」

 

立希「いや全く。知りたくもない」

 

睦「……そんな聞いたこともない神社、ご利益なさそう」

 

そよ「ふ、2人とも。頭から反発しないでとりあえず聞いてあげよ? 私は聞いたことあるかな、確かテレビで取り上げられてて……通称みたいなのがあったっけ?」

 

燈「もしかして……天空の鳥居?」

 

祥子「そう、それのことですわそよ、燈! そこに行きますわよ!」

 

睦「……天、空……?」

 

立希「名前から嫌な想像が止まらないんだけど……それって、ちゃんと標高50ḿ以下にある?」

 

祥子「安心してくださいませ。秋に行った高尾山は600mでしたが、高屋神社本宮が頂上にある稲積山はたった400ḿ。大した登山でもありませんわ?」

 

立希「いや、マシみたいに言うけどさ……」

 

睦「……そもそも登りたくない。祥、10ḿだって登りたくないの」ジト目で睨む

 

祥子「い、いつになく本気ですわね睦……。ですが今回は私も譲れません! 頂上から見る景色は絶景ですのよ!? そこからみんなで日の出をみたら最高ですわ!」

 

そよ「ひ、日の出……。標高400mの山を、日の出の時間に合わせて登る……ってコト?(前以上にしんどい苦行だな~)」

 

立希「それだけは絶対嫌だっ!! 1番寒い時期にめちゃくちゃ眠い時間帯から死ぬほどダルいことなんてやってられるか!!」

 

睦「……最高の日の出スポットをご所望なら近場で手軽な所を探してあげる。いざとなったら家のコネでもなんでも駆使して極限に楽で人混みに遭わない場所を……!」

 

そよ「む、むつみちゃんがここまでなりふり構わないのも、珍しいね~」

 

祥子「というか違いますの! 私はただ日の出が見たいんじゃなくて、登山して日の出を見たいんですの! 苦労した先に見る景色がですね……!」

 

睦、立希「1人でやって!」

 

祥子「そんな寂しいこと言わないでくださいまし~~~!」(> <)

 

燈「……あの、2人とも。できれば私も、高屋神社行きたい……」

 

睦、立希「……」ピタッ

 

燈「わ、私もテレビで見かけたんだけど……凄い眺めだった。祥ちゃんの気持ちも分かる、そんな凄い景色をみんなで見れたらいいなって、私も思う……」

 

祥子「やはり燈…‥。私の燈が、全てを理解してくれてますわ」

 

立希「お前のじゃない!」

 

睦「……祥は調子乗らないで」

 

そよ「2人とも……さきちゃんシュンってなっちゃってるから、その辺りで抑えてあげて?」

 

燈「それに、前は祥ちゃんに助けられながら登ったから。そのリベンジじゃないけど、今度は自分で登り切りたいんだ。そしたら、何かが変われるかもしれないし…‥。お願い、みんな……」

 

睦「……はぁ……」

 

立希「しょうがないな……」

 

そよ「ともりちゃんにここまで言われちゃったらね。年末年始はみんなで過ごそうか♪」

 

祥子「というか毎度毎度思うのですが。どうせ折れるなら最初から素直に賛成してくださればいいのに……」

 

立希「毎度毎度主張が通って当然みたいにゴリ押すお前がわがままなんだよ!」

 

睦「……毎度毎度今回ばかりはって譲らないし。今年だけでどれだけ祥のわがままを聞いてきたことか……」

 

祥子「い、いいじゃありませんか! 最終的にはいつも楽しい思い出になってるんですから! ……なってますわよね、ね!?」

 

立希「はいはい、なってるなってる。はぁ……」

 

睦「……人生で1番地獄な年末年始になりそう……はぁ~あぁ〜……」

 

そよ「2人ともやさぐれちゃった……」

 

祥子「分かりました、分かりましたから! お父様に頼んで、極力快適な旅路にしますから機嫌直してくださいまし~!」

 

そよ「こっちはこっちで、こんなにご機嫌取りに必死な成金お嬢様見たことないな~」

 

 

 

 こんなやりとりがあった日から数日経って、12月31日。

 大晦日に、CRYCHIC一同は香川県へ出発した。

 お昼前にプライベートジェットとリムジンを乗り継いで、観音寺市に着いたのは13時。

 せっかく香川まで来た5人は名物であるうどんを楽しんだり名所を回ったりして香川旅行を楽しむ。

 このときの様子はまた別の機会に。

 

 陽が沈んだ頃に高屋神社付近の宿にチェックインした。

 ご飯を食べお風呂に入ったら、まだ9時だというのに祥子から張り切って消灯を宣言される。

 

祥子「さぁ、明日は5時起きですわ! 万全の状態で登山するためにも今日は早寝しますわよ! 燈の悩みを解決するためにも!」

 

燈「祥ちゃん。あのときも言いかけたけど、私そんなに悩んでるってほどじゃ、ないよ……?」

 

祥子「いえ、燈! それが深刻な悩みになる前に、解決すべきなのですわ!」

 

立希「出た、祥子お得意の建前」

 

睦「……ホントは自分が高屋神社行きたいだけのくせに」

 

祥子「きぃ~~~! 良いじゃありませんの! 燈のためというのも嘘じゃありませんわ~!」

 

そよ「はいはい、お嬢様が地団駄踏まないの」

 

 こうして5人は消灯して大人しく就寝に入った。

 もちろん、大晦日の夜にこんな早くから寝てしまうのはもったいないと誰もが思っていたが。

 ……それより寝不足の状態で登山なんてしたくない、という気持ちの方が強かったのである。

 

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