アニメムジカ1話で一番胸糞悪いところへのカウンター短編
対1話前奏 豊川家の家族
祥子side
中学3年生から結成したCRYCHICを続けて1年。
私は、私達は高校生になりました。
そんなある日、
祥子「みんな、いらっしゃい」
そよ「お邪魔するね、さきちゃん」
私はCRYCHICのみんなを家に招きました。
お父様とお母様、それにおじい様までみんなと久しぶりに会いたい、とおっしゃったから。
立希「けど、何度来てもこの立派すぎるお屋敷にはなれないな」
燈「う、うん。落ち着かない、というか……」
睦「……財閥のお家なんだからこれくらいじゃないと」
そよ「そう言えるのはむつみちゃんの家が同じくらい凄いからだよ~?」
玄関で4人とそんな話をしながら、おじい様たちがお待ちしている部屋へと案内します。
立希「てかさ。祥子の親御さんだけじゃなくて、おじいさんも私ら呼んだんでしょ?」
祥子「そう言いましたわね」
燈「ざ、財閥のすごく偉い人なんて、去年初めて会ったときだって凄く緊張して怖かったのに……」
立希「ホントだよ。めちゃくちゃ高そうなスーツで表情もめちゃくちゃ厳しいし。私ら一般家庭の子どもが相手するにはハードル高すぎるって」
祥子「そう畏まらずとも、私の家族として普段通り接して構いませんのよ?」
そよ「ともりちゃんはともかく、たきちゃんが普段通りなんてしたら……」
睦「……プッ。財閥のトップ相手に生意気にもツッコムJK。面白いから立希は是非リラックスして……」
立希「そんな度胸あるわけないでしょ!」
話しながら歩いていると目的地の部屋につきました。
ドアをノックして中にいるおじい様たちに断りを入れます。
立希と燈は相変わらず緊張してるようですが、話してる内になんとか解けるでしょう。
そう思ってましたのに……。
祥子「おじい様たち。CRYCHICのみんなを連れてきましたわ」
おじい様「おぉ祥子、入ってくれ」
祥子「失礼しますわ……って!」
立希「なんで祥子のおじいさんアロハな恰好してんだっ……ってヤバ……」
おじい様「あっはっは! 祥子から聞いているよ、立希君はツッコミ担当なんだろう? だから私も突っ込んでもらおうとチャーミーな恰好をしたのだよ。どうかね、似合ってると思うのだが……」
睦「……祥のおじい様。立希にツッコまれた以上、掴みはバッチリです」サムズアップ
おじい様「そうだろうそうだろう。睦ちゃんもお父上に負けないくらいボケるといい」サムズアップ
立希「頼む……じゃなくてお願いしますから、せめて睦よりはボケないで頂けますか?」
部屋について早々疲れた顔をした立希が嘆いてます。
私も前のようにフォーマルな恰好をされてると思ってましたので驚きはしましたが。
と思ってると、今まで黙って見守っていたお父様とお母様が会話に混ざってきます。
お父様「お義父さん。歓談するのは祥子の友達に座ってもらってからにしませんと」
おじい様「おぉ、そうだったな。しかしお前も、言うようになったものだ」
お父様「ハハハ。いつまでもお義父さんに叱られっぱなしじゃ、家族に安心してもらえませんからね」
お母様「ふふっ、大丈夫よ清告さん。私はあなたを信じてるから」
お父様「分かってるさ。ありがとう、瑞穂」
そよ「ふふっ、相変わらずラブラブ夫婦だね、さきちゃん♪」
燈「う、うん。なんか2人の世界が出来上がって……おじいさんがそれをハンカチ噛みながら見てる……」
祥子「あぁもう、収集つかなくなってきましたわ。お席についても?」
おじい様「もちろん。みんな、かけて楽にしてくれ」
こうして席についた私たちはおじい様たちとお茶をしました。
私がみんなを家族に紹介したのは去年の初ライブが終わった直後辺り。
私が『みなさん』から『みんな』に呼び方を変えるくらい、運命共同体と本気で信じたときでした。
おじい様「あの時祥子から友達を紹介したい、と言われたときは驚いたものだったよ。何せ初めてだったからね、祥子があんなにも友人に入れ込んでるのを見たのは」
立希「驚いたのは私達もです。まさか家族を紹介したい、って言われて家についてきてみれば、スーツを着てこわも……いえ、威厳に溢れた方が待ち受けていたんですから」
睦「……しかも、なんか怖い顔してました」
おじい様「し、仕方ないだろう! 大事な孫娘が紹介したいと言ってきたほどの親しい友人なのだから、失礼のないようにだな……」
お母様「嘘ばっかり。本当はどんな風に接していいか分からなくてビジネスモードのお父様に逃げただけのくせに♪」
おじい様「そ、それは秘密にしてくれと言っただろう瑞穂!」
祥子「それで、今回その砕けた格好でいらっしゃったのは……」
おじい様「何、前回は主に立希君や燈君を緊張させてしまったようだからね。フランクな恰好で親しみやすさを重視したのだよ」
燈「た、確かに……前よりは、関わりやすいかも、です……」
おじい様「本当かね!? 聞いたか清告! 孫娘の友達ともこんなに早く打ち解けるなんて、私もまだ捨てたものではないだろう!?」
お父様「はいはい。ご立派でございますから、少し落ち着いてください」
お母様「よかったですわね、お父様。私相手にフランクに接する練習をした甲斐があったというものです」
おじい様「だからお前はどうして秘密にして欲しいことを全部言うのだ!?」
そよ「あ、あはは……流石さきちゃんのおじい様。ど、努力家……でいらっしゃいますね……?」
祥子「そよ、無理してフォローなさらないで大丈夫ですわ。全く、私まで恥ずかしい……」
立希「いや、いつものお前のはっちゃけ具合よりは全然マシだから」
そよ「そういうところはおじい様譲りだったんだね~♪」
燈「そ、そう思うと、なんだかおじいちゃんが可愛く見えてきたかも……」
おじい様「か、可愛い……」ポッ
祥子「ち、違いますわっ! 豊川家の娘が、はっちゃけるわけないでしょう!?……あとおじい様は顔赤らめないでくださる!? 良い齢して気持ち悪いですわよ!」
おじい様「き、気持ち悪い!?」ガーン
家族の前ではしたない私をバラされ焦る私に、お父様は無慈悲にも追撃してきます。
お父様「あぁ、中学の頃は祥子の提案で随分振り回されたようだね。合宿と見せかけてのバカンスに、行き当たりばったりな登山に……プライベートジェットをレンタルしてまで強行した登山に……」
祥子「お父様まで! 振り回すなんて人聞き悪いこと言わないでくださいまし~!」
立希「いや、プライベートジェットはホントにびっくりしましたよ……」
お母様「ちなみにそのときのお金は清告さんがお父様に土下座し倒して用意したものよ?」
お父様「あぁ……本当に瑞穂の口は、羽のように軽くて……そんなお茶目なところも、可憐だなぁ……」
そう言うお父様はなんだか遠い目をしていました。
お母様のそんなところに苦労されてるのは分かりますが、本当に可憐と思っているのか疑わしいところです。
おじい様「清告よ……今夜は瑞穂のそんな可憐さを肴に酒でも飲むか……」
そよ「う~ん。財閥のご家族と言っても、結構チャーミングというか、茶目っ気あるものなんだね~」
睦「……祥の家族だから」
立希「凄い説得力あるな。祥子の家族として納得過ぎて、緊張してたのバカバカしくなってきた」
燈「えへへ、あったかい家族でいいね、祥ちゃんのお父さんもお母さんも、おじいちゃんも」
祥子「ざ、財閥である豊川家の威厳が……私の立場が~! 恥ずかしいです、少しお手洗いに行ってきますわ~!」
バタン! こうして私は脱兎のごとくその部屋から逃げ出しました。