立希はチェアで休んでるため、祥子とそよは燈と睦のところに行く。
浜辺にいた2人はしゃがんでヒトデを弄っていた。
祥子「2人はヒトデで遊んでいたのですね」
睦「……(コクン)」
燈「ヒトデ、可愛いなって……」
祥子(……可愛いでしょうか……?)
そよ「ともりちゃん、これ見てみて~」
燈「あ……綺麗な貝殻……」
そよ「可愛い(ってともりちゃんが思う)ものが好きだったよね? 最初貝殻拾いしてたし、これ気に入るかなって思って拾ったんだ~」
燈「そよちゃん、ありがとう……そ、そうだ! お返しに……このヒトデ、あげるっ!」
そよ「お気持ちだけ受け取っておくねー。こっちこそありがとう、ともりちゃん♪」
祥子「睦も燈と遊んで仲良くなったんですのね」
睦「……あんまり」
燈「え、えぇ!?(ガーン!)」
燈、ショック顔で俯く。
そよ「む、むつみちゃん……」
祥子「睦は相変わらず言いにくいことを普通に言うんですから……」
睦「?」
睦、祥子の方へ向いてと小首をかしげる。
祥子「悪気はないし可愛いからいいんですけどね」
そよ「よくないよさきちゃん。むつみちゃん? 今のは言われたら傷つくよ~?」
睦「…………」
睦、燈の方を向く。
明らかにしょんぼり顔で、もらった貝殻を指で綺麗にしている燈。
祥子「そういえば睦は昔から1人でできる遊びが好きでしたわね。ギターも1人で弾くことが多かったですし」
睦「……うん。だからヒトデで遊ぶのは、嫌いじゃなかった」
そよ「それって……」
祥子「睦は普段から無表情で言葉が足りないから誤解されるときもありますけど、決して燈が嫌いなわけではありませんわ」
燈「ホ、ホント? 睦ちゃん……?」
睦「……(コクン)」
燈「……!」
顔がパアァと明るくなる燈
燈「じゃ、じゃあ睦ちゃんに、このヒトデ、あげる!」
睦「……いらない」
燈(ガーン!)
そよ「(ヒトデをプレゼントするのにこだわるな~)……ともりちゃん。ヒトデを持って帰ってもお世話できないから、ここに置いていこうね~」
燈「そ、そっか、そうだよね……」
睦「……(スクッ、スタスタ…)」
1人でに立ってどこかへ歩き始めた睦。
突然のことで、誰もが声をかけれずにいた。
祥子「ああやって、突飛な行動をとることも睦あるあるですわ」
そよ「いつも無口でじっとしてる子だから、余計意表を突かれるね~」
燈「睦ちゃん……」
祥子「燈はどうでしたの? 睦と遊んでて楽しくなかったですか?」
祥子、やや不安気に問いかける。
祥子「睦は私以外にあまり仲のいい友達がいなかったから。CRYCHICのみんなと仲良しの友達になれたらって思ってるのですが……」
そよ「さきちゃん……」
燈「わ、私は……」
再びヒトデ遊びに戻りながら、遠慮がちに話始める。
燈「私も睦ちゃんも、全然しゃべらなかったけど。だからこそ無理に話さなくて、いい気がした……。誰かと一緒に遊べてるのに会話がなくて、なのに気まずくないから、私は……居心地、よかった」
祥子「……燈と睦をCRYCHICに招いて、よかったですわ」
燈「え?」
祥子「睦と会話がなくても自然体で一緒にいれる人は、少ないと思います。だから、燈は睦といい友達になれますわ」
燈「そ、そーかな? ……そーだといいな。えへへ……」
そよ「うんうん。私もむつみちゃんともうちょっとぐらい仲良くなれたらいいんだけ
ど……」
祥子「そよも気長に付き合って欲しいですわ。改めて睦のこと、幼馴染として宜しくお願いしますね」
そよ「うん! こちらこそ♪」
睦「……よろしく」
祥子「ほら、睦もこう言って……って睦、いつの間に背後に!?」
そよ「お、音もなく近づいて来たね、むつみちゃん……」
睦「……燈」
燈「……え、な、なに……?」
燈(睦ちゃんから話しかけてくるなんて、珍しいな……)
睦は燈の傍にしゃがみ、握っていた手を出して開く。
睦「……私も貝殻、拾ってきた。……あげる」
燈「睦ちゃん……」
祥子「よかったですわね、燈!」
そよ「うんうん、仲良しの証、だね~」
燈は受け取った貝殻を眺める。
燈「……あんまり、可愛く、ない……」
3人「……………………」
燈の正直過ぎる感想が、重たい沈黙を招く。
ザザーンと、波の音だけが響いていた。
睦「……プッ、クッ、ククク……」
そよ「む、むつみちゃん・・・」
祥子「どーしてここで笑うんですの……」
燈「……プッ、ふふ……」
祥子「って燈も笑うんですの!?」
そよ「そーいえばカラオケのときも同じところで笑ってたね~」
立希「笑いのツボが似てるんじゃない?」
睦と違い分かりやすく音を立てて近づき、会話に混ざってくる立希。
祥子「立希、もう休憩はいいんですの?」
立希「4人であんなに騒いでたら落ち着けるもんも落ち着けないし」
そよ「1人で寂しかったってことだね~」
立希「勝手な解釈すんな!」
祥子「まぁまぁ。みんな揃いましたし、スイカ割りといきましょうか!」
そよ「おー! さ、ともりちゃんも、おー! だよ~♪」
燈「ぉ、ぉ~⤵……」
祥子「相変わらず主張の弱い燈ですわね……」
睦「……ぉ、ぉ⤵……」
燈「む、睦ちゃん、真似はやだよ……」
睦「……プクク……」
そよ「むつみちゃんがからかってる……」
祥子「これは私から見ても珍しいですわ……」
立希「……ふーん、随分仲良くなったんだ」
祥子、そよ、燈、睦「……(じー)」
立希「な、何? みんな私のこと見て……」
そよ「別に~」
祥子「1人だけ乗ってくださらない方がいらっしゃるなーって思ってたでけですわ~」
睦「……立希はやらないの? スイカ割り」
立希「やらないなんて言ってないでしょ」
燈「よ、よかった……! じゃあ、立希ちゃんも、おー、しよ?」
立希「うっ……。こ、こんな流れじゃ流石にやりづらいって!」
そよ「しょーがないなー、さきちゃん?」
祥子「そーですわね、ではもう一度。スイカ割り、やりますわよー!」
そよ「お~♪」燈「ぉ、お、おぉ~!⤴」睦「プフッ……おー」
立希「~~~! お、おぉー!! はい乗った、乗ったから! これで満足でしょ!?」
そよ「はいはい、よくがんばりましたね~たきちゃん。エライエライ♪」
祥子「フフフッ、本当に立希は見た目以上に面白いですわね」
立希「スイカの前にあんたら2人の頭割ってやる! そこに直れぇ!」
そよ、祥子「直りませーん♪」ズダダダダ……
立希「待てこの似非お嬢様コンビー!」ズダダダダ……
またしても取り残された大人しい系コンビ
燈「(モジモジ)……む、睦ちゃん。どう、しよっか……」
睦「……(スタスタ)」
燈「あ……」
勇気だして話かけたのに反応せず1人でに歩き出す睦に、気が引ける燈。
睦「……何してるの?」
燈「え?」
睦「スイカとバット。用意しないとスイカ割りできない。……こっち」スタスタ
燈「あ……う、うん! 待ってよ睦ちゃん!」タッタッタ……
相変わらず会話なく歩く燈と睦。
それでも2人の間の距離は、遊んでたときより一歩分縮まっていた。