CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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6番 CRYCHIC VS BBQ

 

 

 ジュー! ジュワァー! パチパチ…

 

立希「そよ、焼けてるやつどんどん配ってって!」

 

そよ「はーいともりちゃんどうぞ〜。さきちゃん、その辺は焼けたっぽいからとっていいよー。むつみちゃんお皿ちょーだい?」

 

燈「ハフハフッ」

 

祥子「え、えーっと、お箸で失礼して……あ、この辺も大丈夫でしょうか……?」

 

立希「祥子それまだ裏返してないやつ! 焼けてないからダメ!」

 

睦「……野菜欲しい」

 

そよ「はーい、ちょっと待っててねー」

 

 立希が具材を並べ管理し、そよが焼けたものを捌く。

 空いた隙間にどんどん立希が新しい具材を置くため焼き上がるサイクルが早く、その勢いに乗せられ3人も早食い気味になる。

 

祥子「あ、あの立希、そんなに急いで焼かなくでもいいのでは……」

立希「何言ってんの! まだこんな大量にあるんだから、どんどん焼かないといつまでも終わんないでしょ!」

 

 肉はカルビ、タン、ロース、もも、スペアリブ、ハラミ、ラム肉、ソーセージ。

 野菜はニンジン、ナス、ピーマン。アスパラガス、とうもろこし、玉ねぎ、じゃがいも。

 それぞれを人数分用意されてるようなので、総じて10人分ぐらいあるような量だった。

 

祥子「でもでも、残しても構いませんのよ? 足りないのは嫌だったので多めに用意させただけで……」

 

立希「——祥子。普通はね、残すことを考えないんだよ」

 

祥子「えっ」

 

そよ「せっかく用意してくれたのに残すなんて失礼でしょ?」

 

祥子「え、でも……食事にそんな頑張らくても……」

 

燈「わたしも、残すのは……申し訳なくて、いや、かな……」

 

祥子「燈まで!?」

 

睦「……!?(同じ少食派と信じていたため、本気で焦る)」

 

立希「最悪はしょーがない。でも最初から残すつもりじゃ食べない」

 

そよ「たきちゃんの皿にも溜めてるから、冷める前に食べてねー」

 

 立希とそよは焼肉奉行の合間に自分の分も食べ、手が止まってる時間が一瞬もない。

 

祥子(ふ、2人から鬼気迫るものを感じますわ……。ここで、この私が日和るわけにはいきませんわね……!)

 

祥子「……いいでしょう。古来より合宿の文化として、食事も練習の一環、という話を聞いたことがありますわ。きっとこのバーベキューも、私たちに必要な試練なのでしょう。私も、覚悟を決めましょう!」

 

睦「……祥、それはおかしい。私達は体育会系の部活とかじゃない……」

 

 楽しいバーベキューのはずが何故か熱血苦行の流れに向かい、既にお腹が膨れてきた睦は抵抗を試みる。

 

祥子「いいえ睦! スポーツ部でなくても私達はバンドとして上を目指すグループ! ときには体育会的な雰囲気も必要ですわ!」メラメラ目

 

睦「落ち着いて、祥。こんなの祥が楽しみにしてたバーベキューじゃ……」

 

そよ「——むつみちゃん? お皿が空いてたからお肉入れといたよー?」ドササッ

 

睦「……!?(いつの間に!?)」

 

 しかし失敗に終わり、更にそよには皿に肉を山盛られる。

 

立希「睦。たくさん食べないと大きくなれないよ」

 

睦「……もう成長期過ぎたから伸びない——」

 

そよ「まだまだたくさんあるから、遠慮しなくていいからねー、むつみちゃん♪」

 

睦「誰も遠慮なんてしてない——」

 

燈「睦ちゃん。バーベキュー、楽しいね。え、えへへ……うぷっ」

 

睦「燈、笑顔が苦しそうだけど本当に楽しい? 絶対ムリしてる——」

 

祥子「さぁ睦! ここにある食材、全て倒しますわよ! 私達CRYCHICの、戦いですわ!」

 

睦「祥はいい加減正気に戻って。私達は熱血運動部かなんかじゃない。バンドグループだよ……!」

 

 睦はみんなの目が恐ろしく据わってるようにしか見えない。話も通じる気がしなかった。

 そして睦を含めた全員が、睦がツッコミ役を一手に担っている異常事態に気付いてなかった。

 

睦「…………」

 

 肉で山が作られてる皿を前に、いつもの無表情も崩れて絶望の色を浮かべる睦。

 しかしもう抗えないことを悟り、決死の覚悟で箸を握り、目の前の肉山へ挑みかかった。

 

 

 

 ~CRYCHICの戦いが始まってから3時間後~

 

睦「……もう一生お肉見たくない……」

 

祥子「(ピッ)……もしもし? ……あぁ、片付けは……最低限、できるとこまでは……こちらで。あとは、宜しくお願い致しますわ……(ピッ)うぅ…」

 

燈「……な、なんとか食べきった……」

 

 睦、祥子、燈は突っ伏している。

 

そよ「まさかホントにあの量食べきれるとは思わなかったねー。たきちゃん、お水いる?」

 

立希「ありがと。燈たちが思ったより頑張ってくれたおかげ。でも、正直燈が残すの嫌がるとは思わなかったな。すぐお腹いっぱいそうだったし辛かったでしょ?」

 

燈「う、うん。ムリしたけど……。お母さんが、夜勤で大変な中、夕飯、用意してくれてたから。用意してもらった、料理は、残さないようにしてきた……」

 

そよ「……私もね、お母さんが仕事大変で。3日ぶりに家に帰る、なんてこともざらだったから。夕飯はよく私が作ってるんだ~」

 

燈「そ、そーだったんだ……。わ、私も、作れるようになれたら、お母さんの助けになれて、いいかな……」

 

そよ「よかったら今度教えてあげるよ~。シチューとか簡単でおすすめだよ?」

 

燈「ほ、ホント? エヘヘ、楽しみにしてるね、そよちゃん」

 

そよ「うん! 私も楽しみにしてる~♪」

 

祥子「い、いいですわね、料理……。私も、ぜ、是非ご一緒……うっ」

 

立希「無理にしゃべると祥子もリバースするよ?」

 

祥子「しゅ、淑女はそんな醜態、死んでも晒しませんわ……ふぅ、ふぅ」

 

睦「……何でもいいけど、今シチューだのなんだのって、食べ物の話しないで……。想像しただけで気持ち悪い……」

 

立希「こっちは更に重症だな」

 

そよ「むつみちゃんもお疲れ様~。(食事しただけなのに、こう言うのも変だけど)片付けやっておくからしばらく休んでて」

 

睦「…………」

 

立希「んじゃやっちゃうか」

 

祥子「そ、そうですわね……」

 

燈「……(フラフラと立ち上がる)」

 

そよ「さきちゃんもともりちゃんも休んでて大丈夫だよ? まだ辛そうだし……」

 

祥子「本当に大変だったのはそよと立希でしょう? 焼くの全て任せてしまいましたし。なのに片付けまで押し付けるなんて、どれだけ吐きそうでもできませんわ」

 

燈「う、うん。私も。手伝いたい……」

 

立希「……まぁそんな大したことじゃないけど。人手が増えるのは助かる」

 

そよ「ほーんの少しだけ素直になったねーたきちゃん♪」

 

立希「そよは相も変わらずうっさいんだよ」

 

 4人でゴミや炭を片し、食器洗いに取り掛かる。

 そのうち食器洗いの方に睦も来て手伝い始めた。

 

 ひとまずできるとこまでやって、あとは祥子の使用人にお願いすることに。

 その後お風呂に入って休憩して。

 全員が回復してきた頃。

 

祥子「みんな。少し出かけませんか?」

 

立希「今から?」

 

祥子「えぇ。ここに来たら、是非みんなと一緒に見たいものがありましたの」

 

そよ「見たいものって?」

 

祥子「それはまだ内緒ですわ。そんなに遠出しませんから」

 

睦「……うん」

 

燈「私も、いいよ。祥ちゃん」

 

立希「んじゃ行くか」

 

そよ「あ、虫よけスプレー持ってくるから少し待ってて~」スタスタ……

 

睦「……さすがママ」

 

祥子「えぇ、CRYCHIC自慢のママですわ」

 

燈「う、うん。そよちゃんは、いいお母さん……」

 

立希「それ、そよは言われてもあんま嬉しくなさそうだからな?」

 

 程なくそよが持ってきた虫よけスプレーをかけ、5人で夜の島へと出かけた。

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