CRYCHIC交響曲   作:りょーへい

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【11月イベント】
TwitterのタイムラインでCRYCHICポッキーゲームネタが流行ってた記念に。


 

 

祥子「ポッキーゲームやりますわよ」

立希「なん——」

そよ「ともりちゃんがやってみた言ったからでーす♪」

燈「クラスの子がやってるの見て、楽しそうっていうか……仲良しの証、みたいだなって」

立希「……ならしょうがない。燈、私が付き合ってあげーーむぐっ」

睦「……ペアは王様ゲーム方式で決める」

 

 睦は5本の割り箸が刺さってる筒を立希の顔にグイグイ押し付ける。

 

立希「分かった、分かったからやめろ!」

祥子「えー、ポッキーを折ったり口を離したら負けで。負けた方の罰ゲームは追々決めましょう」

立希「罰ゲームありかよ……」

そよ「そうしなかったら、誰かさんは速攻でわざと負けそうだからね~」

 

厳選なる抽選結果 1番 立希 VS 祥子

 

立希(ちっ、燈じゃなくてよりにもよってこいつかよ……)

祥子「ちょっと立希! 顔から不満臭がダダ漏れですわよ!」

立希「うるさい。いいからさっさとやるよ」ポッキー咥える

祥子「で、では……し、しつれい、しまして……」おずおずパクリ

立希「言い出しっぺのくせに照れるな! こっちまで意識してくるだろ!」

祥子「い、意識!? な、何をどこまで想像してるんですか立希! いやらしいですわ!」

立希「何も想像してない! 変態扱いするな!」

そよ「ほら2人ともー、さっさと始めようねー」2人の後頭部を押していく

祥子「ちょ!?」カカカッ……

立希「おまっ、ホント覚えとけ!」カカカッ……

 

 カカカカカカッ……。

 2人は勢いよくポッキーを食べ進める。

 

祥子(黙ってればキレ目でカッコいい系の美人だと思ってましたが……こんな至近距離だと、あ、改めて実感しますわね……)

立希(コイツ……金持ちのお嬢様で音楽の才能もあるくせに、童顔だけど整った顔立ちしてて、ルックスまでいいとか……天は2物を与えずって絶対嘘だろ……)

 

 カッ……カッ……ピタッ

 

祥子(あ、あ、あと3cmくらいで……)

立希(……くっつくんだけど。ど、どうすんのコレ……)

そよ「どっちも3秒以上止まったら、罰ゲームでチューしよっかー♪」

立希、祥子(この悪魔そよ〜!)

 

 ポキッ! 2人同時に、逃げるように折った。

 

立希「はぁ……はぁ……こ、今回は引き分けにしといてやる」

祥子「じょ、上等ですわ……次こそは、その……せ、接吻しようとも折れませんからっ!」

 

燈「2人とも、顔真っ赤だね……」

睦「……強がりだけど本当はいくじなしコンビだから」

そよ「さぁ、次行ってみよー♪」

 

 

厳選なる抽選の結果 2番 燈 & そよ

 

燈「あ、私だ」

そよ「それじゃ次は私たちだね! ん……優しくしてね、ともりちゃん」髪を耳にかけて色っぽく咥える。

燈「う、うん?(ポッキー優しく食べてってことかな?)」パクッ

立希「燈。途中で折っていいんだからね、負けたら罰ゲームなんて言うんなら、私がその幻想をぶち壊す」

睦「……右手ドラゴンにでもするの?」

そよ「そうだね……ともりちゃんが私のこと、キスしたくないくらい嫌いなら折ってもいいからね?」カツッ、カツッ

燈「ううん! そよちゃんのこと大好きだから、絶対折ったりしないよ?」カツッ、カツッ

立希「グッ……そよ、てんめぇええ……」

睦「……立希。血涙やめて。怖い」

祥子「け、けど。ゆっくりですが止まる気配がなくて、お、落ち着きませんわね……見ていいものなんでしょうか……」

睦「……こんなのにさえ免疫ないのに、祥はどうして言い出したの……」

 

そよ「ともりちゃんはさ、キス……したことある?」

燈「う、ううん」

そよ「そっか、私も初めて。お互いファーストキスになっちゃうね」

燈「キスって、どんな感じ、なんだろうね……」

そよ「もうすぐ分かるよ」

祥子「ど、ドキドキが止まりませんわぁーー!」

睦「祥子が小学生並みに初心なのはよく分かったから。煩い」

立希「ぬわあぁぁー!」別のポッキーを振り上げ上段に構える。

睦「……ポッキーで2人の間を叩き折ろうとしちゃダメ。顔に当たったらどうするの、シンプルに危ない」立希の前から両手を抑える。

立希「止めんなむつみぃ! ここで折らずにいつ折るものぞ!?」

祥子「……はぁ。立希の意味不明な言動で冷めましたわ……これがお噂の、蛙化現象、ですの?」

睦「……大体合ってるから立希止めるの手伝って」

 

 ポキッ! あと1cというところでそよがポッキーを噛み砕く。

 

そよ「ふふっ、遊びだからここまでかな? どうだった、ともりちゃん?」

燈「う、うん……なんか、ここまでそよちゃんと近づいたの初めてで……なんか照れるね」

そよ「私もドキドキしたよ〜。ともりちゃんの可愛い顔が近くてさ〜」

燈「そ、そよちゃんこそ、可愛いのに大人っぽさもあって……」

立希「ちょ、ちょっとちょっと! もう終わったのになんで離れないで見つめ合ってんの! ほら次行くよ!」

 

 

ファイナル・ポッキーゲーム ~ポッキーよ、永遠に~ 

そよ「じゃまだやってないむつみちゃんは決定で……パートナーを決めよっか♪」

睦「……私の唇を奪う王子様は、誰?」

燈「えへへ、なんだかロマンチックだね」

祥子「さっきの見てよくそんなノリノリですわね睦……恐ろしい子っ!」

立希「まぁ睦相手ならやってもやらなくてもどっちでもいいか」

 

 立希の投げやりな言葉から、そのファンタジーは幕を開けた。

 

 

 

 立希side

 

睦「……怒った」

立希「は?」

睦「私とのキスなんて、どうでもいいっていうんだ。祥とのときはあんなに顔真っ赤にして、燈にだってあんなにこだわってたくせに……」

立希「い、いや何無気になってんの……」

睦「お姫様権限で立希を王子様に強制認定します。この私に意見する者は?」

立希「いや意見ありまくりの大反対……」

祥子、そよ、燈「はっ、姫様の御意思に従いまする」

立希「な!? ちょっと待て、いくらなんでも横暴だから!」

睦「私相手ならどっちでもいいんでしょう?」

立希「そ、そう言ったけどこんな強制的な流れは違うでしょ!」

睦「そうそう。罰ゲームだけど、負けた方が勝った方にキッスする」

立希「はぁ!? そ、そんなの……どうあがいてもキスするじゃん! あとキッス言うな!」

睦「全然違う。罰ゲームとしてやらされるか、お互いの意思でチューするか」

立希「チューもやめろ! ってバカバカしい、こんなんまともに付き合う方が間違ってる……」

睦「みなのもの。(カスッ)」全然音のならない指パッチン

そよ「はーいたきちゃん座りましょーねー♪」膝かっくん

祥子「イスはこちらですわっ! フーッ、フーッ!」立希の後ろからイスをセット

立希「ちょ、ちょっとそよお前マジふざけんな! って祥子鼻息荒っ!」

睦「燈は立希を後ろからギュッと抱きしめて。逃げないように」

燈「こ、こう……?」おずおずと立希の腰に手を回す

立希「あっ……こらっ……(逃げずらい。逃げようとしたら燈を邪険に振り払いそうだから、余計に逃げづらい! 睦のやろう……)

 

 立希がたじろいでる隙に、睦は立希の太ももに座り、髪をかき上げ不敵に笑う。

 いつもどちらかと言えば見下ろす側だった立希は、珍しく睦に見下ろされてることに新鮮さを覚えて呆気にとられる。

 その隙に口にポッキーを突っ込まれ、反対側の端っこを睦が悠々と噛んでくる。

 

睦「どうしたの? すっごい間抜けな顔してる」

立希「い、いっつも無表情のお前が、こんなときに限って楽しそうに見下してくるからっ、そういうお前が変なんだよ!」

睦「そうだね。私、今すっごく楽しい。楽し過ぎて変になっちゃったかも。でも、お楽しみはまだまだこれから」

 

 睦が微笑んだままゆっくり、ゆっくりポッキーを食べ始めた。

 少しでも長く目の前の立希を愉しむみたいに。

 そんな睦に異様な熱っぽさを感じ、立希は本気だと悟って心臓が暴れ出す。

 立希は遅いが確実にキスしようと迫ってくる睦から目を逸らし、少しでも落ち着きを取り戻そうとする。

 

睦「……追加ルール。目合わせなかったら大人のチュー」

 

 しかしそれは、完全にスイッチが入った睦の気を損ねるという悪手でしかなかったらしい。

 

立希「お前なっ! いくらたまに常識外れの睦でも、流石にできないだろ!」

睦「……試してみる? ……試して、みたい?」

立希「……め、目合わせてりゃ文句ないんでしょっ!?」

睦「ふふっ、いい子」

 

 睦は立希の髪を撫でながら再び食べ進める。残り半分を切った。

 いつも世話焼いてる睦に子ども扱いされてるのも相まって、溜まらず立希が首を引こうとする。

 その瞬間、睦に胸元を掴まれ引き戻された。

 

立希「ど、どんだけしたいんだよお前は!」

睦「今の立希、すっごく可愛いから。逃がしたくないし、もっと意地悪したくなっちゃって」

立希「お前は今お姫様なんだろ!? 何王子様キャラになってんの!」

睦「こんなときでもツッコミを忘れないところは立希だね。なんだか安心する……」

立希「安心するからってなんで目閉じるんだよこの馬鹿!」

 

 残り4分の一を切る。

 睦の手が伸びてきて、立希の頬を優しく撫でてくる。

 触れられて立希がビクッと反応したのが、睦の嗜虐心をさらに刺激したらしい。睦の口元が妖しく歪んだのを見て、立希はそう直感した。

 残り2cm。睦からわざとらしく長くて細い吐息を、口の隙間に吹きかけられる。

 

立希「〜〜〜〜〜!???!?」

 

 繊細な息に体の内側からくすぐられ、ゾクゾクとした波が頭てっぺんまで駆け巡り、脳がバチバチと弾ける。

 想像もしたことないような非日常的行為に立希の頭は混乱し、チョコの甘い匂いがさらに朦朧とさせる。

 そこまで感じてることは、震え上がる体が雄弁に語っていたらしい。

 睦は立希の背中に手を回してより密着しながら囁いてくる。

 

睦「……ふふっ。立希がすごいビクビクしてるの、全身に伝わってきてる。ちょっとエッチだね」

立希「え、えっちなのは、お前のいいかた……」

睦「もしかして……(フゥー)……ってされて、気持ちよかった?」

立希「(ビクビクゥ!)わぁ、わけわかんないこといってないて、はやくしろって……」

 

 それは、こんなこと早く終わらせたくて言ってるのか。

 それとも、これ以上焦らされるのに耐えれないから言ってるのか。

 頭も心もぐちゃぐちゃになってる立希に分かるはずがなかった。

 だから睦の顔が紅潮してることにも、自分に跨り密着する体が火照ってることにも、全く気づかない。

 

睦「せっかくだから、もっと可愛くおねだりして」

立希「私に可愛くなんて、わかるわけないだろ……」

睦「じゃあ、立希はここからどうして欲しい? あと1cm残ったこのポッキー、どうして欲しいの?」

立希「……食べて」

睦「立希が食べてもいいんだよ?」

立希「わ、私にはムリだから……睦から、食べて……お願い……」

睦「……これで許してあげる。よく頑張ったね立希。じゃあ……今からご褒美、あげる」

 

 立希には睦の言うご褒美が何を指すのか、理解が追いついてなかった。

 それでもその先に自分が望んでいたゴールがあることを本能が察していたから。

 睦にそのゴールへ導いてもらおうと、目を閉じ身を委ねた。

 

睦「……はい、終わり」

立希「……え?」

 

 唇の気配を間近に感じた、と思ったら睦はあっさり立希から離れる。

 睦の体温と重みがなくなったことに反応して、立希は目を開けた。

 

睦「……あれ以上は本当にキスしてた。もしかして、本当にすると思ってた?」

立希「……いや……もう何もわからん……」

 

 何が本当だったのか、何が冗談だったのか。立希は考えることすら億劫だった。

 さっきまでの出来事は立希の常識を遥かに超えていた。もう精神は限界だった。

 だから、どっと押し寄せてきた疲労感と安堵に吞まれた立希は、一瞬で意識を手放した。

 

燈「た、立希ちゃんまで気を失っちゃったよ!?」

そよ「さ、さきちゃーん、聞いた? 冗談だって! 全部嘘だったから、ほら起きて~!」

祥子「う~~~~ん……立希と睦は、そういう関係で……2人はもう大人の階段をいくつも上って……私は、友人としてどう祝福すれば……お赤飯……」

燈「お、大人の階段……さっきのが……」

睦「……用事思い出したから帰る」

そよ「ちょっとむつみちゃん!? も~! 私1人じゃツッコミきれないし収集つかないよ~、たきちゃん助けてよ~!」

 

 

 

 意識の曖昧な2人と赤い顔してモジモジするばかりの燈を、そよはワンオペでなんとかした。

 

 

 

睦「……」

使用人「お嬢様!? それお酒よ!? 何飲もうとしてるんですか!」

睦「……お酒飲めば、記憶なくなるって聞いて……」

使用人(き、記憶失くしたいほどって。いつも大人しいお嬢様が、何したのかしら……)

睦「……」ごくごく

使用人「ってあ~! こらっその酒瓶を寄こしてくださいって力強!? そんな華奢な体のどこから出してるの!?」

睦「……ぷは~! ……ハハハ、おホシさまってホントーにマワるんダ~♪」バタン

使用人「お嬢様~!」

 

 

 翌日。

 意識を手放した立希も、酒に頼った睦も、都合よくポッキーゲームの記憶は綺麗に消えていて。

 同じく興奮しすぎて気絶した祥子も含めて、みんないつも通りだった。

 ただ、しばらく燈は、立希と睦が絡んでるところをジッと見ては顔を赤くしていて。

 そよはそよで、15禁くらいの百合ものを夜こっそり検索する日々がありましたとさ。

 

 

 




※後書き※

か、勘違いしないでよねっ! 別に、立希と睦の間に恋愛感情はないんだからねっ!

……なのに、どうしてこうなったんだろう。
その日思いついたままに投稿したSS(っていうのか?)でした。
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