汚泥の中で 作:アカネイアの雑兵
当時のアカネイア王は前代未聞とも言える『王族の粛清』の命を下した。
後年の歴史家などは、これによりアカネイアを中心とした大陸秩序は崩壊した。と論ずる事が多い。
何故この様な凶行に及んだのか?
それは当時を知る者であっても理解に苦しむところであり、歴史における大きな謎とされている。
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アカネイア王からすれば、後継者争い等と言う
先々代の将軍や今の将軍が求めているのであれば、必要なのだろう。
その割には先代の将軍が其れ等を無期限延期とした事。それが気にかからない訳では無かったが。
己はまだ健康であり、寧ろ後継者を定めて、それが死んだ方が遥かに
後継者については未だ公言していない。
末娘のニーナは些か以上に僭越な事を宣うから、沙汰を言い渡したに過ぎず
それを以て、他の者達にも警告とした。
にも関わらず、騒ぐのであれば
と言うのが、
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現在のアカネイア王は寵姫に夢中であり、その熱の入れようは寵姫を推挙した者を将軍として取り立てた事からも伺えよう。
己の意を介さぬ
それが彼の本音であり、今回の件は絶好の機会だった。
マケドニア征伐やカダイン誅伐の無期限延期を直言した前将軍。
煩わしくはあったものの、
「外敵を倒したとして、それでアカネイアが崩れては本末転倒。
外征をするのであれば、先ず国内を万全とした上でするべきかと。」
些か以上に僭越ではあったが、その論には納得出来るだけの説得力は確かにあった。
その上、仲が決して良いとは言えぬ文官達の意見まで添えたとなれば尚更。
今の将軍について、彼は些か程も信頼はおろか信用さえしていない。
騎士団を纏める将軍ともあろう者が、自分に目通りすら出来ない。
等というのは笑い事にもならない。
⋯だからこそ、これではっきりする。
アレが
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アカネイア王の側に控える廷臣達。
彼等は確固たる
先々代や前任の将軍であれば、王命となればそれを行なう事に躊躇いはない。
が、今の将軍は先々代が企図し、失敗。前任が危うしと取り止めようとしていた
事実、マケドニア征伐やカダイン誅伐においてこそある程度の協力を取り付けているが、逆にそれ以外の事では協力を取り付けられていない。
協力しているのとて、領地を持たぬ貴族や騎士団の一部。
領地を持つ貴族の中で協力しているのはごく僅か。殆どが様子見か、或いは先々代の時に実害を受けた。或いはその様子を見て危うさを感じている者。
と言うより、僅か一年も経たぬ内に騎士団のトップである将軍。これが何度も代わる事自体、アカネイアの国威を下げているのに何故気付かないのやら。
廷臣達は冷ややかな目で騎士団を、将軍を見つめていた。
更に二転三転する方針。
最早、騎士団そのものがアカネイアに対する信用低下に繋がっているとさえ思えてならない。
故に陛下は将軍に命じた。
その責を果たす覚悟があるのか?と
いざという時、王に従えぬ騎士団など居ない方がマシなのだから。
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「⋯呆れる程に品薄ね。」
アカネイアの中心近くにある街。
そこでアンナは宜しくない兆候を見てしまった。
物が明らかに少ないのだ。
アカネイアの中心たるパレス。
それに最も近い街となれば、それこそアカネイアの繁栄を象徴する意味をも持つ。
そんな街の店で
アカネイア屈指の街ですら、物が買えぬ。それはアカネイアの
大陸秩序の要たるアカネイアの敷く貨幣経済の破綻をも示唆するものなのだから。
⋯事がアカネイア国内のみで完結するのであればまだマシだろう。
幸いと言うべきか、アカネイアは大陸の南東部に位置しており、国境を接するのはオレルアンのみ。
オレルアンは確かにアカネイア王家と多少繋がりがあると言えなくもないらしいが、流石に領民の生活を犠牲にしてまでアカネイアを助けるとは思えない。
ましてや、アカネイアの物資不足は自業自得とも言えるものなのだから。
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真っ当な感性を持つのであれば、自身の生活に困らないだけの物を手元に残す。
それは個人であれ、国家であれ変わらない。
確かにアカネイアにも備蓄はある。
故に突発的な軍事行動にも対応出来るのは確か。
だが、それにも限度がある。
自国内、或いは近隣であれば消費される食糧を始めとした物資。
それも都合をつける事は決して難しくはない。
だが、マケドニアにせよカダインにせよ
明らかに必要とされる物資の量は想定のそれを上回る。
特に渡海の必要があるマケドニア征伐ともなれば、備蓄だけで賄えるものではあるまい。
だからこそ、騎士団はカダイン誅伐やその後のマケドニア征伐に向けて物資を蓄えんと動き出した。
それにより齎される深刻な事態を考える事なく。
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アカネイアは大陸最古の国である。
それは即ち、アカネイアに開発の余地のある土地が少ない事をも意味していた。
勿論、時間と人手をかければ耕作地を増やす事は不可能ではない。
しかし、今のアカネイアにおいてその様な大規模な国家事業を行えるだけの余力はなく、また己に課せられた責務すら満足に果たさぬ騎士団の様な存在が許されている。その事からもアカネイアは低迷期に入っていると言えた。
⋯先だってのマケドニアに対する食糧支援。それすらアカネイアのみで行えない。
それ程にアカネイアの食糧生産量は減っている。
アカネイアと言う国家の国力が衰えを見せているとも言えよう。
尤もそれを素直に認められる潔さが今のアカネイアにある筈もないが。
そんな中、騎士団の主張するカダイン誅伐やマケドニア征伐。
其れ等を行えるだけの物資を用意するのは決して容易なものてはなかった。
加えて、先々代将軍主導の元に行われた試験艦の建造。
船底よりの浸水により、魚の棲家と化した訳だが、その犠牲となった『アカネイア各地から集められた熟練の職人』
これが何よりの痛手だった。
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アカネイアの武器を作る職人。
彼等は武器を消耗品と見なしており、数を揃える為にはそれ相応の時間をかけねばならない。
勿論、武器を扱う騎士団もそうであり、前代未聞の遠征ともなれば武器の用意は欠かせぬ事。
アカネイア至近の街にも鍛冶職人はいるものの、人数は少なく
そうなれば、アカネイア各地から武器を集めねばならない。
⋯しかし、熟達の職人を失った地域の場合、それに応じる余裕はなかった。
確かに他所から職人は送られた。
だが、職人と言えども集団の中で生きている。
所謂『よそ者』と古くから好まれないのは、その土地でのやり方。風習や慣習と言い換えても良いかも知れない。
それに合わさねばならない。
しかし、それが出来ず
「前住んでいた所ではこうだった!」
と主張したとて、どうにもならない。
郷に入っては郷に従え。
とはある意味真実を言い当てているのだから。
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更に言えば、都市部と農村部における鍛冶職人の役割の違いもまたこの場合問題となる。
都市部であれば、傭兵や戦士。或いは領地の兵達が使う武器を製造する必要もあろう。
しかし、農村部において下手に武器を作ったところで使い手が居なければ意味はない。寧ろ農村部においては剣や槍より、伐採に使える斧。狩猟に欠かせぬ弓の製造にこそ重きを置く。
故に山賊達も其れ等を武器として使う訳だが。
農具とて作らねばならない以上、あまり武器ばかりを作る訳にもいかないのだ。
トドメにアカネイア全土において、武器は画一化されておらず同じ鉄の槍だとしても強度、重心などが微妙に違う。
前述の通り、求められる物が違う以上国内から調達出来る量にも限界がある。
職人の減少や鉱石を採ってくる者も少なからず人足として試験艦の建造に携わり、そして失態を覆い隠す為に殺されていた。
つまるところ、マケドニア征伐の為に行なった試験艦建造。
それによって喪ったもの。それは騎士団や将軍。王国が思うより、遥かに重く
また代え難いものだったのだ。
更に行商人に対する締め上げ。
これにより、国外からの調達も困難となる。
何せ二転三転するアカネイアの方針。
それに最も振り回されているのは、オレルアンであり、カダイン誅伐などという
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王権を振りかざす国王
己の立場を高めんとする王子や王女
功績を求める将軍と騎士団
慌ただしい変化に何とか国を保たせようとする文官達
己の権益の拡大に夢を見る教会総本山
その全てが地獄を見る。
ヒトの欲に限りはなく
その欲により、ヒトは時に破滅する。
後の歴史家は語る。
ギリギリのところで踏みとどまっていたアカネイア体制
その崩壊は此処から始まった、と
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将軍は王命を速やかに実行しようとした。
当然だろう。アカネイアの価値観で言えば、王とはアカネイアそのものであり、王命とは何をおいても果たさねばならぬものなのだから。
しかし、彼は日和った。
将軍として『王族の粛清』を自ら実行するのではなく、部下達に任せたのだから。
⋯正確には押し付けた、と言うべきだろうが。
如何に王命が絶対的なものであろうとも、アカネイア王家の血を無用に流す。それは本来避けねばならぬ事。
カルタス王の治世から漸くアカネイア王家はその数を増やし、王家の断絶。と言う最悪の事態は避けられる様になった筈なのに。
まぁなんだかんだと理屈を並べ、将軍は国王より命じられた『不穏分子の排除』を己の手でしない事を選ぶ。
⋯そして、国王の命を騎士団が受けた事
その内容が『王子や王女の排除』である事はあっさり彼等の知るところとなる。
さて
彼等、彼女等は素直に殺される事を受け入れただろうか?
凄惨で残酷な血の宴
その幕が上がる。
エリスルート完結記念の外伝
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いる
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いらない
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そろそろリンダルート書いて、どうぞ?
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そんなことよりチキを出せ
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その他