SEED DESTINYに00要素を混ぜ込んでみたら、より一層gdgdになった件について 作:種再燃祭
サブタイはふざけてますが、割と内容は……
いえ、サブタイ通りと言えばサブタイ通りか?
さて、ここはユーラシア連邦南部カスピ海沿岸、ファウンデーション王国(予定)の首都イシュタリア(予定)……
「なんと……”
思わずそのレポートを読んでいたオルフェ・ラム・タオは、驚愕の表情を浮かべた。
すると演技なのか素なのか、イングリット・トラドールはきょとんとした顔で、
「そんなに不思議かな? だってラクスさんが選んだ国だよ? このくらいの先進性があってもおかしくないんじゃないかな?」
原作劇場版では『姫様』と名前すら呼ばなかった対し、この世界線のイングリットは心の距離感が明らかに近い様だ。
これもやはりラクスの歌を聴き続けた結果だろうか?
「そ、そうだったな! 愚昧なパトリック・ザラを率いるプラントを棄て、ラクスが新たな活躍の場とした国だ。そのくらいの先進性が無ければ、ラクスが新たな依代とするには相応しくないのだろう!」
無論、ラクス・クラインが最終的に居城とするのはファウンデーション王国、いや自分の隣だとオルフェは疑っていない。
だが、オーブという国を改めて考えるきっかけにはなったようだ。
そう、イングリットの思惑通りに。
「オルフェ、確認したいんだけど……パトリック・ザラは、地球に住む”
イングリットの言葉にオルフェは鷹揚に頷き、
「その通りだ。だからこそ、あの復讐にとらわれ愚物は実の子に討たれる惨めな最期を迎えた。その愚かさに対する当然の報いだ」
本質的には違うのだが、イングリットはまずその認識で良いとした。
「オルフェ、次の確認だよ。もし仮にパトリック・ザラが巨大ガンマ線レーザーで地球上の全ての生物を滅ぼしたら、プラントは存続できたと思う?」
「……現状の技術では否だ。水や食料だけでなく、他の物資も含めて宇宙で全て賄うには無理がある」
ラクスが絡むと言動が残念過ぎて誤解されがちだが、オルフェ・ラム・タオは本来はアコードの”リーダーユニット”。
遺伝情報的に最も優秀なスペックを持つ、キラとは違う意味での”スーパーコーディネイター”であり、本質的には優秀な筈……なのだ。
「ねぇオルフェ……ザラ派の残党、それとその裏側にいる”一族”を利用するのは構わないと思う。ううん、現状では仕方ないかもしれないけど、利用するだけ利用するだけにして、
「イングリット?」
普段の身内の中では最も温厚なイングリットらしからぬ真剣な面持ちと確固たる意思を込めた言葉に、オルフェは思わずたじろいた。
「ザラ派は、『ナチュラルの根絶』が目的、復讐の到達点だって考えてる。その為には、『
「そう、なのか……?」
「うん」
イングリットは頷き、
「この先のザラ派の動向を見定めてから、オルフェ自身が判断して構わないと思う。ところで、オルフェ、まだ確認していい?」
「ああ。何だか今日のイングリットはやけに積極的だな?」
「だってもうすぐ本格的に”ファウンデーション王国”建国へ向けた動きが、水面下を抜けて表面でも本格化するだろうから。本格化してから軌道修正は難しいよ?」
「それもそうか」
と納得するオルフェに、
「オルフェ、忘れないで。私、イングリット・トラドールは、”アコード”のリーダーたるオルフェの”補佐ユニット”だよ? オルフェが十全の力を発揮できるようにするのが、私の『作られた意味と役目』だよ?」
いっそ見事な”すり替え”である。
『大好きな、オルフェが大好きであることを自覚してしまったイングリット』が、『大好きなオルフェを手助けしたい』と思うのは、人間としてあまりにも当然だった。
そう、原作劇場版の『能力があるから必要であり、必要性=愛』と凝り固まっていたイングリットとは比較にならないほど、この世界線のイングリット・トラドールは”ココロの成長”を遂げてしまった。
その成長の触媒となった……イングリット・トラドールという少女の情動を烈しく揺さぶり刺激し続けたのが、『ラクス・クラインが歌う”滅びた西暦世界の楽曲”』というのは、原作を知る身には実に皮肉を感じる。
そして、そんな”この世界に生きるイングリット”だからこそ、『原作とは違う視点』でオルフェを見ることができた。
いや、この言い方は正しくないかもしれない。
正直に言うと……原作劇場版のイングリットは、果たして『オルフェ・ラム・タオという”男性”を、恋愛対象となる異性として真っ直ぐに向き合い、正しく見ていた』のだろうか……?
いや、その答えはあの作品を見た皆さんそれぞれの心の中にあるのだろう。
だが、少なくともこの世界線のイングリットは、『わからない……どうして?』とは思わない筈だ。
だが、少なくとも”この世界線のイングリット”は、『オルフェ・ラム・タオという一人の男性を真っ直ぐに見る』事を始めていた。
故に『オルフェ・ラム・タオが、まだ”アコード”のリーダーユニットという立脚点』から周囲を俯瞰していることを理解していた。
故に今のオルフェが納得しやすい『オルフェ・ラム・タオの補佐ユニット』という陳腐な”定められた製作理由”を持ち出して、自分の想いを紛れこませてながら”建前”としてすり替えた。
その本質は違うとはいえ、『オルフェを助ける』という行為に変わりが無いのは、イングリットにとり実に好都合だった。
「オルフェ、続けるよ? パトリック・ザラが用いたような手段を用いずに、ナチュラルを殲滅する事は可能?」
「はぁ? 可能不可能で言うなら不可能かもしれんが……だがイングリット、その質問に意味はあるのか? 『統治する民のいない統治者』など、それこそ意味がない。例えば、地球上に住むナチュラルとコーディネイターを全て選別するのが現実的でない以上、必然的にナチュラルも統治下におくしかない」
するとイングリットは、
「でも”ディスティニー・プラン”を悪用すれば、選別は可能かもよ? 全ての地球人類に遺伝子測定を施して、コーディネイターのみを抽出して、ナチュラルだけを抹殺することも……」
「イングリット、お前の言いたいことはわかる」
オルフェはその言葉の続きを意図的に遮り、
「だが、”ディスティニー・プラン”は断じてそういう物ではない。あれは『遺伝子上、各分野に最も最適な人材を配することにより、より効率的に社会を動かす』為の計画であり、”アコード”はその能力をもって統治者という”管理システム”を担うべく作られた存在だ」
そのオルフェの回答にイングリットは表情を緩ませて微笑みを浮かべた。
「オルフェが『
「? 何を当り前の事を。新秩序の統治者たる”アコード”のリーダーである僕が、新たなる世界の根幹となる”ディスティニー・プラン”を理解していないでどうする」
フンスと胸を張るオルフェが変に微笑ましいが、
「ならオルフェ、オーブの”
「どういうことだ?」
「だってこのシステムは、『ナチュラル、コーディネイターを問わず職業適性を診断するという名目で、遺伝情報からの最適解を算出する』システムだからだよ。これをディスティニー・プランに組み込めば、本来ならば『
「なるほど! 確かに不用品として切り捨てるのは簡単だが、それを国力として用いることができるのであれば、無能なナチュラルにも使い道はあるということか……ふむ、悪くない!」
また、歯車がカチリと音を立てて切り替わる。
きっとこの世界線でも”ファウンデーション王国”は生まれるのだろう。
しかし、その在り方が”同じ”とは限らない。
「ねえ、オルフェ、リッちゃんを調査員としてオーブに送り込まない? もう建国に向けて忙しいから、前みたいに四人一緒は無理だけど、一人だけなら何とかなると思う」
「ふむ……何故、リデラードなんだ?」
「このレポートをまとめたのがリッちゃんだからだよ。私たちの中で、一番”
「わかった。イングリットがそう言うのなら母上に奏上してみよう」
「オルフェ、ありがとう♡」
イングリット・トラドール、その本質においては存外に妹が可愛くて仕方がない”姉バカ”であり、同時に鋭い洞察力を持っていた。
さて、後日……
オルフェが「ファウンデーション王国建国に向けた”ディスティニー・プラン”に近似政策の実例、その現場視察に関して」みたいにイングリット監修の下で良い感じにレポートをまとめて母であり女王でもあるアウラ・マハ・ハイバルに提出したところ、
「ふむ。オルフェも宰相となる自覚が出てきたようで実に重畳じゃ♡」
と絶賛され、リデラードのオーブ視察が恙なく決まったらしい。
その話は、また別の機会に語られるであろう。
イングリット、メンタルつよつよです(挨拶
いや~。オルフェが見事にイングリットに思考誘導されましたw
この世界線のイングリット、かなり強かに成長中です。
これは元のアコード的なスペック云々ろいうより、もっと単純な「一般に子供の頃の成長は女の子の方が早く、特に精神面は早熟である」というだけの話かも?
というのも、遺伝子操作による人工授精/人工子宮で生まれた”アコード”達は、いわゆる「一般的な人間の成長過程」があった訳ではなく、特に精神的成長の機会が無かったのではないかな~と。
いや、実際に劇場版のブルーレイを繰り返し見たり、オーディオコメンタリー聞いたりしてる内に改めて強く感じたのは、アコードの本質って「ハイスペックな異能持ちってだけで、中身はただのクソガキ」なんですよ。
失敗も挫折も知らないし、我儘は全部通ると思ってる。これじゃあ心が成長なんて得られる訳はないって。
それは前作書き始めた頃、最初に映画館でFREEDOM見た時から思っていた事でだからこそ、「オーブでラクス・クラインのコンサートに参加する」って変化のきっかけを前作で与えたんですが……
今回のエピソードは、そこから起こった変化の一つの到達点、「マイルストーン」のような物です。
この先も、「オーブへ行って情緒が揺さぶられた四人」は変化を続けるでしょう。
さて次回は、いえ次回からはいよいよもう一方の主役、”ミネルバ”サイドの話に入ってみようかと。
次回もどうかよろしくお願いします。
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