SEED DESTINYに00要素を混ぜ込んでみたら、より一層gdgdになった件について 作:種再燃祭
いや、ご感想を多くいただいたのでついテンションが上がってしまってw
サブタイ通りに、アスランの”ミネルバ”合流回です。
さて、この世界線の彼は果たして……
「ZGMF-X56S”インパルス”テストパイロット、”アスラン・ザラ”だ。インパルスの初期テストは終わり、次の段階の『”ミネルバ”に搭載し、実戦を想定したテスト』へと入った。私は継続しテストパイロットの任務を行うと同時に、このミネルバの『インパルス・システム実働試験小隊』の隊長も兼任する事になった。以後、よろしく頼む」
”FAITH”のバッチを胸に輝かせ、アスラン・ザラは”ミネルバ”着任の挨拶でそう告げた。
まあ、原作に比べれば遥かに”普通”のイベントだったが……
「あの質問をよろしいでしょうか?」
「かまわんぞ」
「えっとまずよくわからないのですが、『インパルス・システム実働試験小隊』ってなんでしょうか……?」
そう質問したのは、現在ミネルバに居るパイロット二名、ルナマリアとレイで先任に当たるルナマリアだ。
少なくてもザラ隊長がどうのこうのと言ってる場合じゃないのは、理解しているようで何よりである。
「ふむ。先ずはそこからだな……君は何と呼べばいい?」
メイドたちに鍛えられ、何気にコミュニケーション能力が上昇してるっぽいアスランが問うと、
「えっと、ルナマリアでいいです。ザラ隊長」
「ではルナマリア、まず”ミネルバ”に当初配備予定だったのはZGMF-X56S”インパルス”一式、コアスプレンダー、上下フライヤーユニット、フォース/ソード/ブラストの各シルエット・システム1セットずつだったのは知っているか?」
「はい。存じています」
アスランは頷くと、
「しかし、それではわざわざ『インパルス・システム運用艦として建造』された”ミネルバ”の真価を発揮できない。それどころかインパルス・システム運用能力の見極めも難しいだろう。しかも”インパルス”は3機分完成しているのに実に勿体ないとは思わないか?」
と矢継ぎ早に示してから、
「そこで私は”FAITH”の権限を用いてギルバート・デュランダル議長と直接交渉し、3機まとめて”ミネルバ”に納入できるように手配した。対価として求められたのは、私がテストパイロットとして着任した当初、構造欠陥、いやコンセプト欠陥と呼ぶべきか? それが理由で未完成に近い状態で放置されていた”カオス・シルエット”ならびに”アビス・シルエット”の改良と実用化だった。生憎、”ガイア・シルエット”は未完成どころかまだ形にすらなってなかったから手のつけようが無かったが」
どうやらアスラン、アーモリーワンに着任してから生来の真面目さを発揮した仕事っぷりだったようだ。
そういえば、ボアズに籠っていた間も各種機体のテストパイロットをやってたっけ。
「ボクからも質問よろしいでしょうか?」
挙手したのはレイだった。
「君はレイ・ザ・バレル……ラウ・ル・クルーゼ元隊長の弟で間違いないか?」
どこか懐かしそうにアスランが言うと、
「はい。ボクのことはレイで結構です。質問を続けてよろしいですか?」
ラウ・ル・クルーゼの名を出した時に「懐かしい」という感情だけで、世間にありがちなザラ派に対する負の感情を出さなかった事がレイには好印象だった。
ラウ・ル・クルーゼは、政治的にはノンポリだったのだが、ヤキン・ドゥーエなどの戦いっぷりからザラ派と誤認される事が多かったし、アカデミー時代それで悶着もあった。
レイは主にメイリンの愛情で原作より遥かに温厚な性格に育ったが、アカデミー主席卒業の能力と腕っぷしは原作同様、いやそれ以上の可能性があった。
何しろ定期的なナノマシン治療で完全な健康体である上に、メイリンの存在があったからだ。
「ああ」
「構造的、あるいはコンセプト的欠陥というのはなんだったのでしょう?」
パイロットらしい質問にアスランは満足しながら、
「最大の欠陥は、インパルス・システムの利点を生かそうとするあまり、シルエット・システムに複雑な”モビルアーマーへの変形機構”を盛り込もうとしたことだ。しかし、ただでさえ複雑な変形合体機構を持ち、強度面が不安視されていた”インパルス”により複雑な機構を持ち込めばどうなるか……端的に言えば、『実戦を考えない、技術優先の産廃』、失礼『産物』の出来上がりだ」
アスランはそう苦笑すると、
「だからこそ、私はコンセプトの根本的な見直しを提言した。レイ、君は”ザク”に採用されている”ウィザード・システム”、そしてそれの元となった大西洋連邦が開発した”ストライカーパック・システム”を知っているか?」
「無論です」
「そうか。ならば話は早い。物事を単純化する為にまずは”カオス”、”アビス”の各シルエット・システムが持っていた欠点を挙げると、”カオス”はモビルアーマー形態をとる場合に下半身、レッグフライヤーをパージしなければならなかった。モビルアーマーになると簡単にモビルスーツに戻れない変形機構に果たして意味はあるのか? 否だ。”アビス”は、その仕様上、魚雷以外の対水中用を持っておらず、基本的には砲戦仕様と呼ぶべきシルエットだ。そんな物に『水中用モビルアーマーへの変形』は必要か? 否だ」
そうバッサリとアスランは切り捨てると、
「兵器は可能な限り要求性能に対してシンプルな構造を持つべきだ。そこで私は根本に立ち返り、”カオス”は宙間戦闘能力の強化、”アビス”は火力増強と割り切り、ストライカーパックを規範として改造案を出した。カオスに必要なのは第二世代ドラグーンに該当する”EQFU-5X機動兵装ポッド”の運用とMGX-2235Bカリドゥス改複相ビーム砲による火力強化に機動力強化。それ以外に必要ない。ビームクローなど必要ならシールドなどに内蔵してしまえば良い。レイ、君は大西洋連邦の”フォビドゥン”という機体を知っているか?」
「ええ。資料だけなら」
「あれは曲射プラズマ砲の使用時はバックパックがせり出し、上半身に覆いかぶさるような構造になる。変形とは言えないが、とてもシンプルで合理的な構造だ。”カオス・シルエット”に導入してはならないという理屈はないだろうさ」
ここに来て、先の大戦でオーブ/大西洋連邦サイドで参戦した経験が生きてきたようだ。
はっきり言えば、ザフトでアスランほど先進的な両陣営のモビルスーツを把握してる人間はいない。
何しろアスラン自身も、”Nイージス・アサルト”というその一端を操り、あの戦場を駆け抜けたのだ。
「”アビス・シルエット”に関してはもっと話が簡単だ。砲戦シルエットと考えれば、そもそも変形機構は不要だ。水中戦を考慮しないなら魚雷など必要ないと割り切り、空いたスペースにパワーエクステンダーを仕込んだ方が遥かに実用的だろ?」
「でも、それだと”ブラスト・シルエット”と役目がかぶりませんか?」
「良い質問だ、ルナマリア。ところが被らないのさ。”アビス・シルエット”の売りはバラエーナ改以外に両肩の兵装バインダーだ。あれは武器を内蔵してるだけでなく、シールドとしての機能も高い。”ブラスト”に足りない防御力を補う攻防一体のユニットとして使うことができる。逆にブラストはより遠距離砲戦に特化した使い方を選択できるようになるさ。シルエット・システムはそもそも、『戦場での選択肢を増やす』為のシステムだ」
アスランは、間違いなく歴戦であった。
原作より腕前が上なのか下なのかはわからない。だが、この場にいる誰よりも戦場を知っているのは確かだった。
「欠点があるとすれば、改造型はフォース/ソード/ブラストのように戦場で換装ができず、発艦の際も『モビルスーツ形態でシルエット・システムを装着した状態で出撃しなければならない』ということだ。要するにザクのウィザード・システムと同じ使い勝手になるってことだな」
「それじゃあインパルス・システムの利点は……」
そう呟くルナマリアに、
「インパルス・システムを局地戦用の性能とトレードオフしたと思えば良い。要は考え方さ。それに戦場での装備換装は出来なくとも、損傷過多の場合には、シルエットも上下フライヤーもパージし、コアスプレンダーを脱出装置として活用できる。パイロットの生還率や帰還率を上げるだけでもインパルス・システムの意義はある。ザフトにとってパイロットは今や貴重だ」
そう言い切るアスラン。そして、
「戦場で兵士が命を預ける兵器は、『技術の為の技術、ギミックの為のギミック』であってはならないと俺は思っているんだ。俺も変形による『即座の戦術変更』にメリットが無いとは思っていない。むしろ、無理に”インパルス”に組み込むのを諦め、『変形機構を持った”インパルス”とは別の3種のモビルスーツとして結実させた』事はむしろ英断だと思っている。なぜなら”インパルス”とインパルス・システムと変形機構付きのシルエットと組み合わせた場合は、その複雑さゆえに『変形のメリット以上のデメリットが大きすぎる』からだ。だからこそ、俺はカオス・シルエットとアビス・シルエットを『戦場で有意義と思える装備』に作り変えたのさ」
皆さん、お気づきだろうか?
この思考法、実は技術に走り過ぎるきらいがあるプラント式ではなく、『実用性と質実剛健』を重んじるオーブ式の技術思考法だ。
いや、もっと言ってしまうと、このような『複雑な装備の用途を絞り、よりシンプルに仕上げる。機能を多数持たせる必要があればより小さく軽くシンプルに一つ一つを作り、必要な木野の数だけ搭載する』のはキラが得意とする設計手法だった。
やっぱり、アスラン・ザラはなかなかどうして食わせ者。
吸収すべきことはしっかり吸収していた。
「ボクは良いと思います。出来れば”カオス・シルエット”を使ってみたい」
意外なことに真っ先に賛同したのはレイだった。
「ちょうどいいな」
アスランはニヤリと笑い、
「”インパルス”は全部で3機納入される。レイ、”お披露目”で『カオス・シルエットを付けて出てみる』気はあるか?」
「えっ? その、どういうことです?」
困惑気味のレイに対して、
「10月に開催される予定の”親善音楽イベント”に合わせて、『ミネルバと”
※セカンドステージ=試作機を除けば現状だとインパルス、カオス、アビス、ガイア、そしてまだ完成していないセイバーが該当
「えっと、はい」
「それなんだがな……デュランダル議長と掛け合って、『ミネルバとミネルバから発艦する”
「……は?」
ある程度事前に聞いていたとはいえ、啞然としたのはルナマリアだった。
まさか、お披露目イベントその物を乗っ取るとは思ってなかったようだ。
「考えてみてくれ。そもそも”セカンドステージシリーズ”の花形にしてフラッグシップ・モデルは”インパルス”だろ? なのにどうして、”所詮は試作シルエット・システムから派生して作られた他のモビルスーツ”も同時公開しなくてはならない? オマケにカオス、アビス、ガイアは別にミネルバから発艦する必然もない。確かに変形は派手かもしれないが」
この世界線のアスラン、原作と少し違う方向性で凄いというか……何なら少し怖い。
自分をプロパガンダの駒とするなら、そうであると割り切り、徹底的に駒になりきる胆力があった。
これはある意味の潔癖さを持っていた原作アスランが、決して持ちえない類の能力だった。
やはり、オーブで過ごした経験は『今のアスランの力』になっているようだ。それが良いか悪いのかはわからないが。
「エンタメ興業の基本は、”興味の対象を分散させないこと”さ。なら、空中で変形合体し、シルエット・システムでオプションも豊富なインパルス以上に派手なデモンストレーションできる機体はザフトにはないだろ?」
「あの~、もしかして演出とかってアスランさんがもう考えていたりします?」
おずおずと手を挙げたメイリンは、
「君はメイリン・ホークだったね?」
どうやらこのアスラン、パイロットだけでなくブリッジクルーも事前に把握済みっぽい。
やっぱりコミュ力強めなアスランだ。
「あっ、はい。メイリンでいいですよ」
「ではメイリン、まだ詳細は積めなければはならないし正式なデモンストレーション・プランとして提出しなければならないが……基本的な部分はある程度、考えてはいる」
「具体的に聞いても? 必要であれば、空いてる時間にプラン作成をお手伝いしますし」
メイリンらしい、彼女の能力なら十分に可能な提言をすると、
「ありがとう。レイが中央デッキから”カオス・シルエット”を装着して発艦することを前提として話すが……ルナマリア、君は格闘と射撃、どっちが得意だい?」
「えっ!? あっ、どっちが得意というより射撃があんまり得意じゃないと言いますか……」
最後はもごもごと返すルナマリアにアスランは特に気を悪くした様子もなく、
「なら”ソード・シルエット”か」
「あ、あの! それって私も”インパルス”に乗れるってこと……でしょうか?」
するとアスランは嫌味の無い笑みで、
「”ミネルバ”に配属されるパイロットは三名で、納入される”インパルス”は3機。俺とレイが乗る以上、残る1機は君の機体だよ。ルナマリア」
少しだけ優しい口調。
ふと一人称を”私”から”俺”に無意識に変えて素を出す仕草……
ルナマリアは何となく頬に熱を帯びるのを感じた。
「わ、私に扱えるでしょうか?」
「安心しろ。俺がテストパイロットとしてブラッシュアップしたし、自動化できる部分は可能な限り自動化もした。誰でも扱えるようになったとは口が裂けても言わないが、操縦ログからの推測になってしまうが……ルナマリア、君なら十分に可能だろう」
この時、ルナマリアは言い様もない自己肯定感と承認欲求が満たされるのを感じていた。
(我ながらチョロいなぁ~)
とも思いもしたが。
「あ、あの! 私、頑張ります!」
「ああ。期待してるよ」
ルナマリアには、何だかその過剰なまでに爽やかなに見えるアスランの微笑みが、酷く眩しく見えた。
⌚⌚⌚
「マヨイ君、”彼”をどう見るかね?」
アスランをはじめとするパイロット・チームが退出する際、モビルスーツ管制も任務に入るメイリンにもパイロットと一緒に少し早めの昼食を取るように告げたコノエは先の大戦を通じて旧知の中であるマヨイにそう問いかけた。
「そうですねぇ~。喜ばしい事に”想定以上の傑物”ですね。アスラン・ザラは」
コノエの言わんとすることは問い直さなくても理解しているマヨイの返答だった。
続きを促す表情のコノエに、
「着任の挨拶から流れるようにパイロット・ミーティングが始まったのは少し驚きましたが……それ、想定してルナマリアとレイをブリッジに呼んでましたよね? コノエ艦長」
「なんのことかな」
そう笑う、まさに食わせ者の貫禄があるコノエだ。
「それは良いとして、パイロットの人心掌握は満点。自分が嫌味にならないように格上、まさに部隊を率いる隊長に相応しい”格”があることを提示し、それをするりと飲み込ませる。部下の2人が『今後、当面すべき事柄』を具体的に示すのも高評価です。あれなら腕はあっても圧倒的に経験が劣る2人を率いて、『戦場で簡単に死なない程度』までは育てられる事を期待していいんじゃないですか?」
「なるほど。私の所見とそう変わらないようで安心したよ」
「あとは……しいて言うなら”女っ誑し”ですね。自覚あるなしに関わらず、彼は」
「ははっ。惚れたかい?」
そう笑うコノエにマヨイは肩をすぼめ、
「私には若すぎるし、第一青臭すぎます。前々から申し上げていますが、私の好みはコノエ艦長ですので」
「それは光栄だな」
「……ただ、経験上言わせて貰いますと、『権力や権限をきちんと武器や道具として使える人間・使い方を知ってる人間』は、老若男女を問わず厄介な曲者が多いですね~」
アスラン・ザラ、その評価は決して低くはないようだ。
アスラン、お前の中途半端な髪の長さ、AIイラスト化できないんじゃぁ~っ!(挨拶
すいません。最初から愚痴ですw
いや、今まで何百回となく試していますが、未だにアスランっぽいのをAIパイセンは描いてくれません(泣
今更なんですが、髪が少し長くなったり短くなると、もうアスランっぽくなくなる恐怖w
プロンプトをアスランのつもりで組んで、マジに「10代のヅラ(銀魂)」が出てきたときは変な笑いがでましたよ。
それはともかく、このシリーズではこれまででは珍しいアスラン主役のエピソードでした。
いや、原作でもラクスにハロ贈ったり、キラにトリィ贈ったり、実は機械工学得意なんですよね、アスラン。
多分、オーブ時代によく遊びに来ていたキラに触発されたのでは?と。
基本、怠惰だった幼馴染が一念発起して飛び級して社会人になってて、パイロットは成り行きでなったけどエンジニアとして一線で活躍して、女房子供持ちでしょ?
それでメイドたちと遊んでるだけではちょっと居心地悪くなって、メイドたちと遊ぶ傍ら吸収できる知識はコッソリ吸収していた……って感じでしょうか?
なので思考法がどことなく「技術先行でとりあえず先進性アピールでテクノロジー盛ってけのプラント式」より「盛るのはいいけど不要な物は削ってけ有限リソースが勿体無いなオーブ式」なんですよね~。
なのでカオス・ストライカーは「第二世代ドラグーン(機動兵装ポッド)の使用を優先した高機動火力モジュール」、アビスは「高い防御力も合わせ持つ高火力砲戦モジュール」として機能を絞って完成させ、使い勝手をシルエット・システムというよりストライカーパック(あるいはザクのウィザード・システム)にして実用性を上げたって発想をしました。
その流れでコノエとマヨイの評価は悪くないようですよ?
さて、次回は”ミネルバ”篇の最後のエピソードになります。
次回もどうかよろしくお願いします。
お気に入り登録、ここすき、ご感想、高評価などなどいただければ、本当に励みになります。